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■2016/05/07 (Sat)
創作小説■
第12章 魔王覚醒
前回を読む
2
リーフ率いる2万の軍団が北に向かって移動していた。馬車の荷台に檻が載せられ、その中でステラが小さくなって蹲っている。リーフ
「北方の砦での仕事が終わったら、ただちに南へ向かうからな。パンテオンとか呼ばれる神殿を潰す。用意しておけ」
兵士
「はい」
リーフ
「おい、娘。起きろ。もうすぐお前の仕事だぞ」
ステラ
「…………」
ステラは膝に顔を埋めたまま、動かない。
兵士
「リーフ様が声を掛けているのだぞ! 起きろ!」
兵士が杖でステラを叩く。
兵士
「この邪教の徒が! 我らに楯突くか!」
ステラ
「…………」
リーフ
「放っておけ。……見えたぞ」
丘を越えると、海岸線が見えてきた。その海岸線に沿って、堅牢なる砦が作られていた。
リーフの軍団が砦へと接近する。
砦のほうもリーフの軍団に気付き、慌ただしく動き始めた。塔の見張り兵士が鐘を打ち鳴らす。戦闘準備が始まっていた。
リーフの軍団が、砦を前に止まった。
アレス
「そこで止まれ! それ以上近付くと、容赦せぬぞ!」
砦の防壁で、司令官らしき男が怒鳴った。男の側で、弓矢を持った兵士が身構える。
リーフ
「相手をよく見て言うんだな!」
兵士
「あれが流浪騎士団ですか……。あれだけの小さな軍団です。潰しましょう」
リーフ
「みくびらないほうがいい。奴らは1人1人が一騎当千の豪傑だ。手を出せば、こっちが痛手を負う。行くぞ!」
リーフは僅かな兵士と、ステラを乗せた馬車を連れて前に出た。
リーフ
「流浪騎士団よ、砦から出てこい! この娘がどうなってもいいのか!」
アレス
「おのれ卑怯者! 娘を人質に取るか!」
リーフ
「ただの娘ではないぞ! ……あれを出せ」
リーフがステラに命令する。だがステラは蹲ったまま応えない。
リーフ
「おい!」
兵士
「命令に従え!」
兵士がステラを杖で殴った。
ステラがわずかに顔を上げる。砦の防壁に、流浪騎士団がいるのが見えた。ステラはにわかに顔を強張らせ、横に振った。
ステラが動揺している隙に、リーフがその腕を掴んだ。ステラは抗おうとした。だがリーフは強引にステラの腕を引っ張り、その手首に巻き付けてある宝石を流浪騎士団に見せた。
アレス
「……まさか、あなたが……」
アレスは首に提げていた宝石を引っ張り出し、確かめた。
リーフ
「どうだ! お前達が探し求めていた姫君だ!」
ステラ
「逃げろ! こやつらに従うな!」
兵士がステラの首に、槍の刃を突きつける。
リーフ
「砦の兵士は投降し、我らに従え! 従わぬなら姫君の命はないぞ!」
アレス
「……ぐぅぅぅ」
アレスは仲間達に武器を収めるように指示を出した。
リーフ
「よし。こちらの任務完了だ。パンテオンへ向かうぞ」
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