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■2009/09/16 (Wed)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P056 第5章 ドラコニアの屋敷

14

「そこまでです!」
大袈裟なようだけど、その声は天上から響くラッパのように聞こえた。私は涙で滲みかけた目で、声がした方向を振り返った。
振り向いたその方向に、通路が見えた。通路を前に、糸色先生が立っていた。糸色先生の背後に、まといがぴったり寄り添っている。さらに千里、藤吉、それからあびるの三人が通路を走ってくるのが見えた。
「これはこれは。脱獄でもしたのかね? なぜ検察は起訴状を出さなかった?」
男爵は驚きというより、愉快そうに声のトーンを上げた。
「48時間の拘束時間中に容疑を確定できるような証拠が発見されなかったので釈放されたのです」
糸色先生は乱れた呼吸を整えながら毅然と答えた。全力で走ってきたらしく、額に汗が浮かんでいた。
「警察の質も落ちたものだな。昔なら、24時間以内に自白を強要し、逮捕状を出せたのに。詰まらん時代だ。我々のような悪党が自由に振る舞える時代はどこへいったのか」
男爵は芝居がかった身振りで、大袈裟な声を張り上げた。
「あなたが現役だった時代より、治安がよくなったのですよ。ご存知ですか? 間もなく取り調べも可視化されるのですよ」
糸色先生は男爵を真直ぐに見て、挑発的に言葉を返した。
「なるほど。では、どうやってこの部屋を突き止めたのかね? この地下世界は複雑な迷宮になっている。悲鳴でもたどってきたのかね」
男爵は両手を後ろに回して、次なる疑問を投げかけた。
「これよ!」
まといが答え、発信機を引っ張り出した。
私はあっとなった。糸色家の客間で、私の襟口に発信機を取り付けたのだった。そういえば、あれから外していなかった。
「これはしまった。もっとしっかり身体検査をするべきだったな。楽しみは後で、なんて考えたのがいけなかった」
しかし男爵は、失敗したという様子は見せず、軽く首を振って肩をすくめただけだった。
「男爵。私の生徒を返してもらいます!」
糸色先生が勢いよく男爵を指さした。よく通るスイートな声が、空間一杯に満たされるようだった。
私を捉えていたロープに、急に緊張が失われた。私は僅かな自由が与えられ、体が床に投げ出された。
しかし、両掌はまだ背中で合わせたままだった。その体勢でも、私は体を起こして、糸色先生のもとに向かおうとした。
だけど、首に輪になったロープが絡みついた。あっというまもなく、強引な力で、私は引き上げられたしまった。
「動かぬほうがいいな。手に戻らなくなる」
男爵は手のロープを器用に操りながら、にやりと口元を歪ませた。
私の首に、輪になったロープが引っ掛けられていた。その体勢で、私は身長のぎりぎりのところまで引き上げられていた。私は爪先立ちになって、際どく自分の体を支えていた。
糸色先生が戸惑いを浮かべて足をとどめた。集ってきた女の子たちが、息を飲み込むのが聞こえた。
「人の首は非常に脆い。このロープをあと数センチ引けば、この少女の首は折れて、脊髄が損傷する。死にはしないが、後遺症が残るだろう」
男爵の言葉に邪悪な歓喜が混じるような気がした。
私は全身をピンッと張り詰めさせていた。喉元を絞められて、浅くしか呼吸できなかった。少しでも空気を取り入れようと、喘ぐように胸を上下させていた。
男爵は悪魔の微笑を浮かべながら、じわりじわりとロープを左右にずらしていた。私の首に、ロープの粗い目が食い込んでくる。その度に激しい痛みが襲い、呼吸が乱れたけど、悲鳴すら上げられなかった。数秒おきに失神しかけて、視界が白く霞むのを感じた。
「男爵。これが10年前の事件に対する、復讐ですか」
糸色先生は慎重な言葉で問いかけた。
男爵は首を振った。
「復讐ではない。挑戦だよ。10年前、私が君に挑戦したように、今度は私が君に挑戦する。これはただのゲームだよ」
男爵は宣言するように手を広げて、糸色先生に微笑みかけた。
「あなたのそういう快楽主義の性格は変わっていませんね。もっとも、刑務所の生活で枯れるとは思っていませんでしたが」
糸色先生の声は低く、鋭いものがまとい始めるのを感じた。いつもの穏やかさと頼りなげな弱さはそこにはなかった。
「そうだ、その目だ。お前が腰抜けになる以前の、その目を待っていた。そういえば教職に就いたそうだが、一つ教えてくれないかね。美徳はいつも人間を無気力にさせてきた。美徳に塗り固められた学校教育が望んでいるのは知的な教養や有意義な哲学のためではない。教育は人間としての力強さを奪い、美への感性を鈍らせているだけだ。世界を見たまえ。どこに秩序がある。どこに美がある。世界にあるのは、ただ通俗なだけで、思考の力を失った退廃だけだ。これが君のような理想家が願い、作り出した世界だ。君は何を望んで教職に就いたのかね? 理想? それとも、未成年の性的欲求? 君は教師という職分をもって、何を目指すつもりなのかね」
男爵は説教でもするように糸色先生に問いかけた。
私の体に、力が失われていくのを感じた。もう爪先の感覚は痺れてしまっている。空気を感じなくなって、私は舌を突き出して、意識を留められなくなるのを感じていた。
「あなたのサド論は結構です。私が教職に就いたのは、教職免許が簡単に取得できるからですし、私はただ文部省に指示されたことを授業でやっているだけです。教師などただのサラリーマン。教育の意義や効果など、そーいうのは国や偉い人が考えるものであって、現場の教師の考えなんて、誰も求めていません!」
糸色先生は勢いよく言葉を返した。
「先生、こんなところで、ぶっちゃけないでください!」
すかさず千里が嗜めた。
「よろしい。実に正直だ。理想も理念も感じないカオスを感じるよ。ならば、私が教師の代わりになってもよい、というわけだな」
男爵の声が、低く歪んでいくのを感じた。

次回 P057 第5章 ドラコニアの屋敷 15 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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