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■2016/04/15 (Fri)
創作小説■
第11章 蛮族の王
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2
セルタの砦後方の村では、いまだに攻防戦が繰り広げられていた。しかし多くの兵が傷つき、今は戦闘休止状態に入っているが、敗戦は決定的だった。村はクロース軍にすっぽりと囲まれている。間もなく一斉に攻めてくるだろう。
ソフィー
「これで最後ですね。行ってください」
ソフィーは負傷兵を馬に乗せた。
兵士
「でもあなたは……」
ソフィー
「私はいいのです。足を怪我してしまいました。逃げられません。さあ早く。行ってください。生き延びてください」
ソフィーが馬の尻を杖で叩いた。兵士は抗ったが、馬が勝手に走り始めた。
残ったのは死んだ兵士と、もう何の意欲もない兵士ばかりだった。戦える勢力がその中にあるとは誰も――ソフィーですら思っていなかった。
敵の軍勢が動き始めた。村全体を何重にも取り囲んでいる。万事休す……それ以外の言葉はなかった。
不意にソフィーは目に涙を浮かべた。
オーク様はどこへ行ってしまったの?
ついにソフィーはオークの姿を見なかった。オークが城へ向かったなど、ソフィーが知るはずもない。ソフィーはオークが砦か、この村の近くにいると信じていた。だがその姿をついに目撃できず……。ソフィーは愛する者の死を覚悟した。
ソフィーは座り込むと、居住まいを正し、土の上に何か描き始めた。魔力は失っていたが、魔方陣を土の上に描いた。そうして、ソフィーは瞑想状態に入り、祝詞を唱えた。
心を鎮め、死の運命を受け入れるのには、これ以外の方法は思い付かなかった。
次回を読む
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