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■2009/09/14 (Mon)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P055 第5章 ドラコニアの屋敷

13

男爵は散歩でもするかのように、軽やかに私の側に歩み寄ってきた。
「自然に帰りたまえ。神は人間の考える善や悪など、何とも思っていない。むしろ罪悪に没頭しない者の頭に雷を落とそうとする。その度に不当に扱われ、反省するのは愚かな善人の習性だ。身の内から聞こえる自然の声に耳を傾けたまえ。さあ、君は、何がしたい? その欲求が満たされたとき、人は真の幸福を得ることができる」
男爵の声は、今までにない静けさで私に語りかけるようだった。
私の内面に、引き裂かれるような葛藤を感じた。男爵の言葉に引き摺られる私と、善と道徳を信じる古い私の二人が対立し、私を危うく引き裂くようだった。
「もうやめて。お願い」
私は耳を塞いで、思考を停止させるように頭を振った。
「そいつは詰まらない。目玉をくり貫かれたフォンタンジュのようになりたいかね?」
男爵が私の前で足を止めた。その声に、今までにない脅しの色が込められていた。
私は「え?」と頭を上げた。突然、視界が反転した。私の体は宙に持ち上げられていた。いつの間にか私の足に、ロープが絡みつき吊り上げていた。
「君に改めて教育を施そう。下らない美徳など、尻から捻り出る汚物のように排出され、正直な衝動に身を任せられるように。そのためには、まず心のロックを一つ一つ解除せねばならん。なあに、安心したまえ。私を信頼し、身も心もすべて預けてくれればいいのだよ」
男爵は何かの指導のように私に忠告した。
私は逆さまになりながら、天井に目を向けた。幾何学模様のように梁が横切るのが見えた。そこからロープが伸び、私の足に絡み付いていた。ロープのもう一端は、男爵の手に握られていた。
私は頭から地面に落ちた。目の前がちかちかと暗転して、頭がくらくらした。だが再び体が持ち上げられた。気付けば体中にロープが絡み付いていた。ロープは一つ一つが意思を持っているように動き、絡みつき、私を操り人形のように翻弄した。
私は体を吊り上げられたまま、両腕を後ろに引っ張られ、信じられないような方向に捻って、背中で掌を合わせた。その体勢で、ようやくロープが動きを止めた。
「うむ。一目見たときから、君には『背面合掌縛り』が似合うと思っていた。実に美しい。ロープの具合はどうかね」
男爵は畑の実りでも尋ねるように、私に体の具合を聞いた。
「痛いです」
私は泣き出しそうな声で答えた。痛いし、それに恥ずかしかった。ロープが私の体を取り巻き、胸のふくらみを強調するように食い込んでいた。そんな体勢で、私は身動きとれず、男爵の視線に晒されていた。
「当然だ。一般的な縛りに使用するロープはジュード縄を使用する。だが私は、あえて目が荒く、使い古したロープを愛用している。そのほうが、相手により苦痛が与えられるし、気持ちのいい悲鳴を上げてくれるからね。それにいつ千切れて落ちるかという危機感がいい。おっと、腕は動かさないほうがいいな。下手に動かすと腱が切れて使い物にならなくなる」
男爵は操り師のように両手にロープを持ちながら、私を見上げていた。私の体は、男爵の前で全身を晒すようにゆっくりと回転していた。
男爵が、ロープの一つをピンッと指で弾いた。衝撃がロープを伝い、梁をまたいで私の体に落ちてきた。
「痛い! ……お願い、もうやめて。……もうやめて」
私はプライドがボロボロになって、自制心をなくすのを感じた。目から涙が溢れ出て、今までしたことのないような懇願をしていた。
「この世には2種類の人間しかいない。快楽を望む人間と、苦痛を望む人間だ。修行僧は悟りのために苦痛を選択するが、私は同じ理由で快楽を選択した。君もやはり苦痛を選択した。だから私は、君が望むとおりに苦痛を与えている」
男爵は教育者のような穏やかさと厳しさを交えながら私に語りかけた。
「わかった! 苦しいのは、もう嫌。だから、お願い……」
私の言葉は涙で滲んでしまった。私は目を開けていられず、世界のすべてを否定するように固く目を閉じた。
「それでいい。しかし、こうは思わんかね? 苦痛も快楽も、どちらも行為の原型を失うと、ただの刺激に過ぎん、と。人によっては苦痛の中に快楽を見出す。日本人は遺伝子レベルで、この性質を温存しているという。君の場合はどうかね。いま感じている刺激を、どうして快楽と認識できないのかね。私のような意識の高い人間には理解しかねるが、世間の美意識のない人間の習慣には、言動及び行動にしばしば快楽と苦痛が分離せず、渾沌としたまま同居している。君はもちろん生涯の中で、その実例に何度も遭遇したはずだ。その都度、君は考えなかったのかね。自分の身体で感じているその刺激が何であるのか。どのように分類され、思考を示すべきか。君自身に思考はなく、操り人形のように与えられた反応だけで生きる、下らない動物なのかね」
男爵は言葉の調子を変えず、手に持ったロープを自分の身体の一部のように操った。私の体が傾き始め、右脚に絡みついたロープが持ち上がった。私は自分の体を引き裂くように、両脚を広げ始めていた。
「お願いです。わかりません。わからないです。だから、もう、こんなのは……」
私は息を喘がすように男爵に訴えた。
男爵は、期待はずれだ、というふうに、うつむいて首を振った。
私は頭から地面に落ちた。私の体勢は、いつの間にか男爵に差し出すように両脚をM字の形に開いていた。
「下らん。言葉に美意識の欠片も感じぬ。さて、どうするべきか。下らない人間は一種の公害だ。殺すに限る。だが、若くて美しい肌の持ち主には、楽しむ価値がある。私は手に入れた玩具は、飽きるまで遊びつくす主義だ。君はどうかね」
男爵が床に落としたままだったナイフを手に取った。私はその切っ先が白く輝くのに、ぞっと戦慄を感じた。
男爵がかつかつと靴音を鳴らして近付いてきた。そのナイフの切っ先を、私の太ももに押し当てた。冷たく鋭い感触を感じて、私は全身を固くさせた。鋭利な感触は、私の太ももをゆっくりなぞり、間もなくショートパンツに包まれた股間のふくらみに達した。
あまりにも冷たく感じる緊張だった。今まで経験のない感触に、私の心理はぞくぞくと興奮するような昂ぶりを見せていた。まるで、男爵の審判が下されるのを、期待して待っているみたいだった。

次回 P056 第5章 ドラコニアの屋敷14 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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