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■2016/04/13 (Wed)
第11章 蛮族の王

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夕暮れが過ぎても、城下町から虐殺は去らなかった。ネフィリム達の暴虐を前に、人々は為す術もなく、兵達は引き下がるしか術はなく、街はネフィリムの思うままに蹂躙された。
 しかしそんな最中でも、戦う兵士達がいた。オークとその配下の者達である。魔の者は街を支配し、蹂躙し、群がり溢れていたが、オーク達一党は最後まで諦めず果敢に戦い続けていた。
 それも多勢に無勢。兵士達は次々に倒れ、じりじりと後退していった。

兵士
「……この城はもう駄目だ。逃げましょう」
オーク
「駄目だ! 戦うんだ!」

 しかしそう言うオーク自身、なんら有効な策はなかった。ただ迫り来る敵に挑み、斬り伏せるだけだった。生まれついての殺戮者を前に、戦う以外の方法はなかった。
 オーク達は傷ついていた。すでに兵士達の中に、五体満足の者はおらず、オーク自身、全身に刃傷を受けていた。仲間達の死を何度も目撃し、時に見捨てることもあった。こんな修羅に安全な場所はなく、医術を持つ者もおらず、誰かを救うことはできなかった。
 ネフィリムの軍団はどんどん迫ってきた。オーク達がどんなに斬り伏せようとも、街を覆い尽くすネフィリムの数を思うと、その仕事は微々たるものに過ぎず、その勢力は変えられなかった。
 やがてオークは無数のネフィリムに囲まれ、刃に刻まれ、遂にハンマーの一撃が頭を捉えた。

兵士
「オーク殿!」

 兵士が駆け寄った。オークは気を失っていた。だが絶命していなかった。
 ネフィリム達はなおも襲ってくる。兵士は無我夢中で剣を振り回し、ネフィリムを退けた。仲間達も、オークを守ろうと飛び込んできた。兵士達はネフィリム達を突き飛ばし、つかみ合い、殴り合いを演じて遠ざけた。

兵士
「まだ生きている。――運ぶんだ! この人を死なせてはならない。この人を城の外へ!」

 兵士達はオークを魔の手から守り、馬に乗せて走らせた。

兵士
「行け! 行くんだ! 絶対に死なせるなよ!」

 オークを乗せた馬は城下を突っ切り、群がり来る魔の手を退け、修羅を脱出した。

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