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■2010/01/09 (Sat)
第1話 響ク音・払暁ノ街

775f9cb2.jpg破れた屋根から、ぽたりぽたりと雨滴が落ちていました。壁は崩れて黒い焦げ跡を残し、不快な煙の匂いが辺りを満たしていました。
316b701a.jpg雨は絶え間なく続いていました。世界はまるで声をなくしてしまったかのように雨に音を吸い込まれて沈黙していました。
今その場所にひそひそと置き忘れているのは、小さな女の子の泣き声だけでした。女の子は何もない崩れた建物の隅っこで小さくうずく428095bf.jpgまり、膝に顔を押し付けて嗚咽を漏らしていた。哀しみはあまりにも深くて、苦しみを搾り出すような切ない泣き声でした。
ふと女の子は気配に気付きました。正面に、扉をなくした入口がありました。その向うの石垣に囲まれた原っぱの上に、女の人が1人立っていました。
633b6d6e.jpg女の人は軍服を着て、輝く金髪を雨に濡れるままにしていました。
女の子は導かれるものを感じて、立ち上がって扉の前に進みました。近付いてみると、女の人の手に金の喇叭があるのに気付きました。金の喇叭はこの色彩を失った灰色の世界の中で、希望のしるし黄金色に輝いていました。
ffde5058.jpg女の人がはっと女の子を振り向きました。胸の上で鈴の音が弾みました。首飾りでした。
女の人は驚くように目を丸くしていましたけど、相手が女の子だと気付いて微笑を浮かべました。
「どうしたの?」

11aa5e5e.jpgカタンカタンと心地よく体が揺れるのを感じました。女の子は背中に昼の光を感じて目を覚まします。次に気付いたのは男達の大騒ぎする声でした。
「へえ、あんたはミストラルか。難儀なこった」
「でも、あっちは食いもんはうまいし、美人が多いって言うしな」
「休戦になってそろそろ半年か――。お互い無事に生き残れてよかったな」
男達がぽつぽつと言葉を交わしています。言葉に挟まれるように、ぱたぱたとカードを叩く音がしました。
女の子は自分の居場所を思い出そうと身を起こし、目をこすって顔を上げました。どうやらそこは貨物列車のコンテナの中のようです。空間一杯に積み込まれたコンテナが深い影を作り、その中に男達が幾人かいるのに気付きました。
「嬢ちゃん。起きたか」
不意に男達の騒ぎが収まって、声が女の子に向けられました。
ce95f3f7.jpg女の子はえっと正面を改めました。右手から光が差し込み、その光の中で男達が車座になってカード遊びしているのが見えました。男達は女の子が目を覚ましたのに気付いて、カード遊びを中断して振り返っていたのです。
「戦利品のおすそ分けだ」
29eb9d03.jpg男の一人が缶を放り投げました。女の子は胸で缶を受け止めました。
「あ、キャラメル! こ、このような高価なもの、恐縮であります! えっと……軍曹殿!」
女の子は一気に目が覚めて、立ち上がって相手の階級を確認して敬礼をしました。
「なーに、喇叭手を親切にしとくと退却喇叭がよく聞こえるってな」
缶を投げ渡してくれた軍曹は、微笑みながらゲームに戻ってカードを一枚手に取りました。
「徴兵もなくなったってのに、新兵とは珍しいな。志願したのか?」
別の男が女の子に不思議そうに尋ねました。
b1815933.jpg「はい。音楽が習いたくて」
女の子はちょっと興奮気味に声を上げました。
すると、男たちから「ええ!」と驚きの声が上がりました。
「じゃなくて……」
女の子は慌てて訂正しようとします。でももう遅かったようです。男達は声を上げて笑いました。
「ははははは! 正直でいいや」
女の子はいたたまれなくなって、しゅんと落ち込むように俯きました。
「二等兵。名前は?」
そう尋ねる声に、女の子は気分を改めて顔を上げました。
「カナタ――。空深彼方であります!」
カナタは元気一杯に胸を張って敬礼をしました。


bb624235.jpgab93c2bb.jpgそこはひどくまどろむような空気が流れている。映像は美しく、穏やかで平和な時間が漂っている。流れ行く風景やそこにただよっている冷たく濃密な文化の気配を孕んだ風は、どこか旅情的な哀愁を275d007d.jpgfeb6e98b.jpg漂わせている。
慌しいものや哀しいものはその世界のどこにもないと言うように――しかし彼らは軍人である。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は軍人を主人公に描いf5f396eb.jpgb1a49cfc.jpgた作品であり、背後には戦争の影が漂っているようだ。だがそこに緊迫した脅威はまったく感じさせない。対局するような平和的なのどかさが漂い流れていく。主人公の空深彼方からして、どうやって徴兵試験を通過したかわからないような女の子である。
これは一昔前の漫画『のらくろ』のような、争いをほとんど描かず平和的でモラトリアル集団として軍隊を描いた兵隊物語に似た雰囲気を持っている。


e20ed352.jpgずっと昔――。
世界が今のように土で固まらず、風になびく草もなかった頃。街の谷底に翼を持った悪魔が住んでいました。
悪魔の喉から噴出される紅蓮の炎は何もかも焼き払ってしまいました。固まりかけた大地や人間の作りしあらゆるものは、悪魔の放つ業火の前に灰となって朽ちてしまいました。
悪魔の蛮行はとどまらず、砦の住んでいた乙女達をさらい、97c7d540.jpg地下の迷宮に封じてしまいます。
けれど娘たちは諦めず、天主様から授かった金の角笛でお互いを呼び合いました。そうして娘たちは協力し合って地下の迷宮を脱出したのです。
娘たちは地上に這い出ると、巨大な蜘蛛の力を借りて悪魔を倒し、その首を討ち落としました。
すると悪魔の首は呪いを残すように炎を吹き出し続けまし0204d7f6.jpgた。
このままではすべて燃やされてしまいます。崖の上に作った村もそこに暮らす人々も、全て炎で燃やされてしまいます。
乙女たちは村のため人のため大地のために決心を定めました。燃え上がる獣の首を順番に抱き、呪いが絶えるのを待ったのです。
娘の体は炎で燃え上がり、腕と胸は火傷に爛れ、美しかった姿は黒い影法師のように変わりました。それでも娘たちは懸命に耐えて、順番に悪魔の首を抱き続けます。
村の人たちはそんな娘のために水を浴びせました。毎日毎日、火が絶えるのを待ちながら水をかけ続けました。
それが1年過ぎた頃――悪魔を覆っていた炎は消えました。悪魔の首は熱を失った炭のように黒く固まり、ぼろぼろと崩れ去りました。呪いは絶えたのです。
以来、村を救った霊を慰めるために、水かけ祭りを始めたのです。


3cb82da6.jpg7b3f9ab6.jpgただし『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』が描いているのはもっとゆるやかな社会空間だ。中心舞台である砦の構成員からして年端の行かない美しい乙女たちだ。まるで軍隊というより女子高の――それも夢想の中に58d67045.jpgd4968d8a.jpg描かれる秘密の花園のような感覚だ。
これはある意味、日本アニメにおける制服物の新しい分野であり、所属する場所を軍隊に視点を移した作品であると見るべきだろう。だからそこで演じられるモラトリアル空間は、その他のアニメで描かれたゆるやかさと性質は大きく変わらないだろう――もっともドラマが動き出せば、学園物ドラマとまったく違う展開がそこに見出せるはずだろう、という期待はある。
e52b8c56.jpg放送前から絵が堀口悠紀子に似ていると指摘された。堀口悠紀子に似ているから注目された作品であるといえる。目元の癖や輪郭線、線の流れは似ているがそれ以外は全く似ていない。そこそこの目利きなら見誤る愚は犯さないだろう。そもそもアニメーターは指定された通りの絵を描く職人的職業だ。また成長段階のアニメーターはその前の仕事の影響をもろに受けてしまう傾向がある。今回の場合、似てしまったのは後者の理由だろう。
7c88f7d2.jpg07bd7616.jpg作品の風景は実に繊細で詳らかに描かれている。崖に接した街並みの周囲には連丘が果てまで連なり明媚な眺望を作り出している。反対を振り向くと青く澄み渡った海が広がっている。段差の多い石c24ae605.jpg5e4639a2.jpg造りの町は雨や風が通り過ぎた痕跡を残し味わい深い景色を作り出している。そこで暮らす生活は、幾年もの時間を背負った深みのある文化を感じさせる。
a252f271.jpg23ed92c3.jpgその風景の多くはスペインの城塞都市クエンカとアラルコンをモデルに描かれている。しっかりした観察の力で、空気の感触までしっかりと映像の中に再現している。
93666cf2.jpgfae9854f.jpgだが風景とは別の風俗には日本の風習を当てはめられている。街を張り巡らされている注連縄や、出店に並ぶ食べ物、獅子舞、他にも桶や柄杓といった小物まで日本の道具が使われている。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』はスペインの風景の上88cd588f.jpgに日本の風俗をレイヤリングして作られている。その奇妙なミスマッチが作品独自の風景を作り出している。
c1e755e7.jpg動きは枚数の躊躇いなく表情豊かに動く。左のエンディングの動画だが笑っている姿が面白かった。笑いは形式化されやすい動きだが、ちゃんとキャラク91ef1f1b.jpgターを表現しようと動かす意欲が流石。作品イメージとマッチした動画だ。
軍隊物アニメ――というよりどこか童話的な温かみを感じさせる作品だ。
舞台は絶壁に接した環境の厳しそうな場所だが、人々の顔に屈託が9be1c12d.jpgない。物語の全体に置かれているあらゆる物に対して、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は優しさに包まれている。
だがこの平和的な空気も嵐の前後にある静けさ、台風の目に入ったときの静かに凪いだ一瞬に過ぎないだろう。戦争の影が迫ってくるのか、岸壁下に眠った悪魔が再生するのかそれは読みきれないが――物語の時間は不穏な気配を目指してそろりと進み始める。


40743736.jpg「とっとと起床せよ! 空深彼方二等兵!」
いきなり怒鳴り声をするのに、カナタはぱっと目を覚ましました。すると目の前に、凛として美しいけど険しく怒った顔がありました。
カナタはびっくりして飛び起きました。それから次に困惑して辺りを見回しました。とても暗くて固い石の壁に囲まれていました。カナタ自身は寝袋で眠っていたようでした。
79f8133f.jpgでもカナタは、どうして自分がそこにいるのか、どういった経緯で女の人が目の前に怒った顔で座っているのか、見当が付けられませんでした。
「あれ、ここって……」
カナタは不安になって女の人に答えを求めようとしました。
「いつまで寝ぼけてる、ここは《時告げ砦》。第112小隊の駐屯地だ」
「ああ……」
女の人は厳しく、今いる場所を説明してくれました。カナタは「ここがそうなのか」と声を上げて改めて周囲の風景を、自分が所属すべき場所を見回しました。
女の人は何も言わず、ランプを手に立ち上がりました。カナタはどうすべきだろうと女の人を見送りました。ランプの光が遠ざかっていき、暗い影がカナタの体に被さってきました。
「何をしている。従いて来い!」
女の人がふと足を止めて、カナタを怒鳴りつけました。
その峻厳な声に、カナタは改めて背筋をピンと伸ばし、寝袋から飛び出しました。それから、女の人の後を従いて行きます。
49888b40.jpg女の人はランプを手にして狭い通路を通り、その脇の階段を登っていきました。とても狭く、暗い空間でした。ランプのささやかな光が石の壁をゆらゆらと揺れながら這い登っていきます。窓すらない場所で、カナタは慎重に足元を確かめながら階段を登って行きました。
間もなくして、目の前にドアが現れました。ドアを開くと、視界が開けe87aebc4.jpgて潮の香りが辺り一杯に満たしました。そこは砦の塔の先端でした。自分たちが出てきたドアを囲むように、銃眼が掘り込まれた狭いバルコニーが置かれていました。
「昨日はあの……ご、ご迷惑をおかけしました」
カナタは自分の喇叭を胸に抱きながら、タイミングを見計らって謝罪をしました。
「まったくだ」
女の人は呆れた顔で夜空を眺めていました。その横顔は厳しく固まっていました。空には星はなく、まばらに雲が浮かんでいます。そろそろ夜明け頃の時間でした。空気が軽やかで闇が深く、でも暗さによる不安な心地はどこにもありませんでした。
「すみません。でも……」
カナタはびくびくしてピシッと背筋を伸ばしました。でも、と言い訳を続けようと俯きます。
するとふと女の人が微笑みかけました。
「冗談だ。だが、もう無茶はするなよ。こんな鈴のために」
女の人はシャツの中に押し込んだ鈴を引っ張り出しました。首飾りに付けられた鈴が、シャラシャラと乾いた音を立てました。
ふとカナタは右の風景を見ました。湾を挟んで崖が険しく切り取られているのが見えました。そこに、セーズの街が沈黙して佇んでいました。夜の影で真っ暗に沈んで、街は休息の時間にまどろんでいました。
42c477af.jpg「教えてやる」
女の人が言うのにカナタは振り向きました。するとその手に、立派な喇叭が握られていました。
「トランペット!」
カナタは気分を一転させて心弾ませました。
22a98771.jpg「なぜこの砦が時告げ砦と呼ばれているか――」
女の人はそこで言葉を切って、街を振り向きました。喇叭をそっと唇に当てて、瞑想するように目を閉じました。
喇叭が音を吹き鳴らしました。それは見事なメロディとなって空へと広がって行きます。女の人の息吹が金の管を通り、魔法の音色に変87451db3.jpgえているようにすら思えました。
カナタは暗く沈んだ空を見ました。澄んだ空気が心地よく揺れているのを感じました。――空の音だ。カナタは空一杯に広がっていく音の形をはっきり感じました。それがあまりにも心地よくて、想いをそこに委ねました。
2f7b4819.jpgふと雲が白く浮かび上がり、空の暗い影と分離していきます。目に白い輝きが飛び込んできました。カナタは掌をかざしながら連丘を振り向きました。連丘のずっと向うに、太陽が輝きを放っていました。
街は穏やかな光に包まれて、白い壁の色を浮かべました。続いて丘の緑や穏やかにゆらめく海の青が浮かびました。
67832d40.jpg女の人の喇叭はますます力を得て、表情を豊かに演奏を続けます。しかしそれもいよいよ終わりの時を迎えて、静かに収束して行きました。
「和宮梨旺――私の名だ。私が喇叭手としてお前を指導する」
女の人は改めて名乗りました。カナタは興奮で胸を躍らせて、リオの前に飛びつき頭を深く下げてお辞儀しました。
「よろしくお願いします。リオ総長殿!」
「リオでいい」
リオが素っ気なくいうのに、カナタはえっと顔を上げます。
リオはもどかしそうに言葉を探して空を見上げました。
「フェリシア……隊長の方針でな。ここでは階級は抜きだ」
「えっと、じゃあリオ先輩!」
カナタは言い改めてリオに微笑みかけました。
リオも軽く微笑みました。
「では、さっそく始めるとするか。起床喇叭、吹いてみろ」
リオは指導員の顔になって、厳しくカナタに指示を与えました。
「ええ!」
カナタは困ったように声を上げました。
それでも仕方なく喇叭を口にくわえます。しかしそこから出てきたのは……
c65d762b.jpgcda03794.jpg……ぶ……ぶぶ……ぶぶぶ……。
途切れ途切れの奇怪な音でした。それでもリオは一生懸命頬を膨らませてぷうぷうと喇叭に息を吹き込みます。
その横で、リオが愕然と銃眼にもたれかかりうなだれていました。

作品データ
監督:神戸守 原作:Paradores
脚本:吉野弘幸 キャラクター原案:岸田メル キャラクターデザイン:赤井俊文
セットデザイン:青木智由紀 プロップデザイン:北田勝彦 メカニックデザイン:石垣純哉
色彩設計:中島和子 美術監督:甲斐政俊 撮影監督:尾崎隆晴
編集:瀬山武司 音響監督:清水勝則 音楽:大島ミチル
アニメーション制作:A-1Pictures
出演:金元寿子 小林ゆう 喜多村英梨 悠木碧
  遠藤綾 福圓美里 石塚運昇 八十川真由野



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