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■2016/06/12 (Sun)
第13章 王の末裔

前回を読む

11
 避難民の行列は長く長く続いた。
 流浪の旅は万全の態勢で出発したわけではないので、食糧は常に不足しがちだったし、不眠不休の移動に、年老いた者や病人がその最中に倒れた。
 やがて人々は、疲労と悲壮感が混じり合った暗い顔を浮かべるようになった。
 だが歩みを止めるわけにはいかなかった。1度クロースの追撃を受けた。その時は大きな被害を出さず追い払えたが、予断の許さない状況は続いた。
 行列は荒れ野へと入っていく。道はなく、人の住み処のない荒涼とした地域を進んでいく。
 5日目に入り、ついに行列は足を止めた。行く手に海が見えたからだ。
 もうそれ以上には進めない。旅を諦めて、人々はテントを作った。オークは炊き出しを始めて、皆に食べ物が分配するように配慮した。
 兵士が見張りに立ったが、襲撃者の姿はしばらく見えない。それでもそこは住むにも守るにも不向きな場所で、平和を築ける場所とは思えなかった。
 そんな生活が2日目に入り、オークはセシル王の危篤を聞いた。


 知らせを聞いて、オークがセシル王のいるテントに飛び込んだ。セシル王は、まだ息があった。しかし医者も僧侶ももう手を尽くした後で、セシル王の死への歩みを誰にも留められない状態だった。みんな手を止めて、それぞれで運命を受け入れようと暗い顔で俯き、すすり泣いていた。
 死の時が訪れていた。無理な旅を続けた挙げ句、荒野の冷たい風が王の死期を早めたのは間違いないが、それは数日か数刻早いか長引くかの問題でしかなかった。
 オークはセシル王のベッドの前へ進み、膝を着いた。王の両目は塞がれたまま、ついに開かれなかった。毒を塗られた全身の傷跡は生々しく、膿を吹き出し、包帯を巻き付けても出血は止まらない。もう身動きできず、ただ喉の奥で息をしているだけだった。
 オークはセシルの掌を握った。目に涙が浮かぶ。

オーク
「……セシル様。私です。オークです。……あなたの弟のオークです」
セシル
「…………」

 セシルにかすかな反応があった。呼吸がわずかに乱れた。

オーク
「ダーンウィンが私の血筋を証明しました。私はヴォーティガン王から生まれた、あなたの弟です。……私を感じますか。あなたの目には闇しか映らないでしょう。だから私を感じてください。……ここにいると。――兄上」

 その時、力のないセシルの掌が、オークの掌を握り替えした。

セシル
「……オー……ク」

 力のない弱い声だった。誰もが耳を澄ませて、証人になろうとした。

オーク
「――はい」
セシル
「ヴォー……ティ……ガ…ン……を……つ…げ……。お……ま……え……が……さ……い……ご……の……王…だ」

 それが最後の言葉であった。セシルの息が絶えて、掌から力が消えた。

オーク
「……はい」

 セシル王。享年29歳。即位から1年目の死だった。

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■2016/06/11 (Sat)
第7章 Art Loss Register

前回を読む

 やがてサンドイッチも食べ終わった。ツグミはパックのいちごジュースをストローで啜りながら、窓の外の風景を眺めていた。四国はまだまだ先のようだ。
 ふと、ヒナがツグミにもたれかかってきた。驚いて振り返ると、ヒナが静かな寝息を立てていた。
 そうだった、ヒナはずっと眠っていないんだった。ツグミは、畳んで置いていたコートをヒナの体にそっと被せる。
 そのまま、しばらく1人きりの時間を過ごした。いちごジュースは間もなくなくなってしまう。いちご味への名残惜しさとささやかな満足を得て、溜め息を漏らした。
 退屈だな……。
 ツグミは足をぱたぱたさせながら、そう思った。閉鎖された船の中、周囲の風景に変化があるわけがない。あまりにも退屈で、落ち着かないような気分になってしまった。
 静かな波の音に包まれていた。ひそやかな対話の声が、波の音に混じりながら聞こえてくる。次第に眠いような気持ちになってしまった。ツグミもソファに深く体を預けて、波の揺らぎに気持ちを委ねた。
 そうすると、不意にあの日の夕暮れの光景が頭に浮かんだ。ツグミが最後に川村に会ったあの夕暮れだ。
 私はあの時、確かに鍵を掛けて出かけたはず……。
 その少し手前の、鍵を掛ける自分の手元が、頭に浮かんだ。
 しかし鍵は開いていた。
 ツグミは暖簾を掻き分けて画廊に入る。そこには誰もいない。ひっそりと影を落とす画廊の中に、絵が一枚、立てかけているだけだった。
 別の光景が浮かんだ。同じ日の夜、ツグミがお風呂を上がって部屋に戻ろうとしていた時だ。書斎を通り過ぎようとすると、足下に光が漏れ落ちているのに気付いた。
 コルリが何かしているのだろう。そう思ってツグミはドアを開けた。
 コルリは確かに書斎の中にいた。コルリはパソコンで何か作業をしているようだった。部屋の明かりはスタンドの照明だけで、机の周囲だけが仄暗く浮かんでいた。
 ツグミが声を掛けようとすると、コルリはびっくりしたような声を上げた。
「どうしたの?」
 ツグミは釣られてびっくりした声を上げた。
「な、なんでもないから。ツグミはもう寝なさい。私はまだもうちょっと忙しいから」
 コルリは取り繕うように微笑んだ。言外に、今は干渉して欲しくない、という気配を出していた。
 ツグミは不審なものを感じながら、しかしこういう時はそっとしておこうと思っていたから、すぐに引っ込もうとした。ドアを閉じて去ろうとした時、コルリの机に少年アイドルの雑誌が置かれているのに気付いた。
 ツグミの意識がフェリーに戻ってきた。ツグミはポケットに入れていた、川村の写真を引っ張り出した。川村は撮影された瞬間のまま、動きを止めていた。
「……あなたは、誰なの?」
 ぽつりと口にする。
 すると、奇妙なできごとが起きた。川村の写真がばらばらに崩れた。目、鼻、頬、口、顎、全てがばらばらに崩れ始めた。
 ツグミは急に呼吸が苦しくなった。体が冷たい。悲鳴を上げたかったけど、声が出なかった。それ以前に、体が金縛りに遭ったように動かなかった。
「あなたは……誰なの?」
 側で囁くような声がした。ヒナの声ではなかった。ヒナのほうから聞こえたのに、明らかにヒナの声ではない、重い老婆の声だった。
 ツグミははっと振り返った。するとヒナの顔が……いや頭が消失していた。首のところで、綺麗に切り取られていた。
 ツグミは今度こそ思いきり悲鳴を上げようとした。しかし声にならなかった。まるで水の中を沈んでいるようだった。口を大きく開き、ただただ喘ぎ声を漏らしていた。

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※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです

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■2016/06/10 (Fri)
第13章 王の末裔

前回を読む

10
 戦いは続き、やがて夕暮れが近付いた。西の地平線が黄金色に輝いたが、戦場には暗い影が落ちた。戦いの激しさはさらに深まっていく。いつの間にか炎の壁に区切られた向こうに、人々の姿はなくなっていた。避難は完了していた。
 しかし、戦いをそこでとどめるわけにはいかなかった。オーク達は戦い続けた。多くの者が死に、その引き替えに悪魔を1体倒した。
 夜が訪れる。闇はいつも以上に深く、その闇に引き寄せられたのか、戦いにネフィリムが混じるようになった。魔性の軍団が現れ、一時は兵士達に動揺が広がった。オークは速やかに指示を与えて兵団を移動させた。北の森で防衛線を張ると、ダーンウィンで草原に火を付けた。
 クロースは杖の光で身を守った。オーク達も炎の壁で身を守った。ネフィリム達はどちらにも手が出せず、足踏みをした。
 これで、戦いに一時的な小休止状態が生じた。この間にオークは体勢を立て直し、全ての兵士達に今後のための指示を与えた。
 間もなく草原に点けた火が消える。オーク達はネフィリムに戦いを挑んだ。魔の軍団に火を放ち、その死体を踏み越えて行き、そして――。

オーク
「退け! 退け! 退却だ!」

 オークは仲間達に指示を与えた。兵士達は一気に四散し、ばらばらの方向に駆け出した。無論、避難していった人達の行方をわからなくするためだった。
 突然バラバラに崩れる兵団に、敵兵は困惑した。追うべき方向を定められずまごつく。その間に、兵達は戦場から散ってしまった。
 オーク自身も、何人かの兵を連れて、西の方角へと走った。
 敵兵が追ってきたが、走って振り切った。しばらく西へと走り、それから南の方角に折れた。大きく迂回して、舗装された街道に入った。
 朝日が昇りかけていた。東の空が不吉なまでに赤く染まっている。北方向には異様に暗い影が見えた。敵本陣の位置を探るまでもなく、暗闇が目印になった。敵は追跡を諦めたらしく、あの場所に留まった。
 オーク達は草原を走った。しばらくして同じように戦線を離脱した兵士達を合流した。
 兵達の中に、イーヴォールの姿もあった。イーヴォールは兵士達とともに走っていたが、ふと足を止めて、掌に握られたエクスカリバーに目を向けた。
 イーヴォールが馬首を変えて、兵達から離れた。

イーヴォール
「オーク! 行かせてもらうぞ!」

 イーヴォールはエクスカリバーを掲げて合図を送ると、南東の方へと1人駆けていった。
 オークは手を振って、それに応じた。

兵士
「オーク様!」
オーク
「構わない。行かせてやりましょう」
兵士
「しかし、あの者の手にはエクスカリバーが……」

 オークは頷いた。

オーク
「あの剣はもう何の役に立ちません。何もかもが終わろうとしている時です。行かせてやりましょう」

 朝日の光に抱かれる草原を、イーヴォールが伝説の馬にまたがって一陣の風のように駆け抜けていった。その最後の姿を、オークは見えなくなるまで見守った。多くの助言と助力をもたらし続けた偉大なる魔法使いに、別れと感謝を告げた。

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■2016/06/09 (Thu)
第7章 Art Loss Register

前回を読む

 それもやがて納まった。みんな客船に上がってしまって、車両デッキからは人影が消えた。車両デッキ内は孤独に波の音を響かせていた。
「そろそろ、出ない?」
 ツグミはヒナを振り返って、提案した。ツグミは甲板に出て、波の様子や離れていく港の風景を眺めたかった。
「そうやね。客船に行こうか、ツグミ」
 ヒナは緊張を解いて同意した。どうやらここには危険はなさそうだ、と判断したらしい。
 ツグミは車から飛び出すようにみたいに降りた。それからトレンチコートに袖を通す。ヒナも財布などをチェックしてから、運転席を出た。
 ツグミは杖を突いてヒナの側に進んだ。ヒナはツグミが近付くと、掌を握ってくれた。
 車両デッキの右側の端に階段があった。揺れが大きいので、ツグミはヒナに補助してもらいながら、ゆっくり階段を登った。
 階段を上がって客船に出ると、一気に視界が広がった。客船は仕切りのない大広間で、全ての面が窓ガラスになっていた。客船の前方部分は、正面を向いたソファが並んでいて、進行方向がゆっくり見られるようになっていた。後方部分は対面式のソファが並んでいる。
 客船の中央スペースに、上に繋がる階段があった。階段の脇にはミディアムタイプのゲーム筐体が設置されている。ゲーム筐体には電源が入っていないようだった。
 人の数は少ない。10人くらいだろう。広い空間に10人だから、ぽつぽつと人影があるだけだった。
 客船の中は静かで穏やかな雰囲気だった。時々、ふっと誰かの笑い声が聞こえる程度だった。平和そのものの風景だ。
 ツグミは客船前方方向に行って、窓の外の風景を眺めたかった。コルリと一緒に来ていたら大はしゃぎで飛びついていたと思う。でも、今はそういう気分を押さえて、ヒナと手を繋ぎながら客船後部に向かった。
 客船の隅のほうに、円テーブルが置かれたソファを見付けて、そこに並んで座った。
 ヒナはコートを脱いでテーブルの上に行くと、また席を立った。ツグミはヒナのコートを畳んで直しながら、なんだろう、とヒナを振り返った。ヒナは売店へ行き何か買っているようだった。
 間もなくしてヒナが戻ってきた。買ってきたものをテーブルの上に広げ、ツグミの隣に並んで座った。パンやサンドイッチや紙パックジュースだった。そういえば朝食も昼食もまだだった。
 ツグミはサンドイッチを頬張りながら、窓の向こうに見える四国の島を眺めた。
 四国の島は重い霧に包まれて、暗いシルエットになって浮かび上がっていた。ふとツグミは不吉な心地になってしまった。四国の島に、アルノルト・ベックリン(※)の『死の島』を連想していた。

※ アルノルト・ベックリン 1827~1901年。スイスの象徴主義の画家。『死の島』は墓地のある小さな孤島を目指す船を描いた作品だが、アルノルトは同じ題材で5点も描いている。

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※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです

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■2016/06/08 (Wed)
第13章 王の末裔

前回を読む

 しかし、オークは何か奇妙なものを感じた。

オーク
「おかしい。間もなく夜明けのはずなのに……」

 東の空が白く浮かび始めている。しかし空は、それ以上明るくならず、むしろどんよりとした何かを広げようとしていた。何か不穏な、不自然に感じる空気が辺りを満たし始めていた。

ソフィー
「何かが来ます。これは……」

 かつてない禍々しい気配だった。ドルイドでなくても、その気配を体にひりひりと感じた。

オーク
「ソフィー。兵達を起こしてください。戦になります」

 オークはソフィーと別れて、馬に乗った。気配を確かめようと、森の中に入っていく。
 すると向こうの方から、ゼインとその配下の者が馬に乗って駆けてきた。

オーク
「ゼイン殿!」
ゼイン
「オーク殿か。敵だ。クロースが軍団を引き連れてやって来るぞ。見たことのない巨大な悪魔を8体従えて、真っ直ぐこちらに向かってきている。ただちに戦いの準備を」

 オークはゼインがやって来た方向に目を向けた。森の木々が視線を遮っている。だが異様な暗闇が広がってくるのがはっきりと見えた。朝の光を完全に無にして、冷たい暗闇が足下からじわりと広がってくる。
 それから、遠くからズシン……ズシン……と響かせるものが聞こえてきた。その音が、途方もなく巨大なものを連想させた。
 オークはゼインとともに隠里に戻った。敵が迫っている事態を伝え、避難住民達に移動の準備するよう指示する。同時に、避難住民達の中から戦える者を緊急に呼びかけて、武具を渡した。多くの人達が志願した。
 戦えない人々は兵士の護衛を付けて、ただちに移動を開始した。その指揮に、ソフィーが当たった。

オーク
「このまま南へ。街道沿いに進んでください。南の山岳地帯に入れば、道を知らぬ者は容易に追って来られなくなります」
ソフィー
「はい。行けるところまで行きます」

 ソフィーが先頭に立ち、避難住民達が移動を始めた。
 イーヴォールが避難住民達の後方に、魔法の炎で壁を作った。もし突破された時の、ささやかな防壁だ。
 昼が過ぎると、雨が降るわけでもないのに辺りはことさら暗くなった。不気味なまでの重みのある暗闇が、辺りをひたひたと包み始める。
 オーク達は兵団を引き連れて、森の外に出て敵を迎え入れた。すると草原に、敵の一団がこちらに向かってゆっくり歩いてくるのが見えた。その中に、恐ろしく巨大な何かがいるのが見えた。

オーク
「イーヴォール!」
イーヴォール
「気をつけろ! あれこそ悪魔の王だ!」

 そこにいた全員が絶句し、しかし圧倒的な威容に誰もが納得した。

兵士
「おのれ、クロースめ。何をした!」
アステリクス
「倒す方法はないのですか」
イーヴォール
「ない。手駒はソフィーだけだ」
オーク
「できるだけ持ちこたえさせよ! 人々の避難が目的だ。敵をかき乱せ!」

 オークが合図を出した。騎兵達が先頭に立って走った。
 クロースの兵士達も向かってきた。鎧同士が激しくぶつかり合い、剣戟が重なり合い、両者の間に火花が散った。騎兵の一団がクロースの防衛網を突き抜け、その向こうへ駆け出していった。
 クロースの兵力はなかなか強力だった。オーク達は力任せに突撃し、相手の陣営の破壊に務めた。
 オークたち騎兵の一撃は強力で、クロース兵団の防衛網を次々と切り抜けていく。ついに、悪魔たちの前に進み出た。
 間近で見る悪魔の王は、より壮大な大きさだった。目の前に、真っ暗な絶壁が立ち塞がっているようだった。その姿は影のように揺らめいて、形が定まらなかった。
 イーヴォールが悪魔の王の足下に飛び込んだ。その真下に入ったところで、光の珠を打ち上げる。光の珠ははるか頭上で眩しく花開いた。
 悪魔達が怯んだ。オークがその隙に入っていき、ダーンウィンで斬りつけた。炎の一撃は、悪魔に効果的だった。悪魔の体に炎の一閃が走り、切り裂かれた。
 オーク達の軍勢が次第にクロース軍を圧倒した。騎士達が次々と悪魔の足下を潜り抜ける。悪魔を取り囲むように、兵士達が熾烈なぶつかり合いを繰り広げていた。
 クロースの神官達は、悪魔を巧みに操った。悪魔は敵味方の区別を付けながら火を放った。
 オークは悪魔の足下にいる神官達に狙いを付けた。しかし当然、その周囲は守りが堅かった。肉薄すると兵士達が盾の壁を作った。オークは盾に馬をぶつけ、地面に転がり落ちた。
 そこに、敵の刃が迫る。オークは危うく刃を振り払い、ダーンウィンの一撃を決めた。
 オークの仲間達が殺到した。騎士達が兵団を攻撃し、突き崩す。オークは引き下がらず突撃し、神官の持つ杖を叩き折った。
 だが敵兵に囲まれてしまった。神官への攻撃に一瞬気を払った隙に、敵兵が集まってきたのだ。
 無数の刃が、オークに迫る。
 オークは、はっと身を退いた。刹那、悪魔の拳が地面を砕いた。兵士達が一気に薙ぎ倒される。
 幸運にも悪魔に救われたオークは、敵の馬を奪ってそこから離脱した。次は悪魔の王を目指した。
 その周囲だけ、皆避けているように戦いの渦が遠ざかっていた。その中に、オークが一騎で飛び込んでいった。オークは油断していた兵士を屠り、神官達を蹴散らし、悪魔の王に接近してダーンウィンを振り上げた。
 瞬間、今まで経験のない恐怖を感じた。心を、いや魂を直接掴まれたような得体の知れぬ感覚だった。それを振り切って、ダーンウィンで悪魔の王を斬りつけた。
 が、剣は悪魔の王をすり抜けた。
 悪魔の王が足を振り上げて、突き落とした。それは軽い地団駄のようなものだった。だが恐るべき振動が周囲に広がった。兵士達が衝撃で倒れた。オークも見えざる誰かに掴まれたみたいに、馬ごと吹っ飛んだ。
 オークは慌てて身を起こし、頭上を見上げた。そこに、悪魔の王の足があった。
 光が放たれた。光は悪魔の前で花開いた。悪魔の王が身じろぎして、のけぞった。
 イーヴォールであった。イーヴォールは俊足の馬を走らせて、オークの側に駆け寄り、救い出した。

オーク
「イーヴォール、どうなっている!」
イーヴォール
「無駄だ。悪魔の王にはいかなる攻撃も効かない!」
オーク
「なぜだ!」
イーヴォール
「奴の姿を見よ! いまだ影に包まれ、姿が明らかになっていない。正体のわからない者は斬れない。『真理』を持つ者がきゃつの正体を明らかにせぬ限り、あらゆる攻撃は無効だ!」

 オークは振り返った。悪魔の王がオークを見ていた。悪魔の王は神官達の光に阻まれて、追ってこなかった。しかしその視線を感じた瞬間、ぐぐぐと心臓を握られるような痛みを感じた。

イーヴォール
「不用意に見るな! 命を取られるぞ」

 イーヴォールの忠告に、オークは目を逸らした。

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