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■2009/09/18 (Fri)
529413e5.jpg物語の主要な舞台は、ロッキー山脈の麓に見える小さな町だ。
その日、森に出かけていた親子は、墜落する宇宙船を目撃する。
現場に駆けつけると、親子が見た経験のない材質の50d60880.jpg宇宙船が、そこに横たわっていた。
「保安官に知らせよう」
ただならぬ物を察知した親子は、急いで森を抜け出そうとした。
しかし、親子を幼生エイリアンが襲い掛かる。
407c583e.jpg光をふんだんに取り入れた画面作り。この種の怪物映画としては、なかなかに美しい画面作りだ。暗闇のシーンと、極端なコントラスをと作り出している。


ea63c2d9.jpg今回の舞台は、日常的な街である。
これまでのエイリアン/プレデター・シリーズは「非日常空間」が主要舞台であった。
宇宙空間や、ジャングル。エイリアン/プレデターは非日常空間に出現する、異形の怪物だった。
(『プレデター2』は、ロサンゼルスが舞台だったが、日常と接点を持つことはなかった)
18f8b831.jpg暗闇のシーンは、極端な闇で描かれる。シルエットすらはっきりしないが、粒子の荒いフィルムでぼんやりと質感のみを浮かび上がらせる。


eec0f031.jpg光と闇の描かれ方に、特徴がある映画だ。
日常の世界は、自然光がふんだんに取り入れられ、非常に美しい。
それに対し、夜や闇のシーンは、ほとんど何も見通せないくらいの闇が描かれる。娯楽映画の多くは、a4abc97a.jpg暗闇のシーンでも、光がやわらかく当たり、全体がぼんやりと浮かび上がるように描いている。
しかし、この映画が描く闇は、まさに「見えない闇」である。何が潜んでいるかわからない闇が、見る者の恐怖を煽り立てている。
67d6b3c3.jpgマッピング画像。『メトロイド・プライム』に酷似している。この頃はビジュアル面でゲームと映画の境界線を侵食しあっているので、似ていても不思議ではない。むしろ、よくあるできごとになりつつある。


1dd31480.jpg怪物映画としては意外なくらい、日常に焦点が当てられた映画だ。人々の暮らしや、人間関係が丹念に描かれている。
怪物映画としては、極めて珍しい傾向である。
しかし一方で、詳細に組まれた設定とは裏腹に、描3a122c0a.jpg写があまりにも不充分である。おそらく、もっと細かくドラマとして発展したかもしれない物語だが、その一部を軽く掠めただけで映画は終ってしまう。
映画はドラマの流れをすべて掬い上げる前に、エイリアン/プレデターの襲撃によって、それまでの組立てを無に返してしまう。
90aff8c5.jpg退役軍人である女(名前はわからなかった)。後半、物語の主導的立場を持つようになる。どことなくリプリーに似ている感じ。人物の掘り下げが中途半端なまま進行し、そのまま放ったらかしにするのが『AVP2』の弱いところだ。映画の骨格も骨を覆う肉も貧相なイメージが付きまとう。女軍人の名前や人物像がつかめないまま、というのがその一例。
f32a8da8.jpg映画はじわりじわりと非日常を侵食させていく。
前半の展開は、非常にゆったりとしている。前半30分は犠牲者もなく、具体的なアクションシーンも描かれない。しかし物語自体に停滞感はなく、物語は着実に進行させて行く。
153543ad.jpg非日常はやがて、日常の境界線を踏み越えていく。ある沸点に達すると、映画は急速に、極端なくらいのショックシーンを連発させる。
その境目の線の動きを丹念に描いたのは『エイリアン』の第1作目以来だろう。日常の生活があり、だからこそ、エイリアン襲撃の異常さが際立ってくる。一方で、尺度の短さがドラマを不十分にして、映画を薄っぺらく見せてしまっている部分もある。
その部分を差し置けば、『AVP2』は『エイリアン』第1作目に近づけようとした作品ではないだろうか。

映画記事一覧

作品データ
監督:コリン&グレッグ・ストラウス
脚本:シェーン・サレルノ 音楽:ブライアン・タイラー
編集:ダン・ジマーマン
クリーチャー造形:アマルガメイテッド・ダイナミクス・インク
出演:スティーブン・パスカル レイコ・エイルワース
〇〇〇ジョン・オースティン ジョニー・ルイス
〇〇〇アリエル・ゲイド クリステン・ヘイガー



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