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■2016/08/07 (Sun)
第14章 最後の戦い

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26
 流浪騎士団達は素晴らしい速力で草原を駆け抜けていった。その間、ソフィーは馬の上でしばしの休憩を取った。
 翌日の朝には魔の山脈に入り、霧深き山道を潜り込んでいった。奥に向かうほどに邪悪な気配は濃さを増してゆくが、それを手掛かりにして流浪騎士団は迷わず目的地に入り込んでいった。
 同じ日の午後に入りかけた頃、ついに一同はキール・ブリシュトの前に到着する。禍々しい建築群を前にした、未完成な道路の前で騎士団が足を止める。そこは歴戦の勇者達ですら浄化しきれない混沌が漂っていた。

ソフィー
「アレス。皆さん。――ありがとう」

 ソフィーは馬を下りた。
 ソフィーはたった1人でキール・ブリシュトへと歩を進めていく。騎士達はそこに漂うあまりにも深い邪悪さに、気遅れしてしまった。
 キール・ブリシュトに叫び声が木霊した。見ると、塔の一角に巨大な怪物が取り付いて、ソフィーを見ていた。叫び声に呼応するように、キール・ブリシュトのあちこちで声が木霊する。声に連鎖反応を起こすように、建物のあちこちからどどどと地面を踏み揺らす音が響いた。
 それはキール・ブリシュトの内部に潜伏するネフィリムや悪魔、それから魔性の住者たちの足音だった。キール・ブリシュトの門前に集まる騎士達に応じようと、魑魅魍魎の怪物たちが集結したのだ。キール・ブリシュトだけではなく、周囲の草をつけない山脈の岩壁にも、怪物の群れが姿を現した。
 想像を絶する魔族の軍団だった。目を向けたありとあらゆる場所に怪物が姿を現した。空中を向けると、ガーゴイルの群れが飛び交っていた。
 怪物の軍団がどれだけの規模なのか、もはやわからなかった。唖然とする光景に、騎士達は勇気を萎えさせ、心に恐怖の影を浮かび上がらせた。
 しかし、そんな大軍団を前にしながら、ソフィーは少しも恐れを抱いていなかった。たった1人で、おぞましき唸りと牙を剥き出しにする怪物の軍団の前で足を止めると、ゆっくりと、落ち着き払った様子で呪文の詠唱を始めた。
 ソフィーの杖の先に光が宿る。地面に魔法のリングが描かれる。まるで悪魔達に歌でも聴かせるように、静かに、朗々とした調子で呪文を詠唱した。
 ソフィーの後ろ姿はあまりにも美しかった。悪魔達に取り囲まれても、神々しき聖女の風格は失われず、むしろ高貴な純潔さが際立つように思えた。

アレス
「――かの乙女の背中を見よ。秘めた想いは炎のごとく。聖なる言葉や刃のごとく。魔性を挫く剣とならん。……我々も恐れを振り払おう。乙女を守る鎧となるために。乙女の強き刃となるために……」

 アレスは股肱の戦士達を振り返った。勇者達は槍を持つ手を震わせていた。

アレス
「――荒れ野を彷徨う戦士達よ、聞くがよい。我々は仕えるべき主を失った。目指すべき道しるべを失った。政治は腐敗し、人倫は乱れ、その結果が邪悪な畜生の跳梁跋扈を許してしまった。絶望だ。明日にも人は絶えるかも知れない。神聖さは穢されるかも知れない。邪悪な畜生が、世界中の全てを飲み込もうとしている。もはや、もっとも甘き逃避は“死”かも知れない。――しかし戦士達よ! 誇りを失うな! 絶望に負けるのは今日ではない。邪悪に飲み込まれるのは今日ではない。今日こそ戦士としての誇りを押し通す時だ。邪悪を挫き、乙女の純情を守る盾となれ! 己自身が固い槍となって、すべてを燃やし尽くせ! 栄光ある騎士達よ、今こそ奮い立て! 我らの力を、悪魔どもに魂に刻み込め! 流浪騎士団、最後の戦いだ!」

 騎士達が声を合わせた。今や騎士団の心に恐れはなかった。騎士団は勇猛なる士気で昂ぶっていた。

アレス
「進め!」

 合図とともに、騎士達が一斉に駆け出した。
 戦いが始まった。騎士達は、1人1人が情熱の矢となって魔物に飛びかかった。その凄まじい煌めきに、魔性の住人たちは恐れを浮かばせた。魔物達は勢いの凄まじさに足並みを乱し、戦士達はそこになだれ込んでいった。
 かつてない激しいぶつかり合いとなった。聖なる刃と、邪悪な牙がぶつかり合った。戦士達は1人1人が恐るべき剣術の使い手で、魔の雑兵を次々と斬り伏せていった。
 邪悪な戦士達は、最初の一撃にこそ怯んだものの、圧倒的な軍勢が彼らの武器だった。怪物たちは騎士団を取り囲み、毒のある爪で引っ掻き、恐るべき鎚を叩き落とした。戦場に優劣の差はなくなり、混沌はどこまでも深く、途方もなく広がっていった。
 戦士達は戦闘の狂騒に飛び込みながらも、その身に宿る高潔さを見失わなかった。騎士道の精神を固く守り、悪魔の軍団に立ち向かい、乙女を守った。
 そんな狂騒の渦の中心にありながら、ソフィーは長い長い呪文を詠唱し続けた。混沌の最中にも関わらず、ソフィーは身に帯びた純潔を失わず、呪文を一語一語刻み込むように詠唱していた。
 戦場に、魔法のリングがいくつも作り出されていた。魔法のリングはあたかもキール・ブリシュト全体を取り囲むように刻まれていく。草をつけない荒れた地面に刻みつけるように光のリングが描かれる。魔法の光が戦場を駆け巡り、それは空中に幾層ものリングを描き込んだ。
 空間全体がかすかに揺れるのを、誰もが感じていた。肌にひりひりと来る何かが感じられた。強烈な風が、山脈全体を取り囲み、とてつもない何かが起きようという予感をさせた。
 魔物達は、その中心にいるのがソフィーだと察したらしく、その矛先を変えた。騎士団を無視して、ソフィーを始末しようと殺到した。
 流浪騎士団達は、ソフィーを守ろうと、自ら盾となって魔物の行く手を阻んだ。
 しかし魔の者共の勢いは凄まじかった。澎湃と迫ってくる攻撃の連打に、防壁は打ち破られ、邪悪なる刃はじわじわと聖女に近付いた。黒き刃がソフィーのローブを刻み、美しき肌を裂いた。
 それでも、ソフィーは呪文の詠唱を一瞬でも止めなかった。その集中力は深く、呪文は淀みなく行われた。
 やがて山脈全体に乙女の歌声が響き渡った。大地にルーンが刻まれた。キール・ブリシュトの頭上に巨大なリングが現れた。空に群がるガーゴイルが、そのリングの放つ光に触れて、次々と落とされていった。
 いよいよ魔術が発動しそうな予感が広まった。地面が低く唸り、烈風が取り巻いた。凄まじい風の力に、ソフィーのローブが剥ぎ飛んだ。ソフィーの目が輝くように煌めき、声に燃え上がるような熱がこもった。呪文が山脈全体を揺らしていた。
 悪魔達の攻撃はより苛烈さを極めた。ソフィーを押し留めんと、大軍勢が一度に迫った。戦士達はたった50騎とは思えない獅子奮迅の働きをしてみせた。聖女に一歩も近付けさせまいと戦った。かつてない力が腕に宿り、剣が走り、邪悪なる者を切り刻んだ。騎士団の数は少しずつ減っていったが、その勇気は誰にも挫けなかった。
 間もなく、魔法のリングがソフィーを中心にいくつも折り重なった。リングはじわじわと速度を早めていく。今こそ呪文が完成する時だった。
 しかしその時、巨人が騎士団の防壁を突破した。

アレス
「ソフィー殿!」

 アレスが叫ぶ。
 アレスは方向を変えようとした。だがネフィリムが遮った。
 巨人はまっすぐソフィーを目指して走る。持っていた鎚を振り上げた。
 戦士達がソフィーを振り返った。誰もソフィーの側に行けなかった。
 巨人の鎚がソフィーに迫る。もはや間に合わない。
 その時だ――。

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