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■2010/01/06 (Wed)
書籍007・闇の奥――アフリカ。
そこは地図の中の空白。神秘に覆われた場所だった。

マーロウは冒険家だった。世界中を旅して、あらゆる国の土を踏み、あらゆる風景を目にしてきた。だからもう地図に書かれた土地の名前に神秘を感じなくなっていた。
だがある日、マーロウは一枚の地図に出会う。
アフリカの地図だった。
地図は大きな運河を描いていた。まるで大きな大蛇のような河で、海から始まり、とぐろを巻くようにうねりながら奥地へと伸びている。
そうだ。アフリカにはまだ行っていない。
マーロウは一枚の地図に魅了され、ただちにアフリカ行きを決める。

マーロウは早速、アフリカで貿易をしている会社へ行き、面接を受けた。
ちょうど船長の一人が現地人と衝突して殺害されたばかりで、貿易会社は後釜を捜していた。マーロウはタイミングよく船長の仕事を得て、アフリカ行きの船に乗った。
この時マーロウは、アフリカに何が待ち受けているのか知らなかった。単純に、少年が見知らぬ土地に憧れを抱くように、アフリカ行きに胸を躍らせていた。
だが、そこは狂気が待ち受ける場所だった。
アフリカ植民地時代の真っ只中という背景もあり、アフリカ行きの船には次々と軍人が乗り込んできた。マーロウは軍人たちを乗せ、軍人宛の手紙を運搬した。
だがアフリカからやってくる兵士たちの様子は、どことなく奇妙だった。
マーロウは一度、沖合いに碇泊する一隻の軍艦に出くわした。
軍艦は大陸に向かって砲身をずらりと並べ、ジャングルに向かってしきりに大砲を打ち込んでいた。
「あそこに、土人の集落があるんだ」
ある兵士はマーロウにそう説明した。しかしマーロウの目には、一軒の家も見当たらなかった。

間もなくマーロウは、アフリカの出張所にたどり着く。
そこは荒れた場所だった。貧困と疫病が蔓延して無気力にうずくまる黒人たち。無意味な穴掘り労働を続ける黒人たち。森に入ると痩せた黒人たちが何人もうずくまっていた。もはや病気と無気力で動く力もなく、そこで死を待っているのだ。
そんな光景が灼熱の太陽の下で、どんよりとした土臭を満たしていた。身を潜めていた狂気がいよいよ姿を明らかにしようとしていた。
だがマーロウは、そんな光景に決して恐れを抱かず、逃げ出そうともせず、出張所の仕事に従事し続ける。
そんな日々が十日も続いた頃、唐突に会計士が「きっと君はクルツにお会いになるでしょう」と切り出した。
クルツ。
一等代理士で、貿易会社が最も重要視する象牙地帯の出張所を預かる男。知識豊かで聡明で絵画の才能も持つ男。クルツは、いつかそこの総支配人になるだろう、と噂されていた。
出張所に駐在する人々は、誰もが二言目にはクルツを話題にした。だがマーロウはさほどクルツに興味を抱かなかった。クルツについてそれこそ堪能するほど耳にしたが、マーロウには現実味が弱く、どこか天使と悪魔について聞かされているようだった。

間もなくしてクルツに問題が起きたらしい噂を耳にする。
クルツが病気を患ったらしい。それも相当に深刻な状況だそうだ。
クルツは出張所の象牙をすべてカヌーに乗せて、自身も戻ってくるはずだった。だがクルツは戻ってこなかった。クルツは運河の途上でカヌーを回れ右させて、元の場所に戻ってしまったのだ。
そんな話を聞いて、マーロウはようやくクルツに感心と興味を持ち始めた。アフリカの奥地にいて、病気にも関わらず戻ってこない男。果たしてどんな男なのか。
そんな折、貿易会社からマーロウに指示が下る。マーロウは行き先も告げられずに、蒸気船で運河を下っていく任務を受けた。
だがマーロウはすでに気付いている。クルツのもとへ行くのだ。運河を下っていった先に、クルツが待っているのだ。
蒸気船は原始の夜を遡るように、河を上っていく。


『闇の奥』が発表されたのは1899年だ。小説のモデルにされたのはコンゴ川の流域で、作者コンラッドは実際にこの場所に派遣され、象牙の運搬を担当していた。だから『闇の奥』は半ば自伝的な作品であると言える。
当時のアフリカは西洋諸国の一方的な植民地化で、搾取が横行しひどい荒廃が広がっていた。物語中に描かれた風景の一つ一つは、もちろん誇張もあると考えられるが概ね事実に基づいた描写だ。
コンラッドはこの体験を手紙で「コンゴに行くまでの僕は、単に一匹の動物に過ぎなかった」とさえ語っている。コンラッドにとって、アフリカ体験はそれほどに重大な影響力を持っていた。
『闇の奥』のタイトル及び物語の意味は、その通りに「人間精神の闇」を示している(実際には様々な解釈がある)。主人公マーロウが川を下っていく過程は、まさに人間精神の闇の奥へと向かっていく過程である。
その最中で、マーロウはあらゆる荒廃を目にする。原始の闇。文明の荒廃。どの風景もクルツの残像を思わせる。マーロウはクルツの精神の痕跡をたどっているのだ。
登場人物の一人が語るように、アフリカ行きの志願者は何人もいた。
だが給料は月に2フランや3フラン。薄給な上、行った者はほとんどは精神を病むか、あるいはそのまま戻ってこれなくなる。それでも誰もがアフリカに引き寄せられ、アフリカに向かっていく。
彼らは“自殺志願者”なのか? いや違う。自殺ならマンハッタンの高層ビルから飛び降りればいい。自殺とは明らかな別種の、もっと活動的でとりとめのない意識が彼らの心理を作用している。
マーロウはアフリカの狂気を目にして、体験したあとも決して恐れもしないし逃げようともしない。黒人達のために何かしようともしない。ただある種の好奇心を持って、彼らを観察し、生活を続けている。
マーロウはすでにアフリカの狂気に魅了されていたのだ。この世の暗黒を前にして、かつてない魅力を感じているのだ。
そしてその暗黒の最も深いところにクルツがいる。クルツは暗黒の淵で1人きりで佇み、じっとその向うを見詰めている。肉体は病気に蝕まれて、いよいよ朽ちようとしている。だがクルツは助けを求めず、自らの意思で暗黒の淵に引き返してしまった。暗黒の、もっと深いところを覗くように。
そこに何があるのか?
マーロウはクルツに魅力されて、運河の一番深い場所へと下っていく。だがマーロウはクルツと同じ場所には決して行かない。マーロウの役目は、クルツを捕まえ、連れ戻すところで終わっている。だからマーロウも読者も、クルツが本当に目撃し、心に感じたすべてを知らされずに済む。
しかし物語はクルツにもっとも近い場所まで接近していく。最も恐ろしい暗黒の淵へと。マーロウは読者を引き連れて、暗黒の淵へと遡っていく。

読書記事一覧

作品データ
闇の奥
著者:コンラッド
訳者:仲野好夫
出版:岩波書店




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