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■2016/03/16 (Wed)
創作小説■
第10章 クロースの軍団
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10
ウァシオが廊下の窓から、オーク達の列が城を去って行くのを見ていた。ウァシオ
「奴め。なぜ生きておる。間者どもは盲か。人間の生き死にひとつ正しく報告できんのか。……フンッ。奴が生きていようが死んでいようが、もう手遅れだ。状況は進みつつある。西に兵を集めさせよ。誰にも気付かれてはならぬぞ。城が空になったときに……よいな」
ウァシオは、従者にこそこそと命令を与える。
従者は了解して頭を下げ、廊下を去って行った。
ウァシオは廊下を歩いて行く。会議室に入っていった。会議室は暗く、蝋燭の明かりで空間がひっそり照らされていた。
ラスリン
「こんな時間にいったい何のつもりかな。新しい王は無能なだけではなく、常識がないと見える」
セシル
「そんなもの結構だ。現状を度外視するような常識なら投げ捨ててやる」
ラスリン
「ほほう。ならばお聞かせ願いたいものですな。非常識な王がそこまでして我らを集めた理由を。我らだって忙しい。王こそ、民から集めたお金を数えるのに忙しいでしょう」
貴族達が嘲笑を浮かべる。
ウァシオはその中、悠然と歩き、自分の椅子に座り、足をテーブルに投げ出した。誰もウァシオを咎めない。
セシル
「減らず口は口の中にしまっておくことだな。戦が迫っておる。間もなくここは戦場になるだろう。その時どうするか、我々は考え、決めねばならん」
貴族
「またそれだ! この王はよっぽど人殺しが好きらしい。それとも妄想好きなのか」
貴族
「英雄物語の読みすぎであろう。いつまで夢見る少年のつもりなのですかな」
ラスリン
「王は口を開く度に、戦だの脅威だのと騒ぎ立てる。ならば聞こうではないか。敵とは一体どこの誰で、何の目的でこの国にやってくるのかね」
セシル
「それは明かではない」
ラスリン
「わからん! わからんだと! やはりこれだ。では会議はおしまいだな。下らん、帰るぞ」
貴族
「まったく馬鹿な王に付き合わされるとくたびれるわい。この王は、民を扇動して国を破壊することしか考えておらん」
埒の明かない論争が続く……。ウァシオはその様子を、にやにやと笑いながら見ていた。
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