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■2009/09/30 (Wed)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P070 第6章 異端の少女

11

糸色先生が櫂先生の向かい側のソファに座った。
「それではさっそく本題に入らせてもらいます。男爵はこの研究所に所属していたのですよね。研究室は今も残っていますか?」
糸色先生は両膝に両肘を置いて、少し身を乗り出すようにして単刀直入に切り出した。
「ええ、使っていたのは、そこの廊下をずっと進んだ一番奥の研究室です。事件の後は資料室にしたのですが、利用する人は少ないですね。事情を知らないはずの若い学生さんも、なんとなくあそこは使いたがらないようで」
櫂先生は頷いて、研究室の外の廊下を指で示した。やはり男爵の話となると空気が重くなるのか、櫂先生の言葉に暗い影が漂い始めた。
「男爵はどのくらいの期間、この研究所に勤めていたんですか?」
「10年前後、といったところですね。もっとも、教授職というのではなく、ある日ふらりとやって来て、研究所の一室を根城にした感じでした。私たちともあまり交流を持ちませんでしたね。当時の学長と違法的な交流会などで接点があったらしく、それで研究室を得たらしいのです。これは後で知ったことですが」
糸色先生は調子を変えず、淡々と質問を重ねた。櫂先生はゆっくりと話を組立てながらのように話す。落ち着いていて、わかりやすい話し方だった。話に嘘があるような感じはなかった。
「男爵はこの研究所で人体実験を?」
糸色先生は一気に話の核に飛び込もうとした。でも櫂先生が首を振った。
「まさか。男爵は周到な男ですからね。ここでは専らラットの実験のみでしたよ。おそらくここでの実験の成果を屋敷に持ち帰り、監禁していた子供で試していたのでしょう」
櫂先生の言葉の調子が、少し高くなった。櫂先生も、男爵の事件をよく知っているのだ。その顔が緊張で歪むのを感じた。
「実験の内容はどんなものでした? レポートなどは見ませんでしたか?」
「植物と哺乳動物の融合、と言うべきものでしたな。哺乳動物に特殊な葉緑体を寄生させ、光合成で得た栄養素をエネルギーに変換し、対象となる実験動物に供給するというわけです。つまり、最低限の水と日光があれば、植物と同様、動物を永久に活動させられるわけです」
櫂先生は淀みなく言葉だけで解説をした。この辺りから、私はついていけない感じがした。
「でも人間を活動させるとなると、相当のカロリーが必要になるでしょう。成人男性なら1800キロカロリー前後。そんな実験に成果なんてあったのですか? そもそも生命の維持すら危うい気がするのですが」
糸色先生は少し姿勢を起こして、疑問を口にした。
「仰るとおりです。ほとんど活動不能の状態になります。男爵の生成した葉緑体は特殊なDNA構造を持っていて、通常の数百倍のエネルギーを生成できます。しかし、これをもってしても、ラットすら活動させることはできません。最低限の呼吸と、心拍の維持。まあ眠っているような状態ですな。これが限度でした。ちなみに、男爵が生成したDNAは、現在も解明できておりません。思考さえまともなら、優秀な研究者になれたでしょうね」
櫂先生は研究結果を思い出すように、宙を見上げながら答えた。空論を話すように、少し言葉が軽くなるように思えた。
「すると、人間に転用した場合は?」
糸色先生がさらに話を進めていく。
「考えたくありませんが、可能性として仮定すると、まず、人間としての活動は一切駄目になるでしょう。意識もぼんやりとあるかないか、といった状態が続くはずです。永久にまどろんだ状態で、脳だけは活動が維持されるから、多分、ひたすら夢を見続けるのでしょうな。まさに植物状態ですよ」
櫂先生は考えながら答えを見つけるようだった。
「その状態からの蘇生は可能なんですか?」
「それはわかりません。男爵本人に聞いて見ない限りには。意図的に作り出した植物状態ですし、身体の機能に問題がなければ、栄養を与えれば状態が回復するかもしれません。もっとも、かなり過酷なリハビリが必要になるでしょう」
これは櫂先生にもわからないようだった。櫂先生は両膝に肘を置き、眉間に皺を寄せて宙を見上げた。
「男爵はどんな目的で、そんな研究をしていたのですか? そういった対話をしたことは?」
糸色先生は少し言葉の緊張を解いた。話が別方向に進んでいる感じだった。
「交流は少なかったですからね。レポートの概要には、障害者や飢餓地域の救済など、もっともらしい言葉が書かれていましたよ。確かに実験が成功すれば、食べ物に振り回される心配なく、永久に生命が維持されるわけですから。ですが、実体は男爵の趣味を補強するためでしたね。男爵が子供を監禁して拷問していると、後で知りました。だから思うのですが、子供を飢餓状態において、その状態で永久に苦痛が続くようにしたかったのではないでしょうか。事件の後、警察の要請で資料に目を通したのですが、保護された子供の中には、間違いなくこの実験に使われた子供がいました。皮膚が緑色になっていましたね。体から植物を生やした子供もいましたよ」
櫂先生はゆったりとソファに体を預け、言葉を憂鬱そうに沈めた。10年前の事件は、今でも櫂先生に重くのしかかっているのだろう。
私は話を聞いているだけでも気持ち悪くなってしまって、胸を抑えてうつむいた。周りの女の子も、なんとなく具合悪そうにうつむいてり、頭を支えたりしていた。
でも、話はそろそろ終わりだったみたいだ。
「わかりました。本日は時間を作っていただき、ありがとうございます。おかげで参考になりそうです」
糸色先生は緊張を解くように微笑むと、立ち上がって丁寧に頭を下げた。
「いえいえ。力になれたかどうか」
櫂先生も立ち上がって、挨拶を返した。
「糸色先生、今ので何がわかったんですか?」
糸色先生が振り向くと、千里が一歩前に進み出て訊ねた。千里は顔に、少し不安そうな色を浮かべていた。
「全て繋がりましたよ。これから男爵の屋敷に行きましょう。決着をつけます。と、そうそう、忘れるところでした」
糸色先生は歩き出そうとするが、不意に足を止めて、何もない奥の窓を振り向いた。
「ここでお知らせです。この段階で、事件を解決するためのすべての手掛かりが出揃いました。最重要なのはただ一つ。いかにして男爵の計画を中止させるか。それから、風浦可符香の救助です。男爵は私を殺害するために、周到に罠を用意しました。殺人の罪を私の生徒、風浦可符香に着せるために、そっくりの少女を用意しました。あの謎の少女は、そもそも何者だったのか。すでに宣言された通り、私は男爵自身に一切手を出すことはできません。警察も余程の例外がないかぎり、男爵を逮捕しようとしないでしょう。ただし一度だけ、私は警察という手段を行使できそうです。蘭京太郎の事件も未解決であります。蘭京太郎の事件は男爵とどのような関わりを持っているのか。生徒の死体がなぜ私の借家で発見されたのか。ここまでに提示された手掛かりで、すべてが一つの糸のようにつながり、解明され、私は事件を解決することが可能になります。
ただし、一つだけ物語中であえて提示しなかった情報があります。それはすでにネットで充分すぎるくらい議論され尽くしているので、あえて物語中で取り上げませんでした。ある程度の『さよなら絶望先生』読者なら、おそらくすでに知っているのでは、と作者が判断したためです。
これから当小説は、“解決編”へと移ります。すべて了解し、思考の整理ができたら“解決編”にお進みください」

糸色先生は誰かに語りかけるように、長々と演説を始めた。
「君、何を言っているのかね?」
櫂先生は窓を振り向いて怪訝な顔をしていた。
「いえ、お約束というやつですよ。では」
糸色先生はもう一度、櫂先生に丁寧なお辞儀をすると、パナマ帽を頭に被った。

解決編へ進む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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