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■2009/10/01 (Thu)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P071 第7章 幻想の解体


私たちは小石川植物園を後にすると、そのまま男爵の屋敷へ向かった。
時刻は昼の2時頃。でも男爵の屋敷に至る通りに入っていくと、昼の騒音は一気に遠ざかってしまった。あれだけ騒々しいセミの鳴き声すら聞こえない。風すら、そこを通るのを避けているようだった。
通りの両側を覆う藪は、暗く影を落としている。空気が冷たく、鳥肌が立つのを感じた。確かに昼の風景なのに、その周辺はあまりにも陰気で、異界の空気が流れているようだった。
そんな通りに入ったところで、意外な人物と合流した。時田だった。
「あれ? 時田さん、どうしたんですか?」
私はそんな場所にいる時田が、あまりにも不思議に感じてしまった。
「望ぼっちゃまに協力を要請されたのですよ」
時田はいつもの黒の燕尾服で、恭しく私たちに頭を下げた。
「時田は重要な証言者ですから。そのために来てもらう必要があったんですよ」
糸色先生は簡単な説明をして、先頭を進んだ。
アスファルトの通りは真直ぐ奥まで続いている。夜と違って周囲の光景がくっきりと浮かんでいる。100メートルほど進んだところに、男爵の屋敷が見えた。
しかしそれでも私は、理屈ではない不気味な気配を感じていた。みんな同じように感じているらしく、広い道なのに私たちは小さく固まって寄り添い、両手を誰かに繋いでもらいながら進んだ。
やがて屋敷の門前までやってきた。糸色先生が門柱に設置されたインターホンを押す。しかしインターホンは手ごたえなくカスッと押し込まれてしまった。
「何の用かね。糸色望よ」
それでも、インターホンの向うから声が返ってきた。男爵の声だった。私はその声を聞いただけでも背筋にぞっと凍えるのを感じて、側に立っていたあびるの体にすがりついてしまった。
「あなたに用事があるのですよ。敷地内に入らせてください」
糸色先生が毅然と要求を告げた。
「いいだろう。入りたまえ」
男爵が淡々と許可を与えた。
糸色先生は格子状の門を覗き込んで、その裏に手を回し、閂を解除した。門の右側を、全員が通れるくらいに大きく開ける。
「皆さん、大丈夫ですよ。入りましょう」
糸色先生が私たちを振り返った。その顔がいつも以上に厳しい感じだった。
糸色先生が煉瓦敷きの道に入っていった。私たちはやはり寄り添うように固まりながら屋敷の敷地に入っていった。通りの両側を囲むオークの大木が、ざわざわと葉をこすり合わせている。まるで誰かいるような気配だった。
やがて、屋敷の前に出た。屋敷は昼の光の中にも関わらず、真っ黒な色を浮かべて沈黙していた。扉の片側が開かれ、男爵が杖に両掌を添えて立っていた。
「これはこれは。大勢での訪問とは。保身のために少女たちを生贄に差し出しに来たのかね。だったら大歓迎だよ。もっとも、それで君を殺すのを断念するつもりはないがね」
男爵が私たちを見て、冷酷な微笑を浮かべた。あれだったら、好色な微笑のほうがよっぽどましだと思った。
「いえ。あなたの挑戦を受けにきたのですよ」
糸色先生はパナマ帽を外し、鋭い眼差しで男爵を睨み付けた。
「ほう、それは面白い。入りたまえ。話を聞こう」
男爵は危機感のない微笑を糸色先生に向けると、踵を返し屋敷の中へ入っていった。屋敷の中は真っ暗で、黒い装束の男爵の姿が、闇に溶けていくように見えた。
糸色先生が私たちを振り返った。
「行きましょう、皆さん。日塔さん、もし危ないと思ったら、私の背中に隠れてください。私の背中、結構広いですから。まといさんも、よろしくお願いします」
私が糸色先生の側に近付くと、糸色先生は私だけに語りかけるように囁いた。私とまといは「はい」と返事をして、手を握り合った。
私は糸色先生の背中を追いながら男爵の屋敷に入っていった。糸色先生は長身で、確かに背中が広く、それを見ていると抱かれるような気分になった。恐怖も少し癒される気がした。

次回 P072 第7章 幻想の解体2 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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