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■2016/04/03 (Sun)
創作小説■
第10章 クロースの軍団
前回を読む
19
長城はついに打ち破られた。頑丈な石積みの壁が崩壊し、土煙が大きく噴き上がっている。その中を、敵が次々となだれ込んできた。それを、ソフィー達が遠くから見ていた。
アステリクス
「退避! 退避!」
戦意を失った兵士が、一目散に砦を捨てて逃げ出していく。アステリクスが仲間達に呼びかけながら、走っていた。
アステリクス
「退避! 村まで逃げろ! 退避!」
ソフィー
「待って。オーク様がまだ……」
アステリクス
「やむを得ません。今は退避してください」
ソフィー
「…………」
ソフィーはアステリクスに反抗して、瓦礫のほうへ向かおうとした。しかし目の前に敵が迫った。クロースの兵士達が狂乱の声を上げて、ソフィーたちに斬りかかった。
アステリクス
「さあ、早く!」
ソフィーはアステリクスに手を引かれて、その場を後にした。
◇
騒乱が通り過ぎていく音がした。オークはゆっくり目を覚ます。
自身の体が半分瓦礫に埋まっていた。長城が崩壊し、兵士達が通り過ぎていくのが見えた。オークはただちに状況を理解して、瓦礫の中から這い出た。
すると、敵がオークの存在に気付いた。
クロース兵
「いたぞ! 殺せ! 殺せ!」
クロース兵がオークに向かってきた。何人かで組を作り、瓦礫を登ってきた。
オークの手に武器はなかった。オークは瓦礫を駆け上った。登り詰めたそこに、大鍋が1つ置かれていた。その中で、まだ油がぐつぐつと煮えたぎっていた。
オークは大鍋の前まで進むと、全力で大鍋を押し、瓦礫に向かって倒した。
灼熱の油が迫るのに、クロース兵は大慌てで引き返そうとした。油は勢いよく斜面を流れ、兵士達を飲み込んだ。その下を通行しようとしていた騎士団も、突然横殴りに迫る油に慌てふためいて、足並みを乱した。
オークはさらに火矢を放った。油が火を噴き上げる。長城の崩れた部分を、炎が分断するように遮った。そこを駆け抜けようとしていた兵士達は、突然の炎に遮られて踏みとどまった。
クロース兵
「あいつだ! あいつを捉えよ! 殺せ!」
敵が一斉にオークに向かってきた。瓦礫の四方から、敵が登ってくる。
オークは辺りを見回した。仲間はいない。オークただ1人だった。しかしオークは恐れず、むしろ瓦礫を駆け下りて、敵の只中に突っ込んでいった。
次回を読む
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