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■2016/03/14 (Mon)
創作小説■
第10章 クロースの軍団
前回を読む
9
オークはセシルの部屋を出て、廊下を歩く。その途上で少年が立っているのに気付いた。セシルの息子のカインだ。カインは本を読んでいたが、オークに気付くと、恭しく礼をして見送ろうとした。
オーク
「あなたでしたか。少し見ない間に、ずいぶん大人になりましたね」
カイン
「父を支えてやらねばなりません」
オーク
「……そうですね。セシル様に尽くしてください」
オークはカインに敬意を込めた挨拶をすると、廊下を通り抜けていった。
城の大階段を降りていくと、アステリクスが待ち受けていた。すでに出発の準備が整えられていた。
アステリクス
「どうでした?」
オーク
「状況はよくありません。しかしセシル様は信頼できるお方です。必ず兵を集め、国を守るために立ち上がってくれます。私たちはそれまで、敵を留めさせるのです」
オークは言いながら、旅装束を脱ぎ捨てて、丈夫な鉄の鎧に着替えた。小姓が着替えるのを手伝った。
アステリクス
「まるで1年前を繰り返しておるようですな。しかも、状況はよりひどくなっている」
オーク
「仕方ありません。どんな状況であろうと、国を守るのが兵士の務めです」
オークは馬に乗った。城の兵士達も準備を終えて待ち構えていた。
出発の前に、オークは城を振り返る。大階段に、セシルが立っているのが見えた。
オーク
「戦ってください。セシル様」
オークはセシルに向かって、手を振り上げた。
セシルはオークに手を振って返した。
オークは出発した。軍団を引き連れて城の前の坂道を降りていく。セシルは城の中へと入っていった。
オーク達は列を作り、城下町を急ぎ足で進んだ。通りを街の住民達が取り囲んだ。
街の人達
「また戦争か!」
街の人達
「王の戦争好きに付き合わされる身にもなってみろ!」
街の人達
「俺達の税で好き勝手やりやがって!」
街の人達
「人殺し! 国から出て行け!」
街の人達
「お前らだけで人殺しをやっていろ! 俺達を巻き込むな!」
街の住民達が兵団を取り囲み、罵倒とそのついでに物を投げつけた。だが兵達は毅然として街の住民達には何も応えず、真っ直ぐ大門を目指して進んだ。
次回を読む
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