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■2016/04/30 (Sat)
第6章 イコノロギア

前回を読む

 ツグミは助手席に乗ると、体の緊張が急に抜けるような気がした。トレンチコートのボタンを外し、さらにパーカーのチャックも下ろす。少し体に風を入れたかった。
 ヒナも体の力が抜けたみたいに、ステアリングに寄りかかっていた。ヒナの場合、解放感ではなく、消耗しきった感じだったと思う。
 ツグミはうつむいて、ヒナが何か言うのをまった。きっとここで、ヒナは辛い思いをしてきたのだろう。まだすぐに色々できるほど立ち直れるとは思えなかった。
 しばらくしてヒナは体を起こした。
「……行こうか」
 ヒナは左手でエンジン・キーを捻った。ダイハツ・ムーブが小刻みに振動を始め、目の前にライトが点いた。足下からヒーターのぬくもりが這い上がってくる。
 ダイハツ・ムーブはゆっくりと進んだ。右へ曲がり、しばらく道かどうかわからない悪路を、車全体を揺らしながら進んだ。ライトで照らされる道は、道といえないくらいの砂利道で、ヒナは慎重にダイハツ・ムーブを進めていた。
 ようやく一般道に出た。直前でダイハツ・ムーブを止めて左右を見回すが、こんな寂れた道に車なんて通るはずもない。
 ヒナは一般道路に出て、左に曲がった。辺りは真っ暗で、時々街灯の明かりが仄暗く道を照らした。周囲は背の高い森になっていて、木々がまるで真っ暗な壁のようになって立ちふさがっている。どこを振り向いても何も特徴はないが、さっき来た道を引き返しているのだけはわかった。
 やがて車は十字路に出た。信号もなかったが、ヒナは一旦車を停めて、ルームミラーを覗き込んだ。ツグミも意図を察して、前後左右に注意を向けた。追跡車はどこにもいない。どうやら、ヒナは本当に解放されたみたいだった。
 ダイハツ・ムーブは左に曲がった。この道は直進してきたはずだ。ツグミはどこへ行くのだろう、と思った。
 ダイハツ・ムーブはしばらく直進し、間もなくして脇に現れた小さな空き地に入っていった。空き地は真っ暗で特に何もなく、放置された茂みの合間にたまたまできた空間みたいな場所だった。ダイハツ・ムーブはそんな場所へ入っていき、停車した。
 そこまでやってきて、ヒナは「ふぅー」とため息を漏らして、ステアリングにもたれかかった。ヒナの溜め息が重々しくて、体の奥に堪った何かを同時に吐き出しているようだった。
「ツグミは、いつから気付いとったん。私が関わっていること」
 ヒナはステアリングにもたれかかった格好のまま、訊ねた。声が弱々しかった。
 ツグミは体をかがめて、紺のハイソックスをずらした。そこに、小さく折りたたまれた紙が隠してあった。
 ツグミは紙を開いて、ヒナに差し出した。「『ガリラヤの海の嵐』と人質を交換」と書かれた、あの指示書だった。警察に見つけられてはいけないものだから、ずっと肌身離さず持ち歩いていたのだ。
「これ、ヒナお姉ちゃんの字やろ。それにこの最後に書かれた落書き……。これ、ヒナお姉ちゃんがよく描いとったやつやん」
 ツグミは、指示書の文字の末尾に描かれた落書きを指さした。小さなヒヨコだ。ヒナは学生の頃はよく画を描いていたが、サイン代わりに使っていたのが、このヒヨコだった。ヒヨコを使っていたのは、もちろん名前がヒナだからだ。
「ヒナお姉ちゃん、ルリお姉ちゃんに会ったんやろ。それで『ガリラヤの海の嵐』の存在を聞き出し、取引の材料にした。かな恵さんは、ヒナお姉ちゃんが連絡もしてくれないって話してたけど、あれは嘘やろ。ヒナお姉ちゃんは、かな恵さんと連絡を取り合っていて、それで今回の計画に協力してもらった。そうやね?」
 かな恵はおっとりしているようで、妙なところで執念深いところがある。好きな相手が連絡をしてくれないのなら、自分で居場所を調べて、押しかけるくらいはやるだろう。
 ヒナはステアリングにもたれかかったままの格好で、少し顔を傾けてツグミを見た。その顔に、疲労と安堵が両方を浮かんでいた。
「ツグミは本当に賢いんやね。これだけのヒントで全部お見通しや。それにうまく立ち回って、こんなところまでやってきた。ツグミ、ごめんな。私、ツグミを裏切っとったわ。コルリのことも。本当、ごめん」
 ヒナはハンドルを突っ伏したまま、小さく嗚咽を漏らした。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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