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■2009/10/03 (Sat)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P073 第7章 幻想の解体


客間は沈黙していた。でもそこに漂う空気がざわざわとしていた。誰もが赤木杏を注目していた。私だけではなく、全員が赤木杏の表情と瞳の色が変わった瞬間を見ただろうと思う。赤木杏の体内で、何か劇的な変化が起きたのだ。
しかし、男爵だけがただ一人、冷静沈着な表情で佇んでいた。
「説明が抜けたようだな。なぜ、この少女が風浦可符香ではなく、赤木杏であると言えるのかね?」
男爵は両手を組み合わせて、そのうえに顎を乗せていた。
「簡単です。その少女、赤木杏さんはどこからどう見ても風浦可符香さんの双子です。他人でそこまで似ているなんて、ありえません。私は風浦可符香さんの本名を知りません。そこでヒントになったのが、日塔奈美さんの記憶です。日塔さんは幼稚園の頃、間違いなく風浦可符香さんに会ったと記憶していました。風浦さんは幼少時代、転居が多かったものの自分の通った幼稚園は全て記憶していました。それなのに、風浦さんは日塔さんの通った幼稚園に覚えがないと、とはっきり断言しました。これが意味している事実はただ一つ。日塔さんが幼稚園の頃に出会った少女は、風浦可符香さんそっくりの別人。つまり、双子の姉妹です。風浦さんは幼少時代、貧しい家庭環境を経験しています。そのせいで風浦さん姉妹は引き離されたのでしょう。それで、別々の幼稚園に通っていたのです。そこまで推測した私は、日塔さんの通った幼稚園に実際に行って来ました。過去の入園リストを探れば、すぐに見付かりましたね。年代もはっきりしていたし、確かに顔つきは風浦可符香さんそっくりでいた。名前は赤木杏。次に私は裁判所へ向かいました」
私は糸色先生の話を聞きながら、もう一つ別の考えを巡らせていた。一度は離れ離れになった風浦可符香と赤木杏。だけど、この屋敷で再会したのだ、と思う。だから、可符香は本当の名前を隠すようになったのだ。もっとも、赤木杏の記憶とともに、この屋敷で滞在した日々を封印してしまったのだけど。
糸色先生は長い説明を一旦区切って、サイドテーブルの上に置かれた旅行ケースを開けた。中から用紙を一枚引っ張り出して、テーブルの上に置いた。私たちは全員で身を乗り出して、用紙を見下ろした。
「……失踪届けか」
男爵は用紙をちらと見て、糸色先生を上目遣いにした。男爵の目に、今までより深い影が落ちていた。
失踪者は7年以上失踪を続けると、死亡扱いにされます。赤木さんの失踪届けは10年前、あなたが逮捕された同じ年に提出されていました。それから、7年以上。赤木杏さんの失踪届けは死亡届にかわり、受理されていました。だから、赤木さんはすでに死亡していて、法的にこの世に存在しないことになっているんです。だから風浦さんそっくりの少女が罪を犯した場合、現場証拠に多少の矛盾があったとしても、殺人の罪は風浦さんが被ることになる。……男爵、大したものでしたね。あなたは自分の身辺に警察の手が及んだ時、真っ先にこの計画をスタートさせた。赤木さんの体に改造手術を施し、絶対に誰にも見付からない場所に隠した。もちろん、赤木さんは男爵の生徒として洗脳済みだし、周到に暗示催眠を掛けていました。だから、男爵の生徒リストの中に、赤木杏の名前は見つからなかった。計画を発動させた後、あなたは10年間、牢獄で大人しく待っていた。それは世間の関心が風化されるのを待ったためでありましたが、それ以上に、この失踪届けが効果を持つのを待っていたのでしょう。だけど、あなたの計画はこれでお終いです。すでに死亡届が受理されている失踪者でも、本人である確たる証拠があれば、死亡届、失踪届けともに無効になるんですよ」
糸色先生は畳み込みかけるように、男爵に言葉を突きつけた。
「いいのかね。この少女は君に暴行を加えている。君は自分の生徒を警察に突き出す真似はしたくない、と言ったね。同じ顔の別人であれば構わない、というのが君の美意識なのかね」
男爵の声は低く囁くように、客間の闇に漂うようだった。
「暴行? 何の話です? みなさん、あの少女が私になにか危害を加えたそうですが、ご存知の人はいますか?」
糸色先生はわざとらしくとぼけて、私たち全員を見回した。
「いいえ、なんのことやら、さっぱり」
タータンチェック模様の入った綿のシングルソファの上で、思い出すように宙を見上げた。糸色先生の右手前の位置だった。
「何かの間違いじゃないですか。私、ずっと先生と一緒でしたけど、そんな場面には出くわしていません。」
糸色先生の左手前の席で、千里がはっきりした調子で断言した。千里は背の高い、ブラックの鋭角的なモダンデザインの椅子に座っていた。
糸色先生が私たちに頷いて、男爵を振り返った。男爵は笑っていた。組み合わせた両手で口元を隠すようにして、低く呟くような声で笑っていた。
「面白い連中だ。どうするかね?」
意見を求めるように、男爵は赤木杏を見上げた。
「もう、おしまいね。おじさま」
赤木杏が男爵を振り返り、言葉を返した。私は自分の耳を疑ってしまった。赤木杏が喋った。その声はゆるやかな温かみを持って弾んでいて、当り前なのか可符香とそっくりだった。
それから赤木杏は、糸色先生を振り返った。かわいらしく首をかしげて、微笑を浮かべる。
「よく気付いたわね。全部正解よ。残念だわ。私、一度、先生のこと殺してみたかったのに。でもいま殺したら、警察に捕まっちゃうのね。本当に残念」
「……は、はあ」
赤木杏は可符香と同じ声と喋り方で、信じられないくらいブラックな発言をしていた。さすがの糸色先生も、顔と言葉を引き攣らせてしまっていた。
「それじゃ私、可符香お姉さんを連れてくるね」
赤木杏はもう一度、ぬくもりのある微笑を浮かべると、男爵のソファの後ろを通り過ぎて、部屋の入口へと向かった。
「お待ちください」
糸色先生が赤木杏を呼び止めた。赤木杏は、ドアを開けたところで振り返った。私はその時、はじめて赤木杏の顔が寂しげに沈んでいるのに気付いた。
「今度、私の教室にいらしてください。私は出席を取らないし、大抵、なんとなく人数も多いので、誰も気にしませんから」
糸色先生は、なんでもない誘いのように、赤木杏に声をかけた。
「……ありがとう。考えとくね」
赤木杏が嬉しそうに微笑を浮かべた。白く幼い頬に、赤い色を宿した。私は赤木杏の瞳が、涙でうるうると揺れるのを見たような気がした。

次回 P074 第7章 幻想の解体4 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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