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■2009/09/17 (Thu)
映画:外国映画■
宝石商のゲートを、四人のラビが潜り抜けた。
「話は聞いているか。文字通り受け取っては駄目だ。アダムとイヴの物語は、道徳的寓話だ。実話のはずがないだろう。素敵な物語だが、所詮、作り話に過ぎない。カトリック教は誤解が多い。ギリシャ語訳の旧約聖書は“若い女”を“処女”と誤訳している。原書のヘブライ語の綴りが似ていたからだ。“処女に我らの息子が宿る”という預言も誤りだ。処女という言葉が誤解を招いた。処女が子供を宿すわけがない……」
四人のラビはくどくどと議論を交わしながらエレベーターに乗り、廊下を進み、そのあいだ喋り続けていた。ところがオフィスに入った途端、突然四人のラビはコートを脱ぎ捨てて正体を明かした。
銃で武装した強盗団だ。
ラビに扮装した強盗団は、宝石商のオフィスから86カラットの大粒ダイヤを強奪し、脱走する。
「ボリス。フォーフィンガー・フランキーがでかいダイヤを持っている。ダイヤは腕に繋いだケースの中だ。銃を買いに、お前のところに行かせた。何? 自分でダイヤを盗めって? アメリカ人が死ねば、俺が疑われる。ボリス、俺の兄弟だろ。頭を使え。ゴタゴタはごめんだぞ。殺したりしたら怪しまれる。奴がロンドンに滞在するのは、ほんの数日だ。手早く動け。ああ、そうだ。一つ情報を教えておく。奴は賭博中毒だ」
ターキッシュは闇ボクシングのプロモーターだった。
いつも一緒のトミーは、幼なじみの相棒だ。
「あんなボロトレーラーがオフィスじゃあな。新しいのを買って来い」
「俺が?」
「お前は目が利く。夏休みをトレーラーで過ごしたいだろ。安いのを見つけてくるんだ」
とターキッシュはトミーに一万ドルを手渡し、“パイキー(流浪民)”の元へと行かせた。
主演はジェイソン・スティサムだが、映画のポスターはDVDパッケージにはブラッド・ピットのものが採用された。これは当時、ジェイソン・スティサムがあまり有名ではなく、ブラッド・ピットのほうが注目されるだろうと考えられたためだ。
映画『スナッチ』は犯罪映画であり、群像劇映画である。
登場人物が次から次へと登場し、物語が錯綜する。
物語の中心に置かれているのは86カラットの大粒ダイヤだ。このダイヤを手に入れるために、それぞれの登場人物達が、それぞれの立場で東奔西走する。
『スナッチ』は犯罪映画だが、どこかしらユーモラスだ。
登場人物はみんな真剣だし、暴力も振るうが、一方でキャラクターとしての癖は強すぎで、奇怪な撮影方法がかつて見た経験のない映画に変質させている。
「犯罪映画」というより「変人奇人映画」。かなりどぎついバイオレンスのある暴力映画だが、ユーモアのあるキャラクターのおかげで現実的になりすぎず、あまりストレスにならない。作家の奇怪な感性を愉しみたい映画だ。
映画の特徴は前衛的な撮影方法と編集方法だ。
間延びした長回しが続いたかと思うと、突然異様な速度で場面が移り変わる。
まったく関連のない別の場所、別のエピソードへ物語が飛び移り、解説を始める。
だが全体を通して不思議な一貫性を持ち、見ている側が物語を見失うことはない。
映画全体に漂う、奇怪なキャラクターがかもし出す不思議なユーモアで、不愉快さも感じない。
ありえないような事件が次々と起こり、謀はことごとく裏切られて、事件は予想もつかない結末へと巡る巡る。
86カラットのダイヤはどこへ行き、誰に手に渡るのか?
映画も物語も、奇怪なくらい前衛的な感性で描かれた映画だ。
映画記事一覧
作品データ
監督・脚本:ガイ・リッチー 撮影:ジョン・マーフィ
出演:ジェイソン・ステイサム ベニチオ・デル・トロ
〇〇〇デニス・ファリナ ヴィニー・ジョーンズ
〇〇〇ブラッド・ピット レイド・セルベッジア
〇〇〇アラン・フォード マイク・リード
「話は聞いているか。文字通り受け取っては駄目だ。アダムとイヴの物語は、道徳的寓話だ。実話のはずがないだろう。素敵な物語だが、所詮、作り話に過ぎない。カトリック教は誤解が多い。ギリシャ語訳の旧約聖書は“若い女”を“処女”と誤訳している。原書のヘブライ語の綴りが似ていたからだ。“処女に我らの息子が宿る”という預言も誤りだ。処女という言葉が誤解を招いた。処女が子供を宿すわけがない……」
四人のラビはくどくどと議論を交わしながらエレベーターに乗り、廊下を進み、そのあいだ喋り続けていた。ところがオフィスに入った途端、突然四人のラビはコートを脱ぎ捨てて正体を明かした。
銃で武装した強盗団だ。
ラビに扮装した強盗団は、宝石商のオフィスから86カラットの大粒ダイヤを強奪し、脱走する。
「ボリス。フォーフィンガー・フランキーがでかいダイヤを持っている。ダイヤは腕に繋いだケースの中だ。銃を買いに、お前のところに行かせた。何? 自分でダイヤを盗めって? アメリカ人が死ねば、俺が疑われる。ボリス、俺の兄弟だろ。頭を使え。ゴタゴタはごめんだぞ。殺したりしたら怪しまれる。奴がロンドンに滞在するのは、ほんの数日だ。手早く動け。ああ、そうだ。一つ情報を教えておく。奴は賭博中毒だ」
ターキッシュは闇ボクシングのプロモーターだった。
いつも一緒のトミーは、幼なじみの相棒だ。
「あんなボロトレーラーがオフィスじゃあな。新しいのを買って来い」
「俺が?」
「お前は目が利く。夏休みをトレーラーで過ごしたいだろ。安いのを見つけてくるんだ」
とターキッシュはトミーに一万ドルを手渡し、“パイキー(流浪民)”の元へと行かせた。
主演はジェイソン・スティサムだが、映画のポスターはDVDパッケージにはブラッド・ピットのものが採用された。これは当時、ジェイソン・スティサムがあまり有名ではなく、ブラッド・ピットのほうが注目されるだろうと考えられたためだ。
映画『スナッチ』は犯罪映画であり、群像劇映画である。
登場人物が次から次へと登場し、物語が錯綜する。
物語の中心に置かれているのは86カラットの大粒ダイヤだ。このダイヤを手に入れるために、それぞれの登場人物達が、それぞれの立場で東奔西走する。
『スナッチ』は犯罪映画だが、どこかしらユーモラスだ。
登場人物はみんな真剣だし、暴力も振るうが、一方でキャラクターとしての癖は強すぎで、奇怪な撮影方法がかつて見た経験のない映画に変質させている。
「犯罪映画」というより「変人奇人映画」。かなりどぎついバイオレンスのある暴力映画だが、ユーモアのあるキャラクターのおかげで現実的になりすぎず、あまりストレスにならない。作家の奇怪な感性を愉しみたい映画だ。
映画の特徴は前衛的な撮影方法と編集方法だ。
間延びした長回しが続いたかと思うと、突然異様な速度で場面が移り変わる。
まったく関連のない別の場所、別のエピソードへ物語が飛び移り、解説を始める。
だが全体を通して不思議な一貫性を持ち、見ている側が物語を見失うことはない。
映画全体に漂う、奇怪なキャラクターがかもし出す不思議なユーモアで、不愉快さも感じない。
ありえないような事件が次々と起こり、謀はことごとく裏切られて、事件は予想もつかない結末へと巡る巡る。
86カラットのダイヤはどこへ行き、誰に手に渡るのか?
映画も物語も、奇怪なくらい前衛的な感性で描かれた映画だ。
映画記事一覧
作品データ
監督・脚本:ガイ・リッチー 撮影:ジョン・マーフィ
出演:ジェイソン・ステイサム ベニチオ・デル・トロ
〇〇〇デニス・ファリナ ヴィニー・ジョーンズ
〇〇〇ブラッド・ピット レイド・セルベッジア
〇〇〇アラン・フォード マイク・リード
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