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■2016/04/23 (Sat)
創作小説■
第11章 蛮族の王
前回を読む
6
ジオーレは城の地下宝物庫へ入っていった。暗闇を杖で照らす。管理人に案内させて、回廊のずっと奥の、聖剣が置かれている広間へと向かった。広間の中の、3体の像はすでに倒され、英雄の顔が破壊されていた。厳粛さで満たされた広間は、今では荒廃した印象が漂っていた。
ただし台座だけは手を付けずに残され、3つの剣もそこに置かれたままだった。
ジオーレは台座の前まで進んだ。
ジオーレ
「あれが聖剣というやつか……」
ゲーボルグ、ダーンウィン、エクスカリバー。
神官達の中には、異国の宝刀に感嘆の声を漏らす者もいた。廃墟の中とはいえ、聖剣が放つ威風は、一片も失われていなかった。ジオーレですら、肌にひりひりするものを感じていた。
ジオーレは伝説上の最強の剣、エクスカリバーを手にし、鞘から抜いた。
ジオーレ
「……何だこれは。こんなもののために、ブリデンと戦っていたのか」
ジオーレはぼろぼろになったエクスカリバーの刃に拍子抜けな声を上げた。
ジオーレ
「下らん。――おい、ダーンウィンをよこせ」
神官
「はは」
神官の1人がダーンウィンの鞘を手に取ろうとした。
ジオーレ
「待て。――柄を握って見ろ」
神官
「はい?」
奇妙な命令に、神官が不思議そうな顔をする。
神官達に静かにどよめきが走り、訳知りの者は黙って行く末を守った。命令された神官は、なんとなく張り詰めた空気になるのに戸惑いながら、恐る恐る剣の柄を握った。
突然に、神官に火が放たれた。火はただちに神官の全身を巡る。神官は炎に捕らわれ、のたうち回った末に、絶命した。
ジオーレ
「なるほど。ダーンウィンが持ち主を選ぶというのは本当のようだな。よし、柄は絶対に触れるな。慎重に運び出せ」
ダーウィン、エクスカリバーの2振りが奪われた。
神官
「ゲー・ボルグはどうします?」
ジオーレ
「要らん。その剣にはもう霊力を感じぬ。役目を終えたのだろう。……ティーノ、ダラス、お前達はダーンウィンとエクスカリバーを葬る方法を考えろ。その2つさえ失われれば、我らに恐れるものはない」
ティーノ&ダラス
「はっ!」
ジオーレ
「明日になれば出発するぞ。兵団を4つに分けて準備をしておれ」
神官
「あの、どちらへ……」
ジオーレ
「決まっておるだろう。我らの先代が遺した偉大なる城、キール・ブリシュトだ」
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