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			<title>モノクロのアニメ</title>
			<description>漫画・アニメ・キャラクターのブログ</description>
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		<item>
			<title>コレキヨの恋文</title>
			<description>
			<![CDATA[<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/8/a8af5b76.jpg" target="_blank" title="コレキヨの恋文 (1)"><img align="left" alt="コレキヨの恋文 (1)" border="0" class="pict" height="362" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/8/a8af5b76-s.jpg" width="249" /></a>霧島さくら子は元々、政治家になるつもりはなかった。弁護士として法律を学び、その方面で有望な将来があるはずだった。しかし、政治家であった父親が急死し、地元の後援会から懇願されて、仕方なく衆議院選挙に出馬したのだ。<br />
軽い気持ちだった。どうせ落選して、弁護士の仕事に戻れるだろう、と考えていた。それがまさかの当選。その時点で、さくら子は弁護士の道を諦め、政治家として生きていくことを――泣く泣く――決めたのである。<br />
とはいえ、政治とは無縁の仕事を、生活を歩んできたさくら子である。政治家になったといっても、そこで何をするべきなのか、何を目指すべきなのか、そのビジョンは何も見えてこなかった。何年たっても相変わらず政治音痴の半端者のままだった。<br />
だというのに、かつて総理大臣を務めた朝生一郎に、「総選挙に出馬してくれ」と懇願されたのである。<br />
なぜ自分が&hellip;&hellip;？　政治家としての自覚がいまだに中途半端なままで、そもそも政治というものが何なのかもよくわからない。今度も、「どうせ落選するだろう」と願うような気持ちがあった。<br />
しかし霧島さくら子は、自民党第２６代総裁に、第９７代日本国内閣総理大臣に就任したのである。<br />
「&hellip;&hellip;なんで、私が総理大臣？」<br />
<br />
<br />
『コレキヨの恋文』、この本は、２００９年に出版されベストセラーにもなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』、通称『もしドラ』の<b>パクリ</b>である。あるいは、『もしドラ』を手本に描かれた小説である。作者である三橋貴明自身それを認めて、堂々と公言している。しかし、そこにある切実さ、作品が抱えている重さはまったくの別物だ。<br />
<br />
いま日本は、デフレである。デフレであるから経済不況が続いているのである。デフレであると、市場に物が溢れているのにそれらが売れず、企業は充分な利益が得られず、給与が切り詰められ、存続のために従業員がリストラされる。失業者がじわじわ増え続け、大学を出たばかりの新卒は仕事に就くチャンスを失う。にも関わらず、市場には物で溢れ返り、今の日本が深刻な不況であるという現実がなかなか見えてこない。これがデフレの状態であり、デフレの怖さなのである。<br />
そんなことは今どき子供でも知っている？　常識？<br />
では、なぜ誰もデフレに対して深刻に語ろうとしない？　なぜ誰もデフレを解消しようと努力しない？　なぜデフレを解消させる術を知っている政治家に票を入れず、経済状況を深刻にさせる総理ばかり支持するのだ？<br />
それはデフレを知っているつもりになっているからだ。デフレという言葉と状況は理解している。しかし、「ではどうすれば良いのか」その対応策について、あるいはデフレという現実感がいまいち掴めずにいるから、デフレが２０年も続く事態に陥っているのである。<br />
『コレキヨの恋文』はデフレという問題を改めて見詰め直し、では国家として何をすべきなのか、物語というわかりやすい形に描かれた実用書である。<br />
<br />
霧島さくら子は、ある桜の咲く夜に、コレキヨ――高橋是清と邂逅する。<br />
「このところの日本の政治は、本当にひどかったですよね」<br />
さくら子は何でもない世間話をするつもりで、是清に声をかける。しかし、さくら子は是清を１９３０年代の人間だと知らずに、一方是清は、さくら子を２０１０年代の人間だと知らない。なのに二人の対話は、ことごとく一致するのである。<br />
まずデフレ。１９２０年代も現在と同じくデフレ不況が続いていた。切っ掛けは第１次世界大戦特需で膨れあがったバブルが崩壊したためだ。<br />
１９９０年代も土地バブル崩壊で、その後２０年間デフレが続いている。このデフレが続いている期間も一致している。<br />
デフレが始まってから以後、総理大臣が毎年のように代わった。橋本龍太郎、小渕恵三、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、管直人、野田佳彦&hellip;&hellip;。小泉純一郎が例外的に４年間総理大臣を務めたものの、この１０年間の総理交代劇はあまりにも目まぐるしいものがあった。<br />
１９２０年代も同じだった。１９１３年に山本権兵衛内閣が発足されたのをはじめに、ほぼ毎年のごとく総理の名前が変わっている。大隈重信、寺内正毅、原敬、高橋是清、山本権兵衛<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（第２次）</span>、清浦奎吾、加藤高明、若槻禮二郎、田中義一、濱口雄幸、若槻禮二郎<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（第２次）</span>、犬養毅、佐藤実、岡田啓介&hellip;&hellip;。ほとんどの総理が１年だけの就任で変わってしまっている。<br />
「ライオン宰相」と呼ばれた総理もいた。現代は小泉純一郎のことだが、１９２０年では濱口雄幸のことだ。ともに国民人気を背景に総理大臣に就任し、緊縮財政でデフレを悪化させた。<br />
ペテン師と呼ばれた総理もいる。１９２０年代では若槻禮二郎のことであり、現代では管直人のことである。若槻禮二郎は１９２６年弾劾を受けるものの、予算を成立させたら自分で解散するから、と弾劾を引っ込めるように懇願したが、予算成立後も総理の座に居座り続けた。一方管直人も、不信任案を受けたものの、自分から退陣するからと民主党員を説得したが、その後も総理の座に居座り続けた。<br />
<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（高橋是清に相当する人物も今の時代にいるようだ。これについては、敢えて書かないが）（あとついでに、朝日新聞も相変わらずだったようだ。朝日新聞の権力に寄りかかり、国民を扇動する記事ばかり書く傾向は、当時から変わらないようだ）</span><br />
アメリカのバブル崩壊もあった。現代では２００７年のサブプライムローン、リーマンショックの２つであり、８０年前はNYウォール街株式大暴落のことである。ともに日本はすでにデフレ下での事件で、釣られるようにデフレを深刻化させた。<br />
さらに日本では大きな震災が深刻な被害をもたらした。１９２３年の関東大震災、１９３３年の昭和三陸地震。１９９５年の阪神・淡路大震災、２０１１年東日本大震災。<br />
都市伝説の話ではないものの、１９２０～３０年代と現代は一致する事象があまりにも多い。さくら子と是清は、互いに過去の人間、未来の人間と気づかないまま言葉を交わすものの、ことごとく噛み合ってしまうのである。ここまでくると気味が悪い。神の悪戯の悪魔の仕業か、何者かの手が加わっているようにすら思えてしまう。<br />
<br />
違いもある。１９２０年代の情勢不安は現代とまったく違う種類のものだ。当時は、常に戦争、軍事的衝突が多かった時代だ。日本は軍部が強力な権限を持ち、さらに権限を拡大させようと画策を巡らしていた。世界の戦争に日本がいつ巻き込まれてもおかしくない状況であり、実際巻き込まれ、日本は国家として一時的に深刻なレベルで衰退させてしまった。<br />
現代では自衛隊にそれほどの力はなく、世界戦争というほど大きな戦争が起きそうな気配はとりあえずない。<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（日本には戦争の気配はないものの、周辺の国々、特に中国・北朝鮮・韓国などの特定アジアに不穏な動きは絶えることはない）</span><br />
１９２０年代は毎年のごとく総理大臣が政権ごと交代したが、一度だけ、これが幸いな結果をもたらしたことがあった。１９２３年の関東大震災である。関東大震災が起きた翌日、山本権兵衛内閣が発足。これは関東大震災から日本を復興させるために作られた内閣である。<br />
しかし現代では悲しいことに、東日本大震災後、政府は何もしていない。ただ作業着を着て現場視察をして、何かやっています的なパフォーマンスを披露しただけだった。それどころか、民主党は東北をTPPの実験場にするつもりである。瓦礫と廃墟の東北地方は、いまだに復興の希望は見えてこない。自民党は東北の復興予算を提示するものの、民主党はこれを頑なに拒否。結局復興予算を受け入れたのは震災から９０日後だった。<br />
<br />
それにしても現在がデフレであることを知りながら、なぜデフレを解消しようと誰も努力しないのか。私は個人的に３つの理由を考えた。<br />
第１に、生活のポテンシャルが無駄に高いからだ。今はそこそこのお金があれば、それなりの生活ができてしまう。とりあえずパソコン一台あれば仕事の娯楽の両方をこなすことができるし、全国に巡らされた交通網で、どこへ行くにも支障はない。それにトイレに入れば最新鋭のハイテク便器が尻を洗ってくれる。ある程度以上水準の高い生活が保証されるから、経済的な深刻さが掴めないのだろう。<br />
第２に、物が枯渇することがないからだ。今の日本は間違いなく経済不況であるが、スーパーやコンビニから食品が消えることはなく毎日きちんと供給されている。「物で溢れ返るが、それを買うお金がない」という状況がデフレの状態なのだがら当り前なのだが、物が溢れ返るからこそ不況の深刻さが見えてこないのだと思う。これがある日を境に、いきなり物や食品がなくなったら<span style="color: rgb(153, 153, 153);">――デフレが続けばいつかは間違いなくそうなるのだが――</span>、そうなるまで人々はデフレであることの実感は得られないのだろうと思う。<br />
第３の理由が少子高齢化である。高齢者の数が圧倒的に多い。なぜこれが問題なのか。<br />
現代は高齢者が意識や思考に対して、絶対的なイニシアチブを持ってしまっている。高齢者が考えた、発言したものが、現代人の思考の一つの基準として社会に広がる現象が見られる。<br />
例えば「最近の若者はなぜ消費しない？　なぜ車を買わない？」。老人たちは「テレビで車を使ったデートシーンが出てこないからだ」とか「若者が草食化しているからだ」あるいは、「物で充実して満足しきっているからだ」などの回答を勝手に作り出し、社会全体に強要している。<br />
若者の目線から答えを示せば、消費しない理由はいたってシンプルである。<b>「お金がない」</b>からだ。<br />
しかし老人たちはなかなかこの答えに辿り着かない。なぜならば、日本のお金のほとんどは、老人たちが独占してしまっているからだ。デフレであるからといって、お金が消滅するわけではない。老人たちはお金を持っているのである。だから当然、若者も同じようにお金を持っているだろう、ではなぜ物を買わないのだ？　となってしまう。新しい車を発売しても、購入するのは若者ではなく老人たちである。この状況・理由について、おそらく老人たちは真面目に考えたことはないのだろう。もしも「若者はお金がない」という状況を知っても、老人たちは「今の若者は自分たちのように働かないからだ」と奇妙きわまりないロジックを引き出し、若者批判を展開させる。いくら仕事しても給与に反映されない、というのがデフレの今の問題なのだが、それが理解できないのだ<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（仕事をせず、生活保護を受けた方が割のいいお金が得られる、という有様である）</span>。<br />
「今の日本の経済は充分に成熟した。だからこれからは衰退するしかないのだ」というよく聞く悲観論も、高齢化社会が関連している。「もう自分たちは充分成熟した。あとは衰退するだけ」というのは、自分たちの状況を説明しているだけで、経済の話ではない。自分たちの心理状況を、現在の経済の状況に重ね合わせて語ってみせているだけで、それは現実の経済について何か語っているわけではなく、これはある意味の<b>ポエム</b>である。<br />
大きな企業のトップに君臨するのは老人たちである。老人たちは自分たちはお金を持っている、今はデフレで物が安くて、チャンスのはずだ。そう考えている。現状認識を完全に取り違えたままであるから、常人にも狂人にも理解不能な商品展開を繰り出し、失敗し続けている。デフレでお金がない、という現状認識、あるいは社会認識がなかなか広がらないから、社会そのものがデフレという状況について考える機会を失っているのだ。<br />
<br />
高橋是清の時代。１９３０年代は間違いなくデフレを脱却したのである。『コレキヨの恋文』はマクロ経済における基本的な考え方の解説に始まり、いかにすればデフレを脱却できるのか、その方法が描かれている。&ldquo;解説&rdquo;と&ldquo;物語&rdquo;の２つを軸に、小説は進行していく。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/3/4319a414.jpg" target="_blank" title="コレキヨの恋文 (2)"><img align="right" alt="コレキヨの恋文 (2)" border="0" class="pict" height="170" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/3/4319a414-s.jpg" width="250" /></a>そのために、小説としてみると、やや特殊な書かれ方をしている。小説であるから確かに霧島さくら子の物語が中心となるのだが、その物語はしばしば停滞し、&ldquo;解説&rdquo;が始まる。マクロ経済とは何なのか、いかにすればデフレを脱却できるのか。解説がグラフなどのデータ付きで始まり、物語の境界を不器用に隠しながら展開していく<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（右図。とあるブログの読者なら見覚えるあるグラフだ）</span>。<br />
また『コレキヨの恋文』は現在から数年後<span style="color: rgb(153, 153, 153);">――おそらく１、２年後――</span>の未来が想定されたシュミレーション小説である。現在の民主党の政権が倒れ、政権が再び自民党に戻された。それ以後のできごとが描かれた作品である。<br />
シミュレーション小説だから、未来を予測するための現在の描写に、かなりの枚数を割いて書かれている。最近の民主党総理の脱税疑惑や外国人献金などの暗い側面など避けることなくしっかり描いている。<br />
世界情勢についての描写も細かい。特に欧州ユーロ圏についての描写が多く、ギリシャが債務不履行<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（デフォルト）</span>を宣言した後、ヨーロッパ各国が次々に追随。真っ先にドイツがユーロを脱退した。ユーロ圏全体での不良債権は合計で３０００兆円に達するという。３０００兆円の不良債権、なんてゾッとするが、このシミュレーションはどこまで正確なのだろう。<br />
中国のバブル崩壊についても少しだが描かれている。中国はバブル崩壊した後<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（これはシミュレーションではなく事実としてすでに崩壊している）</span>、政府は軍事的冒険に乗り出し、尖閣諸島を中心に、日本と軍事的緊張を持つようになる。<br />
世界は暗澹とした経済不況に陥り、１９３０年代のような戦争の影がちらちらと見え始めてくる。&hellip;&hellip;経済的な問題を、戦争で解決しようというのだ。<br />
<br />
しかし『コレキヨの恋文』は悲観的なシミュレーションを描いていない。バブル崩壊、デフレ不況、世界情勢の不安定。ならばどうすればいいのか、どうすれば解決するのか、その具体的な指針を示した小説である。<br />
マクロ経済の常識に照らし合わせ、デフレである今、どうするべきなのか、どう考えるべきなのか。戦争もしなくていいし、日本のデフレ脱却は実は簡単である。世界情勢を再び安定させることだって、不可能ではない。<br />
日本国民は教養豊かな国民性を持っている。正しい知識を与えれば、間違いなく正しい行動をとることができる。そのための理解力も極めて高い。問題は、正しい知識を得る機会を喪っていることにある。<br />
なぜか？　<span style="font-size: medium;"><b>１２０％新聞とテレビが悪い</b></span>。新聞とテレビが中心となって誤った情報を国民に広げ、正しい知識と得る機会を奪っている。新聞とテレビは自分たちの感情だけで「土建屋悪玉説」を主張し、自分たちのお気に入りの政治家<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（民主党）</span>を御輿に担ぎ上げ、さらには一部の官僚が主導し、間違いなく日本経済を悪化させる増税、TPPをあたかも素晴らしい政策ように喧伝している。<br />
マスコミが政治について解説するとき、常に&ldquo;政局&rdquo;ばかり取り上げる。政治家と政治家が対立する場面だけを切り取り、いかにも自分たちが審判になったつもりになってジャッジを下す。そこでマスコミは、正義と悪役を作り出してしまう。そうすることによって、さらに政局そのものを煽り立て、政治家から政治を遠ざけてしまう。国民が知りたいのは、知るべきなのは、その政策がどんな効果をもたらすのか、それだけである。だが、前面で出てくるものはいつも政局で、政治そのものを知る機会を国民から奪ってしまっている。<br />
<br />
残念ながら『コレキヨの恋文』は物語小説としてはあまり出来のいい作品ではない。<br />
物語は節々でぶつ切れになるし、連続性のない場面がいくつか取り上げられているだけだ。後は&ldquo;エピソード&rdquo;として描かれず、大雑把な粗筋としてまとめられてしまっている。<br />
&ldquo;解説&rdquo;が『コレキヨの恋文』の本旨ではあるものの、物語との連続性はあまり自然ではない。&ldquo;解説&rdquo;の占める重要度が大きい一方、&ldquo;物語&rdquo;が背景に押しやられてしまっている。<br />
人物の描き方も良くない。どこかで聞いたような名前の東田剛、間違いなくあの人がモデルである朝生一郎、官房長官の九条といった人物が登場するものの、それらの人物がまったく掘り下げられていない。演芸会のような表面的な台詞がちらちらと並ぶだけで、感情が現れる場面はなく、人物同士の交流も浅く、そこにドラマが起きそうな予兆はない。<br />
文章の構築もあまりいいものではない。『コレキヨの恋文』は執筆協力としてさかき漣の名前を堂々と公開している<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（ゴーストライターの存在を明らかにするのは珍しい）</span>。三橋貴明は音速タイプタッチと呼ばれる異常な速筆で、次々と著書を出版しているが、文章がうまいというわけではない。これまでの著書を見ても、放り投げたかのような文章、バラバラのリズムの句読点。きちんと自分の本を読み直してから出版したのかと疑いたくなる。「何しろ」の語が３ページおきに出てくるのもよくない。『コレキヨの恋文』は小説作品として、さかき漣が大部分を直し、三橋貴明特有の癖を修正しているものの、まだ&ldquo;一般的な小説&rdquo;の水準には及ばない。<br />
もしも将来的に『コレキヨの恋文』を映像化する場合、映像作家はこの小説から新しいエピソードをかなりの量で作り出さねばならなくなるだろう。もちろんそこには、人を引きつけるドラマがなければならない。単に&ldquo;マクロ経済について説明してくれる映画&rdquo;では、人の気持ちを引きつけることはできない。原作そのままでは、映画にならない。<br />
<br />
「経済の成長はもう成熟しきっていて&hellip;&hellip;」などはマクロ経済の常識からいってあり得ない。経済の成長とは、本書に書いてあるとおり、名目GDPを成長させることである。名目GDPのポイントを上げれば自然とデフレは収束し、うまく政治の舵取りをすれば、ゆるやかなインフレ状態のまま経済成長し続けることはできるのである。お金は回り続けるだけでよく、お金が回る過程で人々は様々なサービス、良質な品を手にすることができる。<br />
１９３０年代、高橋是清の時代もデフレであり、そのデフレは脱却できたのである。もっとも、その時代は軍部が強力な権限を持っていた時代である。確かにデフレは脱却できたものの、あの忌まわしき事件が起きて、日本は歴史史上最悪の暗黒時代に突入する。<br />
しかし、今は少なくとも国内に戦争の気配はない。まっとうな政党のまともな政治があれば、いつでも直ちにデフレを脱却でき、経済成長させることができる。問題なのは、誰もその方法を実行しようとせず、また実行しようとしても国民が理解できず、正しい政策を信じることができないからである。<br />
日本国民は教養豊かな国民性である、と私は信じている。教育のレベルは極めて高いし、一人一人に知性がある。正しい知識を与えられれば、正しく行動できる。ただ、そのチャンス<span style="color: rgb(153, 153, 153);">――正しい知識を得る――</span>がないのである。すでに書いた通り、<span style="font-size: medium;"><b>マスコミが全部悪い</b></span>。<br />
だから『コレキヨの恋文』が書かれたのである。マクロ経済を物語という接しやすい本にすること。『コレキヨの恋文』を通じて、読者がマクロ経済を理解すること、さらにはいかにデフレを脱却できるか、その方法を示すための本である。デフレの時代だからこそ、読むべき価値のある本である。<br />
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<a href="http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/" target="_blank">三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ」</a><br />
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著者：三橋貴明<br />
執筆協力：さかき漣<br />
出版：小学館<br />
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<div style="text-align: center"><a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/524/" target="_blank">読書記事一覧</a></div>
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			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/800/</link>
			<pubDate>Tue, 15 May 2012 07:25:40 GMT</pubDate>
		</item>
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			<title>氷菓　第１話＆作品解説</title>
			<description>
			<![CDATA[<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/0/80aba36f.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (1)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (1)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/0/80aba36f-s.jpg" width="199" /></a>「高校生活と言えば薔薇色&hellip;&hellip;。薔薇色と言えば高校生活。そう言われるのが当たり前なくらい、高校生活はいつも薔薇色の扱いだよな。さりとて、すべての高校生が薔薇色を望んではいないと、俺は思うんだが。例えば、勉学にも、スポーツにも、色恋沙汰にも興味を示さない。そんな人間というのもいるんじゃないか。いわゆる灰色を好む生徒というのもいるんじゃないか。まあ、それってずいぶん寂しい生き方だと思うがな」<br />
俺は福部里志を相手に、思っていたことを話す。<br />
放課後だ。窓から射す光はささやかで、教室の中は灰色に溶け込もうとしていた。教室の中には何かの仕事を始末しようとしている男子生徒が一人と、机を挟んで、楽しげな会話をひそひそと交わしている２人組の女子生徒が残っている。俺は何の興味も関心もなく、ただそこにいるから、というだけでそういう連中の背中を眺めていた。<br />
「奉太郎に自虐趣味があったとは知らなかったね」<br />
里志は俺の机に肘を付けて頬杖をしながら、俺を上目使いに見て、この男特有の軽い皮肉っぽさを混じらせながら言う。<br />
「自虐趣味？」<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/7/e79552a6.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (2)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (2)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/7/e79552a6-s.jpg" width="150" /></a>「勉強にもスポーツにも色恋沙汰にも後ろ向き。常に灰色の人間。それって奉太郎のことだろう？」<br />
「別に後ろ向きなわけじゃない」<br />
俺は声にかすかな憤慨を混じらせた。といっても、感情的になるほど俺はアクティブじゃない。<br />
「奉太郎的にはね。省エネ、なんだよね。奉太郎は」<br />
やけに得意げだ。<br />
もったい付けた言葉を選んでいるが、別に議論しようってわけじゃない。単なる暇つぶしだ。放課後の猶予時間を無駄に消費する&hellip;&hellip;あるいは、そうすることですべき決断やそれに伴う行動に対して保留しようとしている。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/4/84d75501.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (3)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (3)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/4/84d75501-s.jpg" width="150" /></a>里志の話はまだ続くようだった。<br />
「ただただ面倒で、浪費としか思えないことには興味が持てない。そのモットーはすなわち！」<br />
里志が俺を指さす。俺は思わず、里志の指先に注目してしまった。<br />
「やらなくてもいいことはやらない。やらなきゃいけないことなら手短に」<br />
俺は溜め息混じりに言う。俺の普段からの口癖、信条であるが、それを他人に言わされるとなると、なにやら腹立たしい。<br />
「だね。でもね、奉太郎。この多彩な部活動の殿堂、神山高校で部活にも入っていない奉太郎は、結果だけ見れば灰色そのものってことだよ。そんな奉太郎が寂しい生き方なんて、自虐趣味の何物でもない」<br />
「口の減らない奴だな」<br />
愚痴をこぼす。かといって、この男が不愉快なわけではない。鬱陶しいくらい言葉が溢れ出す男だが、不愉快に思ったことは一度もない。むしろ、不思議と好意すら感じていた。<br />
そんな俺の心情を察しているかのように、福部は身を乗り出して、また俺を上目使いにした。<br />
「何を今更。中学からの付き合いだろ」<br />
いや、今度はさすがに苛っときた。<br />
「ふん。まあいい。先に帰れ」<br />
どうやら暇つぶしと保留はおしまいだ。面倒だがそろそろ行動に移さねばならない。<br />
「先に？　どういうこと？」<br />
里志は少しきょとんとした風情だった。俺は何も言わず、内ポケットの畳んでしまっていた紙切れを引っ張り出し、里志の前で開いてみせた。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/3/636278e3.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (4)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (4)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/3/636278e3-s.jpg" width="150" /></a>里志はそれを見て――まるで信じられないものを目撃したみたいに目を大きく見開き、飛びついてきた。<br />
「まさかそんな！　入部届！　奉太郎が部活に!　しかも古典部に！」<br />
大げさな奴だな。教室に居残っていた連中が、ちらと俺たちを注目する。俺はそんな視線を逃れて、<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/f/9f962695.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (5)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (5)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/f/9f962695-s.jpg" width="150" /></a>「知っているのか？」<br />
と里志に尋ねる。教室の一同は、ただちに俺たちから興味を喪った。<br />
「もちろんさ！　だけど何だって奉太郎が古典部？」<br />
疑問の里志。俺は、もう一つの紙切れを引っ張り出した。今度はもう少し厚みのある。手紙だった。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/5/6574cb53.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (6)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (6)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/5/6574cb53-s.jpg" width="150" /></a>「これは、奉太郎のお姉さんからの手紙だね」<br />
「インドから送ってきた。ベナレスだかどこかだか&hellip;&hellip;」<br />
里志は手紙を受け取り、文章にさっと目を通した。<br />
「これは困ったね。お姉さんの頼みか」<br />
「部員がいなくて、廃部寸前らしい。存続のために入部しろ&hellip;&hellip;だとさ」<br />
俺は憂鬱に頬杖を突く。<br />
「お姉さんの特技は確か&hellip;&hellip;」<br />
「合気道と逮捕術。痛くしようと思えばかなり痛い」<br />
「あっはっは。これは断り切れない」<br />
里志はこれ以上ないくらい、朗らかに笑ってみせた。他人の不幸は何とやら。実に忌々しい。<br />
「でも部員がいないんだよね。だったら古典部の部室は独り占めじゃないか。学校の中にプライベートスペースが持てるってのも、結構いいものだよ」<br />
「プライベートスペース？」<br />
俺はにわかに興味が沸き上がって、顔を上げて里志を見た。里志の朗らかな笑顔に、さっき感じた嫌みぽさはなかった。<br />
<br />
さて行動だ。俺は職員室へ行き、予備の鍵を手に入れ、それから校舎を移って階段を一段一段上っていく。ようやくたどり着いたそこは、特別棟の４階の地学準備室。まさに最果てだ。<br />
ドアを開けようとする。鍵がかかっている。まあ当たり前か。職員室で手に入れた鍵を鍵穴に差し込み、ドアを開けた。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/7/b7315924.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (7)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (7)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/7/b7315924-s.jpg" width="150" /></a>すると――女がいた。暗く沈みかけた地学準備室に、女の小柄なシルエットが不思議なくらい浮かび上がって見えた。腰まで届く長い艶のある黒髪。開けたままになっている窓から風が吹き込んで、ゆるく髪が膨らんでいた。女は俺が入ってきたことに気づかないように、窓の外をじっと見つめている。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/f/cf09ed7d.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (8)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (8)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/f/cf09ed7d-s.jpg" width="150" /></a>誰だろう？　何の用事だろう？　何年生だろう？<br />
俺は女を覗き込もうと、地学準備室の中を進んだ。女は何かに気をとられているように、まだ俺の存在に気づかない。かすかに、女のうなじが、横顔が見えた。ほんの少し見えただけだったが、それでも黄金比を巧みに組み合わせたような、整った顔立ちに思った。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/3/036e073f.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (9)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (9)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/3/036e073f-s.jpg" width="150" /></a>不意に、女が振り返った。たったいま地学準備室にいる他人に気づいた、というような驚きが顔に浮かんでいた。<br />
整った顔。大きく憂いのこもった瞳。綺麗に整った真っ直ぐの黒髪。何ともいえない落ち着いた佇まい&hellip;&hellip;。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/5/b579b509.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (10)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (10)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/5/b579b509-s.jpg" width="199" /></a>風が吹いて、女の髪がカーテンと一緒に持ち上がった。夕日の光が際立ち、女の黒髪が艶やかに輝いた。<br />
俺は&hellip;&hellip;どんなつもりだったが自分でもわからないが、その瞬間言葉を失って、女の顔を、姿を見つめてしまっていた。女も、しばらく驚いたような大きな瞳のまま、俺を見つめていた。そして、女はふっと微笑みを作った。<br />
<br />
<div style="text-align: center;">
	□■□</div>
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/d/4de2a266.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (11)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (11)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/d/4de2a266-s.jpg" width="199" /></a><a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/7/177562e9.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (12)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (12)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/7/177562e9-s.jpg" width="150" /></a>「私、気になります！」<br />
千反田えるがそう言った瞬間、デジタルエフェクトの洪水が花咲く。エフェクト少女、と呼べば斬新に聞こえるが、『咲－Saki－』などの前例がすでにあるので、珍しいわけではない。しかしこれほどまで入念なデジタルエフェクトに包まれるアニメヒロインは個性的ですらある。<br />
デジタルエフェクトだけではなく、アニメーターによる作画も堂に入っている。まるで意思を持ったかのように長く伸びて絡みついてくる黒髪。黒髪に添えられる淡い緑の葉。デジタルエフェクトは絡みついてくる黒髪のように複雑に織り込まれている。<br />
超現実的な構図の作りと相まって、見る者を有無言わさず千反田えるの世界に引き込んでしまう。圧倒的な作画の世界であり、デジタルエフェクトの楽しげな饗宴である。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/0/20ea9fef.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (13)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (13)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/0/20ea9fef-s.jpg" width="199" /></a>もう少し千反田えるについて掘り下げたいが、ここでキャラクターの作画に目を向けてみたい。キャラクターの線の流れは、集団制作のアニメーションにありがちな、かっちりと決められた線ではなく、そこからやや揺らぎが与えられ、曖昧さが加えられ、柔らかで有機的な線の流れを持っている。<br />
髪の毛の線や、服のしわ、特に重要度の高い顔のディティールなど。必ずしも睫が３本でなければならない、というような規則性は思い切って放棄して、その構図に相応しい線の密度、流れが採用されている。<br />
こういった線の流れは、最近にかけてどんどん曖昧さやラフで描いた瞬間のイメージを取り入れるようになったが、『氷菓』はその中でもさらにその傾向を推し進めている。<br />
この頃はＭＭＤなど、三流のコンピューターでも誰でも簡単にアニメーションを再現できるツールが登場している。そこそこのスペックとソフトさえあれば、誰でもアニメーションが作れる時代だ。大きな予算は必要ではない。そんな時代だからこそ、コンピューターでは決して到達することのできない線の感性、手書きだからこそ現れる精神性にこそ重点が置かれている。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/7/c7be4045.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (14)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (14)" border="0" class="pict" height="140" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/7/c7be4045-s.jpg" width="249" /></a>再び千反田えるについて追求しよう。<br />
左は例の台詞<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（呪文？）</span>を口にした直後の瞳のクローズアップである。実線で縁取られた外線と、中心となる黒目。色トレスの線が合計３本<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（しかもこの色トレス線は中心の黒目を縁取る線と重なり合い、違う明るさ色が指定されている）</span>。ハイライトは瞳の中に４つ、白目部分に１つ。色トレス線の色の境界には、ブラシでかすかなハイライトが加えられている。さらに瞳の中に、デジタル処理で星屑がきらきらと散っている。これに別のカットでは、奉太郎の姿が別に作画され、合成されている。劇中では、真っ白に輝いているハイライトが艶やかに回転する。<br />
さらに、目を縁取る実線にも注目したい。睫の数など、ある程度の法則性はあるものの、左右非対称である。瞳の下の線も、左右違うリズムで描かれている。ここにも線の曖昧さが取り入れられている。<br />
瞳のクローズアップ、そのディティールに無用なこだわりを見せるのはアニメの分野においてありがちなことだが、ここまで徹底された例を見るのは初めてだ。<br />
あと控えめな巨乳としても注目したいキャラだ。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/0/80d6e96d.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (15)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (15)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/0/80d6e96d-s.jpg" width="199" /></a>次は髪の動きだ。ほんの少しの動きに対しても、髪の毛がつられて動いている。<br />
左は第２話の振り向きの一例だ。振り向きの動画としてはごく普通だが、それに髪の毛が異様な量感を持って一緒に動いてくる。ごく普通の振り向き動画が、きわめて凶悪な代物に変わってしまっている。<br />
千反田えるの髪の動きは常にこの調子だ。部分的に絵を動かそうと思えば、その部分の線だけ動かせばいい。しかし決してそうはせず、全身の動きを取り入れるだけでも飽き足らず、さらに髪の毛も動かしている。<br />
ごく普通に長い黒髪を描こうと思えば、もう少しまとまりをもって描けば済む話だ。その方が簡単に済むし、それでも綺麗に見える。『氷菓』はその方法を選択せず、わざと髪の流れにわずかな乱れを作り、それがあらゆるタイミングに合わせて揺れ動く様子を描写している。おそらく、その線の動きや軽やかさを研究するために、実際の髪の動きをずいぶん観察したのだろう。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/9/f96e163e.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (16)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (16)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/9/f96e163e-s.jpg" width="199" /></a>左は伊原摩耶花のクローズアップショットだ。首をかしげる伊原の動きに合わせて、短いショートヘアがぱっと動く。ショートヘアらしい簡素な動きで、なかなか可愛らしい。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/2/8262351c.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (17)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (17)" border="0" class="pict" height="342" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/2/8262351c-s.jpg" width="150" /></a>髪の動きで個性の違いを表現する、アニメの作りとしてはなかなか面白い作り方である。<br />
やや話が逸れるが、最近よく見かけるようになったＭＭＤの動画作品について、一つ苦言を呈したい。ＭＭＤのほぼすべての動画作品に対して言えることだが、髪の動きが美しくない。<br />
しかしあの動きは、おそらく正確な重力計算に基づくものなのだろう。キャラクターの動き、指定したアクションに対して、コンピューターが計算した動きなのだろう。<br />
それでは駄目なのだ。<b>「リアルな動きは実はリアルではない」</b>。計算上正しい描写が正しいわけではない。<br />
例えば、いくつか折り重なった線の羅列を描いていると、何本かの線は必ず歪んだり、弧を描いたりしているように見える。錯覚だ。絵の世界、映像の世界では、この種の錯覚はしばしば起きる。描き手はこの錯覚に気づき、修正を加えつつ、<b>&ldquo;実は正しくないが、絵としては正しい&rdquo;</b>線を選んで描きこんでいく。<br />
動きについても同じだ。コンピューターの導き出した&ldquo;正しい動き&rdquo;であっても、描き手の意思で修正を加え、完成を目指していかなければならない。それに、無用に暴れ回るツインテールは美しくない。<br />
<br />
背景のディティールも、手頃な予算と期間で制作されるテレビアニメーションとは思えないくらいの描き込みである。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/5/45314596.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (18)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (18)" border="0" class="pict" height="172" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/5/45314596-s.jpg" width="150" /></a>学校の場面。単に廊下という無味乾燥な場所ではなく、張り紙がしてあったり、絵が飾られたり。もちろん蓄積した汚れもしっかり描き込んでいる。レイアウトは、ロングサイズ以上になると、パースの整合性が格段に難しくなる３点透視法で描かれている。これに、やはりデジタル処理が加えられる。<br />
空間の奥行き、レンズの焦点。あるいは光の処理だ。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/1/e1f5378f.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (19)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (19)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/1/e1f5378f-s.jpg" width="150" /></a>光の処理は、淡い緑が基調となっている。一応、部活ものであるから、時間帯は放課後の時間が中心であるが、『氷菓』では常套的な黄昏のセピア色を使わず<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（セピア色が使われている場面もある）</span>、緑の光を選択している。この緑の光、緑の光が差し込む風景が、個性的だし、際だって美しい。この緑の光は、昼でも薄暗い場面でもしばしば使用されている<font style="color:#808080;">（逆光のショットは、影の入り方がどことなく&ldquo;トイ・フォト&rdquo;風だ）</font>。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/2/52b3f4c5.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (20)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (20)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/2/52b3f4c5-s.jpg" width="199" /></a>物語の中心舞台である地学準備室はディティールの洪水である。<br />
多くの部活ものの学園物語<span style="color: rgb(153, 153, 153);">――最近の学園ものは部活の話が中心である――</span>で見られる部室の描写は、もっと簡素なものである。小さな６畳くらいの空間。机がいくつか置かれて、隅にロッカー、それから水場があるだけである。<br />
しかし、地学準備室は必要あるのか、と問いたくなるくらい物で溢れ返っている。扉から見て右手にガラス戸のある大きな棚。棚には移動式の梯子が備え付けられている。棚の中にはビーカーなど、何かの実験に使いそうなものが置かれている。左手には大きな机。しかし、物が一杯置いてあって、とても使用できるものではない。机の裏には中途半端な空間があり、ここに生徒用の机が重ねて敷き詰められている。机の背後の壁には、もう一つ棚がある。<br />
果たしてここまで描く必要があるのか。普通のアニメーションなら、スタッフの負担を軽減させるために、あるいは間に合わせるようにもっと簡素に描くものだ。あそこまで容赦のない密度が常に張り込まれてくる空間、となると、描ききれないスタッフもいるはずだ。それでも敢えて逃げのない挑戦的な映像を作ることに、描き手の意地を感じた。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/2/92fa30cf.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (21)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (21)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/2/92fa30cf-s.jpg" width="199" /></a>次は第２話に登場する図書室である。ここでも背景の密度はなかなか凄まじいものになっている。単純に棚を並べるだけでは飽き足らず、机を置き、ポップを張り込み、確かに図書室特有の落ち着いた印象はあるものの、画面はかなり賑やかだ。おそらく学校の場面、とくにディティールには妥協するつもりはないのだろう。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/d/7d85db5d.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (22)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (22)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/d/7d85db5d-s.jpg" width="199" /></a>第２話に登場する、奉太郎の家。リビングルームと思われる場所。これまでの圧倒するようなディティールが嘘に思えるくらい、簡素な空間である。何もない。質感もない。ある意味、&ldquo;奉太郎の世界&rdquo;らしい空間になっている。<br />
ここで注目すべきは、テーブルの上に置かれた招き猫だ。いったい何の意味があって置いているのだろう？　ともかくも、招き猫と信楽焼は欲しい。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/b/5b0b057e.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (24)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (24)" border="0" class="pict" height="170" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/b/5b0b057e-s.jpg" width="150" /></a>次に登場する喫茶店。先の奉太郎の家から一転、再び濃厚なディティールが姿を現す。植物が多く、絡みつくツタ植物が建築に有機的な印象を与えている。<br />
内装も、やけに掲示物が多い。壁という壁に、何かしらの絵画や時計が置かれている。薄いカーテンに隠れて、絵画が掛けられている。やけに多く飾られている時計は、どれも意匠にこだわって描かれ、デジタル処理で与えられた陰影表現が実に美しい。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/677227ef.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (23)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (23)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/677227ef-s.jpg" width="199" /></a>左のカットは、ディティールの洪水に囲まれ、一人きりで佇んでいる奉太郎の場面である。一番手前の空間、右手の柱に年代物の&ldquo;顔の形をした&rdquo;電話。裏側の見えないところに、百合の花が飾られているようだ。次の左手の空間には、客らしきおっさんとカウンターが置かれている。やはり年代物のレジ、花瓶、奥の壁には&ldquo;神山祭&rdquo;のポスターが貼られている。その奥にやや広い空間があるものの、机と椅子が不自然なくらいぎっしり置かれている。この状態を実際に再現すると、人は入っていけないだろう。そんな構図の一番隅っこで小さく描かれているのが奉太郎である。奉太郎の心境を象徴する、居心地の悪い構図が描かれている。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/b/4b5cd56c.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (25)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (25)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/b/4b5cd56c-s.jpg" width="150" /></a>第１話のエンディング。エンディング曲は尺の都合上カットされ、奉太郎と里志の下校場面が描かれている。<br />
アーケードの下を歩き、雨をしのいでいる。アーケードの端までくると傘を差し、再びアーケードの下に入り、傘を閉じる。単に傘を差して歩く、だけではなく、ロケーションに合わせた演技が描かれている。<br />
アニメの背景は、ただ書き割りになりやすい。実際の場所で撮影しているわけではないから、俳優がどれだけの距離を歩いて、そこが背景のどの地点なのか、考えるのが難しいし、そこまで入念な背景を作り出すのが困難だからだ。<br />
『氷菓』のこだわりはここでも強烈で、あたかも実際の俳優が実際の場所で演技しているような前提で描かれている。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/a/1a0735e2.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (26)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (26)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/a/1a0735e2-s.jpg" width="199" /></a>左は奉太郎が何気なく見上げた、アーケードのガラス部分である。灰色に沈んだ窓に、雨がにわかに打ち付けている。何気ないワンカットだが、実に雰囲気が出ている。構図、質感、雨の冷たい湿気を感じさせる優れた絵画だ。何気ないショットだが、妥協しない。ここにもテレビアニメらしくない絵のこだわりを感じさせる。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/670257f5.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (28)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (28)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/670257f5-s.jpg" width="150" /></a>第２話の奉太郎の妄想場面。どこかの洋館。メイド服姿の千反田えるが側に立っている。椅子に座る奉太郎の前には、２つのメニューが示されている&hellip;&hellip;。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/b/abe410f1.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (27)"><img align="left" alt="氷菓　１，２話 (27)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/b/abe410f1-s.jpg" width="150" /></a><span style="color: rgb(153, 153, 153);">（ことあるごとに文字が浮き上がってくるが、これは《共感覚》だろうか？）</span><br />
ただの妄想場面。映像の世界ではありがちな場面だが、『氷菓』で描かれるこの場面は強烈だ。異様な密度、ゆったりしているが妙に圧力のあるメロディ。大きく歪んだレンズワークに、濃厚な色彩、やはり圧倒されるディティール。瞬発的に見る者を異空間に放り込み、何とも言えない居心地の悪さに引き込まれていく。<br />
何気ない場面だから描写の強さが際立つ。ふとテレビアニメであることを忘れる場面だ。<br />
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<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/c/1c95c063.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (29)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (29)" border="0" class="pict" height="342" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/c/1c95c063-s.jpg" width="150" /></a>『氷菓』はミステリである&hellip;&hellip;ミステリということになっている。しかしそこに描かれているのは、日常の世界であり、日常の描写だった。あるいは、日常をミステリという文脈で再構築された世界、というべきだろうか。<br />
いかにもミステリといった風情の、論理的な言葉の選び方。ミステリ風のもったいつけた言い回し、と書くべきだろうか。言葉の使い方はミステリである。ミステリには、日常的な言葉や、生活感を示す場面はほとんど登場してこない。あらゆる場面は、ミステリとしてのロジックの中に取り込まれ、何気ない台詞や日常の場面こそ、むしろ事件を解き明かす鍵が隠されている。<br />
しかし『氷菓』が向き合っているのは、組織の陰謀でもなく、殺人事件でもなく、ごくごく日常――日常の中にささやかに差し挟まれている&ldquo;不思議&rdquo;である。<br />
『涼宮ハルヒの憂鬱』は日常の物語である。ＳＦ作品に分類されているし、実際『涼宮ハルヒの憂鬱』にはＳＦ的な台詞がいくつも登場し、日常世界として描写されているあらゆるものはＳＦというロジックの中で描かれている。<br />
だが『涼宮ハルヒの憂鬱』は実際には日常の物語だった。侵略者が登場するわけでもないし、宇宙へ旅立つわけでもない。宇宙人未来人<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/5/55baa198.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (30)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (30)" border="0" class="pict" height="170" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/5/55baa198-s.jpg" width="150" /></a>超能力者を自称する何人かは登場するが、それらしい活躍、活劇はほとんど何もしない。『涼宮ハルヒの憂鬱』を客観的に見ると、ごくごく普通の高校生の日常の物語なのだ。それでも、ＳＦ的な文脈で日常が再構築されたことに、『涼宮ハルヒの憂鬱』の新しさと個性があった。<br />
対して、『氷菓』はミステリという文脈・視点で&ldquo;日常&rdquo;が再構築された作品である。やや特殊で、むしろ違和感が際立つ。その違和感こそが、『氷菓』をその他のアニメ作品とは違う、特別な個性を持った作品にしているのだ。<br />
それにしても、『氷菓』が描いてみせた日常の空間は圧倒的だ。テレビアニメであることを忘れるくらい、あるいはテレビアニメということを作り手自身が意識していない、徹底したものを感じさせる。ここまで来ると、京都アニメの日常に対するこだわりが、何か特別なもののようにすら感じる。<br />
学園もの、といえば、今はほとんどがコメディだ。同じ学園ものでありながら、いかに学園ものを捉えるか――というテーマとして見ても、なかなか面白い作品だ。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/d/ad4e45f8.jpg" target="_blank" title="氷菓　１，２話 (31)"><img align="right" alt="氷菓　１，２話 (31)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/d/ad4e45f8-s.jpg" width="150" /></a>結果的に『氷菓』という作品から感じるのは、絵描き集団としての意地、絵描き集団としての純粋な欲求の帰結のようなものだった。<br />
『氷菓』はもっと簡単に描くことができる。背景のディティールを落とし、デジタル処理で作り出す光処理を抑え、キャラクターの線はもっとシステマチックに、誰にでも描きやすい簡素な形にすることだってできたはずである。シリーズアニメという小さなバジェットと、制作期間を考慮すると、そうしたほうが効率がいいし、安全である。<br />
しかし『氷菓』はあえて妥協しなかった作品である。確かにテレビアニメだが、その構図を、キャラクターをどこまで洗練させられるか、あるいはグレードを上げることができるか。<br />
絵画の作りに正面から向き合い、挑戦している作品だ。そのためのあらゆる手間と苦労を惜しまない。純粋に絵描きとして<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（アニメ作家として）</span>、作品に向き合おうとしている。そんなふうに思える作品だった。<br />
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作品データ<br />
監督：武本康弘　原作・構成協力：米澤穂信<br />
キャラクター原案・デザイン・総作画監督：西屋太志　シリーズ構成：賀東招二<br />
色彩設計：石田奈央美　設定：唐田洋　美術監督：奥出修平<br />
撮影監督：中上竜太　編集：重村建吾　音響監督：鶴岡陽太　音楽：田中公平<br />
アニメーション制作：京都アニメーション<br />
出演：中村悠一　佐藤聡美　阪口大助　茅野愛衣　雪野五月<br />
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<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007RC1KWQ&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007RC1KWG&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007RC1ML0&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007RC1MJ2&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=4044271011&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=4041202701&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007BC66SK&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007L81FGM&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><br />
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<div style="text-align: center;">
	<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/2/" target="_blank">アニメ記事全一覧</a></div>
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]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/799/</link>
			<pubDate>Tue, 08 May 2012 10:11:17 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>坂道のアポロン</title>
			<description>
			<![CDATA[<div align="center">
	＃１　モーニン　Ｍｏａｎｉｎ&rsquo;<br />
	<div align="center">
		<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/c/ec0757cf.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (1)"><img alt="坂道のアポロン　１話 (1)" border="0" class="pict" height="112" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/c/ec0757cf-s.jpg" width="198" /></a></div>
</div>
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<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/6/66c10cc4.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (2)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (2)" border="0" class="pict" height="169" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/6/66c10cc4-s.jpg" width="300" /></a>&hellip;&hellip;朝から照りつけるこの日射しも、何も考えていないこの生徒たちも、今日から毎日、わざわざこの急な坂道を登らないといけないことも――そのすべてに吐き気がする。<br />
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この最初のカットでぶっ飛んだ。<br />
主人公の西見薫の足下で切り捨てられた急な坂道を、学生たちが群れをなしてぞろぞろと登ってきている。朝の登校風景だ。皆それぞれの顔で、憂鬱そうにうつむいたり、ぼんやり視線を投げかけたり、友達を見つけて笑顔で挨拶したり。<br />
そのただ中であり構図の中心で、西見薫は呪いのこもった憂鬱をカメラの正面に向けている。<br />
パースの行方は遙か向こうまで立体的に描かれ、同じ方向を目指して歩いてくる学生たちの１人１人を手抜きなしに描いている。ふとすると&ldquo;ただのモブキャラ&rdquo;と切り捨てられそうな群衆を、それぞれ何かしらの表情と演技を付け、何かしらの&ldquo;背景&rdquo;を思わせるように描かれている。<br />
坂道はただでさえ作画の難しい題材である。地上の位置が断続的に変化し、そこに立つべき人も建物もそれに合わせて浮き上がったり沈んだりしているように描かねばならず、下手に描くとあっという間に空間の歪んだ気持ち悪い絵になってしまう。うっかりすると、浮世絵的な縦構図の絵でごまかされそうな場面である。<br />
しかし『坂道のアポロン』はこの坂道を絵画としてごまかしのない正攻法で描き、見る者に対し、自信たっぷりに突きつけた。<br />
これは凄いアニメが来たぞ。<br />
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<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/7/877ef254.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (3)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (3)" border="0" class="pict" height="170" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/7/877ef254-s.jpg" width="300" /></a>物語の舞台は１９６６年長崎――。<br />
西見薫は横須賀から九州の叔父の家に居候することとなった。やってきた場所は長崎。東京とはあまりにも環境が違う。聞き慣れない博多弁。節操のない視線。囁き声とは言えなくらいの遠慮のない声。教室から聞こえてきた声は、転校生への好奇や期待ではなく、余所者に対する侮蔑だ。<br />
転校続きだった西見薫は人と接することが苦手だ。転校直後にありがちな生徒たちの視線を浴びると、途端に気持ち悪くなる。同じことを子供の頃から何度も繰り返した挙げ句、吐く癖がついてしまっていた。<br />
全身にまとわりついてくる不快から逃れる唯一の方法――。自分を取り戻すための場所――。それは屋上へ行くことだった。<br />
しかしそこにいたのは、川渕千太郎。この学校の問題児で、同じクラスメイトからも恐れられる不良少年である。西見薫が駆け上がった屋上で見たものは、３年の不良グループと殴り合いの喧嘩をする千太郎だった。<br />
だが不思議にもこの２人を結びつけるものがあった。音楽である。<br />
西見薫はクラシック。千太郎はジャズ。ジャンルは違えども、同じ音楽趣味として、引きつけるものがあった。<br />
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<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/8/b87481f9.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (4)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (4)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/8/b87481f9-s.jpg" width="300" /></a>６０年代の長崎。<br />
それは見る者にとっても、親しみのない異境である。学園ものの舞台として大阪や広島はまあまああるものの、それ以上に西に踏み込んだ作品は例が少ない。スタジオジブリの『海が聞こえる』は希少な例の一つだろう。聞き慣れない博多弁、都会ものに対する遠慮のない軽蔑。西見薫だけではなく、多くのアニメの視聴者にとっても新鮮であり、強烈に感じるところである。<br />
６０年代――昭和４０年代という年代にも作品特有の個性を感じさせる。<br />
調べてみると、この頃、ＳＦブームが起き、ビートルズが来日し、ウルトラマンの放映もこの頃だ。少年マガジンでは『巨人の星』の連載が始まり、骨太な不良少年漫画隆盛の時期である。千太郎のような大柄な不良少年も、実際の風景にいたかもしれない。思えばいま権威的ともいえるくらい大きくなった文化の始まりが、おおむねこの時代に集中している。<br />
ひょっとしたらジャズも色んな文化に乗って日本にやってきたかも知れない。若者たちはその音楽の端っこに触れて、夢中になってギターを弾きドラムを叩き下手くそに真似しようとしていた。『坂道のアポロン』そんな時代の空気を追いかけ、描こうとした作品だ。<br />
<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);"><a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/8/f80a3161.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (5)"><img align="left" alt="坂道のアポロン　１話 (5)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/8/f80a3161-s.jpg" width="149" /></a>舞台の一つである「ムカエレコード」は作者・小玉ユキの祖父が実際に経営していたレコード店がモデルになっている。進駐軍向けのレコード店で、海外から取り寄せたレコードや楽器が置いてあったそうだ。作中でもアメリカ水兵の姿が描かれている。作者が端的に目撃し、祖父・両親への聞き込みからこの作品が形作られた。</span><br />
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<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/d/3d8da19f.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (6)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (6)" border="0" class="pict" height="344" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/d/3d8da19f-s.jpg" width="200" /></a>そんな時代だから見えてくる風景は何もかも違う。坂道から見下ろした風景のほとんどは色の沈み込んだ木造文化住宅。赤茶けた屋根がやけに目立つ。<br />
女学生の着こなしもいかにも古い。長いスカート、男子生徒のものと見た目があまり変わらない飾りっ気のないブラウス<font style="color:#808080;">（男子生徒の学ランは最近のものと変わりがなく、逆にびっくりさせられる）</font>。<br />
もっと特徴的なのは、現代のセンスからは想像できない千太郎のファッションだろう。破けた学生帽、ワイシャツの下には赤と白の縞々模様のシャツを着込んでいる。今時あんな赤と白の縞々シャツは、あの漫画家の普段着でしかお目にかかることはできない。<br />
学校の風景は、鉄骨とコンクリートを組み合わせただけの不格好な積み木細工のような建築である。机や椅子などは、机や椅子といわず、はっきりいえばただの腰を掛けるだけの木の構造物でしかない。きっとその日の午後には腰がどうにかなっているだろう。今時はもう少し洒落た建築物として学校が描かれるが<font style="color:#808080;">（それでも我慢ならないくらい美的センスが喪失しているが）</font>、『坂道のアポロン』はあえてその時代にあったであろう古さや、記憶の中に危うく残存している建築の形を再現しようとしている。現在のセンスで、しかし当時の形をある種の理想として追いかけている。<br />
<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);"><a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/67a8fda9.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (7)"><img align="left" alt="坂道のアポロン　１話 (7)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/7/67a8fda9-s.jpg" width="149" /></a>アニメーションはかつて撮影台を組んで遠近を表現していたが、その方法論や習慣や今にも受け継がれている。だが『坂道のアポロン』ではどちらかといえば実写的な感覚で空間の奥行きや、レンズの歪み、あるいはピントのボケが表現されている。空間の奥行きに細かく埃が散っているところまで表現されていることにも驚かされる。</span><br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/a/4a886f76.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (8)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (8)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/a/4a886f76-s.jpg" width="149" /></a>第１話の最大のハイライトはドラムの演奏シーンだろう。<br />
ムカエレコードの地下に作られた狭いスタジオ。そこで景気よくドラムを叩く千太郎。その圧倒的な音感と、作画のエネルギー。<br />
この場面は、モデルとなった演奏者の周囲に無数のカメラを設置し、動きを&ldquo;一度&rdquo;に撮影し、それを素材としてアニメーターに引き渡して描き起こしさせたものだ。<br />
ここで監督は、&ldquo;一発撮影&rdquo;にこだわった。同じ演奏を、カメラワークを変えてやり直させる、ということをさせなかった。それはジャズのリズムではない。ジャズはその瞬間に込められた勢いで呼吸感そのものだ。だから素材の継ぎ接ぎはさせず、一発撮影に執着した。<br />
アニメーションとして描き起こす際にも、もちろんロトスコープのようななぞり描きというわけにはいかない。まず、実写の演者とアニメのキャラクターのフォルムが違う。アニメーションとし<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/6/965919e4.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (9)"><img align="left" alt="坂道のアポロン　１話 (9)" border="0" class="pict" height="256" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/6/965919e4-s.jpg" width="149" /></a>て動いたときの、アニメとしての快感と、タイムシートで作り出されるタイミングも違う。しかし、実写の演者が演奏してみせた瞬間の腕の動き、筋肉の躍動、背中から見たときの筋肉の動きと服のしわの流れ――それらすべてをヒントにしてアニメーターは動画の傑作を描き出した。<br />
対する西見薫の反応も秀逸だ。はじめはドラムの音に驚き、耳を塞ぐ。しかし間もなくそのリズムに捕らわれる。いつの間にか塞いでいた耳を放し、引き込まれている。その心情の移り変わりを、模範的なモンタージュの積み重ねで描いているが、その効果は抜群である。西見がじわじわと引き込まれいく過程が、実際にアニメを見ている人の気持ちとなって重なり、西見の心情をリアルに感じさせてくれる。それには動画の圧倒するエネルギーと、一発撮りにこだわったドラムの音の圧力があったからこそだ。<br />
この瞬間だけでも、テレビアニメの歴史に残していいだけの堂々たる名シーンである。<br />
<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);"><a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/4/b4800d7f.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (10)"><img align="left" alt="坂道のアポロン　１話 (10)" border="0" class="pict" height="84" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/4/b4800d7f-s.jpg" width="149" /></a>ピアノの演奏シーンの指の動きにも注目したい。もちろんこれも手書き作画である。『のだめカンタービレ』のような棒っ切れがタクトを振り回しているのではなく、アニメーターの描いた生々しさが動画に刻印されている。</span><br />
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いま学園ものは、題材で描かれる。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/8/68c2114f.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (11)"><img align="right" alt="坂道のアポロン　１話 (11)" border="0" class="pict" height="344" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/8/68c2114f-s.jpg" width="150" /></a>日本の漫画／アニメにおける学園ものは、もはや天文学的数字で、その系譜のすべてをまとめるのが不可能なくらいたくさんある。それだけに、いかに過去の作品と、あるいは現在の作品との差異を作るべきか、がテーマになっている。<br />
キャラクター創作についてもすでに飽和状態で、よほどの場外ホームランを打たない限り、現在進行形で量産されるおびただしいキャラクターたちの中に埋没してしまう。キャラクターのあらゆる系統は提出済みで、そこから新しく何かを提示するのはもはや不可能。「できるものなら、やってみろ」状態だ。<br />
だからこそ、何をモチーフにして学園物語を描くべきか。あるいは主人公に何をさせるべきか。漫画雑誌を手に取ると、そのモチーフの探索に作家も編集者も苦労している様が見えてくる。野球やサッカー、バスケットといったメジャーなスポーツの傑作はすでに積み上げるほど描かれてきた。どう切り口を変えてみても、どこかの誰かがすでに足跡を残している。今の漫画家は、過去の作家が描き散らかして雑草すら残っていない荒野で、新しい何かを描き、結果的に読者に「面白い！」と言わせねばならないのだ。<br />
ある作家は女の子に麻雀をやらせ、ある作家は女の子にギターを持たせ、ある作家は女の子を自転車に乗せ、ある作家は女の子に水泳をさせ&hellip;&hellip;。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/8/88378b9f.jpg" target="_blank" title="坂道のアポロン　１話 (12)"><img align="left" alt="坂道のアポロン　１話 (12)" border="0" class="pict" height="518" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/8/88378b9f-s.jpg" width="150" /></a>はっきり言えば、物語の出発点に意外性を持たせることは不可能である。たとえば、『坂道のアポロン』と抱き合わせ商品のごとく放送されている『釣りたま』。第１話のあらすじ――主人公が置かれている状況、立場はものの見事に一緒である。遠くから地方に転校してきた主人公。集団に馴染めない性格。注目されて緊張すると、体に異変が起きる&hellip;&hellip;脚本を共有したかと思うくらい一致する点は多い。この２作品の例だけではなく、大抵の学園ものは主人公、あるいはキーとなるキャラクターが転校してくるところから始まり、この２人が出会い変化する過程が描かれる。言ってしまえば、ほとんどの学園もののあらすじは同じで、ここに独創的な変化を与えようと思ったら、余程のアイデアと力技が必要となってくる。<br />
だからこそ題材なのである。題材が持っている専門性が否応なくその物語を、あるいはキャラクターをそれ以外の多くの作品と違う道を歩ませる。例えば、麻雀をはじめた人と、ギターをはじめた人とは、向かう結末はまるっきり違うだろう。あるいは、その先に見えてくる風景も違ってくるだろう。登山家と航海士が見る風景が同じはずはない。また専門性が読者に新鮮な知識を与えてくれるはずだ<font style="color:#808080;">（最終的には、読者にどんな風景を見せられるか、が勝負である。そこで「あの作品とあまり変わらない」と思われたら、もうその作品には価値はない）</font>。<br />
だからいかに題材を描くか、題材を探すか、がいま漫画／アニメにおいて重大なテーマになっているのだ。その題材でいかに多くの人に影響を与えられるか、『坂道のアポロン』を見てジャズに興味を持った、ジャズをやってみようと思わせられるかが、ヒットを切り分けるポイントとなっている。<br />
『坂道のアポロン』が見つけ出したテーマはジャズ。時代は６０年代。たった５０年前とはいえ、現代とは見える風景もキャラクターのイメージも違う。気合いたっぷりに描いたジャズの演奏シーンも圧巻だ。この組み合わせは、やはり新鮮だ。ファーストインプレッションは文句なしの満点だ。この先に良き展開が、そして良き結末が描かれることに期待しよう。<br />
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作品データ<br />
監督：渡辺信一郎　原作：小玉ユキ<br />
脚本：加藤綾子・柿原優子　キャラクターデザイン：結城信輝　総作画監督：山下喜光<br />
美術監督：上原伸一　美術設定：上原成代　色彩設定：鎌田千賀子<br />
編集：廣瀬清志　撮影監督：武原健二　録音監督：はたしょう二　音楽：菅野よう子　<br />
アニメーション制作：ＭＡＰＰＡ／手塚プロダクション<br />
出演：木村良平　細谷佳正　南里侑香　諏訪部順一<br />
<font style="color:#ffffff;">○</font>　　　北島善紀　岡本信彦　村瀬歩　佐藤亜美菜<br />
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<br />
<iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007BRSMVO&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B002HJ5X1S&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007N6SCOA&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><iframe frameborder="0" marginheight="0" marginwidth="0" scrolling="no" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=monoanime04-22&amp;o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B007BRSNRW&amp;ref=tf_til&amp;fc1=000000&amp;IS2=1&amp;lt1=_blank&amp;m=amazon&amp;lc1=0000FF&amp;bc1=000000&amp;bg1=FFFFFF&amp;f=ifr" style="width:120px;height:240px;"></iframe><br />
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<br />
<div style="text-align: center;">
	<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/2/" target="_blank">アニメ記事全一覧</a></div>
<br />]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/798/</link>
			<pubDate>Tue, 24 Apr 2012 08:25:29 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>さよなら絶望先生　第２８集</title>
			<description>
			<![CDATA[<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/5/a575c34b.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (1)"><img align="left" alt="絶望先生２８集 (1)" border="0" class="pict" height="373" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/5/a575c34b-s.jpg" width="250" /></a>人生という箱の中には絶望が一杯に詰まっている。世界は絶望に覆い尽くされ、今にも潰されようとしている。しかし知恵ある者はこう言う。絶望のすべてが過ぎ去った後に、希望の欠片が残される、と。最も暗いのは夜明け前の闇だ。人はどん底の闇に沈んだときにこそ、もっとも輝ける希望を見出す。絶望と希望は、ふらふら揺れる天秤のように、同等の重さと普遍性を持っているのだ。<br />
『さよなら絶望先生』も２８冊目を数える。絶望を２８冊、２８１話の絶望を積み重ねてきた。堆く積み上げられ腐敗が始まった絶望の地層の底で、我々はもうすぐ希望を見出すだろう。<br />
２８集の表紙は出席番号１５番大草麻菜実。端切れを当てた白い昔風のエプロンを身にまとい、左手には野菜を一杯入れた買い物籠を持ち、いかにも苦労人らしい姿が描かれている。もっとも、エプロンの下の着物はなかなか高価そうだが。<br />
裏表紙はこれまで男性登場人物が描かれてきたが、今集は加賀愛が描かれている。いつも「絶望文学集」が書き込まれている&ldquo;そで&rdquo;の部分には忍者設定の加賀の裏エピソードが&ldquo;新連載&rdquo;として書かれている。次回以降も続くのだろうか。<br />
<br />
前巻までのあらすじ<br />
私は主婦。５０円お得な大根を買うため、２００円のバス代を惜しまない心意気。月収８万の内職のため、内職キットを３０万で揃えたの。ところがこの内職キットがくせもので、地球を守る武器セットだったの。内職で地球の平和を守るなんて、割に合わないよ。しかも敵ったら、いつもタイムセールの時間帯をついて攻めてくるからサイアク。戦闘員１ダース倒して８００円は低賃金過ぎて、赤旗にコラムが載るレベル。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/b/fb20c688.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (2)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (2)" border="0" class="pict" height="372" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/b/fb20c688-s.jpg" width="249" /></a>第２７２話　あいまいな日本の形<br />
市民プールで楽しい一時を過ごした後のことである。加賀愛が怯えるような悲鳴を上げた。<br />
「着替えが見当たりません！」<br />
ロッカーの中には着替えどころか何も入っていなかった。<br />
「どこぞの変態に盗まれたんじゃない？」<br />
日塔奈美がからっぽのロッカーを覗き込んで憤慨した声を上げた。<br />
「そ、そんな。私の着衣など無価値ですから」<br />
加賀は暗く視線を落としながら、それでも自分を卑下する。<br />
そんな愛の背中を、風浦可符香が決意の眼差しで見詰めていた。風浦は自分の着替えを手早く済ませると、走って更衣室を飛び出し、通路を歩いている木野国也を呼び止めた。<br />
「木野くん大変！」<br />
と風浦は女子更衣室で起きた事態を、端的に説明した。<br />
「何ィ！　加賀さんがピンチだと！」<br />
木野が憤慨した声を上げ、「俺に任せろ」と頼もしげな声を置いて一度市民プールを後にすると、間もなく紙袋を持って戻ってきた。それを風浦が受け取り、いまだ更衣室で水着姿のまま困惑している加賀に預けた。紙袋の中には木野がたったいま買ってきたばかりの新しい衣装がきちんと折りたたまれて入っている。加賀はその衣装に着替えるのだが&hellip;&hellip;。<br />
「&hellip;&hellip;これはまた、アグレッシブな。」<br />
木津千里が呆れるような感想を漏らした。<br />
あまりにも吹っ飛んだ未来的なデザイン。今の人類には早すぎる、斬新な衣装だった。<br />
「む、無理です！　私のような者にこんな上級者ファッションは着こなせません！」<br />
加賀愛が拒絶の声を上げた。<br />
しかし、風浦は優しく微笑みを浮かべた。<br />
「大丈夫。形から入るのも手だよ。中身は後からついてくる。勇気を出して一歩踏み出してみよう！」<br />
風浦は押し出すように加賀の背中を叩いた。<br />
《<font style="font-family:ｍｓ ｐゴシック;"><b>水は方円の器に従う</b></font>》。まず形から入ることにより、自覚が生まれ、中身が整うこともある（<a href="http://kotowaza-allguide.com/mi/mizuwahouen.html" target="_blank">故事ことわざ辞典：水は方円の器に随う</a>）。日本人は何かを始めるとき、まず形から入ろうとする。ナースはナースキャップを被るところから入り、その後慈愛の精神が生まれる。警察官は制服を着るところから入り、その後市民を守る意識が芽生える。<br />
しかし世の中にはダメな結果をもたらす事例もあるようである。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/c/9ca2428f.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (3)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (3)" border="0" class="pict" height="389" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/c/9ca2428f-s.jpg" width="250" /></a>第２７３話　唯ぼんやりとしてるから不安<br />
夏休みが明けて新学期。教室に入ってきた糸色望は、すぐに生徒の中に変化があることに気付いた。小節あびるの髪の長さである。いつもの通りの両耳を隠すような三つ編みをしているのだが、今日はその三つ編みが肩にすら届いていない。髪のねじり団子をひと巻き作ったところで終わっていた。<br />
「あー！　あびるちゃん髪切ったの！　何で何で？　理由は？」<br />
日塔奈美が驚きの声を上げて食いついた。妙に生き生きした顔で「もしかして失恋とか？」とあびるの表情から何かを探ろうと覗き込む。<br />
「いや、別に何も？」<br />
しかしあびるは、特に気にする様子もなく、いつもの冷淡な調子で答えた。<br />
「ええー！　何かあるでしょ理由！」<br />
奈美は納得がいかず食い下がった。<br />
すると唐突に、<br />
「何にでも理由があると思うな！」<br />
怒鳴ったのは糸色望だった。<br />
そう。何でも理由があるわけではない。理由もなく火災報知機のボタンを押しちゃったり、理由もなくティッシュペーパーを全部出しちゃったり、理由もなくお菓子の箱をビデオデッキに入れようとしちゃったり、理由もなく缶ペンケースをノリで蓋しちゃったり。<br />
&hellip;&hellip;理由なんてないのである。あるとしたらそれは後で作られたこじつけであり、その時にあるのはただの衝動。人間の行動のひとつひとつにいちいち動機を求めても無意味なのである。<br />
と、いうわけでやってきたのは「理由なし不動産」。そこには特に理由なく物件を求める人が、そして店には特に理由もなく安く、特に理由もなく高い物件がずらりと並んでいた&hellip;&hellip;。<br />
<br />
第２７４話　善いサマリア人ね。善いサマリア人は善いね。<br />
つ<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/8/98c32dfe.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (6)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (6)" border="0" class="pict" height="401" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/8/98c32dfe-s.jpg" width="250" /></a>いに禁断の３年生へ進級した糸色望の生徒たち。というわけで――、<br />
「皆さんの担任を辞することをお許し下さい」<br />
望が教壇に手をついて、深く頭を下げた。<br />
「急に何を言っているんですか！」<br />
唐突な辞表宣言に、３のへ一同にざわざわと動揺が広がる。<br />
「だって３年生なんて大切な時期を受け持つなんて、とてもとても責任を負うことはできませんから！　受験のストレス等で、珍妙な事件でも起こされたらたまりません！」<br />
望は清々しい勢いで自己弁護する。<br />
「何て無責任な。見損ないました！」<br />
木津千里が憤慨した声を上げた。<br />
続くように日塔奈美が机を叩いて立ち上がる。<br />
「もういいです！　他の人に担任になってもらうよう頼みます！」<br />
３のへ一同は教室を出て行くと、「３のへ　担任募集」のたすきを手早く作り、全員で職員室へとなだれ込んだ。<br />
「どなたか！　私たちのクラス担任になって下さーい。」<br />
と呼びかけるものの、職員室の教師たちは返事するところか目線すら合わせず、こそこそとその場から去って行こうとする。３のへを担任しようという教師は職員室にはいなかった。<br />
「そらそうですよ」<br />
と抜けぬけと顔を出したのは望。<br />
「今の日本は、困っている人を助けようとすると、ただの善意でしたことでも責任を問われる可能性があるのです」<br />
迷子の子供を家まで送り届けようと連れて歩いていたら、誘拐の容疑で逮捕されたり。<br />
道で倒れている女性を助け起こしたら、「痴漢！」と叫ばれたり。<br />
直してあげようと壊してしまい、弁償させられたり。<br />
今はそんな時代である。誰も彼もエゴを押し通そうとするから、良心も善行も、リスクに変換されて増大している。積極的に関わろうという奇特な人など、そう現れるはずもない。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/9/e90f8aed.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (9)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (9)" border="0" class="pict" height="398" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/9/e90f8aed-s.jpg" width="250" /></a>第２７５話　一割の苦労<br />
宿直室の座敷。小森霧が低い円テーブルにパソコンを置き、難しそうな顔をしてモニターを睨みつけていた。<br />
「何をやっているんですか？」<br />
糸色望が霧の背中越しにモニターを覗きこむ。<br />
霧は手を休めて振り向き、望を振り返る。長身の望の顔を見ようと、霧の顔が少し無理な感じに大きくそらされていた。<br />
「仕事」<br />
霧が一言で答えた。<br />
「え？　ひきこもりなのに仕事しているんですか？」<br />
望が少し意外そうな声を上げた。<br />
「だからニートと引きこもりは違うと何度も&hellip;&hellip;」<br />
霧は体を少し望のほうに向けて、反論の声を上げた。といっても、声の熱気は低く沈んでいる。<br />
「どれくらい、できているんですか？」<br />
「９０％ってとこかな」<br />
霧は再びモニターのほうに体を向けて仕事を再開する体制に入った。<br />
「じゃあ、もう少しでできますね」<br />
望が緊張を解くような声を上げる。<br />
が、霧が再び望を振り返った。<br />
「ところが、この世界では、<font style="font-family:ｍｓ ｐゴシック;"><b>９０対９０の法則</b></font>というのがあってね」<br />
「なんですか、それ？」<br />
望は霧の右隣に座った。<br />
「９割方終わっているようでも、残り１割に結局、９割と同じ位の時間がかかるって皮肉だよ」<br />
霧はモニターに顔を向けたまま、目線だけ望に向けて説明する。両手の指はキーボードの上をゆらゆら漂っていた。（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/90%E5%AF%BE90%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87" target="_blank">Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ：９０対９０の法則</a>）<br />
望は納得するようにうなずいた。確かにそれは、どの業界でも同じように言える事象である。例えば道路。９割方できあがっていても、残りの１割が一番時間がかかる。理髪店でも、だいたい整ってからが長い。菅直人元首相も、辞めるといってから実際に辞めるまで随分かかった。<br />
終わりが見えてからが長い。終わりが見えてから時間がかかる。終わりが見えてからが一番大変。<br />
そこで、風浦可符香がこう提案する。<br />
「だったら、もう９０％でいいじゃない」<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/3/b3f61751.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (11)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (11)" border="0" class="pict" height="397" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/3/b3f61751-s.jpg" width="250" /></a>第２７６話　悲しき絶対<br />
廊下に出ると、鮮やかなヴァイオリンの音色が一杯に満たされていた。どこからだろう？　糸色望は、ハーメルンの笛に導かれる子供のように、ヴァイオリンの音色を求めて歩いた。<br />
音楽準備室。そこで少女が一人、斜めに傾いた午後の深い光を浴びながらヴァイオリンを弾いていた。自分が奏でている音楽が気持ちいいように、ゆるやかに体を揺らしながら、弦に当てる弓から優雅な音が絶え間なくあふれ出している。<br />
その音楽も、やがて終わるときがやってきた。ヴァイオリンの少女が満足げな恍惚を込めたため息をひそかに吐いた。それから振り向き、望がじっと見詰めているのに気付いて「あ！」と身を小さくした。<br />
「うるさかったですか？　すいません」<br />
加賀愛の表情から満足が消えて、申し訳なさそうに視線を落とした。<br />
「いえいえ。素晴らしい演奏でしたよ。確か、その曲はＪ・Ｓ・バッハの&hellip;&hellip;」<br />
望は明るい敬意を込めて返す。<br />
「「ヴァイオリンパルティータ第２番ニ短調」です」（&rarr;<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E4%BC%B4%E5%A5%8F%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%81%A8%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BF" target="_blank">無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ</a>）<br />
加賀は視線を落としたまま答えた。<br />
望は納得したように頷く。<br />
「ああ、そうでした。いわゆる絶対音楽ですね」<br />
《<font style="font-family:ｍｓ ｐゴシック;"><b>絶対音楽</b></font>》。それは音楽のための音楽である。テーマもモチーフもない。何かを表現したいのではなく、純粋に音楽のために作られた音楽である。（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E9%9F%B3%E6%A5%BD" target="_blank">Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ：絶対音楽</a>）<br />
ベートベンの「運命」も、実は絶対音楽でテーマはなく、「運命」というタイトルは後の人がつけたタイトルである。逆に、ビバルディの「四季」はテーマのある表題音楽なので、「四季」を思い浮かべながら聞くのが正しい鑑賞法である。<br />
そう、芸術の世界にはモチーフを持たない《絶対芸術》という分野がある。というわけで今年の文化祭のテーマは《絶対芸術文化祭》。そこでは芸術そのものをテーマにした、少々飛躍しすぎた作品が展示されていた。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/9/b9a1c7f3.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (14)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (14)" border="0" class="pict" height="382" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/9/b9a1c7f3-s.jpg" width="250" /></a>第２７７話　バレときどきぶた<br />
図書室で藤吉晴美が本を読んでいた。木津千里がスクラップブックを持ったまま、その側で足を止める。<br />
「なに読んでるの？」<br />
「古事記」（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BA%8B%E8%A8%98" target="_blank">Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ：古事記</a>）<br />
晴美は目線を本に集中させたまま答える。<br />
「いまどこ？」<br />
千里がスクラップブックを背中側に回し、晴美の背中越しに本を覗きこむようにした。<br />
「イザナギが左目を洗ったとこ」<br />
晴美は文章を追いながら、意識のほとんどを本に向けながら言った。<br />
千里が少し明るい声を上げた。<br />
「ああ。それで天照大御神が産まれるのよね。」<span style="font-size: x-small; color: rgb(255, 255, 255);">（おや？漫画本編に「。」が抜けている）</span><br />
すると、晴美が千里を振り返った。<br />
「ネタバレしないでよ！」<br />
その顔は、愕然としたショックと怒りが混じって険しかった。<br />
「ええ！　だって古事記だよ！　千年以上前の本をネタバレって&hellip;&hellip;」<br />
「ネタバレする奴は死んでいいよ！」<br />
困惑を浮かべる千里。しかし晴美はヒステリーを抑えられないみたいに声を上げた。<br />
『ネタバレ』。確かにまだ見ていない映画の結末を言うのはマナー違反である。とはいえ、『猿の惑星』の結末や、初代『１３日の金曜日』のラストシーンはあまりにも有名な古典なのでそろそろ時効という気がする。<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（ヒッチコックの『サイコ』はまだＮＧという気がする）</span><br />
では『ネタバレの時効』というのはいつなのだろう？<br />
そんな話題をしているときに、サッカーの代表戦が今夜だという話が入ってくる。しかし今日は研究会なのでリアルタイムで見ることはできない。さて、どうやって結果を知らずに帰宅できるだろうか？<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/7/17d13844.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (17)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (17)" border="0" class="pict" height="390" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/7/17d13844-s.jpg" width="250" /></a>第２７８話　似勢物語<br />
もうすぐハロウィンである。どんなコスプレで参加しようか？　アニメファンの女の子たちが、そんな話題で盛り上がっていた。それで「今年はマゴマギ」でいこうと決まった。気合の入った自作の衣装で、ばっちり決めてやる、とそんな意気込みを語っていた。<br />
が、現実は&hellip;&hellip;。<br />
「思っていたと違う！！」<br />
少女は絶望した声を上げた。<br />
「仮装して現実を思い知らされるというやつです。私もしばしばあります」<br />
藤吉晴美が冷酷な声で状況を解説した。その晴美だが、すでに現実を嫌ってくらい思い知っているので、テンションだだ下がり、今年はただの学校の制服でハロウィンに臨んだ。学校の制服も、コスプレといえばコスプレである。&hellip;&hellip;もっとも無難なコスプレである。<br />
しかし糸色望が肯定的な意見を告げる。<br />
「かわいらしいじゃないですか。皆さん、そこまでのギャップはないですよ。じゅうぶん&ldquo;装丁内&rdquo;です」<br />
&ldquo;装丁内&rdquo;。つまり、そこまで衣装と中身が乖離しているわけではないから、装丁の範囲内というのだ。アニメ好きがアニメキャラを演じているのだから、むしろ友好的な一致である。困った事例は、そのアニメキャラの情報をまったく知らず、愛着もなく、ただのモデルの仕事で衣装を着ている場合だ。<br />
&ldquo;装丁の範囲内&rdquo;はみっともなくても許せるのである。問題なのは&ldquo;想定の範囲外&rdquo;の事例である。世間に出てみると、そういう&ldquo;装丁の範囲外&rdquo;の事例は実は非常に多く&hellip;&hellip;。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/3/53498294.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (18)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (18)" border="0" class="pict" height="391" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/3/53498294-s.jpg" width="249" /></a>第２７９話　釣れ釣れ草<br />
堤防の端で、糸色望が係船柱に腰掛、ゆるく角を立ててたゆたう波に釣り糸を垂らしている。じっと見詰めている浮が、ぴくりと沈んだ。<br />
来た&hellip;&hellip;。<br />
と思った瞬間、隣に立っていた木津千里が勢いよく竿を振り上げた。糸の先には、まるまる太った魚がしっかり食いついている。<br />
なかなかの釣果に、まわりにいた女の子たちが千里に賞賛の声を上げる。<br />
そんな様子を、寂しげな目線で見ている望。望は自分が垂らしている糸の先で浮かんでいる浮に目を向けた。何かに引っかかったように思えた浮は、今は何事もなくゆるやかな波に合わせて自然に浮かんでいる。<br />
「釣りは残された数少ない男のスポーツなのに&hellip;&hellip;」<br />
望が愕然と沈んだ声で呟く。<br />
そんな望の側に、小節あびるがやってくる。<br />
「先生、全然かからないね。エサが悪いんじゃないですか？　使います？」<br />
とあびるが手に持っていた小箱の蓋を開けて望に差し出した。望が顔を上げて小箱を覗きこむ。その顔が、一瞬にして青く引き攣る。小箱の中で、ウォームの群れがうねうねと絡みあっていた。<br />
「いやぅっ！」<br />
望が悲鳴を上げ、自分の身を守るように腕を振り上げつつ縮こまった。虫が怖いのである。<br />
さて、立派な魚を釣り上げた千里だが、厳しい顔をして釣果を見詰めていた。<br />
「リリース」<br />
千里は魚を針から外し、ためらいなく海に放り捨てた。<br />
「ええー！　何で！」<br />
もったいない！　みたいな感じに日塔奈美が声を上げた。<br />
しかし千里は冷静に言い返す。<br />
「狙っていた魚と違うから」<br />
千里が用意している仕掛けは真鯛用。だからきっちり真鯛を釣らねばならない。それ以外の魚は全て外道。たとえ高級魚であっても。千里は真鯛以外の魚は認めないつもりなのである。<br />
そう&ldquo;<font style="font-family:ｍｓ ｐゴシック;"><b>外道</b></font>&rdquo;である。魚釣りに関わらず、現実世界のあらゆる事象において、望まないものが食いついてくるのである。<br />
例えば、子供向けの料理番組に大人<span style="font-size: xx-small; color: rgb(153, 153, 153);">（ロリコン）</span>が食いついてしまったり、<br />
ババシャツに女子高生が食いついたり、<br />
在インドの日本人のための柿ピーにインド人が食いついたり、<br />
少年向け漫画誌に腐女子が食いついたり。<br />
&hellip;&hellip;でも本当のところ、思っていた客層と違っていてもいいから食いついてほしいものである。<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/6/76d4cb2a.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (19)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (19)" border="0" class="pict" height="390" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/6/76d4cb2a-s.jpg" width="250" /></a>第２８０話　時をかけるニート<br />
閑静な住宅街でもハズレというくらい端っこに、小さな家が一つ立っている。白い壁で固められた崖を右へ左へとうねうねと這い登っていく階段の行き着く先に立っている、そこにいるときっといい眺めが見られそうな家である。その家の、特等席とも言える窓に、男が一人佇んで外の風景を眺めていた。<br />
小節あびるは階段下の小さな広場で足を止め、しばらく窓の男を見詰めた。遠くて表情はわからない。男は何かを探しているようにじっと窓の外の風景を眺めている。あびるの視線には気付く気配すらない。<br />
あの男は&ldquo;未来人&rdquo;を自称するニートである。&ldquo;未来ニート&rdquo;とご近所で呼ばれ、小学生から嘘つきとバカにされるダメ人間だ。<br />
でもあびるは少し信じていた。彼が本当に未来人である、と。<br />
理由？<br />
「だって未来からやってくるような人は、みんなダメ人間だと思うから」<br />
なぜそう思うのか？<br />
例えば次の日塔奈美のような考え方である。<br />
「書類選考受かったんだけど、結局、当日行かなかったんだよね&hellip;&hellip;。本当だったら私が読モになっていたのに」<br />
本当だったら、自分が○○だったのに。未来人の立場から過去を悔やみ、失われた過去を悲観する。未来思考ならぬ、《未来人思考》の人。<br />
&ldquo;本当なら自分があの娘とつきあっていたはずなのに&rdquo;<br />
&ldquo;本当なら自分が勝っていたはずなのに&rdquo;<br />
未来思考が前のめりに事象と接するのに対し、未来&ldquo;<b>人</b>&rdquo;思考は過去を悔やむ。<br />
だからこう思うのである。<br />
「もしも過去へタイムスリップしたいと願う人といたら、その人はきっとダメ人間だ」<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/0/002fe06e.jpg" target="_blank" title="絶望先生２８集 (21)"><img align="right" alt="絶望先生２８集 (21)" border="0" class="pict" height="387" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/0/002fe06e-s.jpg" width="250" /></a>第２８１話　曽根崎心中未遂<br />
「本当は死んでいたのに。あなたが助けるから」<br />
糸色望の静かな声には、呪いの意志がありありと浮かんでいた。<br />
公園の並木通りだった。秋の終わり頃で、あの頃は桜満開だった幹には枯葉一枚も残していない。<br />
望はそんな幹の一つに縄をくくりつけ、もう一方の端にわっかを作る。手馴れた作業を淡々とやりこなしつつ、いちいち後ろで見ている風浦可符香を振り返る。風浦可符香は鞄を後ろ手に持ちながら、静かに糸色望の作業を見ていた。<br />
糸色望は用意していた台の上に足を置き、宙にぶら下がっているわっかを手に取った。そうして、ちらっと可符香を振り返る。<br />
「やはり、死にます」<br />
確認するように、呟く。<br />
わっかに首を近づける。ちらっと可符香を振り返る。可符香は何も言わずじっと見詰めている。首に巻いたマフラーが冷たい風にふわりと持ち上がった。<br />
望は首にわっかを回し、そうしながらちらっと可符香を振り返った。その体制で動きが止まってしまう。何もない沈黙に、冷たい風だけが流れていった。<br />
「はい、終了です」<br />
やっと可符香が声を上げた。<br />
「何が？」<br />
望がとぼけたような声を上げた。<br />
「目的は完遂されました」<br />
「まだ死んでませんが？」<br />
望がわっかに通したままの首を可符香に向けて、憤慨した声を上げた。<br />
望の背中に隠れていた常月まといがひょいっと顔を出す。<br />
「だから、最初から未遂で終わらせるつもりの行為だったわけで。&ldquo;<font style="font-family:ｍｓ ｐゴシック;"><b>未遂が最終目的</b></font>&rdquo;ってことでしょう。あんまり未遂目的繰り返してると、いつか未遂失敗して本当に死んじゃいますよ」<br />
まといは呆れたものを含ませながら、望をたしなめた。<br />
望はまだ幸運なほうである。自殺とされる人たちの中には、一定の割合で自殺未遂失敗が含まれているに違いないのである。未遂目的行為が、いつか未遂以上の結果をもたらすかもしれないのだ。<br />
実行する気のない犯罪予告で逮捕されたり、<br />
使う気のない偽札で逮捕されたり、<br />
載せるつもりのないギャグが載ってしまったり。<br />
未遂目的がいつも未遂で終われると思うなよ！<br />
<br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/131/" target="_blank">さよなら絶望先生《本家》目次ページへ</a><br />
<br />
漫画・著作：久米田康治<br />
出版・編集：講談社<br />
連載・掲載：週刊少年マガジン<br/>
<br/>
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<br />
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<br />
<br />]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/797/</link>
			<pubDate>Tue, 21 Feb 2012 11:40:19 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>映画　けいおん！</title>
			<description>
			<![CDATA[本館と講堂を結ぶ渡り廊下に、午後の陽射しが差し込んでいた。まだまだ冬の寒い空気が残る時期で、陽射しはゆるやかな熱の固まりになって廊下に落ちていた。じわりと白く滲み出すような光の中に、かすかな埃がちらちらと舞っていた。<br />
そんな通りに、澪を先頭に、次に紬、紐で縛った本の束を持った律、それからゴミ袋を持った唯がふらふらとついてきた。<br />
ふと唯が渡り廊下の半ばで足を止めた。開けっ放しになった扉の向うを、唯にしては神妙な顔で覗き込んでいた。<br />
「どうした、唯？」<br />
律が足を止めて振り返った。<br />
「&hellip;&hellip;うん」<br />
唯は考え事をするみたいにうつむく。澪や紬も気付いて唯の側に集まってきた。<br />
「さわちゃんの言ったこと、気にしてるの？」<br />
律が心配するように唯を覗き込んだ。ついさっき、部室でさわ子先生が「留年の可能性がある」なんて話を始めたのだ。からかわれただけだ、とわかっていても、やはり引っかかるものがある。<br />
「そうじゃないんだ。私たちね、先輩としてあずにゃんに何かしてあげるべきだと思うんだ」<br />
思いを告白するように、唯が皆を振り返った。<br />
<br />
<div style="text-align: center;">
	◇</div>
<br />
『けいおん！』が最初にテレビ放送されたのは２００９年の春だった。深夜という見る人が限られるニッチな枠だったのに関わらず、『けいおん！』の存在感は同じ時間帯に放送される有象無象のアニメ群の中にあって際立った輝きを放ち、『けいおん！』という作品はあっという間に「深夜アニメを求める特定の人たち」からより広い意味を持った若者層へ拡大していった。翌２０１０年には第２期『けいおん！！』が放送。ＴＢＳアニメは１クールという原則を破って２クールという長丁場でアニメは制作され、唯たちの最後の１年間がより詳細に描かれるようになった。『けいおん！』熱の奔流は勢い留めず日本という国を、あるいは２００９年から２０１０年という時代を駆け抜けていった。<br />
そして２０１１年１２月３日、誰もが待ち望んだ作品がついに封切られた。『映画けいおん！』である。<br />
<br />
<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">テレビ版でも重要なファクターとして扱われた渡り廊下。そこを通過すること、留まることで物語や唯たちが置かれている状況が解説されている。劇場版では間違いなく特別な場所に見えるように映像処理が施された。渡り廊下という場所を基点に見ていくと、『けいおん！』という作品への理解が深まる。</font></font><br />
<br />
『映画けいおん！』はテレビ版を本編とする傍流作品である。テレビ版では描かれたなかった様々な場面を接ぎ穂するようにエピソード描かれている。『番外編　劇場版！』とするのが正しいだろう。<br />
キャラクターの置かれている状況や衣装などで、テレビ版のどことザッピングしているのか容易にわかるように作られている。具体的にどの場面がテレビシリーズのどのエピソードと繋がっているかは、ＤＶＤ／ブルーレイ発売後に改めてブログに書き足したいと思う。<br />
『映画けいおん！』を一言で表現するならば「脇道の映画」である。大雑把な枠組みとして、唯たちがロンドン旅行するという話があるものの、唯たちの物語やキャラクターの対話はひたすら脇道を突き進んでいく。脇道と小さなネタが調子のいいテンポでいくつも紡がれ、ゆっくりと本筋の物語や舞台に移り進んでいく。いったいシーンの数は全体でいくつになったのだろう、というくらいシーンが矢継ぎ早に飛んでいく。<br />
普通の映画の作法であれば、まず主題を設定し、そこへ向けて物語なり舞台を移していくものだが、『映画けいおん！』は延々脇道と脱線を繰り広げていく。その勢いはロンドンへ移っても相変わらずで、「いかにもそこにドラマが準備され待っています」という組み立てはまったく見えず、脇道と脱線を繰り返しながら、いつのまにか物語は、映画の中心的テーマへ向かっていく。ある意味過剰なくらい「いつも通り」の唯たちの物語が描かれている。「劇場版だから」といっていかにも気負った感じはなく、気合の入った小ネタ集ではあるものの、作品は決して小さくなく、むしろどっしりと構えた大きな枠組みの中に唯たちの&ldquo;今&rdquo;が全力で敷き詰められた作品である。<br />
映画の物語作法としてはイレギュラーだが、『けいおん！』らしさが貫かれた『けいおん！』でしかあり得ない劇場映画として仕上がっている。『けいおん！』という作品に深く接し、誰よりも理解している山田尚子監督だから見つけ出せた、より『けいおん！』らしい作法を持った映画だ。<br />
<font style="font-size:xx-small;"><font style="color: rgb(169, 169, 169);">（例えば細田守監督だ。細田守監督作品にはまず明快な枠組みがあり、そこへ向かって迷いなく物語が展開し、その間にロマンスやドラマといった見せ場をバランスよく用意されている。細田守監督は映画の作法をきちんと守っている、わかりやすい例だ。『映画けいおん！』には細田守監督作品のような構造はないが、映像や台詞は魅力的で、惹きつけさせる力を持っている。標準的な映画の作法を持たず、なのに映画としての力強さは圧倒的だ。そこに山田尚子監督の才能の凄さを感じる）</font></font><br />
<br />
『映画けいおん！』の映像はテレビシリーズ版と比較して、劇的に変わったという印象はない。キャラクターデザインはテレビシリーズ版のものがほぼそのままで採用されたため、線の密度や重量感が「映画だから」といって増強されたわけではない。<br />
しかし『映画けいおん！』の映像に接していると、不思議と映像の世界に包み込まれているような、不思議な充足感に捉われる瞬間がある。確かに線の密度や設定はテレビシリーズからあえて変更が加えられていないが、&ldquo;そこにあるべき空気&rdquo;の存在を丹念に、繊細に描かれている。その場所にあるべき暗さや熱の感覚、奥行き。撮影スタッフは、架空の場所である絵画世界を、あたかも実在して呼吸している場所のように仕上げている。例えば教室内の仄暗さ。テレビシリーズでは漠然と描かれてきたが、劇場版ははっきりと光の存在が意識されている。どこから光が差し込んで、どれだけの暗さ、明るさをもっているのか。場面ごとにその差異がはっきりわかるように描かれている。映画という枠組みを持ったことで、生活空間の描写そのものに奥行きが与えられた点も大きいだろう。今まで見えなかった側面が、いくつも見られたのが面白かった。<br />
また音響効果はわずかな足音、布ズレの瞬間を逃さず音を与えている。キャラクターのほんのちょっとした動きにつられて発する音の数々。アニメのキャラクターは当然実在しないわけだが、あたかもそこに実在して、本当に演技した瞬間の音を捉えたかのようにすら感じる。<br />
音響、撮影ともにこの映画において素晴らしい仕事をした。<br />
キャラクターの線の密度はテレビシリーズから変わらなかった一方、動画枚数は非常に多い。ほんの僅かな動き、仕草を油断なく捉える。そもそも作画監督の堀口悠紀子はキャラクターのほんの僅かな動きを逃さず、繊細な動画を得意とし、どんな動きにも暖かい柔らかさを与える作家である。細かい話をすると、手の動き、脚の動きといった原画と原画の間の詰め指示をより丁寧に、ほんのちょっとの動きでもフォロスルーを与えることであの動きが実現できる<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">（頭では理解できていても、職人的な経験値が必要である）</font></font>。初の劇場映画の主導的な作画監督に抜擢された堀口悠紀子は、持ち前のセンスを最大限に増幅させて、映画の登場人物に生々しいまでの息吹を与えている。『映画けいおん！』が持っている不思議な温もりや優しいイメージは、現場スタッフの全ての力が合わさった結果だろう。<br />
前半の学校のシーン、家庭のシーンは色彩は特別テレビ版から変わった印象はないものの、どこか仄暗く、閉鎖した印象で描かれている。それが一変するのがロンドン旅行が始まってからだ。舞台がロンドンに移ってから、映像はこれでもかと賑やかに、華やかに、ディティールは線と色彩の洪水という勢いで描写されていく。いかにも「ロンドン旅行」というような観光地を巡っていくだけのものではなく、フェティッシュなレベルでロンドンへ行って目に付いた風景の一つ一つが取り上げられている。ただロンドンへ設定が移っただけではなく、違う空気を持った世界であるということがはっきりと意識されている。「ロンドンへ行く」という映像的な意義や差異が意識されているからこそ描き得たシーンである。<br />
ロンドンから帰って来た後の日常風景の描き方も注目すべきポイントだが――ここからは各々が自らの目で確かめるべきだろう。<br />
<br />
<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">劇場版のもう一つの注目どころは、エンディングの澪を主演に据えたＰＶだ。アイルランドを舞台にした映像集で、本編中ではあえて避けて描かれた唯たちの少女の部分が強調的に描かれている。少女の持つ儚さ、脆さ、屈折が詩的な映像のなかに描かれた美しい作品だ。テレビ版のエンディングより確実に高いクオリティで、尺も長く、それだけで一篇の映像として完成した作品だ。ＤＶＤ特典にテロップなし版が入っていることを期待したい。</font></font><br />
<br />
『けいおん！』は女性映画である。実写の世界ではまあまあ珍しくなくなった女性映画であるが、アニメとなると話は違ってくる。私はアニメーションのシリーズ、劇場映画、この両方で女性が監督したという前例を聞いたことがない。監督がたった一人女性、というわけではなく、脚本、キャラクターデザイン、その他、作画スタッフや衣装デザイン、色彩設計<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">（仕上げはもともと女性比率が高い）</font></font>、末端に至るまで女性比率が際立って多い作品である。だから『けいおん！』は単に女の子が主人公のアニメという以前に、女性が女の子を描いた作品と読み取るべきだろう。<br />
世界的な通年として、アニメーションの制作現場に女性は少ない。アニメーションの制作はひたすら厳しく、つらく、過酷なものである。しかも、日本ほど安定的な制作体制ができあがっている国は世界を探してもなかなか事例が見つからない。日本以外の場所では、アニメの企画が立てられてそれからスタッフが募集されるが、はじめからアニメーターを専門職をしている人は少ない。そんな業界に女性が立ち入ることは難しく、結果として男性比率が多く、アニメは男性目線になりがちである。<br />
しかし『けいおん！』は世界でも珍しい女性が主導になって制作されたアニメーションである。『けいおん！』の主人公、というかほとんどの登場人物は少女である。&ldquo;少女&rdquo;は古くから芸術家のモチーフとして描かれてきた対象である。特にアニメにおいては、執拗<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(169, 169, 169);">（病的？）</font></font>といっていいくらい、ある種の性的コンプレクスが少女像に刻印されてきた。<br />
この少女というモチーフを女性が女性の目線で描けばどうなるのか？　その回答ともいえるのが『けいおん！』の映画である。<br />
『けいおん！』で描かれた少女たちはとにかくも賑やかで、騒々しいといっていいくらいだ。いかにもかしこまった&ldquo;かわいい&rdquo;表情は作らず、いつも捻り、崩され、弾けている。記号的な&ldquo;かわいい&rdquo;の羅列はあえて避けられ、時に大げさに顔が崩され、鼻の穴が強調される。ふとすると、可愛いと感じられないのでは？　というくらい思い切った描かれかたをしているが、むしろそういう瞬間こそ『けいおん！』のキャラクターたちが魅力的に輝いている。背景にしっかりとした少女像にビジョンが一つのスタイルとして貫かれているからだろう。女性だからこそ描ける女性の&ldquo;かわいい&rdquo;と&ldquo;うつくしい&rdquo;。女性だからこそ描ける言葉のやりとりや、落書きの継ぎ足し。唯たちは他のどのアニメのキャラクターよりも魅力的で、愛らしく、少女らしさを持っている。<br />
芸術は嘘と真実の間をゆらゆらと行き交うものであるが、アニメはどんな手法よりもより深く嘘と真実の間を潜行していく。山田尚子監督はその実体と方法論を否定せず、真っ向から取り上げ、唯たちを描きこんでいく。よくありがちな、少女を冷たい彫刻のような、偶像としての&ldquo;ビショウジョ&rdquo;ではなく、より温もりをもった生命感あふれる&ldquo;女の子&rdquo;を描いた。だからこそ『けいおん！』は特別な作品でありえるのだ。<br />
これが『けいおん！』が静かに成しえていた革命の一つだ。<br />
<br />
<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">山田尚子監督といえば脚の描写である。フェティッシュなくらい脚を描写するものの、性的ないやらしさはまったくない。山田尚子は脚を描くことについて、次のように語る。「脚は一番素直に人が出るところだから。顔だとわざとらしい。脚には理性が働かないから」（けいおん！！ＤＶＤ第８巻音声解説より）。脚から人格を描く――いったいどうやって発見したかわからないが、人間の描き方に独自の個性や方法論を持ちえている時点で、すでに立派な自立した監督である。</font></font><br />
<br />
『映画けいおん！』の公開に向けて、あらゆる場所で『けいおん！』が盛り上がりを見せた。ローソンでは繰り返しタイアップ商品が販売され、デニーズでは『けいおん！』を題材にしたメニューが登場、叡山電鉄にラッピングカーが出現、ルミネエスト、ユニバーサルジャパンで『けいおん！』テーマのイベント。ある日書店へ行くと、多くの雑誌が『けいおん！』を表紙に取り上げ特集をしていて驚かされた。まさに「市場が求めているからこそ」の広がりである。<br />
実は『けいおん！』がいつの間にか達成した&ldquo;革命&rdquo;は女性映画という一点だけではない。《宣伝》という部分においても、『けいおん！』は革命的であった。<br />
『けいおん！』は全国１３０館という規模で公開される。この１３０館という数字は、通常ジブリアニメやドラえもんでしかありえなかった数字である。しかし深夜発のアニメが、全国１３０館規模の映画に成長しているのである。しかも、出演キャストがすべてアニメ専門の声優が担当している。<br />
ほとんどの劇場化されるアニメは、プロの声優は広告の後ろに回され、中心に立つのは声優経験のまったくない、知名度のみが優先された素人である。場合によっては、テレビ版のキャストが全て一新され、全員が素人に変更されるといった事例もある。そうでない場合でも、無理矢理でも&ldquo;ナゾの新キャラクター&rdquo;なるものが突っ込まれ、そこにやはり知名度優先の芸能人が起用される<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">（それで最近になって徐々に知れ渡るようになったのは、実写俳優の演技力のなさだ。アニメで描かれた作品が実写化すると、実写俳優の演技力の低さが哀れにすら思えてくる）</font></font>。『けいおん！』の劇場版はおそらく京都アニメが制作費の一部を出資しているから、ある程度の純度が守られたのだろう。もしテレビ主導で『映画けいおん！』が制作されたら、ＡＫ４８や韓国アイドルが豊崎愛生に代わって唯たちに声を当てていた可能性だってある。まさか、と思うが、『劇場版シンプソンズ』という実例もある<font style="font-size:x-small;"><font style="color: rgb(128, 128, 128);">（「いや、そんな&hellip;」と思うかもしれないが、テレビはそういうことを<font style="font-size:small;"><strong>「やらかす」</strong></font>のである）</font></font>。<br />
私は個人的に、アニメ映画に素人を採用するという《宣伝方法》に疑問を感じていた。映画は大きな予算を掛けて制作される。だからより多くの人に拡散される必要があるから、知名度優先の素人が採用される<font style="color:#808080;"><font style="font-size: x-small;">（これにはアニメの宿命的&ldquo;広告下手&rdquo;が災いしている。ほとんどのアニメ映画は、完成してから映画雑誌の公開スケジュール表の隅っこに載っているのを見かけて、初めてそれが制作されていることを知る、といった状況である。アニメの製作者は、まず《宣伝》について考えるべきである）</font></font>。確かにそれで映画製作発表などをやると、普段アニメとは接点のない記者が一杯押し寄せてきて、一見注目されているかのような雰囲気が作られる。しかし、果たしてその背後にお客さんはついて来ているのだろうか？　朝や昼のニュースショーを見ると、映画の情報はせいぜいタイトル名が告げられるだけで、あらすじの紹介もなし、映像もなし。話題の中心は「あの熱愛報道について教えてください！」といったものばかりである。果たしてあんな取り上げられ方で本当に《宣伝》になっているのか？　とても伝わっているとは思えない。宣伝の効果が怪しいのに、作品のクオリティを犠牲にしてまで素人を起用する理由がわからない。<br />
だが、『けいおん！』はその宣伝の規模の大きさにも関わらず、作品としての&ldquo;純度&rdquo;が完璧に守られた実に珍しいケースであり、『けいおん！』の後に道が続いていけばいいと思っている。<br />
<br />
とはいえ、懸念要素がないわけではない。かつて「社会現象」と称されたアニメーションは多くあるものの、実際にはそれほど規模の大きなものではなかった。例えば『宇宙戦艦ヤマト』や『風の谷のナウシカ』いずれも封切り最初には長い行列ができたものの、３日目には途切れた。他の多くのアニメ映画でも共通して、３日目には客足が途絶えている。アニメーションはどんなに社会現象と呼ばれようとも、ユーザーの規模は限定されている。純度の高い宣伝方法、制作方法では、予算の回収すら難しいのが現実だ。昨今はアニメ鑑賞者は増えてたと言われているものの、それも漠然とした印象での話でしかない。果たして『けいおん！』は３日目で途絶えてしまうのか？　アニメの宣伝方法における道筋を作るためにも、アニメの純度を守るためにも、成功することを願う。<br />
<font style="color:#808080;"><font style="font-size: x-small;">（『けいおん！』人気の影で、大きな歪もあった。『映画けいおん！』の公開直前、豊崎愛生にストーカーが付きまとい、その私生活がとあるブログ上で暴露された。憶測の域を出ない話だが、背後にいるのは韓国とその関係者ではないか、という。豊崎愛生をつきまとったストーカーは、誰もが想像するとおり素人ではないだろう。何かしらの情報に長けたプロと見て間違いない。では、声優を貶めて得すのは誰か？　アニメ人気を妬ましいと思っていたのは誰か？　その種のプロを雇えるのは誰か？　さんざごり押ししたのにも関わらず、思ったほど浸透しない韓流。対して、ろくな広告もしていないのに大人気の深夜アニメ、その代表格である『けいおん！』。条件を当てはめていくと、韓国とその周辺に関係している人たちによる工作活動、という憶測がぴったりくる。もっと条件を絞り込めれば、具体的な誰か、どの集団かまで特定可能だろう）</font></font><br />
<br />
劇場版『けいおん！』はテレビシリーズは主流とする傍流である。テレビシリーズで説明不足になっていた様々な場面を丁寧に取り上げ、補完するための「もう一つのけいおん！」である。しかしそれでいて、いかにも「番外編映画」ではなく、限りなく純度の高い『けいおん！』である。脇道をひたすら突き進む映画だが、第２３話『放課後！』での律の台詞にあるように、「人生の無駄遣い」というのが『けいおん！』の本質である。どこまでも疑いなく脇道に突っ走る、瑞々しい輝きを込めた無駄遣いである。唯たちはいっそ、&ldquo;風速&rdquo;と呼ぶべき勢いで、桜高の３年間を、あるいは２００９年から２０１１年という期間の日本を猛烈な勢いで駆け抜けていった。『映画けいおん！』は壮大な脇道の結晶のような映画だが、最高の『けいおん！』だった。<br />
『映画けいおん！』はより純度を高めた『けいおん！』である。そこに描かれるのは特定の時代を描き出した&ldquo;かつて&rdquo;ではない。『けいおん！』はノスタルジーではなく&ldquo;今&rdquo;だ。全力疾走で生きている唯たちの&ldquo;今&rdquo;が描かれているのが『けいおん！』だ。山田尚子監督は、唯たちの&ldquo;今&rdquo;という瞬間を、永遠のフィルムの中に閉じ込め、何よりも美しい芸術作品にした。<br />
この作品は、『けいおん！』という作品とキャラクターに対する&ldquo;愛&rdquo;に向けられた贈り物である。<br />
<br />
作品データ<br />
監督：山田尚子　原作：かきふらい<br />
脚本：吉田玲子　キャラクターデザイン・総作画監督：堀口悠紀子<br />
レイアウト監修：木上益治　楽器設定・楽器作監：高橋博行　絵コンテ：山田尚子・石原立也<br />
色彩設計：竹田明代　美術監督：田村せいき　美術監督補佐：田峰育子<br />
撮影監督：山本倫　撮影監督補佐：植田弘貴　３ＤＣＧ：梅津哲郎　柴田祐司<br />
音響監督：鶴岡陽太　音楽プロデューサー：小森茂生　礒山敦　岡本真梨子　音楽：白石元<br />
出演：<br />
平沢唯／豊崎愛生<br />
秋山澪／日笠陽子<br />
田井中律／佐藤聡美<br />
琴吹紬／寿美菜子<br />
中野梓／竹達彩奈<br />
真田アサミ　東藤知夏　米沢円　永田依子　中村千絵　浅川悠<br />
中尾衣里　中村知子　ＭＡＫＯ　片岡あづさ　北村妙子　平野妹<br />
<br />
<div style="text-align: right;">
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<br />
<div style="text-align: center;">
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<br />
]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/796/</link>
			<pubDate>Tue, 06 Dec 2011 01:13:09 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>かってに改蔵　下巻</title>
			<description>
			<![CDATA[久米田康治作品は、久米田康治自身の個人史である。<br />
ほとんどの創作は、その創作について語られる時、物語やキャラクター、あるいは背景に流れるその当時の社会情勢などが中心に語られる。物語やキャラクター、当時の社会情勢、意識などが充分に解説され解釈を加えられ、それから&ldquo;憶測&rdquo;として作者の深層心理が考察される。作者がどうしてその場面を描いたのか、作者はどんな社会に接地して、どんな情報に精通し、どんな判断で題材を選択したのか。そうした諸々の断片をパズルのように組み合わせて、批評家は作家の人物像を作り出すのである。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/0/60a04a48.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (1)" border="0" class="pict" height="341" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/0/60a04a48-s.jpg" width="349" /></a>しかし久米田康治の創作は例外的である。なぜならば、久米田康治作品は、直接久米田康治自身について語っているからである。<br />
久米田康治がどんな意識でその時代の現象に接し、漫画に取り入れようとしたのか。久米田康治が何を好み、何を嫌い、何を尊敬したのか――。そうした心理的なあらゆる傾向が、何もかも包み隠されず漫画の中で描かれ、キャラクターの口から直裁的に語られ、あるいは批評的に描写された。だから久米田康治作品は、久米田康治自身以外の何物でもない。作者自身の心理的な過程そのものが刻印されている。<br />
『かってに改蔵』のＤＶＤシリーズは、久米田康治のおよそ１０年にわたる創作の過程を超特急で追いかけようという特殊な企画である。久米田康治のキャラクターの描き方や漫画のスタイルの変化。通常のシリーズ作品であれば、視聴者の混乱を避けてある程度の作家の変化やムラは刈り取られ、平均的な部分のみがピックアップされてアニメーションというメディアに落とし込んでいくのだが、『かってに改蔵』はむしろ変化の自体を克明に、ダイジェストとして描き、『さよなら絶望先生』へと続く久米田康治の作家としての過程を描いている。『かってに改蔵』の原作における作品スタイルがすでに『さよなら絶望先生』に近い形式を持っているために、『かってに改蔵　下巻』ではカット割りや箇条書きの出し方、擬音を女性声優でなぞるやり方まで、何もかもが『さよなら絶望先生』方式で描かれている。<br />
『かってに改蔵』のＤＶＤシリーズは、久米田康治という人物の過程を描き出した、極めて特殊な形態の&ldquo;伝記&rdquo;であるという見方もできる。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/0/b0d6fa3e.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　３巻 (14)" border="0" class="pict" height="81" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/0/b0d6fa3e-s.jpg" width="149" /></a><span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">前回『かってに改蔵　中巻』の記事を読んだ人は僅か数人&hellip;&hellip;１０人にも満たない人数だった。繰り返すが、１０人を越えなかった。本当にこのＤＶＤシリーズは売れたのだろうか、と心配になる数字である。『かってに改蔵』ＤＶＤの売れ行きが『さよなら絶望先生』のアニメ４期が断念された背景と関係しているのではないだろうか。</span><br />
<br />
しかし、『かってに改蔵』の全シリーズをあまりにも端的にかいつまんで映像化されてしまったために、一見様にはあまりにも不親切な内容になってしまっている。原作では変化の過程が１週ごとに丹念に描かれてきたが、アニメではその過程がざっくり切り落として映像化してしまったために、熱心な原作読者でない限り、わかりづらい作品になってしまった<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（一度読んだことがある、という読者でも「？」な部分がたくさんあるだろう）</span>。<br />
『かってに改蔵』は確かに１話完結のギャグ漫画であるが、その内容でやらかした多くの事件や現象はデフォルトされずに持ち越され、それがシリーズ全体における変化になっている。キャラクターなどはその一つで、ＤＶＤシリーズ上巻と下巻では同じキャラクターでも性格や描き方がまるっきり変わってしまっている。名取羽美の猟奇的な性格に変化したのはあまりにも有名であるが、実際には主人公である勝改蔵も随分違うキャラクターに変わった。坪内地丹などは、もはや人間以外の何かである。<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（地丹は変化の大きなキャラクターだったため、アニメ版では前半後半で設定が２パターン作られている）</span><br />
この変化は中心的なキャラクターだけに留まらず、多くのサブキャラクターたちにも影響を与えている。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/9/092e0ed5.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (10)" border="0" class="pict" height="133" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/0/9/092e0ed5-s.jpg" width="199" /></a>そのうちの一つを見てみると、『かってに改蔵　下巻』の第６話Ｂパートにおいて唐突に登場する色黒の少年である。あの少年は坪内地丹の弟・砂丹である。地丹の弟は第１巻では地丹そっくりの肌の色が違うだけのキャラクターだったが、愛蔵版第１０巻第１４話２２６ページに再登場したとき、まるっきり別人のさやわかイケメンとして描きなおされた。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/9/c9624bd8.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　３巻 (11)" border="0" class="pict" height="308" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/9/c9624bd8-s.jpg" width="200" /></a>また地丹の妹・牡丹もやはり当初地丹そっくりなキャラクターとして描かれていたが、愛蔵版第１１巻第８話１２５ページにおいて再登場したとき、恥ずかがり屋のメガネっ子キャラとして設定が変更されていた。『かってに改蔵』には女の子キャラはまあまあいるのに、メガネキャラがいないという事態のために急遽書き改められたキャラクターである。<br />
アニメ『かってに改蔵　下巻』の第５話Ｂパートで、山田さんが学園から立ち去るエピソードが描かれているが、実はこれ、次エピソードのための壮大なフリなのである。原作では「さよなら山田さん」の次に「帰ってきた山田さん」が描かれ、「感動的に去ったと思ったら、すぐに帰ってきた」という笑いになっているのである。<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/5/25acd51e.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (3)" border="0" class="pict" height="108" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/5/25acd51e-s.jpg" width="198" /></a>しかしアニメ版では、フリだけでオチが描かれず、ギャグ漫画らしくない不思議な後味で終わってしまった。アニメ版６話Ｂパートの背景にちらっと登場するのは、「原作では帰ってきたから」である。<br />
ちなみにこの山田さんにちなんだエピソードは<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（原作では）</span>この後しばらく続くことになり、山田さんの名前はじわじわと蝕まれてそのうちに山口さんに変わり、実はギャグ漫画の背景で、<strike>山田さん</strike>山口さんと砂丹の２人が悪と戦うバトル展開が描かれていたという事実が明らかになる。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/2/328a0b93.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (4)" border="0" class="pict" height="108" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/2/328a0b93-s.jpg" width="198" /></a>アニメ版第６話Ａパートでは、地丹がなぜか奇妙なぬいぐるみ姿で登場する。原作を見ると、愛蔵版第１２巻第４話６４ページで無理矢理着ぐるみを着せられ縫い付けられるシーンが描かれている。それきり脱ぐことができなくなり、次のエピソードでもあの格好のままだった、というわけなのである。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/c/6c56c4b3.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　３巻 (13)" border="0" class="pict" height="327" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/c/6c56c4b3-s.jpg" width="200" /></a>アニメ版第６話Ｂパート<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/5/d5fcace6.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (2)" border="0" class="pict" height="108" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/5/d5fcace6-s.jpg" width="198" /></a>で、名取羽美に生贄にされている少女が登場する。このキャラクターが最初に登場したのは愛蔵版第１２巻第７話１１６ページである。名取羽美に対する恐怖のあまり、名取羽美の信者になってしまった少女である。その後何度か登場するものの、最後までキャラクター名は与えられなかった。<br />
また、名取羽美は勝改蔵と同棲している。同棲が始まったのは愛蔵版第９巻第３話５０ページからである。「勝」の表札の上に、「名取」の名前が貼り付けられてあるのは、そういう理由である。<br />
泊亜留美もアニメでは一度だけしか登場せず、どんなキャラクターなのかわかりにくい。泊亜留美は地丹の後輩で、地丹が片思いをしてストーカーし続けていた相手である。『かってに改蔵』はキャラクターが年を取らない設定の漫画だが、泊亜留美だけは順調に年を取る設定で、初登場時は中学生、次に高校１年生になり、間もなく改蔵たちと同じ高校２年生に、最後には高校３年生になり改蔵たちより上級生になった。アニメ版に登場する泊亜留美は、すでに改蔵たちより一つ上の学年になっている設定である。<br />
最後に、下巻に入り、またしても中巻とは違うキャラクターの描き方が試みられている。ちょっと見て明らかに違うのは瞳の描き方だ。中巻では瞳孔の黒を中心に置き、周辺に向かって何重かのグラデーションを作る方法で描かれている。下巻では、瞳孔の黒を中心に置き、中心地点より上をＢＬブラック、下部分のみに明るい色が使われるようになった。<br />
原作を改めて確かめると、愛蔵版第１１巻第１９話でようやくこの描き方で定着したようだ。その以前のエピソードでもこの瞳の描かれ方は何度も試みられているが、移行期間と見られるエピソードがしばらく続いている。最初に瞳の描かれ方が変わったのは、おそらく愛蔵版第１１巻第１２話１８２ページ１コマ目の改蔵のクローズアップショットだろう。その後、徐々に瞳の描かれ方は新しいやり方に変わって行き、第１９話で完全に以降完了したようだ。<br />
ざっくりとした説明だが、『かってに改蔵　下巻』はこれだけの解説を前に置かないとわかりづらい作品である、と了解したほうが良いだろう。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/c/3c920486.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　３巻 (15)" border="0" class="pict" height="81" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/c/3c920486-s.jpg" width="149" /></a><span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">モブキャラとして出演し続けた新谷良子。『かってに改蔵　下巻』に入り、ついに名前のある役名を獲得したようだ。改蔵のクラスメイトである「しえちゃん」がそれだ。しえちゃんは原作初期から一応登場していたが、いつの間にか名前が与えられ、独立していたキャラクターに成長した。作品と同じように、新谷良子もそれなりの場所に着地したようである。</span><br />
<br />
第５話　バックトゥザＴＯＲＡＵＭＡ<br />
Ａパート・イノセントワールド　<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（愛蔵版第１０巻第１９話より／冒頭シーン愛蔵版第６巻第８話より）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/6/36ec6b64.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (5)" border="0" class="pict" height="163" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/6/36ec6b64-s.jpg" width="300" /></a>名取羽美は自転車を押して歩きながら、街の建物を見ていた。ふと商店街の一角が切り崩され、鉄骨むき出しの構造物が組み立てられているのが目に付いた。安全第一のプレートが掲げられ、高い防壁に囲まれ、いま建設の真っ最中といった様子だ。<br />
「再開発か&hellip;&hellip;」<br />
ぼんやりと黄昏れるように言葉を漏らす。<br />
「どうかしたの」<br />
一緒に歩いていた彩園すずが尋ねる。<br />
「昔ここらへん古い商店街があって、私たちの遊び場だったんです」<br />
――それは昭和３０年代頃の話。戦後の闇市を辛うじて抜け出せた商店街は、その時代ではそこそこの治安を維持し、人が多く行き交う活気に満ちた場所になっていた。ショウウインドウには新しい時代を象徴するようなテレビや洗濯機といった商品が並び始め、それが大量消費時代の幕開けを予感させていた&hellip;&hellip;。<br />
「まだ生まれてないっつーの！　ダメよ、某長期連載ポリス漫画のマネしよーたって」<br />
もとい、せいぜい９０年代。この辺りは子供たちの格好の遊び場だった。<br />
「懐かしいなぁ」<br />
「どんな遊びするの？」<br />
過去の思い出に浸り始める羽美に、すずが尋ねる。<br />
「めちゃぶつけとか交差点ベースボールとか、けっこう危ないことして親や先生に禁止されたっけ&hellip;&hellip;」<br />
そんなふうに思い出しながら歩いていると、前方を少し行ったところに改蔵が歩いているのに気付いた。辺りを警戒するようにきょろきょろしながら、こそこそと商店街脇の路地へと忍び込んでいく。<br />
何か怪しい。名取羽美と彩園すずの２人は改蔵の後をついて行くことにした。改蔵はやがて、いかにも怪しい雰囲気を孕んだ、重そうな鉄扉の向う側へと入っていく。その向うは&ldquo;禁止された遊び&rdquo;を懐かしむ場所だった&hellip;&hellip;。<br />
<br />
Ｂパート・サヨナラ山田サン　<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（愛蔵版第１１巻第１３話より）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/7/278e4adc.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (6)" border="0" class="pict" height="163" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/7/278e4adc-s.jpg" width="300" /></a>「山田さんのためにカンパしてください」<br />
改蔵が安っぽい箱を手に、クラスの一同に呼びかける。箱には「カンパ箱」と書かれた紙がセロテープでいかにも即席という感じに貼り付けられている。<br />
「か、カンパって、まさか&hellip;&hellip;」<br />
しえちゃんが声を震わせながら尋ねる。他のクラスの女の子も、青ざめたり汗を浮かべたりして改蔵を見ていた。<br />
「今まで気付かなかった僕の責任でもあるんです」<br />
突然に、名取羽美が改蔵を殴る。血が点々と散った。改蔵の体が横向きになって吹っ飛び、扉にぶつかった。<br />
紛らわしいが、&ldquo;例のアレ&rdquo;ではなかったようだ。<br />
改めて解説すると、山田さんが学費を払えないため、学校を辞めなくてはならなくなったそうだ。<br />
「いいの。私、学校を辞める」<br />
しかし山田さんの言葉に深刻な影はなく、かといって努めて明るさを装うわけでもなく、無感情にそう言った。<br />
実は山田さんには、もっと別の悩みがあった。山田さんには足りない物がある。<br />
とある漫画家には才能がなかった。とある経営者には決断力がなかった。とある政治家には愛国心がなかった。山田さんには&hellip;&hellip;人を好きなる心がなかった。<br />
<br />
Ｃパート・アル意味、貝ニナリタイ。　<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（愛蔵版第１４巻第１話より）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/d/8d29bdf5.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (7)" border="0" class="pict" height="163" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/d/8d29bdf5-s.jpg" width="300" /></a>それはとある冬の日のできごとだった。改蔵と羽美は、炬燵に体を潜り込ませながら、のんびりとテレビを見ていた。<br />
「独占中継！　おめでとうトニ・タワラちゃん！！　超豪華結婚披露宴！！」<br />
テレビの画面に大きなテロップが画面全面に現れる。それに続いて、披露宴の様子が映される。赤絨毯の上を、真っ白なウェンディングドレスを身にまとった女と、白スーツの男が手を組んでしずしずと歩いていく。<br />
そんな場面を見ながら。<br />
「ぷっ！　自分デザインのウェンディングドレスって&hellip;&hellip;！」<br />
改蔵がさっそく突っ込む。しかし汗を浮かべながら。<br />
「うそお！　８メートルのベールだってさ&hellip;&hellip;！」<br />
羽美も突っ込む。しかし言葉は震えている。<br />
「ウェンディングケーキが地球ってさあ&hellip;&hellip;」<br />
「本人たち出演の再現ドラマって&hellip;&hellip;」<br />
突っ込みはさらに続くが、発言のたびに勢いは弱くなり、ついに何も言えなくなってしまった。<br />
&hellip;&hellip;そこまでやられたら、もう何も言えません。<br />
何事も中途半端にすると叩かれたり悪口言われたりする。だったら徹底的な過剰さをそこに作り出してしまえば、もう誰も何も言わなくなるのではないだろうか。<br />
ハルウララ人気だってそうだ。５０～６０連敗なら駄馬だ駄馬だとからかわれるが、１００連敗もしたら、もう誰も文句言わない。むしろ応援すらしたくなるというもの。<br />
テストの点数だって、中途半端に悪い点数だから叱られる。全科目堂々の０点だったら、親も諦めてくれるのではないか。<br />
というわけで、ここにやりすぎて何も言われなくなった人たちがいる&hellip;&hellip;。<br />
<br />
第６話　孤独な女<br />
Ａパート・スレスレ★サーカス　<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（愛蔵版第１２巻第５話より）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/1/716ea9b8.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (8)" border="0" class="pict" height="163" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/1/716ea9b8-s.jpg" width="300" /></a>街にサーカスがやってきた！　広場に大きなテントが設置されて、人々が集まってくる。陽気なピエロが風船を配り、テントの周辺は賑やかな雑踏と笑顔で満たされていた。<br />
テントの中に入っていくと、すでに素晴らしい技の数々が披露されている。定番の玉乗り、ナイフでジャグリング、空中ブランコ&hellip;&hellip;。<br />
「すごーい！　すごーい！」<br />
観客席に座る名取羽美が、子供のように興奮して声を上げる。その隣に座る改蔵は、退屈そうにピエロたちの技を冷淡に見つめていた。<br />
次は細い綱の上を、一輪車が渡ろうとする。しかしその途上で、演者がふらふらとバランスを崩し始める。<br />
それに異様な興奮を見せる羽美。<br />
「しーっぱい！　しーっぱい！　しーっぱい！」<br />
突然立ち上がり、拳を振り上げて叫び始める。<br />
「やめてくださいお客さん！　縁起でもない！」<br />
ピエロが羽美の前に飛び出してくる。しかし羽美は、しばらく一人で「に・く・へ・ん！」コールを続けるのであった。<br />
という羽美は置いておいて、改蔵が鼻の先で嘲笑的な笑いを漏らした。<br />
「綱渡り感に欠けるんじゃないかなぁって」<br />
綱渡りというほど必要に迫られていない。本当の切迫感がそこに演出できていない。本当にギリギリスレスレの綱渡りとはどんなものなのか――改蔵はピエロをもう一つのサーカステントへと連れて行く。<br />
<br />
Ｂパート・近ゴロ、オヘソ出サナイネ。　<span style="color: rgb(153, 153, 153);">（愛蔵版第１４巻第１４話より）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/e/6e7f9006.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　３巻 (9)" border="0" class="pict" height="162" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/e/6e7f9006-s.jpg" width="298" /></a>勝改蔵は名取羽美をちらちら見ながら、胸をときめかせていた。ただし顔はこわばり、一杯の汗が浮かんでいる。<br />
「最近、羽美を見ていると、ドキドキしてしまうのです」<br />
改蔵は彩園すずに身の内を告白する。<br />
するとすずは、「あー」と感情のない言葉を長く漏らした。<br />
「それは恋ね」<br />
「恋！　そんな！　俺が羽美を好きになるなんて。どうなってしまったんだ俺！」<br />
改蔵は錯乱して部室を飛び出してしまった。<br />
ダットンのアロンの実験によるところの、感情の誤認識である。恐怖心からくる心臓のドキドキと、恋のドキドキと感情が勘違いする現象である。「吊り場理論」という言葉でよく知られているあの現象である。（Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ：<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8A%E3%82%8A%E6%A9%8B%E7%90%86%E8%AB%96" target="_blank">吊り橋理論</a>）<br />
それを知った羽美。<br />
「ついに改蔵が私のことを好きになったの？　私を見るとドキドキして堪らないと言うのね！」<br />
大喜びの羽美。しかし羽美は、より恐怖を与えると、そのぶん改蔵が自分を好きになってくれると解釈。そういうわけで、羽美による恐怖の虐殺と破壊が始まった&hellip;&hellip;。<br />
<br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/788/" target="_blank">かってに改蔵　上巻</a><br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/791/" target="_blank">かってに改蔵　中巻</a><br />
<br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/131/" target="_blank">さよなら絶望先生《本家》目次ページへ</a><br />
<br />
作品データ<br />
総監督：新房昭之　監督：龍輪直征　原作：久米田康治<br />
キャラクターデザイン：山村洋貴　メインアニメーター：岩崎安利<br />
美術監督：飯島寿治　伊藤和宏　ビジュアルエフェクト：酒井基　色彩設計：滝沢いづみ<br />
構成：東冨耶子　構成・脚本：高山カツヒコ　編集：関一彦<br />
撮影監督：江藤慎一郎　音響監督：亀山俊樹　音楽：川田瑠夏<br />
プロデューサー：宮本純乃介　アニメーションプロデューサー：久保田光俊<br />
オープニング主題歌：水木一郎と特撮　エンディング主題歌：新☆谷良子<br />
アニメーション制作：シャフト<br />
出演：櫻井孝宏　喜多村英梨　斉藤千和　豊崎愛生　堀江由衣<br />
<span style="color:#ffffff;">○</span>　　　　立木文彦　新谷良子　岩男潤子　永田依子　明坂聡美<br />
<span style="color:#ffffff;">○</span>　　　　小野友樹　千々和竜策　中國卓郎　矢澤りえか　ＭＡＥＤＡＸ<br />
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<br />
<div style="text-align: center;">
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<br />
]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/795/</link>
			<pubDate>Mon, 21 Nov 2011 07:27:16 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>さよなら絶望先生　第２７集</title>
			<description>
			<![CDATA[<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/9/e9eca308.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="絶望先生２７集 (1)" border="0" class="pict" height="369" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/9/e9eca308-s.jpg" width="250" /></a>映画化&ldquo;済&rdquo;作品！！<br />
いや、初耳だぞそれは。どうやら『劇場版魔法先生ネギま！』と『劇場版ハヤテのごとく！』の同時上映の合間に上映されたらしい。およそ３分の出オチ&hellip;&hellip;短編映画だったようだ。この劇場版は原作者も知らないうちに&hellip;&hellip;と添え書きがあるが？　もしかしたら、これが最後の絶望先生映像化作品になるかもしれない。いつかビデオになったら、ぜひ見てみたい作品だ。<br />
表紙絵に選ばれたのは糸色倫。いつものお尻見せポーズ、かと思いきや、堂々と正面を向いた立ち姿で、右手にチェロのネックを掴み、左手には弓が握られ、弓は添えられるようにチェロの玄に当てられている。表情は淡く頬を染めて微笑み、衣装は糸色倫にしては装飾の少ない標準的な和装袴姿で、髪に華をモチーフにした飾りが与えられている。<br />
わずかに右側にそらされた糸色倫のポーズに、左側から足元へ直線的に描かれたチェロとの組み合わせが、糸色倫とチェロというモチーフを重奏的に補強している。<br />
表紙を飾る順番がコミックス前半の背表紙の通りであるとすれば、次巻は大草麻菜実になるはずだ。「そろそろ完結するのでは？」と囁かれるこの作品であるが、全キャラクターが表紙を飾るまでもう少し続いてほしいところである<span style="font-size: x-small; color: rgb(102, 102, 102);">（予定では２９集は加賀愛が表紙を飾るはずなのだから）</span>。<br />
<br />
前巻までのあらすじ<br />
わたくし糸色流華道師範、糸色倫と申します。お花について皆さま、誤解があるようなので、一つ申し上げたい。「花言葉」あれ全部ウソ！　だって花が言葉を喋るわけないじゃない。おほほほ・・・・。でもね・・一度だけ聞いた事があるの。深夜に桔梗と撫子が話しているのを聞いた感じからだと、古代ワングル語に似ていて、とてもここでは言えないような悪巧みをしていたの。もう、怖いので花占いをしちゃいます。好き、嫌い、好き、嫌い・・好き・・嫌い・・好き・・殺す・・・・<br />
<br />
第２６１話　春は曙。やうやう難くなりゆくやめ際。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/2/32be4cff.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (2)" border="0" class="pict" height="408" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/2/32be4cff-s.jpg" width="250" /></a>「先生、この漫画いつやめるんですかね？」<br />
マガジンを読んでいる藤吉晴美が、とある漫画を糸色望に向けて尋ねる。その作品は不人気を通り越して、なぜ連載しているのか誰が読んでいるのか不明なのに関わらず、なぜかマガジン誌上で長期連載を続ける不思議作品であった。<br />
糸色望は表情を暗く沈ませて、うつむく。<br />
「読者も作者も編集者も、そろそろかなとは思ってはいるんですが&hellip;&hellip;やめるにも物凄くパワーがいるのです」<br />
伏線回収して着地点を決めて広げた風呂敷たたんでうんたらかんたら&hellip;&hellip;。しかもその漫画家は過去作品で、最終回で突然ギャグ漫画ではなくなり、読者を激しく困惑させボロクソに批判された前科を持っている。<br />
「これから熱くなり、体力的に厳しくなるので、涼しくなるまで待って頂きたいかな、と」<br />
望は弱々しい調子でいつもの言い訳を並べはじめた。<br />
「やめるのが難しい」そういうものは漫画だけではなく、様々な分野にその事例が見出せる。<br />
例えば部活の退部。退部理由を原稿用紙１００枚書かされた挙句、やっぱり受理されず続けることになったり。<br />
結婚もするよりやめるほうがよっぽど大変。ハンコ押させたり、法廷で有利な証拠集めたり<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（ていうか、大草さん離婚考えているんだ）</span>。<br />
原発もいざ止めようと思っても、何年も冷やし続けなくてはならなくて、やっぱり大変。<br />
やめるにやめられない&hellip;&hellip;だから仕方なく続けている。そういう人や事業、性癖の事例は世の中にはたくさんあるのだ。<br />
<br />
第２６２話　夜の霧<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/7/b759d6d2.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (8)" border="0" class="pict" height="425" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/7/b759d6d2-s.jpg" width="249" /></a>日塔奈美は朝から興奮状態だった。<br />
「本当に見たんだって！　小森ちゃんが外出しているの」<br />
そう言っている本人も、にわかに信じられないといった様子だった。<br />
いまいち説明にまとまりのない奈美の話を整理すると、昨日の夜、何かの気配に気付いて目を覚まして窓の外を覗くと、そこに毛布を体に巻いた髪の長い少女が歩いていたという。それはまさしく小森霧&hellip;&hellip;。<br />
しかしそんな話、狼少年のホラ吹きのように誰も信じない。なにせ小森霧は学校引きこもり。しかも全座蓮が認定した公認座敷童子で、もしも小森霧が学校から離れると、老朽化著しい学校が瞬く間に崩れ去ると言われている。だから小森霧が外に出るわけがなく、また出られるはずもないのだ。<br />
が、奈美の話に同意する少女がここに。<br />
「実は私も」<br />
と証拠写真を提示するのは小節あびる。写真に写っているのはまさしく小森霧。猫会議に同席しているらしく、深夜の猫に囲まれ、街灯のスポットライトを浴びている小森霧が映し出されていた。<br />
しかも――写真の中の小森霧は寝ているのだ。<br />
寝ている間は座敷童子としての業務から外され、学校も崩壊しないらしい。<br />
「これで小森ちゃんも、一緒に遠足行けるね！」<br />
というわけで急遽、真夜中の遠足へ向かうことになった。<br />
<br />
第２６３話　どーせ書生気質<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/8/b820c91c.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (9)" border="0" class="pict" height="413" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/8/b820c91c-s.jpg" width="250" /></a>風浦可符香が大きく体をそらして、東京タワーのてっぺんに目を凝らした。<br />
「先っぽ曲がったままだよね」<br />
東京タワーの一番上、網状に組み込まれた鉄骨の先に備え付けられたシャーペンの芯のような鉄の棒。これが、わずかに折れていた。<br />
「少しは元に戻したらしいですけど。機能的に支障がないのと、あの日の出来事を記憶に留めようとそのままにしてあるのでしょう」<br />
糸色望も東京タワーを見上げて答える。あの日&hellip;&hellip;それはつい先日発生したあの超巨大地震のことである。<br />
余震が来たらまた曲がっちゃうかもしれないから、落ち着くまでそのままにしている。それでそのまま、いつ元に戻していいのかタイミングが掴めない。<br />
「ああわかる。あの日、ウチの家具とかもだいぶ倒れたりしたんですけど&hellip;&hellip;」<br />
日塔奈美が同意の声を上げて頷く。また大きな余震が来るかもしれないから、家中のものを床置きにしたままにしている。で、そのままいつ元に戻すべきかタイミングがわからない。<br />
しかし、そんな状況に憤る少女がここに１人。<br />
「なんですぐ元に戻さないの！　そーゆうの一番イライラするの。」<br />
不満の声を上げるのは木津千里であった。<br />
そんなところにやってくる一旧さん。ドア半ばがわずかにへこんでいる。<br />
「いつも同じ場所をぶつけるんで、どーせまたぶつけるから直さないでいるんです」<br />
「すぐに直しなさいよ！」<br />
木津千里が運転席を覗き込んで怒りの声を上げる。<br />
そんな場所をふらりと横切るのは木津多祢。千里は油断なくその髪をひと房、さらっと指先で触れる。<br />
「髪がじっとりしている。昨夜、髪洗った？」<br />
「&hellip;&hellip;昨夜どころか。いや昨夜は洗ってないなぁ&hellip;&hellip;」<br />
多祢は冷や汗を掻きながら、何かごまかすように千里から目を逸らしている。<br />
「きったねー！　毎日洗いなさいよ」<br />
「パサパサになるだろ。毎日洗ったら」<br />
口論が始まる。<br />
どーせまた○○だから今やらなくてもいい&hellip;&hellip;。それはどこか人の怠慢さの真理を突いている。<br />
<br />
第２６４話　あひあひゞき<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/d/ad7f4462.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (24)" border="0" class="pict" height="394" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/d/ad7f4462-s.jpg" width="250" /></a>「やっぱり降ってきた。こんな日に傘持ってないなんて」<br />
加賀愛が空を見上げる。どんより曇った雲が、ぱらぱらと緩やかな雨を降らせようとしている。<br />
帰宅の足を早めようとする加賀愛だったが、ふと通り過ぎようとした古道具屋に、雅やかな和傘が置かれているのに気付いた。<br />
欲しいかも&hellip;&hellip;。加賀愛は雨で必要という事情を差し置いて、その和傘に何ともいえない魅力を感じた。加賀愛は思い切って古道具屋ののれんをくぐり、和傘を手に入れた。<br />
で、その翌日の教室。<br />
教室の中なのに関わらず、和傘を広げて手に持っている加賀愛がいた。<br />
「んー」<br />
糸色望はしばらく考えるような顔をしたが、そのうち諦めたように背を向けた。<br />
「何で、突っ込まないんですか？」<br />
木津千里が冷静に尋ねる。<br />
「いや、まあ&hellip;&hellip;。いろいろ事情があるんでしょう」<br />
望は他人事を決め込んだようだ。<br />
どうやらその和傘が加賀愛の手から離れなくなったようだ。しかももし畳もうとすると、ガラスが割れたり誰かが失神してしまったり。<br />
「間違いない。その傘。呪われている。」<br />
千里がビシッと指をさして断定する。<br />
呪われた傘を供養するためには、相思相愛の人と相合傘をしなくてはならないらしい。しかし加賀愛の想い人っていったい&hellip;&hellip;誰？<br />
<br />
第２６５話　あめれおん日記<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/b/2b3b2be8.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (11)" border="0" class="pict" height="401" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/b/2b3b2be8-s.jpg" width="250" /></a>雨が降っていた。屋敷の窓は雨滴をいくつも浮かべ、外の風景は白く溶け始めていた。<br />
糸色望は深刻そうな顔をして、そこに並ぶ少女たちを振り返る。<br />
「この中に雨女がいます！」<br />
まるで推理小説のクライマックスよろしく指をさしながら叫ぶ。<br />
「はい、私雨&hellip;&hellip;」<br />
日塔奈美がここぞと手を挙げてアピールしようとするが、<br />
「梅雨だからでしょ。」<br />
木津千里が当り前のように言う。<br />
「はいはい私が&hellip;&hellip;」<br />
日塔奈美がそれでも手を挙げようと割り込もうとするが、<br />
「梅雨だからでしょ」<br />
小節あびるがしれっと遮る。<br />
「そうですね。梅雨だからですね」<br />
糸色望が窓の外を顔を戻す。その顔に灰色の光が差し込んだ。<br />
「私が雨女です！」<br />
奈美が自分を指差し、声を上げる。<br />
ようやく一同が奈美を注目する。しかしその顔はどれも無表情で信頼はどこにもない。<br />
「証明、できます？」<br />
雨が降っているのは梅雨だから。たとえ奈美が雨女であってそう主張していたとしても、梅雨ではその性質が埋没してしまう。<br />
どんな物事も、時と場合によって埋没してしまうことがしばしばある。梅雨の梅雨女のごとく。<br />
不登校も、夏休みには埋没してしまう。<br />
露出狂も、脱衣場では埋没してしまう。<br />
ロリコンも、平安時代では埋没してしまう。<br />
どうやらこれを機会に、奈美は「雨女キャラ」として売り出そうと目論んでいたようだ。しかしこの梅雨の時期&hellip;&hellip;。<br />
「見て、新聞の折り込みチラシにこんなものが」<br />
風浦可符香が一枚のチラシを奈美に差し出す。チラシには「雨女募集」の文字が大きく書かれていた。<br />
<br />
第２６６話　笹の上のメモ<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/c/fc8ac315.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (13)" border="0" class="pict" height="407" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/c/fc8ac315-s.jpg" width="250" /></a>七夕の夜。糸色望と風浦可符香が願い事を一杯吊るした笹を見上げていた。<br />
「ここの笹って願い事が叶うって評判なんですよ」<br />
可符香が穏やかな口調で望に伝える。<br />
「節電でいつもより星がたくさん見えるから、願いが届きやすいのかもしれませんね」<br />
望は笹の向うに見える星空に目を向けた。夜空は星が明るく瞬いている。天の川らしき星屑の筋が夜空を横切っているのが見えた。<br />
「やばいやばい！」<br />
夜の静けさを打ち破るように、少年がばたばたと駆けてきた。<br />
「覚えなきゃ覚えなきゃ。こんなことでは有名中学に受からない！」<br />
少年は単語帳を見つめながら、大急ぎでその場所を駆け抜けようとした。<br />
が、<br />
どーん！<br />
糸色望とぶつかってしまう。単語帳と短冊がばらばらに交じり合って周辺に散ってしまった。少年は「早く覚えなきゃ！」と地面に散った色んなものを集め始める。糸色望も、地面に落ちてしまった短冊を元に戻そうとひろい集めようとする。しかし、少年も望もどうやら酷く近眼な性質らしく&hellip;&hellip;。<br />
ふと、街頭テレビの声が耳に入ってくる。<br />
「ここで臨時ニュースをお伝えします。フランスで革命が発生しました」<br />
まさか&hellip;&hellip;！　糸色望はさっき自分が集めた短冊を確かめた。するとそこに、「フランス革命」と書かれた単語帳が。単語帳はそれだけではなく、笹に一杯吊るされていた。<br />
願い事が叶いやすいと評判の笹。早く回収しないと&hellip;&hellip;。でも異様に成長の早い笹で、早くも望の手の届かないところへ育ってしまった。<br />
<br />
第２６７話　節電中の日本より<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/3/a3103f7f.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (16)" border="0" class="pict" height="412" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/3/a3103f7f-s.jpg" width="250" /></a>暑い&hellip;&hellip;。ぎらぎらと突き刺すような熱線は、校舎の内部の温度も容赦なく引き上げさせる。糸色望は暑さにぐったり顔を落としながら廊下を歩いていた。<br />
と、<br />
「節笑中」<br />
そう書かれた紙が掲示板に貼り付けられていた。<br />
「理由があります。笑いは、節電によくないんです」<br />
説明するのは木津千里。<br />
笑いは節電に良くない。それは科学的に認められた事実である。よく、怪談で背筋が寒くなるという。あれは血管が収縮して血行が悪くなるから冷えるのである。それと逆で、笑うと血行がよくなり、体が温まり、結果クーラーを多く使用してしまう。<br />
「つまりギャグ漫画は、節電に不向き」<br />
小節あびるが千里の台詞を引き継ぐように言った。<br />
とにかく笑いは節電の精神を矛盾するので、<br />
「絶対に笑わせてはいけない　絶望先生」<br />
しかし、それを見た風浦可符香は、<br />
「ん。通常通り」<br />
<br />
第２６８話　ペイの拡充（欠番）<br />
盗作が指摘されたため、単行本には収録されず。<br />
<br />
第２６９話　浦田未更新曲<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/4/c435f5a0.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (17)" border="0" class="pict" height="407" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/c/4/c435f5a0-s.jpg" width="250" /></a>糸色望はパナマハットを被り、古い趣を残す蔵井沢の町を歩いていた。<br />
「地元の町は久し振りですね。ああ、佐々木のおばさん」<br />
望が懐かしそうに辺りを見回していると、ふと幼い頃の知り合いであるおばさんがいるのに気付いて挨拶をした。<br />
「おや久し振り。のんちゃん」<br />
望はしばらくおばさんとあれこれ話をして、その場を去った。<br />
それからまた歩いていると、昔の友人がベンチに座っているのに気付いた。<br />
「あ、久し振りだなぁ、ゾムゾム」<br />
望はしばらく友人とあれこれ話して、その場を去った。<br />
「「ゾムゾム」って？」<br />
望の後ろを歩いていた常月まといが尋ねる。<br />
「昔のあだ名です。しかもほんの一時期。小五の一学期だけとかそんな。みんなお互いをそんな感じの呼び方するのが流行ったんです」<br />
ちなみにさっきの友人はひろし君といって、「ピロピロ」と呼ばれていた。<br />
地元に戻ると、人の会話で気付かされる。自分に対する情報の古さに！　夏休みの帰郷。それは未更新の自分に会える時である。<br />
<br />
第２７０話　代理の子<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/c/dce7029b.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (19)" border="0" class="pict" height="402" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/c/dce7029b-s.jpg" width="250" /></a>糸色望が実家の屋敷の中で、のんびりと本を読んでいた。あたりは人の気配もなく、静寂そのもの。<br />
そこに、旧式の黒電話が騒がしく音を鳴らす。<br />
「はい」<br />
望は受話器を手に取った。<br />
「寄付しろ。金持ちは寄付しろ」<br />
電話はそれだけで切れてしまった。後にはツーと無味乾燥な音が続く。<br />
この頃、糸色家にその手の匿名電話が頻繁にかかっていた。「寄付しろ」や「節電しろ」「消費しろ」といった要求である。<br />
無権代理。&ldquo;スラックティビスム&rdquo;である。自分では何も社会活動しないけど、他人に進言し活動させることで、自分も社会に対して何か活動した、あるいは参加したつもりになることである。無権代理は、本人でもないのに勝手に当事者のように振舞うことである。（Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ&rarr;<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%93%E3%82%BA%E3%83%A0" target="_blank">スラックティビズム</a>）（Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ&rarr;<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%A8%A9%E4%BB%A3%E7%90%86" target="_blank">無権代理</a>）<br />
例えば、わざわざ遠い県からやってきて、その土地の者のように反対運動に参加したり。<br />
公園なのに、花見をするのに自分のものであるかのように場所代を請求したり。<br />
勝手に網を捕獲して、魚を逃がしたり。<br />
<br />
第２７１話　能動とは何か<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/f/df497d5c.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="絶望先生２７集 (21)" border="0" class="pict" height="430" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/d/f/df497d5c-s.jpg" width="250" /></a>糸色家のとある一室に、いかめしく装飾が散りばめられた椅子が置かれ、その椅子に時田が堂々と座っていた。その時田の前で、糸色望と倫が正装で畏まって立っている。<br />
「何なりと申し付けください」<br />
望と倫はうやうやしく頭を下げた。<br />
緊張した沈黙が、両者の間を流れた。<br />
「ちょっとお止め下さい。何なのですか、コレは？」<br />
時田がわずかに腰を上げて、望を止めるように手を伸ばした。<br />
前回までのあらすじ&hellip;&hellip;。実は糸色家の正式な後継者は時田であった。現在の糸色家こそ、影武者であったのだ。その事実がいつの間にか忘れられていたが、前回初めて明らかになったため、本来の上下関係に戻したのだ。<br />
「そうか&hellip;&hellip;。そこまで言うのなら仕方ない。長きにわたる隠密生活にピリオドを打ち、時田家が主として復権しようではないか！」<br />
時田は椅子にふんぞり返って尊大な笑い声をもらした。<br />
「では申し付ける！　今までのままで！！」<br />
というわけで、いつもの立場に戻った望たちであった。<br />
「なぜ復権を嫌がる？」<br />
望が尋ねる。<br />
「私は今の立場が好きなんですよ。人に命令するより、命令される立場が好きなのです。では」<br />
時田はいつもの淡々と調子で説明すると、頭を下げながら廊下に引っ込んだ。<br />
そこに、風浦可符香が待ち構えていた。<br />
「わかります時田さん。命令されるほうが主導権持っていることありますしね」<br />
例えばメイド喫茶でご主人が命令した気になっているけど、実際は命令させられている。<br />
自分は動かず、敵が動くように仕向ける。<br />
――以逸待労。兵法三十六計の第四計である。（Ｗｉｋｉｐｅｄｉａ&rarr;<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A5%E9%80%B8%E5%BE%85%E5%8A%B4" target="_blank">以逸待労</a>）<br />
先制攻撃を仕掛けたつもりが、わざと攻撃させられたり。<br />
ボールを支配しているつもりが、ボールを持たされていたり。<br />
ＳがＭに命令しているつもりが、実はＭがＳに命令させていたり。<br />
時として受身の側が主導権を持って状況を動かしている場合があるのだ。<br/>
<br/>
<br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/131/" target="_blank">さよなら絶望先生《本家》目次ページへ</a><br />
<br />
漫画・著作：久米田康治<br />
出版・編集：講談社<br />
連載・掲載：週刊少年マガジン<br />
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<br />
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<br />
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<br />
<br />]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/794/</link>
			<pubDate>Mon, 14 Nov 2011 03:06:48 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>侵略！　イカ娘　第１話＆作品解説</title>
			<description>
			<![CDATA[<div align="center">
	<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/d/ed79ea4e.jpg" target="_blank"><img alt="侵略！イカ娘０１話 (1)" border="0" class="pict" height="191" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/d/ed79ea4e-s.jpg" width="348" /></a></div>
<br />
あーーはっはっはっは！<br />
私はイカ娘でゲソッ！　私たちの住処である海を汚す人間どもを侵略し、平和を取り戻すために地上にやってきたでゲソ！<br />
私が来たからには、もういい加減なことは書かせないでゲソ。この変なブログは完全に私のものでゲソ。ここを拠点に、電脳世界は私が制圧するでゲソ！<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/a/8a483733.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="侵略！イカ娘０１話 (6)" border="0" class="pict" height="164" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/a/8a483733-s.jpg" width="299" /></a>アニメ第２期スタートの前に、これまでの成果を語るでゲソ。<br />
人間たちの悪しき振る舞いに怒りを覚えた私は、海での平和な生活を捨て地上に這い上がり、最初に目に付いた海の家「れもん」を侵略の拠点にしようと飛び込んだでゲソ。&hellip;&hellip;なのに気付けば「れもん」で働くことになっていたでゲソ。<br />
仕事のない時は栄子たちの家で過ごし、漫画を読んだり、セガのゲームで遊んだりしているでゲソ。たけるや清美は大切な友達でゲソ。千鶴は&hellip;&hellip;普段はいい人だけど、怒ると怖い人でゲソ。早苗は変な女でゲソ。一度早苗の部屋に監禁され、変な服を着せられ、恥ずかしい写真を一杯撮られたでゲソ。早苗は危険人物だから仲良くなりたくないでゲソ。シンディーは宇宙人の研究でなぜか日本の海水浴場に居座っている変な女でゲソ。<br />
私の周りにはこんな変なやつらばっかりだけど、私は負けないでゲソ。いつか人類を支配し、もとの美しい海を取り戻すでゲソ！<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/3/f321ba6b.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="侵略！イカ娘０１話 (2)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/3/f321ba6b-s.jpg" width="150" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">「侵略者」と自称しつつ、普段の活動は海水浴場のゴミを拾ったり&hellip;&hellip;悪いことはあまりできないでゲソ&hellip;&hellip;。いや、私は人間たちを倒すためなら、どんな極悪非道の手段をためらわず、この世界を煉獄の闇に変える覚悟はできているでゲソ！　例えば&hellip;&hellip;ピンポンダッシュとか&hellip;&hellip;。やっぱり千鶴が怒ると怖いから、おとなしくしているでゲソ。</font></font><br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/0/105ecfb3.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="侵略！イカ娘０１話 (7)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/1/0/105ecfb3-s.jpg" width="299" /></a>もしかしたら何もしないで「れもん」で働いているだけに見えるかも知れないけど、侵略活動は着実に進行しているでゲソ。<br />
２０１０年に私の目覚しい活動の記録がテレビ放送されて以来、あらゆる作品やメディアに進出しているでゲソ。<br />
まずは人間界の学問の中心地である早稲田大学の学園祭を２度も侵略。池袋のナンジャタウンでは私をモチーフにしたメニューが作られているでゲソ。オンラインゲーム「トリックスター」でも私の侵略拠点が出現。「とある魔術の禁書目録」のイン&hellip;&hellip;なんだったでゲソ？　とにかく侵略してきたでゲソ。今ではカーペイントで私を取り上げるのは常識！　スタジオジブリの宮崎駿も「イカ娘」をお気に入り作品に挙げているでゲソ！<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（&larr;これは本当でゲソか？）</font></font>　私の口癖「～ゲソ」はネット流行語大賞銅賞を受賞しているでゲソ。　私の勢力は着実に人間世界に広まっていっているでゲソ。このまま突き進めば、世界侵略もきっと夢では終わらないでゲソ！<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/7/87dab470.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="侵略！イカ娘０１話 (3)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/7/87dab470-s.jpg" width="150" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">もちろん幕間のコマーシャルも私が完全に侵略済みでゲソ！　はじめて「ＣＭをスキップさせない」有効な手段を見たという感慨だったでゲソ。利権団体は一方的に自分たちの利益ばかり主張する前に、どうやったら飛ばさず見てもらえるか、もう少し考えたほうがいいでゲソ。</font></font><br />
<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/1/b1c81638.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="侵略！イカ娘０１話 (8)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/b/1/b1c81638-s.jpg" width="299" /></a>映像は海水浴場を舞台にしているので、砂浜と海の色彩が背景の中心となり、すっきりした映像に仕上がっているでゲソ。海水浴場を舞台にしているけど、中心的な人物の描写を除いてモブキャラは思い切って背景に追いやられ、映像の密度は最近の作品においては際立って低いでゲソ。ほとんどの背景が砂浜と海、空だけなので、ざっくりとした印象があるでゲソ。しかも登場するキャラクターは水着と海パンだけでも不自然にならないし、その以上に手を加える必要がないでゲソ。<br />
エンディングテロップを見てもわかるように、スタッフ構成も少人数。１つのエピソードに対して原画はたったの５人。第２原画を加えても１０人を越えないでゲソ。もしかすると、漫画の制作人数を同じくらいの少なさでゲソ。<br />
シンプルな映像構成でキャラクターが中心にクローズアップされるから、自然とキャラクターの動画と、その精度の高さのみに意識が集中できるでゲソ。もしかしたら、最近のアニメ作品において、もっとも経済効率のいい作品ともいえるでゲソ。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/8/98048836.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="侵略！イカ娘０１話 (4)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/9/8/98048836-s.jpg" width="150" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">ただ、エンディングの歩き動画はＤＶＤ／ブルーレイまでに書き直してほしいでゲソ。動画の７から原画の１へリピートする瞬間の動きがちゃんと繋がっていないでゲソ。上下動のある動きなのに、スカートの高さが変わらないのも不自然でゲソ。何度も繰り返される動画だから、もう少し大切に描いてほしかったでゲソ。</font></font><br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/0/301a8ed6.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="侵略！イカ娘０１話 (9)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/0/301a8ed6-s.jpg" width="299" /></a>また、『侵略！　イカ娘』の舞台は夏に限定されているため、それ以外の季節を描く必要がないでゲソ。来る日も来る日も延々夏が繰り返され、世界は夏に固定されてしまっているでゲソ。もっとも、季節をテーマにしたエピソードを描けないという弱点はあるし、夏以外のシーズンでは作品の雰囲気が現実世界と合わなくなるという弱点もあるでゲソ<font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">（「季節をテーマにしたエピソードを描けない」これは１話完結の日常を舞台にした作品としてはかなり致命的な弱点で、エピソードを練りこむのはかなり大変らしいでゲソ）</font></font>。<br />
永遠に夏の陽気さが続く作品&hellip;&hellip;それが『イカ娘』でゲソ！<br />
もしも私が「れもん」から去ると&hellip;&hellip;どうやら季節が動き出すらしいでゲソ。なんででゲソか？<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/f/efcd47e4.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="侵略！イカ娘０１話 (5)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/f/efcd47e4-s.jpg" width="150" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">秀逸なのが主演を勤めた金本寿子の演技でゲソ。文章にしてもややどころではない奇妙な「～ゲソ」喋りを決して浮き上がらず、自然な言葉の中に見事に取り込んでくれたでゲソ。<br />
&hellip;&hellip;って、私に中の人はいないでゲソー！</font></font><br />
<br />
<br />
世界侵略への道は遠く険しく、果てしないでゲソ。この先、どんな障害が私の前に待ち受けているのか&hellip;&hellip;。<br />
今までも多くの苦難を乗り越えてきたでゲソ。ＭＩＴの手先と戦ったり、早苗のおぞまし罠にはめられたり、たけるの小学校を侵略したり&hellip;&hellip;。世界侵略達成への道はまだ半ば。始まったばかりでゲソ！<br />
いつか、かつてのような海の美しさを取り戻すために&hellip;&hellip;私は人間世界を侵略し続けるでゲソ！<br />
<div align="center">
	<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/1/f1210ff1.jpg" target="_blank"><img alt="侵略！イカ娘０１話 (10)" border="0" class="pict" height="219" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/f/1/f1210ff1-s.jpg" width="400" /></a></div>
<div style="text-align: center;">
	<font style="font-size:xx-small;">イカ娘さん、代筆ありがとうございました&hellip;&hellip;主より</font></div>
<br />
作品データ<br />
総監督：水島努　監督：山本靖貴　原作：安部真弘<br />
シリーズ構成：横手美智子　キャラクターデザイン・総作画監督：石川雅一<br />
色彩設計：坂本いづみ　美術監督：舘藤健一　撮影監督：濵 雄紀<br />
音楽：菊谷知樹　音響監督：若林和弘<br />
アニメーション制作：ディオメディア<br />
出演：金本寿子　藤村歩　田中理恵　大谷美貴<br />
<font style="color:#ffffff;">○</font>　　　伊藤かな恵　中村悠一　片岡あづさ　生天目仁美<br />
<font style="color:#ffffff;">○</font>　　　菊池こころ　佐々木雄二　勝杏里<br/>
<div style="text-align: right;">
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<br />
<br />
<div style="text-align: center;">
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<br />
]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/793/</link>
			<pubDate>Tue, 18 Oct 2011 09:13:36 GMT</pubDate>
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			<title>進まない物語　ＢＬＯＯＤ－Ｃ批評</title>
			<description>
			<![CDATA[<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/7/774d0451.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="ＢＬＯＯＤ－Ｃ (3)" border="0" class="pict" height="164" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/7/774d0451-s.jpg" width="298" /></a>『ＢＬＯＯＤ』シリーズはプロダクションＩ．Ｇが制作するオリジナルアニメーションで、テレビ、映画、ゲームと媒体を変えながら繰り返し描かれてきた作品であり、プロダクションＩ．Ｇを代表するオリジナルシリーズとして高い人気と支持を得ている。物語は制服姿の少女が日本刀を手に迫り来る怪物を薙ぎ倒していくバトルアクションであるが、実は主人公である少女もヴァンパイアであるという宿命を抱える伝奇的なストーリーを特徴としている。<br />
最新作である『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』は人気女流作家であるＣＬＡＭＰをゲストとして迎え、キャラクターデザインを担当、それからストーリー構成の一部をＣＬＡＭＰから提供を求め、作品のカラーもＣＬＡＭＰスタイルに纏め上げられている。<br />
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<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/80106d3e.jpg" target="_blank"><img alt="80106d3e.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104620/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/3157a66d.jpg" target="_blank"><img alt="3157a66d.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104614/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>物語の舞台は浮島神社を中心とする小さな田舎町である。浮島神社の巫女である更衣小夜は神主である父と２人きりで過ごし、毎夜のごとく八卦に現れる告げに従い、御神刀を手に「古きもの」と呼ばれる<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/5777b365.jpg" target="_blank"><img alt="5777b365.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104632/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/5cc309b1.jpg" target="_blank"><img alt="5cc309b1.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104625/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>異形の魔物たちと戦っていた。<br />
恐ろしい宿命を背負う小夜だが、一方で日常は穏やかで平和的に流れていった。朝食は近所のカフェ・ギモーブの主である七原文人からいただき、のどかに歌いながら学校へ向かう。小夜のいる教室はわずか２０名ほど。同じ教室には網埜優花や双子の求衛ののとねね、委員長の鞆総逸樹、寡黙な時真慎一郎といった友人たちがいた。小夜の昼の姿は、私立三荊学園に通うごく普通の女子高生であった。<br />
そんな二重生活を続けていく小夜だったが、間もなく戦いの最中に不思議なイメージを見るようになる。それだけではない。昼の穏やかに思えた日常の中にも、何か得体の知れない違和感が広がっていく&hellip;&hellip;。<br />
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激しいバトルアクションと怪しげな雰囲気をまとった伝奇を絡めた粗筋だが、シリーズを通して視聴し続けると、あまりの退屈さに見る側の体力とモチベーションをじわりじわり削り取られてしまう作品である。<br />
ではなぜ『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』の映像に「退屈さ」を感じてしまうのか。一向に進行する気配を見せないストーリーだろうか。間違いなく違う映像なのに、同じように感じられる映像が何度も繰り返されるせいだろうか。近年のアニメ作品と比較して、一つの画面に描かれる情報の密度が低いせいだろうか。あるいは、その密度の中に、物語の進行を感じさせる新鮮さがないせいだろうか。台詞に際立った才能を感じさせないからだろうか。<br />
おそらく視聴者が感じているのはその全てで間違いないであろう。しかしここでは、あえて物語を構成する設定や、背景の密度の低さを肯定的に受け入れ、もう一つの側面、「主人公が置かれている立場・状況」を中心に話を進めていくとしよう。<br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』の物語はなぜ退屈に感じられるのか。それは「主人公の置かれている立場・状況」がエピソードをいくら消費しても変化が見られないからである。「主人公の置かれている立場・状況」が変わらない、つまりそれは、実質的に「物語が進行していない」と同義であり、エピソード数をいくつ重ねても新しい展開はそこになく、むしろエピソード数を無用に消費すればするほどに視聴者はそのぶん退屈さを募らせ、次の放送を見るたびに失望の度量を大きくしていくのである。<br />
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もっと詳しくエピソードごとに&ldquo;何が描かれたか&rdquo;&ldquo;何が語られたか&rdquo;を見ていくとしよう。
<div style="text-align: center;">
	《次の段落まで読み飛ばし推奨》</div>
第１話は基本的な情報が解説される。更衣小夜は浮島神社の巫女であり、父親と２人きりで過ごしている。夜になると御神刀を手に「古きもの」と呼ばれる怪物と闘争を繰り広げている。島で唯一の学校である私立三荊学園には何人かの親しい友人がいる。もう１つ、第１話の重要と思えるキーはどこかの神社の前に佇む変な&ldquo;犬&rdquo;だろう。<br />
次に第２話。第１話とほぼ代わり映えのない日常のシーンが描かれる。第１話との違いであり、キーと考えられるのは&ldquo;ギモーブ&rdquo;という食べ物。それから無口なクラスメイト時真慎一郎とのささやかな交流だろう。Ｂパートのバトルイベントの直前、書庫で父・唯芳との対話がある。母も御神刀を手に「古きもの」と戦ったが破れた、という話がある。<br />
第３話。喫茶ギモーブで朝食、学校へ登校、クラスメイトとの日常的な会話が続く。クラスメイトとギモーブを尋ねたところに警官がやってきて、パン屋の主人が行方不明だと告げられる。その夜、小夜は「古きもの」を追い求める過程でパン屋の主人を見つけ、「古きもの」が飲み込み、殺害される場面を目撃する。小夜は「古きもの」に戦いを挑み、勝利するが、「古きもの」は死に際に「主、約定を守れ」と呟く。<br />
第４話は前回の戦いを回想するところから始まる。「約定を守れ」そのことについて父・唯芳に尋ねると「古きものに惑わされてはいけない」と窘められる。その後はこれまでのエピソードで描いてきた日常の繰り返し。喫茶ギモーブで朝食、学校でクラスメイトの談笑、エピソードの後半に入り約束事になっているバトルイベント。その後、もう一度日常が描かれている。昨夜の戦いではかなりの人が死んだ。しかし街では騒ぎどころかニュースにもならず、いつもの日常が続いていた&hellip;&hellip;。<br />
第５話は冒頭からバトルイベントが始まる。一つ目玉の尼僧と戦い勝利する。一つ目玉の「古きもの」も「約定を守れ」と意味深な台詞を残して死ぬ。<br />
Ｂパートは再び日常の話。雨で体育が自習になったから怪談をしよう、という話になる。そこで先生の筒鳥香奈子が加わり、その街に残る古い言い伝えを&ldquo;怪談&rdquo;として語って聞かせる。<br />
「この街では昔から人ではないものが住まっている。それは人と違う形をしているときもあるし、似たような姿で現れるときもある。けれど、どれも同じなの。人を喰らうこと。それはあまりにも強く、人はその前にあまりにも無力で、なくせないものがあっても、愛するものがいても人ではないものには何にも関わりがない。見つかり、襲われれば、喰われていくだけだった。人たちは、なんとかその人ではないものと話し合おうとした。人ではないものの中には、人と同じ言葉を話すものもいたから。けれど、何も変わらなかった」<br />
「なぜ、ですか？」<br />
小夜が震える声で尋ねる。<br />
「人でないものにとって、人は糧でしかないから。そして、人たちはある決意をした&hellip;&hellip;」<br />
とここで一発の落雷が激しく轟き、小夜が気絶してしまう。<br />
その後、小夜は帰宅し、自宅の書庫の本を読む。今日先生から聞いた話を思い出しながら古い本を読むが、そこに何か違和感があるのに気付く。そこに求衛ねねが尋ねてきて、「古きもの」に襲われる。小夜は御神刀を手に戦うが、ねねが「古きもの」に喰われて死亡する。<br />
第６話。前回のバトルイベントの続きから始まり、小夜は「古きもの」を倒すが、唯芳に眠らされてしまう。小夜は自分の部屋で目覚めるが、夢で見た光景を少しずつ記憶するようになっている。小夜は何か危険なものを感じ、刀を持って学校へ登校する。しかし学校は休校になり帰宅することに。その最中、不思議な犬が話しかけてくる。犬は何か知っているらしい。小夜は追及しようとしたが、そこに怪物と化した求衛ののが襲い掛かってきて、小夜はののもろとも「古きもの」を斬り殺す。<br />
第７話。眠れない小夜に犬が話しかけてくる。小夜と犬はどこかで会ったことがあるらしい。犬はとある店の主だった。そこに小夜が尋ねてきた。「ある願いを叶えるために約束した」と犬は語るが、核心を聞く前に目を覚ましてしまう。Ｂパートは再び日常が描かれる。ギモーブで朝食を摂り、学校へ行くが「休校よ」と告げられて帰宅。その帰宅途中で「古きもの」と遭遇して戦いになる。「古きもの」は饒舌に御神刀の話も、母の話も、唯芳の話も「戯言だ！」と喚き散らした末に小夜に両断されて死亡する。<br />
第８話は前回の続きから始まり、「古きもの」を退治し、時真との交流がしばし描かれる。小夜は時真にこれまでの事の次第を語って聞かせる。神社に帰り、風呂で休息。そこであの犬が現れ、「怪我がすぐに治る自分の体についてどう思う？」「皆を守る約束を破ったらどうなると思う」と尋ねられるうちに、不思議なイメージを見るようになる。しかし唯芳が風呂場に現れたためにイメージは中断される。それから３日が過ぎて、学校に登校するように指示が来る。学校へ行くと「古きもの」が唐突に現れ&hellip;&hellip;。<br />
第９話。前回のラストに現れた怪物が学校を襲撃。ここでクラスメイトのほとんどが死亡し、多くの犠牲を払ってようやく小夜は「古きもの」を撃退する。ここで小夜は、ようやく違和感の正体に気付く。学校の中に、自分のクラスメイト以外の生徒がいないこと。それから、果たして自分は小夜であったのか、疑問を持つように。<br />
第１０話。小夜はまだ自問を続ける。そういえば、母の記憶なんてそもそもなかったことに気付く。そう思い当たった直後、神社を「古きもの」が襲い掛かり、時真が「古きもの」の手によって死亡する。Ｂパート、自分の部屋で目を覚ました小夜は、ギモーブへ行き、文人から朝食を頂く。そこに先生の筒鳥が尋ねてきて、書庫を見せてほしい、と頼まれる。小夜は筒鳥とともに書庫へ。そこで筒鳥は「いつまでこんなバカな遊びを続けるつもり」と。書庫にある本はすべてニセモノと指摘する筒鳥。そこに、死んだはずの求衛ののとねねが現れる&hellip;&hellip;。<br />
第１１話。筒鳥、求衛ののとねね、それから時真の４人が集まり、すべて芝居だったと明かす。街は大きなセットで、たまに見かける人はみんなエキストラとして雇われた人たちばかり。みんなある目的のために集められ、監視されていた、と告げられる&hellip;&hellip;。<br />
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<div style="text-align: center;">
	■■■■</div>
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<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/bb478d85.jpg" target="_blank"><img alt="bb478d85.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104641/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/749a78df.jpg" target="_blank"><img alt="749a78df.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104637/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>第１話は視聴者に基本的な情報、設定が解説されるので絶対必要である。物語の背景である街がどんな場所か、主人公である小夜がどんな立場にいて、どんな活動をしているのか。第１話における解説<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/0ad1b153.jpg" target="_blank"><img alt="0ad1b153.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104648/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/8e26ac5c.jpg" target="_blank"><img alt="8e26ac5c.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104665/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>は必要なプロセスだから絶対に外せない。<br />
問題があるのはその後の第２話から第４話だ。断片的に必要なキーワードが散りばめられているが、本質的には何も物語<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/587ab02c.jpg" target="_blank"><img alt="587ab02c.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104654/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/aeb30c87.jpg" target="_blank"><img alt="aeb30c87.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104660/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>が進んでいない。今回のテーマに照らし合わせて言えば、主人公の立場・状況に対し何ら影響力を持っていない。第４話までに小夜は様々な戦いを経験してきたが、その戦いが小夜に与えた影響は何もなく、小夜に与えられた立場や状況は何も変化していない。視聴者の立場に立てば、「物語が何も進行していない」というふうに感じられるし、「物語が何も進行していない」というのははっきりとした事実である。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/80513e9d.jpg" target="_blank"><img alt="80513e9d.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104673/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/03fc7e1e.jpg" target="_blank"><img alt="03fc7e1e.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104678/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>第５話に入り、ようやく視聴者は新たな情報を得ることになる。教室での怪談を語る場面で、物語の背景にある&ldquo;設定&rdquo;が説明される。<br />
が、残念ならが第５話における&ldquo;怪談&rdquo;は<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/594e9dd8.jpg" target="_blank"><img alt="594e9dd8.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104704/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/d29fbcd3.jpg" target="_blank"><img alt="d29fbcd3.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104698/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>物語に対して、あるいは小夜の立場・状況に対して何ら影響力を与える力にはならなかった。なぜなら&ldquo;怪談&rdquo;として筒鳥の口から語らえれた&ldquo;物語&rdquo;は<font style="font-size:medium;"><strong>そもそもその作品が始まる前提から用意<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/f21f73d6.jpg" target="_blank"><img alt="f21f73d6.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104709/" style="float: right; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a>されているもの</strong></font>であって、それをあらためて説明されただけに過ぎず、それが新たな物語を展開させる切っ掛けにはならなかった。事実として、その&ldquo;設定&rdquo;を聞いた後も小夜の立場や状況、小夜の思想そのものに対して何ら影響を与えることはなく、第１話に前提として提示された物語をその後も繰り返してしまう。<br />
ついでに付け加えると、&ldquo;怪談&rdquo;という表装を借りた&ldquo;解説&rdquo;自体が間違っている。「雨で何となく暗い雰囲気だから怪談をやろう」という展開からしてかなり突飛だし、筒鳥香奈子から語られた怪談は、ちっとも怪談に聞こえない。聞き手がどう努力しても、<strong>「設定を説明しているよう」</strong>にしか聞こえないのだ。怪談らしい恐ろしげな雰囲気や怪しさはどこにもなく、台詞が語りらしく聞こえてこない<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（演技が悪いわけではない）</font></font>。しかし筒鳥の説明に対して、生徒たちは驚いたり怯えたりする描写が描かれ、最後には小夜がショックで昏倒してしまう。筒鳥の話はただの設定説明でしかない、と勘のいい視聴者は即座に理解するはずだから、語りは怖くも恐ろしくもない。なのに怯えた表情を語りの間に差し挟まれると、あまりにもわざとらしく、しらじらしいという印象になってしまうのである。<br />
どうせだったら訳知りの先輩を登場させて、解説を解説として堂々と説明させたほうが手っ取り早く、自然だ。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/6c16a530.jpg" target="_blank"><img alt="6c16a530.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104537/" style="float: left; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">作品を退屈にしている原因の一つがバトルイベントだ。小夜は時々目を赤くして、より強い力を発揮するが、その目が赤くなる条件がいまいち不明である。しかも、いつも何人か犠牲になった後で、「なぜもっと早く覚醒しないのか」と突っ込みたくなる。どうせなら、もっと緊張感のあるタイミングで目を赤くするべきだ。「目が赤くなる条件は残りの尺と関係しているのではないか」と言われてしまう原因になってしまっている。</font></font><br />
第６話に入り、メインキャラクターである求衛ねね・のの姉妹が死亡する。普通の感覚で言えばかなりショッキングな場面であるはずなのに、主人公の小夜が置かれている状況を劇的に変化させる要因にはならなかった。ねねとののの死が小夜の立場・状況に革命を与えることはなく、小夜はその後も変わらず学校へ通うし、敵である「古きもの」と戦い続ける。<br />
求衛ねねとののの死は、客観的に見て大きなインパクトがあってしかるべきである。それに、真昼の大通りでかなり派手な大立ち回りを演じ、求衛ねね・ののだけではなくかなりの人が死亡したし、街の一角に甚大な破壊をもたらした。にも関わらず、誰一人小夜を通報していないのである。警察は制服巡査がたった１人描かれるだけで、あれだけの死亡者<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（それ以前にかなりの行方不明者が出ている）</font></font>が出たのにも関わらず、警察は何もしていないのである。<br />
本来であったらあれだけの破壊と死者が出た場合、通報後２０分以内でパトカーがすっ飛んできて<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（どんな田舎でも離島でも２０分以内で現場に到着する、という内規がある）</font></font>、現場は完全に封鎖、機動捜査隊、鑑識による初動捜査が始まるはずである。救急車もやってくるだろう。どう見ても大きな事件だから、かなりの数の捜査員が現場にやってきて、街は厳戒態勢のような状態に陥るはずである。<br />
それにあの場面で小夜を目撃した人もたくさんいた。あの瞬間、間違いなく小夜は第１級の被疑者として町中に指名手配写真が配布されるはずである。もし警察の目から奇跡的に見逃されたとしても、街の人々による警戒の目、差別の意識は強烈に小夜に向けられるはずである。しかし、実際にはそんな状況にはならなかった。あれだけの怪我人と死者を出したのにも関わらず、町の人たちは小夜に何ら干渉してくることはなかった。<br />
メインキャラクターであるはずの求衛ねね・のの姉妹が死亡した、という点にも注目したい。求衛ねね・ののは第１回から登場してきた、作品を彩る賑やかなキャラクターである。視聴者も――普通ならば――かなり愛着を抱いているはずである。しかし求衛ねね・ののの死に小夜の落胆も悲しみも描かれることはなく、その死が物語に対してドラマティックな揺さぶりを与えることはなかった。視聴者にも少しばかりの――奇妙な――動揺を与えただけで、求衛ねね・ののの死が感動的な感傷を生み出すわけでもなく、そして物語自体にも何ら影響を与えることはなかった。小夜が置かれている立場・状況に対して何ら変化を与えなかった。ただ単に、毎回登場しているキャラの１人が減っただけ、という印象であった。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/4bafb4d6.jpg" target="_blank"><img alt="4bafb4d6.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104597/" style="float: left; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">１２０分の映画の場合、物語を転換させるツイストは３～４回が適切だとされている。２０～３０分に一度ツイストが入る感覚である。シリーズアニメではどれくらいの期間でツイストを入れるべきか、具体的な方法論が示された例はない。早すぎると受け手が感情移入しづらいし、遅すぎると緩慢に感じる。ただ、シリーズアニメは劇場映画より初期地点から大きな変換とその課程を描けるという利点がある。これは大いに自覚して利用すべきところだ。</font></font><br />
７話・８話について何ら解説すべき特記事項は見当たらない。求衛ねねとののの死という――普通に考えて――ショッキングな事件が起きたにも関わらず、小夜はほとんど動揺を見せず、自分の置かれている立場や状況に何らかの疑問を呈することもなく、その後も日常と戦いの繰り返しが描写された。その最中に、断片的で意味深なキーワードがいくつも差し挟まされたが、そのキーワードを受け取って小夜が何かしらのアクションを――物語の方向性を変化させるような抵抗運動的な何かをするわけでもなく、普段どおりの行動をその後も繰り返し続けた。はっきり言えば、無駄打ちエピソードである。<br />
９話に入ってようやく、初めて有意義と思われる変化が作品に訪れる。「古きもの」が突如真昼の学校に出現。小夜のクラスを襲撃し、生徒のほぼ全員を虐殺。<br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』以外の普通の作品であれば、間違いなくキャラクターが置かれている立場・状況を一変させる大事件である。しかしクラスメイト全員死亡、という凄まじい惨劇を前にしても、小夜自身の変化といえば「自分のクラス以外の生徒がいない」ということと「自分自身のアイデンティティ」が少々揺らいだだけであった。小夜自身のこの２つの変化と発見は、よくよく考えるまでもなくクラスメイト全員死亡という事件とはまったく無関係の話であり、「もっと早く気付けよ」と突っ込むべきところである。クラスメイトの死亡という事件が何らかのドラマを引き起こす切っ掛けにならず、物語の状況を次に移すためのステップにすらならず、小夜自身に与えた変化といえば、少々の内的な発見だけで、やはり小夜が置かれている立場や状況に変化は起きなかった。視聴者は「結局なにも変わっていない」と受け取ったはずである。<br />
１０話にも記すべき変化は何もない。９話の延長で「古きもの」襲撃後の発見を延々繰り返しただけで、有意義な進展のない無駄打ちエピソードである。<br />
１０話をすっ飛ばして１１話に入り、死んだはずのキャラクターが再登場して、実は全てお芝居だったと明かす。これが本来の意味で初めて有意義な変化だった、と言えるだろう。停滞に次ぐ停滞が延々続き、初めて目の前のもやもやした霞が晴れたような気分である。恐ろしく長い助走が終わり、ようやく三段跳びの最初の一歩目を踏み出せたような、そんな感慨であった。<br />
１１話の展開が、３話か４話までに描けていれば、もっと良かった。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/382e6b01.jpg" target="_blank"><img alt="382e6b01.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104517/" style="float: left; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 84px;" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">おおよそ意味のないプロットの連続に、物語に何ら変化を与える力を持たないサブキャラクターたち。プロット作りは構造的、機能的意義を持って構成しなければならない。それぞれのキャラクターがどんな役割をもって主人公の立場・状況に介入してくるか。ただ思いついたものを整理せず物語に放り込んだだけではダメだし、何が必要で何が必要ではないか、それは物語を描く前に作り手が厳しく判定を下すべき問題である。（『ゆるゆり』の件はあまりにも特殊な事例なので、比較として取り上げるべきではない）</font></font><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/b/ab0d2cba.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="ＢＬＯＯＤ－Ｃ (2)" border="0" class="pict" height="138" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/b/ab0d2cba-s.jpg" width="249" /></a>ここで最近の優秀作品『シュタインズ･ゲート』を引き合いに出すとしよう。『シュタインズ･ゲート』は未来ガジェット研究所&hellip;&hellip;大檜山ビル２階を主だった舞台としてキャラクターたちはほとんど移動せず、エピソードによっては大檜山ビル２階の１室だけで進行することは珍しくない。未来ガジェット研究所が置かれる秋葉原から外に出る場面は基本的にない<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（東京ビッグサイトのコスプレ会場に行く場面が例外として少しあるだけである）</font></font>。物語の半径は秋葉原周辺を限界としてそれ以上周辺に広がっていくことはなく、物語に必要なキャラクターやファクターは秋葉原周辺にほとんど準備されている、という設定である。<br />
ふとすると物語が閉塞的になって、退屈な内容になる危険性の高い設計にも関わらず、『シュタインズ･ゲート』は飛びぬけて面白い。今年一番の傑作であるといっても誰も反論しない優れたエンターテインメントである。<br />
では『シュタインズ･ゲート』と『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』を比較した場合、決定的に違うポイントはどこであろうか。それは主人公鳳凰院凶真&hellip;&hellip;いや岡部倫太郎が置かれている立場・状況が確実な歩みを持って少しずつ変化してくところだろう。それぞれのキャラクターに出会い、タイムマシン発明のヒントを握るＩＢＮ５０００を手に入れ、ＳＥＲＮと少しずつ関わっていく様を順当に描いている。一見するとゆっくりとした慎重な歩みに思えるが、実際には極めて合理的意図を持って着実に物語が目指すクライマックスに向けて重要なファクターを積み上げていっている。<br />
『シュタインズ・ゲート』の物語が決定的な変化を迎えたのが１２話。とある重要人物の死によって、物語は大きな節目を迎える。そこで岡部倫太郎は発明したばかりのタイムマシンを利用し、過去へとタイムリープし、とある人物の死を回避するために、様々な方法を考案し、何度も同じ時間を繰り返すのだが、その段階で、これまでに積み上げてきた全てのエピソードが実はかなり重要な意味を持っていることを岡部と視聴者は知ることになり、愕然となるわけである。<br />
全てのキャラクターの台詞、行動が何らかの意図を持って合理的に描かれており、それらが主人公岡部倫太郎の立場・状況に干渉している。だから物語の舞台が同じ場所の繰り返しであっても退屈は感じない。&ldquo;物語の舞台自体は移動していない&rdquo;のに、&ldquo;物語そのものに移動感&rdquo;があり、その移動感を視聴者に感じさせるようにしっかり描かれている。<br />
『シュタインズ・ゲート』はユニークにひねくった名台詞の数々も楽しみのポイントであるが、それ以上に人を惹きつけさせる力を持っていた。物語の根本である骨格が太く、揺るぎない強さを持っているからである。近年のアニメ作品群にあって間違いなく良質な一作と言える作品であった。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/e752c9d0.jpg" target="_blank"><img alt="e752c9d0.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104603/" style="float: left; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">漫画・小説養成講座などでは、物語が失速ぎみと感じたら、とりあえず主人公を走らせろ！と教えている。確かに主人公が走るとそれだけで疾走感が出る。走る、飛ぶといった原初的な行動は、読む側に無条件の爽快感を与えるのである。しかし『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』には毎回必ずバトルイベントが挿入されたが、爽快感、疾走感はどこにもなかった。どこかＲＰＧのエンカウントバトルのような、まだるっこしい義務感があっただけだ。それは恐らく、&ldquo;戦った&rdquo;という経験に意義を与えられなかったからだろう。</font></font><br />
そろそろ『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』に話を引き戻し、この感想文をやっつけるとしよう。<br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』の基本的な設定、キャラクターを変更しないルールで、どのように改変し、描けば退屈しないで視聴が耐久マラソン状態にならずに済んだのだろうか。視聴を飽きさせない重要なポイントは、物語に停滞感を与えないことである。それはどんなにひねくったユニークな台詞を連打したとしても、本質的な&ldquo;変化&rdquo;がなければどんな作品でも退屈であると判定されてしまう。<br />
大切なのは物語の構築に&ldquo;移動感&rdquo;を意識することである。この&ldquo;移動感&rdquo;を描くために、主人公の立場・状況を常に明快にしていくと効果的である。<br />
主人公小夜は夜な夜な「古きもの」との死闘を演じていた。間もなく「古きもの」が小夜に「約定を守れ」と語りかける。そこで小夜は、父・唯芳に疑いを持つようになる&hellip;&hellip;。<br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』の決定的問題は、主人公小夜の性格があまりにも淡白に描かれすぎたことである。「古きもの」と戦い、激しく傷ついても翌日には何事もなく回復してしまっている。「古きもの」に語りかけられても、小夜自身の意識と行動に何ら影響を与えることがなく、前回と同じ行動、台詞を当り前のものとして繰り返してしまう。小夜の設定が磐石過ぎて、そこに動きを感じないのだ。<br />
だから、ここを少々改変すれば作品に動きが生まれる。唯芳に対する疑いが生じると共に、「古きもの」との戦い自体に疑いと迷いが生じ、そもそもなぜ自分が「古きもの」と戦うようになったか、その起源を追跡するようになる<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（そしてその起源に対しても疑いを持つようになる）</font></font>。<br />
これでかなり退屈な繰り返しの物語から、ある程度の動きが生じたはずである。<br />
それでも小夜は、人々に危害を加える「古きもの」との戦いをやめるわけにはいかず、危険の中に身を置き続ける。だが間もなく「古きもの」は夜だけではなく昼の街中にも現れるようになり、戦いは多くの被害者を生み出すようになる。街の人たち、それから小夜のクラスメイトは小夜の存在を強く意識し、同時に小夜も街の人たちを強く意識するようになる。偏見や差別、誤解がこの両者の間に生まれ、小夜は孤独な立場へと追いやられてしまう。こう描けば小夜の孤独なヒロイズムの側面が強く際立ち、同時に鞆総、時真との関係にメロドラマ的な情緒を生み始めるはずである。『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』はなぜか恋愛物語に発展しそうな要素を避けて描かれていたが、恋愛は人々を強く惹きつけるので、むしろ積極的に描き、あるいは恋愛の匂いを漂わせておくべきである。<br />
小夜は街の人たちから徹底的な排除と妨害を受けながらも、戦いを続けていく。おそらくサブキャラクターたちの心理も追いつめられていき、どこかで限界を迎えるだろう。その両者が限界に達したところでネタ晴らし。「実はなにもかもお芝居だった」と誰かが小夜に明かす。登場キャラクターそれぞれの心理的過程をしっかり描けば、間違いなく緊張感を伴う力強いプロットに変わったはずだ。<br />
何となく意味ありげな台詞やキーワードを物語のあちこちに振りまく手法は何ら合理的効果を持たない。それらの台詞やイメージは視聴者に物語の背景を想像させる切っ掛けを与えるが、合理的効果を予想して配置しないと、ただ単に次の展開や話のオチを予想させるヒントになってしまい、かえって物語を追いかけていく楽しみがなくなってしまう。しかも主人公に与えられている立場や状況にはなんら影響を与えていないのだから、物語を次の段階に移す機会を見出せないまま単に時間<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（あるいはページ枚数）</font></font>を消費するだけになってしまう。だから、主人公の立場・状況を明確に意識し、物語に移動感を与えることが大切なのだ。<br />
上に書いた修正プロットだけでは正直なところ、視聴者を惹きつける力を持ちえたとは思えない。だが、とりあえずオリジナルプロットよりはほんの少し退屈さが緩和され、もう少し視聴を続けようというだけの移動感が生まれたはずだ。<br />
物語を本当に魅力的にする力とは、合理的な思考、判断とはもっと違うもの――インスピレーションの強烈さである。傑作を生み出す力とは、常識と意外性の谷間に沈んでいる小さなひらめきである。そのひらめきを見出せない限り、いくら会社命令といえど無理に作品を捻り出すべきではない。どんな企画でも熟成させる期間が必要なのだ。物語に確実な移動感があり、さらにドラマティックな感情の高ぶりをより多くの人に共感させられる力があれば、どんな作品でももう少し高い評価が得られるはずである。<br />
<a href="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/c3458d84.jpg" target="_blank"><img alt="c3458d84.jpg" src="http://file.monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Img/1317104609/" style="float: left; border-width: 0px; border-style: solid; width: 150px; height: 82px;" /></a><font style="color:#808080;"><font style="font-size: xx-small;">プロダクションＩ．Ｇは少し前まで、日本で最も絵のうまいアニメーターを抱える制作会社として世界に知れ渡っていた。しかしその勢いは今どこにもない。つい最近も、アニメファンから最低の評価を受けた『もしドラ』もプロダクションＩ．Ｇ作品だった。今のままではアニメファンから見放され、ＤＶＤ売り上げも伸びず、それらは会社経営に対して甚大な影響力を持つようになるはずだ。会社は良質な作品を作り続けなければならない。そろそろ名誉挽回のための打ち上げ花火を見たいところだが。</font></font><br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』のような明らかな失敗作と接すると、その制作会社に乗り込んで、関係者をしつこいくらい追い回してインタビューし、どうしてそうなったのかどの段階で失敗が生じたのか、その原因を追求したくなる。もちろん一介のブロガーにそんな権限などあるわけがないし、普通は失敗作の原因なんて当事者は振り返りたくないはずだし、ほとんどの当事者は自分たちの創作が失敗だったと認めたくないはずだ<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（大抵の場合、失敗の原因と反省を受け手の側に求める）</font></font>。<br />
一般的な批評家は、制作スタッフの中に知っている名前を何人か見出し、その数人を&ldquo;戦犯&rdquo;という名の生贄と祭り上げる。<br />
しかしそういう批評のやり方は何の意味がない。ただ制作スタッフの中の数人を引っ張り上げて精一杯の力で叩きのめしても、失敗した原因を知ったことにはならず、次の作品に向けた反省にもならない。&ldquo;祭り上げる&rdquo;&ldquo;叩く&rdquo;はイジメにありがちな典型的な心理状態――ストレス解消法でしかなく、叩けばスッキリするだろうが、反省を見出したわけではなく、次も同じ失敗を繰り返すだろうし、やはり反省がなければ誰かを生贄として祭り上げ、放逐した挙句、そのうちにも組織の力は弱体化していく。<br />
どんな天才的な監督、有能なスタッフが集まっても失敗するときは失敗するのである。<br />
映画やアニメといった集団制作を前提とした作品は、個人が作り上げる漫画や小説と明らかに性質が違う。何が原因で失敗したのか、なぜ作品が失速したのか、その原因を分析するのは容易ではない。まずいって当事者ですら理解できていない場合がほとんどだ。<br />
映画やアニメといった集団制作になると、あらゆる状況が製作過程に出現する。時間勝負でお金が流れ出て行ってしまうので、状況のどこかで一旦止めましょうというわけにはいかない。まるで洞窟の掘削作業のごとく、自分でどこを掘り進めているか見失うこともしばしばある。だから、どこで作品の品質という重要問題にほころびが生じたのか、ある意味、作り手が一番理解できず、作り手が知りたいと思うところなのである。<br />
制作開始までに有能なスタッフが集まらなかったのか。どこかで制作体制に甚大な被害をもたらす障害が生じたのか。単純に制作途上でお金が尽きて、無理矢理スケールダウンしなくてはならず、その影響でストーリー構造にも被害を与えてしまったのか。制作に絶対必要なスタッフが病気で倒れた、というケースもあり得る。どこかの段階で間違いなく最終結果に影響を与える何かが起きているはずだけど、当事者がそれを把握できず、また予測もできなかった。<br />
だからその失敗の事例を収集し、分析し、失敗のパターンをインデックスにして提示できれば、将来的には失敗するケース自体はかなりの確率で減らせるはずである。もちろん、【失敗作ではない＝傑作】というわけではない。【失敗作ではない＝まあまあそこそこの作品】に過ぎない。だが明らかな失敗作を作ってしまうよりかはマシだと思いたい。<br />
その逆に傑作を作り出すことは容易ではないし、どんな作品も傑作を作るための参考にはならない。大ヒットした傑作を手本にしてそれと同等の精度を持った芸術を作り上げても、そのときには人々はすでに違うパースティクティブの作品を求め始めている<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（例えばセガは、ソニーのゲーム機を意識して丸みを帯びたホワイトボディのドリームキャストを作ったが、当のソニーはブラックボディのいかめしいトールタイプのゲーム機を作った）</font></font>。傑作に少々の改変を加えてもダメだ。それだけでもオリジナルが持っていたエッセンスは完全に失われる。傑作とはトランプで作ったピラミッドのような、微妙でぎりぎりの均衡を持って奇跡的にそこに立っているものと了解しなくてはならない<font style="color:#a9a9a9;"><font style="font-size: xx-small;">（つまり、ほとんどのリメイク映画は失敗する宿命を抱えているわけだ）</font></font>。<br />
だからこそ、傑作ではなく駄作にこそ学ぶべきものはあるのだ。「つまらないから」といって切り捨てるのではなく、「なぜつまらないのか」を貪欲に知ろうとする意識が、作品をよりよくする秘密を知るチャンスを得ることになるのだ。<br />
<br />
作品データ<br />
『ＢＬＯＯＤ－Ｃ』<br />
監督：水島努　原作：ＰｒｏｄｕｃｔｉｏｎＩ．Ｇ／ＣＬＡＭＰ　原作監修：藤咲淳一<br />
ストーリー・キャラクター原案：ＣＬＡＭＰ　脚本：大川七瀬、藤咲淳一<br />
アニメーションキャラクターデザイン：黄瀬和哉　総作画監督：後藤隆幸<br />
コンセプトデザイン：塩谷直義　『古きもの』デザイン：篠田知宏　<br />
プロップデザイン：幸田直子　美術設定：金平和茂　美術監督：小倉宏昌<br />
色彩設計：境成美　３ＤＣＧＩ：塚本倫基　編集：植松淳一<br />
撮影監督：荒井栄児　特殊効果：村上正博<br />
音楽：佐藤直紀　音響監督：岩浪美和<br />
アニメーション制作：ＰｒｏｄｕｃｔｉｏｎＩ．Ｇ<br />
出演：水樹奈々　藤原啓治　野島健児　浅野真澄<br />
<font style="color:#ffffff;">○</font>　　　福圓美里　阿部敦　鈴木達央　宮川美保<br />
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<div style="text-align: center;">
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<br />
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	&nbsp;</div>
]]>
			</description>
			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/792/</link>
			<pubDate>Tue, 27 Sep 2011 06:59:50 GMT</pubDate>
		</item>
		<item>
			<title>かってに改蔵　中巻</title>
			<description>
			<![CDATA[「なぜ今さら？」<br />
かつての原作愛読者を茫然とさせ、批評家たちを「？」と首を傾げさせ、作品を知らない世代ばかりか、原作者すらも置き去りにして進行するアニメシリーズの中巻がいよいよ登場である。<br />
『かってに改蔵　中巻』は愛蔵版２巻～４巻とかなり広い範囲をベースに描かれている。初期の頃に提示した天才塾との対立という縦糸が後方に消えかかり、新たな方向性を獲得しようという時期である。この頃から我々のよく知る後期『かってに改蔵』に近い内容になり、羅列ネタや風刺といった、後の『さよなら絶望先生』に続くパターンの片鱗がかすかに見え始める頃である。<br />
<br />
『かってに改蔵　中巻』において、キャラクターの設定が新たに書き直され、再調整が加えられる。<br />
連載当初ではそれなりに普通の少女として描かれていたはずの名取羽美は、この頃から&ldquo;友達がいない&rdquo;あるいは猟奇的な性格が再設定される。後に&ldquo;ヤンデレ&rdquo;とカテゴライズされるキャラクターを確立しはじめる頃であり、『かってに改蔵　中巻』の中でその過程が描かれる。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/8/a8f64029.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (1)" border="0" class="pict" height="109" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/a/8/a8f64029-s.jpg" width="199" /></a>第１話Ｂパート『コノ子ノ七ツノオ祝イニ』では名取羽美の幼少期における凶暴な本質が描かれ、それが現在における猟奇的な性格と常識的な社会性が欠落するという性格の裏付けになっている。また幼少期のエピソードは、『かってに改蔵』シリーズにおける典型的な一つのパターンを形成する重要度の高いエピソードであり、『かってに改蔵』というシリーズ全体像を描く上にも避けて通れないエピソードだ。ちなにみ『コノ子ノ七ツノオ祝イニ』における「<b>かーさーぷーたーはーがーすー</b>」の台詞は声優喜多村英梨がどうしても声を当てたかった台詞であり、彼女にとって夢の叶った瞬間である<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（それだけに、見事な熱演であった）</span>。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/2/221486b9.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (2)" border="0" class="pict" height="109" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/2/221486b9-s.jpg" width="199" /></a>その一方で主人公である勝改蔵は、暴走しがちな名取羽美に翻弄されるキャラクターへと書き直される。妙な思い込みと妬みでエピソードの切っ掛けを作り、あるいはエピソードに変化を与える提示するなど、主人公としての存在感と重要度は相変わらず高いが、『上巻』で描かれた暑苦しいヒーロー然とした重さは消え去り<span style="font-size: x-small; color: rgb(153, 153, 153);">（演技の面でも暑苦しさは消えた）</span>、どこか子供じみていて、それでいてギャグ漫画原作らしいユニークなパーソナリティーを構築している。名取羽美や坪内地丹があまりにも個性的に際立っていくのに対して、勝改蔵は少々思い込みの激しいものの、ある程度の常識を持ち、目の前で起きている事件に対して驚いたり怯えたりなど平均的な反応を見せる良識的な性格を持つようになった。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/f/6f81482d.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (3)" border="0" class="pict" height="109" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/f/6f81482d-s.jpg" width="199" /></a>そして坪内地丹は、『上巻』を比較して明らかに頭身が低く縮まり、いよいよ人として社会的人格を崩壊させていく。第１話Ａパート「どうしようラヴストーリー」ではすぐに図に乗る、すぐに勘違いする、その上であっという間に身を滅ぼすといったダメ人間のお手本のような性格を披露する。声優の演技面でも、『上巻』ではまだキャラクターの造形と声優のテンションの間にズレが見られ、何か掴みかねている違和感があったものの、『中巻』に入りようやく両者の気持ちは接近してきたようである。『中巻』の段階で話のオチをつける都合のいいキャラクターとしてのポジションを確立しており、これが切っ掛けとなり、間もなく&ldquo;人ではない何か&rdquo;へとシフトしていく。おそらく『下巻』においてその展望が見られると期待されるので、その過程にもぜひ注目したいところである。<br />
<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（彩園すずだけは相変わらずなので解説を省略する。キャラクターとしてもポジションとしての鉄壁の地位を守っている。初登場時から変更の必要のない、完成したキャラクターだったのだろう）</span><br />
<br />
キャラクターの描き方も、『上巻』と違うアプローチが試みられている。『上巻』では標準的で今日的なアニメーションのスタイルを踏襲して描かれていたが、『中巻』に入って線の量はざっくり切り落とされ、線や影塗りわけ、色彩はよりシンプルに描かれるようになった。キャラクターの頭がやや大きくデザインされ、頭身が少しずつ低く描かれていく。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/a/8a753eb3.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　２巻 (4)" border="0" class="pict" height="130" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/a/8a753eb3-s.jpg" width="298" /></a>瞳の描かれ方にも注目したい。『上巻』ではハイライト、ＢＬベタ、中間色、標準色と段階的に描かれていたが、『中巻』に入り、瞳の中央に瞳孔が丸く描かれ、それを中心に３段階のグラデーションが続く。ハイライトの描き方も小さく点のように描かれ、『上巻』ほどの主張はない。この瞳の描き方は『かってに改蔵』後期まで一貫した作画方法として継続されていく。<br />
物語の描き方にも変化が多く、そろそろ『かってに改蔵』シリーズだけではなく、久米田康治の作風として定着する要素がいくつも見られる。<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/3/2304f031.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (5)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/2/3/2304f031-s.jpg" width="150" /></a>初期においては勢いの強かった下ネタは次第に自制的になり、物語を彩る変態たちはまだ登場し続けるが、ブリーフパンツという文明的な被服を獲得し、視聴に少し安心感を与えるようになった。特徴的である羅列ネタや、その当時の流行や世相を取り入れた風刺ネタはこの頃から顕著に見られるようになり、羅列ネタが次々と映像化され、あっという間に流れていく様子が楽しい<span style="font-size: x-small; color: rgb(102, 102, 102);">（ただネタの大半が賞味期限切れなのが残念なところだ。若い世代はついていけないかもしれない）</span>。<br />
<br />
だが、テレビアニメーションよりまだスケジュールに余裕が持てるはずのＯＡＤシリーズなのにも関わらず、作画にブレが多く見られるところが残念なところである。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/e/7ee60d9c.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　２巻 (6)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/e/7ee60d9c-s.jpg" width="150" /></a>第１話Ｃパート『イツカギリギリスル日！？』２０：３１あたり。名取羽美のセーターの袖口の線が回転しているように見える。この線は本来、動いてはいけない部分である。これは完全に動画マンのミスである。なぜチェックは見落としたのだろう？<br />
<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/7/573ad157.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　２巻 (7)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/5/7/573ad157-s.jpg" width="150" /></a>同じく第１話Ｃパート。２１：３０あたり。手前に身を乗り出している名取羽美が、後ろに体を動かす。ここで原画と原画の間コマがごっそり抜け落ち、名取羽美が急に場所を移動したように見える。まさかの中割りの抜けである。ここで本来必要だったのは、およそ５枚程度の中割りだ。ここで「果たしてチェックは仕事していたのだろうか？」と疑問に思わずにはいられなくなる。また極端な広角レンズふうを意識したカットだが、天井が近すぎでしかもキャラクターと同じ歪みが描かれておらず、また彩園すずがひどく平面的で、まるで紙に描いた絵を角度をつけて貼り付けただけのように見える。<br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/1/616161f6.jpg" target="_blank"><img align="left" alt="かってに改蔵　２巻 (8)" border="0" class="pict" height="82" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/6/1/616161f6-s.jpg" width="150" /></a>第２話Ａパート『ゴーイング娘』３５：１４あたり。カメラワークが変化する動画としてはそこそこに難しいカットだが、動画の最後、勝改蔵の指が突然縮んだように見える。これも動画マンのミスで、原画の始まりと終わりとしっかりと確かめずに中割りしたために起きたミスだ。下書き段階で気付いていれば、ほんの数分で修正できるミスだから、動画担当、チェックが気付かず見落としたのだろう。それに広角レンズふうに描かれたカットだが、やはり天井が近すぎである。<br />
この他にも作画面におけるミス、絵画のブレは多く見られた。撮影による最終仕上げも、『上巻』の丁寧さと比較すると、もう一歩である。もう発売してしまった作品だから仕方ないが、『下巻』ではもう少し頑張ってもらいたいところである。<br />
<br />
『かってに改蔵　中巻』は初期に描かれた諸要素を放り捨て、我々がよく知っている『かってに改蔵』のイメージに近付き、あるいは久米田康治が独自の作風を身につける過渡期を描いている。アニメ版『かってに改蔵』シリーズが、久米田康治の作風の変化と、試行錯誤の過程を追跡し、映像化しているのだということがよくわかる。『かってに改蔵』のアニメーションは迷いなく確実に『かってに改蔵』に接近して行き、久米田康治という作家の深層を抉り取っていくのだろう。<br />
まあ、それはそれとして&hellip;&hellip;売れてるのか、これ？<br />
<br />
第１話　炎の幻影紅天女<br />
Ａパート　ドウシヨウラヴストーリー<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（愛蔵版第３巻第１３話）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/e/4eab74a9.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (9)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/4/e/4eab74a9-s.jpg" width="300" /></a>「我々に何か足りない要素があるとつねづね思っていたのですが&hellip;&hellip;わかりました」<br />
勝改蔵はいつにない慎重な口ぶりで切り出した。我々に足りないもの、あるいはこのシリーズに不足しているもの、それは――<br />
「我々にはラブが足りないのです！」<br />
思えばラヴコメとしてスタートしたはずのこの作品。今となっては誰一人ラヴを自覚する者のないラヴ劣等生、ラブ落第生である。このままラヴ不足が続けば、深刻な問題を引き起こす可能性もある。<br />
と議論に燃え上がる科特部にとある人物がやってくる。元天才塾演劇コースラブ影先生である。ラヴ先生とは日本を代表する世界的ラヴ演出家である。受賞した作品は数知れず、ラヴ先生の手にかかればどんな物語もラヴに変換されるという。「ラヴとりじいさん」「ラヴすて山」「ラブカニ合戦」&hellip;&hellip;いくつもの代表作を持った名演出家である。<br />
そんなラヴ先生が科特部を尋ねた理由はただ一つ。科特部に天性のラヴの素質を持った少年がいたからであった。<br />
<br />
Ｂパート　コノ子ノ七ツノオ祝イニ<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（愛蔵版第４巻第１３話）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/c/ec069400.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (10)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/e/c/ec069400-s.jpg" width="300" /></a>これは、勝改蔵が７歳の頃の思い出である。<br />
「おかあさま、ボクはもう７歳なのですが、男子は５歳なのではないですか？」<br />
神社に勝改蔵の母子が尋ねる。まだ利発で天才、神童と称えられていた頃の改蔵が不思議そうにしている。<br />
そこに、神社の神主が現れる。<br />
「七五三が７歳、５歳、３歳だけのものと思ったら、大間違いです。健康を願う全ての人に七五三を祝う権利があるのです！　というわけで古来より当天才大社では、様々な年齢の七五三をお迎えしているのです」<br />
ただし、誰もが祝う権利はあるものの、誰もが天神様の元までたどり着けるとは限らない。天神様に至る道には、様々な苦難に満ちた試練が待ち受けているのだ。そんな恐るべき場所に放り出されてしまった改蔵。<br />
すると、道の途上に名取羽美が待ち構えていた。羽美も試練に出されたのだという。改蔵は羽美と２人で天神様を目指すが&hellip;&hellip;。<br />
<br />
Ｃパート　イツカギリギリスル日！？<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（愛蔵版第３巻第３話）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/0/30955314.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (11)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/3/0/30955314-s.jpg" width="300" /></a>とあるファーストフードのお店。クラスで美人で有名な山田さんが、トレーにジュースとやきそばパンを乗せ、開いている席を探していた。<br />
「あなたもギリギリに挑んでみませんか？」<br />
不意に後ろから男が顔を寄せてきた。<br />
驚いて振り返っている間に、男はカップにジュースを注ぎ込む。カップはぎりぎり一杯までジュースに満たされる。表面張力で辛うじて保っているけど、一歩でも動いたら、この均衡は崩れてしまう&hellip;&hellip;。<br />
「ギリギリ感を楽しみたまえ！」<br />
「いやあぁぁ！」<br />
男たちは山田さんのうなじを、腰を、太股をつんつんと撫でていく。山田さんは耐え切れず悲鳴を上げ、バランスを崩され、そして&hellip;&hellip;。<br />
「最近この界隈で、限界ギリギリを強要される事件が続発している」<br />
電波が１本だけで、今にも切れそうな携帯電話。電池ギリギリで、セーブできないゲームボーイ。紙がぎりぎりのトイレットペーパー。布がぎりぎりの水着。<br />
事件は拡大する一方だが、犯人は神出鬼没でなかなか姿を現さない。いったいどうすれば&hellip;&hellip;。<br />
「おびき出してみるか」<br />
と彩園すずが提案したのは、棒倒しだった。<br />
<br />
第２話　裏切りのサイエンス<br />
Ａパート　ゴーイング娘<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（愛蔵版第４巻第２１話）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/f/8f1a3ff1.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (12)" border="0" class="pict" height="164" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/8/f/8f1a3ff1-s.jpg" width="299" /></a>空気の読めない人がいます。<br />
まだ人の少ない早朝の教室。女子生徒たちが暗くうつむいてひそひそと話をしている。<br />
「お父さんの会社、倒産しちゃって&hellip;&hellip;」<br />
とそこに名取羽美が元気に飛び込んでくる。<br />
「ねえねえ、今朝公園でずーっとスーツ着てブランコに乗っているおじさんがいてね。ありゃリストラね。家族にいえないのよ」<br />
羽美は口元を隠しながら愉快そうに笑った。<br />
空気の読めない人がいます。<br />
「重症ですな。ここまで空気が読めないと&hellip;&hellip;。友達ができないわけだな」<br />
「なんですってええ！」<br />
羽美が改蔵の首を掴む。<br />
「失礼なこと言わないでよ！　読めるわよ空気くらい！」<br />
羽美は改蔵を激しく揺らしながら訴えた。<br />
果たして羽美は空気が読めないのか？　彩園すずの提案で、第３者に意見を聞いてみることとなった。すると次から次へと出てくる。羽美の「空気読めない武勇伝」の数々！<br />
周囲から指摘された羽美は、「空気読めるようになってやる！」と叫びながら教室を飛び出してしまう。<br />
<br />
Ｂパート　西から来た女<span style="color: rgb(102, 102, 102);">（愛蔵版第２巻第１４話）</span><br />
<a href="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/6/76e37f45.jpg" target="_blank"><img align="right" alt="かってに改蔵　２巻 (13)" border="0" class="pict" height="247" hspace="5" src="http://livedoor.blogimg.jp/vitogensyutain/imgs/7/6/76e37f45-s.jpg" width="300" /></a>虎馬高校校門前。砂の混じった風にまぎれるように、女が一人立っていた。<br />
「許さへんで、絶対に！　あの女だけは！」<br />
女は目をギラギラさせて呟きに怒りを込めた。その手には一枚の写真。写真には美しい少女が涼しげな微笑を浮かべていた――写真の少女は彩園すずである。女は写真の中で微笑む彩園すずに怒りの炎を向ける。<br />
しかし女は、怒りの炎を抑え込んで一人考えに沈んでいく。<br />
――あの女の周囲には極悪非道の取り巻きがいるらしい。迂闊には手を出されへん&hellip;&hellip;。<br />
考えながら、女は虎馬高校の廊下をうつむきながら歩く。ふと、掲示板の張り紙に気付いて足を止める。<br />
《生徒会急募》<br />
「これや！」<br />
女はかすかな希望を見つけて声を弾ませた。<br />
女はジュン。彩園すずと浅からぬ関係を持ち、因縁のライヴァルである――とジュンは思い込んでいる。<br />
<br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/788/" target="_blank">かってに改蔵　上巻</a><br />
<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/795/" target="_blank">かってに改蔵　下巻</a><br />
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<a href="http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/131/" target="_blank">さよなら絶望先生《本家》目次ページへ</a><br />
<br />
作品データ<br />
総監督：新房昭之　監督：龍輪直征　原作：久米田康治<br />
キャラクターデザイン：山村洋貴　メインアニメーター：岩崎安利<br />
美術監督：飯島寿治　伊藤和宏　ビジュアルエフェクト：酒井基　色彩設計：滝沢いづみ<br />
構成：東冨耶子　構成・脚本：高山カツヒコ　編集：関一彦<br />
撮影監督：江藤慎一郎　音響監督：亀山俊樹　音楽：川田瑠夏<br />
プロデューサー：宮本純乃介　アニメーションプロデューサー：久保田光俊<br />
オープニング主題歌：水木一郎と特撮　エンディング主題歌：新☆谷良子<br />
アニメーション制作：シャフト<br />
出演：櫻井孝宏　喜多村英梨　斉藤千和　豊崎愛生　堀江由衣<br />
<span style="color:#ffffff;"><span style="background-color: rgb(255, 255, 255);">○</span></span>　　　立木文彦　新谷良子　岩男潤子　永田依子　高岡瓶々<br />
<span style="color:#ffffff;">○</span>　　　徳本英一郎　平田真菜　五十嵐亮太　小野友樹　浅科准平<br />
<span style="color:#ffffff;">○</span>　　　渡辺由佳<br />
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			<link>http://monokuronoanime2.blog.shinobi.jp/Entry/791/</link>
			<pubDate>Tue, 16 Aug 2011 12:57:28 GMT</pubDate>
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