忍者ブログ

89c79c73.png
■ コンテンツ ■

ad17d9bc.png 2f3a1677.png c1a81a80.png 9452a147.png 5350f79a.png 01b9b1e8.png 29aa8305.png d5525adf.png 0e6a6cf4.png b76ca7e7.png fea5d7ae.png
■ Twitter ■

■ ブログランキング

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
■ ショップ

DMM.com DVD通販、レンタルなどの総合サイト
■2024/11/22 (Fri)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [583]  [582]  [579]  [576]  [575]  [573]  [572]  [571]  [570]  [569]  [566]  ■


■2010/04/08 (Thu)
ACT.1 魔王が誕生しちゃった!

85a1c406.jpg紗井阿九斗は帝都の駅で降りた。広い駅構内に、阿九斗は迷いながら案内表示板を頼りに進んでいく。
「こっちか……」
バッグを手に、階段を登っていく。
唐突に、側を女の子が飛び出した。阿九斗ははっと女の子を振り向いた。
2e50ce85.jpgその時、女の子のスカートがふわりと舞い上がった。阿九斗は引き寄せられるようにスカートに隠された場所に目を向ける。腰の下で、小さく艶のあるお尻が幼い輪郭線を描いていた。その危うげなラインを守るのは純白の――ねじりフンドシだった。
阿九斗はえっと時間が静止するのを感じた。頭の中に、女の子のお尻とフンドシが克明に刻み込まdd3b4c9e.jpgれた。フンドシはお尻の谷間に沿って、むしろ柔らかな丸みを強調するように包まれていた。
……さすが帝都だな。
阿九斗はとりあえずそう感心して納得した。
ふと後ろで物音がした。すると階段の踊り場にバッグが落ち、中の物23deb0e0.jpgをぶちまけているのが見えた。老婆がバッグの前でおろおろと膝を着いていた。
「あらあら、嫌だよ」
「お手伝いしましょう」
阿九斗はすかさず老婆の前に進み出て、踊り場に広がった小物を集2f423dd4.jpgめ始めた。
「どうもすみませんね」
「いえいえ」
片付けはすぐに終わり、老婆はバッグを閉じる。
「ありがとうございました」
老婆は丁寧に頭を下げる。阿九斗は老婆の持っているバッグを手に取ろうとした。
「上まで荷物をお持ちしましょう」
60bdf74f.jpg4402b6ae.jpg「ああ、いえいえ。そこまでしていただいては。そちらにも大層な荷物があるというのに」
老婆はやんわり拒否してバッグを引き戻そうとする。
「気にしないでください。人の役に立つことは率先して行う主義なんです」
「そのお気持ちだけいただきます。どうか気にせず」
「いえ、遠慮しないでください」
「いえ、遠慮させてください」
阿九斗と老婆はバッグを引っ張り合って綱引きを始める。
77607408.jpgとそこに、
「お婆様! 不埒者!」
後ろから女の子の叫び声。
阿九斗は振り向いた。と同時に、靴が阿九斗の顔面にぶつかった。阿九斗は大きく反り返りながら、靴の主が空を舞うのを眺めていた。60f25988.jpg短いスカートがひらひらと捲れ上がり、小fdbcc9af.jpgさな控えめのお尻にねじりフンドシが包み込んでいるのが見えた。
……さっきの女の子?
阿九斗は奇妙なデジャヴを引き摺りながら、倒れた。
「お婆様、大丈夫?」
女の子は切迫した声で老婆の側に駆け寄った。
しかし老婆は、呆れたように溜め息を吐いた。
「お前って子は、どうしてこう慌て者なんだろう」
「……え?」
女の子はきょとんとして声を上げる。

80293913.jpg女の子は服部洵子と名乗った。阿九斗と同じコンスタン魔術学院に通う生徒だった。とりあえず誤解を解いた阿九斗は、絢子と一緒のバスに乗って魔術学院へ向った。
絢子は代々帝国の国護を司るスハラ教の家庭に生まれた少女だった。今時は正義や他人のためというと笑う者も多いが、絢子はむしろbb9dbfdf.jpgそのために生きたいという考えだった。
一方の阿九斗はより良い人間を目指し、世の中をよくするために大司祭を目指していて、国を守る決意の絢子と意気投合した。バスの中で一本の刀を握り合い、友情の契りを交わした。
やがてバスはコンスタン魔術学院へ到着した。全寮制の巨大な学校だ。阿九斗は一度絢子と別れて、保健室へ向った。
0ceb92d3.jpg「紗井阿九斗君ね。時間通りね。これで編入生は全部揃ったことになるわね。この学院は魔法研究のためにこの世の訳のわからないものを詰め込んだようなところだから、無茶して怪我する生徒も多いのよ」
校医兼教員である鳥井美津子は阿九斗に説明しながら保健室へと案内した。保健室には人工精霊ヤタガラスを入れたポッドが置かれ、a2c5d06c.jpgその前に列がずらりとできていた。
「この人工精霊ヤタガラスがあなたたちの健康状態をチェックします。そして健康状態だけではなく、将来の職業を教えてくれるの。占いなんかじゃないわ。帝国の魔法技術の結晶よ。今のところ、予測どおりの職業に就かなかった生徒は1人もいないわ。安心して。ほとんどの人が希望通りの将来を判定されるから」
言われた通りに、阿九斗は列に並んで順番を待った。間もなくして阿九斗の番が回ってくる。
5abea5a0.jpga13586c4.jpg「編入番号021。紗井阿九斗。健康状態異常なし。将来の職業……魔王」
ヤタガラスの診断は周囲に衝撃を走らせた。
魔王――魔物の王であり、社会に対する敵対者。素質、能力、いずれを診断しても、紗井阿九斗は魔王になるのに相応しい力を持っていた。
649ef8fc.jpg23ec1e6e.jpg大司祭になるつもりが魔王……。落ち込む阿九斗だったが、鳥井に案内されて教室へ向った。1-A。服部洵子と同じクラスだった。しかし早くも噂は広まっているらしく、絢子は阿九斗に敵意を持ってツンとそっぽ向いてしまった。クラスの印象もすこぶる悪いらしい。
こういうのは始めが肝心だ。阿九斗は教壇の前に立った。
aa323e5d.jpg「級友の皆さん。さっそくですが、自己紹介させていただきます。僕は紗井阿九斗。ご存知の方も多いようですが、ヤタガラスにより、魔王と診断された者です。僕に対する好奇の目は受け入れましょう。ですが、接触もせずに恐怖心を抱いているとしたら、それは一方的な差別に繋がると思いませんか。かの適正診断は外れたことがないらしい。しかし僕は、運命を受け入れるだけが単純に正しいとは思わない! このような職業適性などが横行していることこそ、さらなるエリート意識の助長を生み、果てしなく過ちは続くのだ!」
阿九斗は身振り手振りを交えて堂々とした演説を始めた。しかし、その姿は「まさしく魔王そっくりだ」と評され、むしろクラスの全員を遠ざける結果になってしまった。
その後、阿九斗は一番後ろの席を指定され、大人しく座席に着いた。
「新年度ということでクラス委員を決めなくちゃだけど、去年に引き続き服部さんにお願いしちゃおうかしら」
クラスの点呼が終わり、鳥井が話を進めようとした。
1333fb31.jpgしかし三輪寛が話を遮って立ち上がった。
「先生! クラス委員選挙はそんな単純なものではないと思います。そうでなければ、我々に進歩などはありえません。僕は紗井君をクラス委員に推薦します!」
最初の演説でなぜか阿九斗に心酔した寛が推薦をする。これがクラf4cf8891.jpgスに新たな騒動を生み出した。阿九斗は委員長を辞退して清掃員を希望するが、この学校では清掃員は人や物を消す物騒な役職で現在は廃止になっていた。
裏切られたと思った絢子が逆上して阿九斗に決闘を申し込んだ。阿九斗は絢子の太刀をかわし、素早く回り込んで羽交い絞めにする。
d7d39312.jpgf490d989.jpg「誤解なんだ。悪意はない。君を辱めるつもりはない。改めて関係を結んでくれ」
「だからそれが辱めだと言っている!」
むしろ火に油を注いでしまった。
571432ce.jpg283a835b.jpg絢子の木刀が阿九斗に振り落とされた。とっさに阿九斗は木刀を掴む。0f612e8e.jpgその時、突然に阿九斗の腕が膨らみ始めた。封印された力が発動したのだ。阿九斗は力を暴走させ、教室を吹っ飛ばしてしまった。


夜になり、阿九斗は絢子の誤解を解こうと女子寮へ向った。三輪寛の案内で導かれ、なぜか裏口からこっそり女子寮へ入っていく。阿九斗は言われた通りに絢子の部屋の窓へ進み、窓を三回叩いた。
a9d2d128.jpg「なんたる屈辱か! 貴様、どこまで私を辱めれば!」
絢子がいきなり窓を開けて阿九斗を怒鳴りつけた。窓を三回叩くのは、夜這いのサインだった。
阿九斗は絢子に追われて逃げ出す。そのまま森に入っていき、土手を転げ落ちていった。そこに待ち受けていたのは不思議オーラをまとう少女、曽我けーなだった。
e0a605e3.jpg「私のところを訪ねてきたのはだあれ? そう、私はここでこうしてこの学院を、この世界を見詰め守護している者です。あなたは王子様? 素敵なお顔や体にすり傷があるのは、私に会うために茨を乗り越えてきたから? だとするならば、私はあなたを守ってあげます。王子様を守るのも、最近の女の子の勤めだから」
何だかわからないうちにけーなは阿九斗への協力を名乗り出て絢子と対峙した。
絢子はけーなの前で分身してやりすごし、阿九斗を狙った。阿九斗の力が再び暴発した。草木はa1fa363e.jpg一瞬にして蒸発し周囲一帯の土が抉り取られた。残ったのは焼けた土の臭いと荒涼とした風景だけだった。
「ああ、何ということでしょう。私の眠っていた凶暴な力が今まさに目覚めてしまったのね。ああ、禁断の力で人を殺めた罪は、一生掛けて償わなければならないかも。私はこれから、いったいどうすればい234af5da.jpgいのかしら……」
なにやら勘違いしたけーなが自身の不幸に打ちひしがれていた。
そんな場所に、もう1人の女の子が現れる。
「紗井阿九斗さんですか。自分は監視員。識別名はころねです」
新たな刺客の登場だった……。


c98be48c.jpgbfa66d47.jpg『いちばんうしろの大魔王』に創造的なイメージは一切ない。人物の造形や用語、風景、いずれを見ても、創作物の中で普遍的に消費されつくしたイメージを再利用して作られている。和装姿に田舎風の3160c1c0.jpg20f34f19.jpg言葉を喋る老婆の描き方や、ファンタジー・ゲームでよく使われる言葉だけで構築した学園風景。作品の独自的なものはどこにも発見できない。
だがそれは、あえてなのだ。通俗的な漫ae4aa8f5.jpg010f0ddf.jpg画や小説は、読者に受け入れられるために、その時代が抱いている普遍的なイメージを敢えて物語の中に取り込む。その人物が何者であるか、どんな物語であるのか、容易に了解してもらえるように6327e923.jpgだ。
コメディ作品ほど、通俗的なものが重要視される。パロディはパロディする作品をみんなが知っているからこそ笑いがある。前提となる作品を知っているからこそ、芸人が仰々しく演じる言い回しや身振りがおかしいとわかるわけだ。
fd1d4980.jpg『いちばんうしろの大魔王』も、コメディ作品であるからこそ、あえて作品から独創的な冒険を省き、通俗的なイメージで固めているのだ。
6759274d.jpg構図はキャラクターが中心で、空間を描く能力は低い。左のカットは、服部絢子だけが巨大化してしまっている。単純なレイアウトミス。
6bbdb779.jpg4eee71bd.jpg

『いちばんうしろの大魔王』はある誤解でクラスの美少女たちを引きつけていく物語だ。誤解されて結果として主人公を中1d87c862.jpg2e469847.jpg心にハーレム状態を構築していく。漫画世界では繰り返し描かれてきた、ある種の伝統的なプロットであるといえる。
だが『いちばんうしろの大魔王』はその視点がちょっとずれている。ほとんどの場合77ade401.jpgは、女の子の側が救われたとか、憧れのイメージどおりの人、というような誤解から始まるのだが、『いちばんうしろの大魔王』はその真逆を突き進んでいく。主人公紗井阿九斗はもっとも忌み嫌われる悪の支配者なのである。
ここにもイメージの食い違いが見られる。紗井阿九斗の人柄は善人ea8942d0.jpgそのもので、作品冒頭でも「大司祭をなりたい」と夢を語り始める。魔王のイメージとはもっとも遠いと思える人物像である。
この二つのギャップが『いちばんうしろの魔王』をある程度、特別にしている。多くの漫画作品は主人公が意志薄弱で周囲が勝手に、という描きだが、『いちばんうしろの大魔王』は善人であろうとして悪人と4d720f5d.jpg見做されるのである。
といっても、結果として美少女たちと強引な結びつきを作り、ハーレム状態を作り出すわけだが。
546f528e.jpg最近の傾向だが、読者が漫画に新たなイメージを求めないようになってきた。作品に入り込むための障害を嫌っているのだ。ただ安心感だけを求めて、新しいものを異物として排除する。作品が独自に世界や思想、イメージを提示するのを嫌っている。だから考える必要をあらかじめ排除した通俗漫画が、再び流行りはじめているわけだ。
0e6d830d.jpg『いちばんうしろの大魔王』は思春期のコンプレクスを強く刻印する。クラス一番の絶対手が届かない女の子と仲良くしたい。エッチなハプニングに遭遇したい。下着への執着を埋め合わせしたい。
もっとも、その先のイメージがあるわけではないから、いつも中途半端なところで終わってしまう。この種のラブコメは0d0f16c7.jpg過去作品のプロットを手本に再構築されているから、そこからさらに延長したイメージは存在しない。なぜなら、これまでの作品で「その後」を描いた作品はないからだ。いつもいつの間にか終わって結末が頭に残らないのがラブコメ漫画の宿命である。
929f256c.jpgそれでもこの種のプロットは、欲望を有り体に、ある程度の健全な範囲で描くから決してなくなることはない。いつまでも求められる作品の一つである。『いちばんうしろの大魔王』はその最新版として描かれたわけである。

『いちばんうしろの大魔王』公式ホームページ

作品データ
監督:渡部高志 原作:水城正太郎
シリーズ構成:吉岡たかを キャラクター原案:伊藤宗一
キャラクターデザイン・総作画監督:小林利充 小関雅 玄鶴・黒龍デザイン:宮武一貴
美術監督:河合伸治 色彩設計:西尾梨香 撮影監督:大西博
編集:中葉由美子 村井秀明 音楽:加藤達也 音響監督:本山哲
アニメーション制作:アートランド
出演:近藤隆 豊崎愛生 日笠陽子 悠木碧
  代永翼 伊藤静 広橋涼 たかはし智秋
  竹達彩奈 水原薫 寿美菜子 白鳥哲
  片貝薫 明石香織 高橋研二 相馬幸人



拍手[2回]

PR
にほんブログ村 アニメブログへ
■ [583]  [582]  [579]  [576]  [575]  [573]  [572]  [571]  [570]  [569]  [566]  ■


■ ブログの解説 ■

漫画・アニメ・キャラクターを中心に取り扱うブログです。 読みたい記事は、左の目次からお探しください。

QLOOKアクセス解析


■ ブログ内検索  ■

私が描きました!

アマゾンショップ

アマゾンのサイトに飛びます
フィギュア

アニメDVD

新刊コミック

ゲーム

ライトノベル

楽天

アマゾン<シャッフル>ショップ

私が描きました!

Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]