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■2016/03/08 (Tue)
創作小説■
第10章 クロースの軍団
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6
それからさらに2日、馬を大急ぎで走らせると、ようやく街道に入り、人家が見えてきた。オーク達は街道に沿って、王城を目指した。リュタンの住み処を出て10日目、ついに一行は大門を潜り抜けて、城下町へと入った。
しかし城下町は、間もなく戦が迫ろうとしているのに、静かな様子で緊張感はどこにもなかった。兵士達の数は少なく、くつろいだ様子だった。
雨はますます激しくなり、雷鳴が轟き始めた。
オークは馬を下りて、王城への道を急いだ。だが、その途上で、人だかりがオーク達を遮った。どうやら、誰かが演説しているらしかった。
演説の男
「お前達が貧しい暮らしを強いられているのは誰のせいだ! お前達が毎日苦しい思いをしているのは誰のせいだ! みんな王のせいだ! 王の無能政治が、お前達を苦しめているのだ!」
集まった街の人達が、拳を振り上げ「そうだそうだ!」と同意の声を上げた。
演説の男
「1年前の戦いの時、お前達の家族の多くが殺された。お前達の生活のことごとくが破壊された。だが王は、我々に何も返してくれなかった。戦ったのは俺達だ! お前達の家族だ! 殺されたのは我々の友人だ! だが王は我々に対して、感謝の言葉も、謝罪の言葉も出さない。そもそも、どうしてこうなった? あの戦争好きのセシル王が、あちこちで戦の火種を点けて回ったからだ! 西の異民族を挑発し、ネフィリムの巣穴をつっつたからあんな戦いが起きた。しかし見よ、あの城を。あの城で王は、金銀財宝に囲まれ、音楽と美食の暮らしをしている。お前達から搾り取った税でだ! お前達の苦しみの上で、王は贅沢三昧の暮らしだ! あんな無能にこれ以上政治を続けさせていいのか!」
街の人達
「王を引き摺り落とせ!」
街の人達
「暮らしを返せ!」
街の人達
「王なんていらない!」
街の人達
「ウァシオ様を王にしろ!」
街の人達
「そうだ、ウァシオ様を王に!」
演説の男
「ウァシオ様を我らの王に! 暮らしを取り戻すんだ!」
その後、街の人達は「ウァシオ!」と合唱し始めた。
兵士
「何をしている! 集会をやめろ!」
ようやく兵士達がやってきて、集会を解散するように命じた。だが街の人達は兵士に反抗した。「権力者の犬め!」「俺達に自由を返せ!」と街の人達は兵士に挑みかかり、掴み、石を投げつけた。集会は兵士と住民を交えた大乱闘へと展開しようとしていた。いつの間にか演説していた男は姿を消していた。
オークは密かにその場を後にする。
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