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■2010/04/14 (Wed)
シリーズアニメ■
第1話 美咲ちゃんはメイド様!
星華高校は元男子校だったため、いまだに男子生徒の数が多かった。男子中心だから自然と学校内の規律や風紀は乱れやすく、女子生徒は肩身の狭い思いをしていた。
そんな最中、鮎沢美咲は星華高校初の女性生徒会長に就任。徹底した学校内改革を行おうとしていた。
当然、反抗する者や、鮎沢の意向に従わない生徒も多くいた。いわゆる三馬鹿と呼ばれる白川直也、更科郁斗、黒崎龍太郎などはその代表格だった。
それから、鮎沢には気になっている男子生徒がいた。
碓氷拓海――成績優秀でスポーツ万能。しかも美形。女子生徒に告白されること数知れず。しかし本人は周囲の視線や恋愛などに関心はなく、いくら女子生徒に告白されても「興味ない」とさらりと断る。それで泣かされた女子生徒が多くいた。
だから鮎沢は碓氷を嫌っていた。同性として許せないという思いがあったし、父親を思わせるところがあった。
鮎沢の父親は、数年前に借金を作って失踪した。残された家族は貧乏暮らしの生活を強いられていた。家の門は壊れ、廊下には穴が開いてる。母親は無理して内職の仕事を入れて家計を支え、妹の紗奈は懸賞に応募し続けていた。
鮎沢も働かないわけにはいかず、隣町まで行き、メイド喫茶メイド・ラテで働いていた。
厳しい生徒会長のイメージで通っている自分がメイド喫茶やっているなんて知られたら……。
と思っていると、鮎沢の前に碓氷拓海が現れた。
知られてしまった!
しかしメイド喫茶でバイトしている事実は学校に知られていなかった。拓海が黙っていてくれたらしい。その代わりに、拓海はメイド・ラテに訪ねるようになり、鮎沢を観察する日々を続け始める。
生徒会長の仕事が忙しく、勉強も続けなければならないし、メイド喫茶のバイトをやめるわけにはいかない。多忙の日々が続き、鮎沢は体調を崩し始めていた。
そんな具合も悪いある日、メイド喫茶でバイトしているところを三馬鹿に見付かってしまった。鮎沢が三馬鹿にからかわれ倒れそうになったそこに、碓氷が現れ鮎沢の危機を救う。
感謝した鮎沢は、碓氷に何か礼をしたいと申し出る。そこで碓氷が言ったのは――、
「一日だけ俺のメイドやってくれる?」
◇
生徒会長がメイド。正反対のイメージをユーモアたっぷりに描いたエンターティメント作品だ。
鮎沢美咲のイメージは成功したキャリアウーマンだ。妥協を許さず、自身に厳しい目標を課し続けて努力し続ける女性。今時にはありがちな自分を追い詰め、自分を高め続ける行動に酔い続けている女性だ。美しく有能で、容赦なく厳しい新しいタイプの女性だ。
また鮎沢は男性中心の社会に徹底した反逆を行っている。男嫌いを公言し、男性の習慣を矯正させ女性社会の勢力を拡大させようとする。フェミニズム的な意識が鮎沢を厳しい行動に駆り立てている。
誇張されたイメージがユーモアたっぷりに描かれている。男子校や貧乏のイメージにしても、ありがちなイメージをそのままに描いている。家などは、例え貧乏でも普通に住んでたらそうそう廊下が抜けたりなどはしないだろう。だがその誇張がユーモアだ。
が、鮎沢は正反対の願望を深層意識に抱えている。男性社会を統率したいという表面的な意思行動とは裏腹に、男性に甘えたい、男性に抱かれたいという願望だ。
鮎沢がメイド喫茶で働いているのは、「仕方なく」ではなく一貫した内面的な願望に従った結果である。
ただし今時のキャリアウーマンの例にあるように、鮎沢が抱く理想の男性像と恋愛イメージはあまりにも崇高な領域に入りつつある。碓氷拓海は理想の男性像の具現化であるが、その描き方はあまりにも夢想的だ。碓氷は万能の存在として描かれているし、無条件な父親のイメージが加えられている。
あまりにも高く設定しすぎた理想像を抱く現代の女性の意識を、作品はずばり指摘し、かつそれを満たす作品構造を作り上げている。
映像面について、作品独自の個性は見付からない。ある意味、堅実的に作られた映像作品であるといえる。ただ最近の男性向け学園ものと違って、普通に風景を描いていることに好感が持てる。一般に通じそうな作品は、少女漫画原作以外(あるいは女性作家)もはや期待できないかもしれない。
『会長はメイド様!』は主人公鮎沢美咲の二つの側面を描いた作品である。男性を統率したいという願望を持った生徒会長としての鮎沢と、反対に服従したいという願望を実現させているメイド。まさに“ツンデレ”の構図が作品の全体に貫かれている。
ふとすると生々しくなりがちな願望の実相を、生徒会長とメイド喫茶という今時の言葉を使ってオブラートに、健全な作品として描いている。現代女性の願望を、安心して楽しめるエンターティメントとして描いた作品だ。
会長はメイド様! 公式ホームページ
作品データ
監督:桜井弘明 原作:藤原ヒロ
シリーズ構成:池田眞美子 キャラクターデザイン:井本由紀
プロップデザイン:原修一 美術監督:小林七郎 色彩設計:石田美由紀
撮影監督:黒澤豊 編集:後藤正浩 音響監督:本山哲 音楽:前口渉
アニメーション製作:J.C.STAFF
出演:藤村歩 岡本信彦 椎橋和義 花沢香菜
〇 小林ゆう 市来光弘 寺島拓篤 細谷佳正
〇 豊崎愛生 阿澄佳奈 儀武ゆう子 櫻井浩美
〇 川澄綾子 石原夏織 大原崇 中西英樹
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