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■2016/04/29 (Fri)
第11章 蛮族の王

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 オークは隠里を出ると、目立ちやすい街道を避けて、人知れぬ丘や荒れ地を抜け、3日後、城の東に置かれた港に到着した。夜の時間を待って街の中へと入っていくと、あらかじめ用意していた隠れ家に潜んだ。


「城は異国の兵士によって厳重に警備され、大門を潜るにも身体検査やクロースの審査を受けねばなりません。武器を持って入るのは困難です。もしも街に入れても、住民による相互の監視や密告の恐れがあります」
ゼイン
「侵入は難しい、か」

「この一ヶ月の間にウァシオの暗殺が計画されましたが、城に入る前に捕らえられ、処刑されています」
ゼイン
「武器はナイフ1つでも暗殺を疑われる。いや、兵卒だった者は町民と体格が違うから、即座に監視の対象になるだろう」
オーク
「…………」

「それに、オークは名の知れた武将。あまりにも顔が知られすぎています。街に入れば、すぐにでも噂に上るでしょう」
ゼイン
「仕方ない。オーク殿には留守番をお願いしよう。しかし我々とて侵入は難しい。内部に通じている仲間はおらんのか」
オーク
「いや……」
ゼイン
「うん?」

 オークは何か記憶に引っ掛かるものがあった。

オーク
「城の地下には秘密の通路があるというのを誰か訊いたことはありませんか。もしもの時の抜け道だという……」

 オークは、かつてセシルが言った『この階段はずっと下まで続いている。その先に秘密の扉があり、海に出ることができる。……いわば抜け道だ』という言葉を思い出していた。

ゼイン
「なんとそんな場所が」
オーク
「真偽の定かではありませんが、確かめる価値はあります」

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