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■2015/10/25 (Sun)
創作小説■
第5章 蛮族の軍団
前回を読む
10
オーク自身も馬に跨がった。アステリクス
「オーク殿!」
オーク
「早馬を出して、今の報告をセシル王子の許へ。アステリクスは南へ。敵の規模を目視で確認して、知らせてください。戦が始まります!」
それぞれがそれぞれの方向に散っていった。
オークは仲間達を率いて、長城へと戻る。長城はすでに慌ただしく戦の準備が始まっていた。馬の直進を防止するための柵を立てたり、長城に弓兵を集めさせたりしていた。
オークは馬を下りると、部下が用意した鎧を身につける。そこに、ソフィーが駆け寄ってきた。
オーク
「あの者は無事ですか」
ソフィー
「早急に手当をしました。しかしここでは危険ですので、村へ送りました。オーク様は無事でしたか」
オーク
「私はまだ敵に接していません。伝令は?」
ソフィー
「一番に早馬が行きました」
オーク
「そうですか」
長城から王城までの道のりは思いのほか長い。軍隊を並ばせて進ませれば2日。しかし早馬ならずっと早いし、途中の村ではもしもに備えて伝令用の馬が配置されている。早ければ、半日で知らせが届くはずだが――。
ソフィー
「オーク様、行くのですか?」
オーク
「この砦の防備は万全ではありません。本日中に城に伝令が行きますが、兵を集めるまで1日、ここまで駆けつけるのに数日……。戦の準備が整うまで、早くとも3日後でしょう。その間、できるだけここで持ちこたえさせなければなりません」
この砦を突破されたら、城までの道のりはほとんど無防備状態になる。途中の村では大規模な戦闘に耐えるだけの準備はできていない。もっとも、この砦もまだ完全な状態だと言い難い。
オークはおおよその準備を整え、馬上用の大剣をベルトに取り付けた。オークと一緒に戻ってきた兵士達も、同じように準備を終えたようだ。
ソフィー
「オーク様。――どうかご無事でいて。もし危険を感じたら……」
ソフィーは目に涙を溢れさせていた。
オーク
「心配しないで、ソフィー。しかし私を想っていてください」
ソフィー
「……はい」
オークの短い別れの言葉に、ソフィーは子供のように頷いた。
アステリクスが戻ってきた。
アステリクス
「オーク殿! 敵軍を確認しました。確かにピクト人やヴァイキングを仲間に加えたゼーラ一族の軍団です。規模は5000。真っ直ぐ長城を目指して北上しています!」
オーク
「よし。――馬に乗れる者、20名私に続け」
オークは指示を出して、長城の通用口を潜った。長城には2つ、馬も人も頭を下げないと通行できない背の低い通路があった。長城の北側と南側を繋ぐ通路で、もちろん塞ぐことができる。
が、今はその準備すら万全とはいえない。
オークは長城を振り返って、その様子を眺めた。まだ修復の最中、堅牢なる壁は往時の姿を取り戻したとは言えない。騎馬の直進の勢いを削ぐくらいならできるが、それ以上の軍勢を止めるほどのものではない。破壊も容易だろう。
だが、今はここで可能な限り、敵を足止めしなければならない――。
間もなくして、オークの前に兵士と馬が集まってきた。その数が20人になったところで、オークは馬に乗った。
オーク
「行くぞ!」
次回を読む
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