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■2009/08/16 (Sun)
映画:外国映画■
高層ビルはどこまでも高く聳え、煌くネオンが夜を遠ざけている。空は汚れ、絶えず酸性雨を降らしている。宇宙旅行へと誘うコマーシャルが喧騒の上で繰り返されている。
「開きました。いらっしゃい」
間もなくして、スシ・バーの親父が、日本語でデッカードを手招きした。
デッカードは、新聞紙で雨をよけながら、スシ・バーの屋根の下に入っていく。
スシ・バーの親父は、日本語で景気よく、座るように勧める。
「四つくれ」
「二つで充分ですよ」
「いや、四つだ。あと、うどんも」
すぐにうどんが運ばれてきた。デッカードはうどんの麺を手繰り、啜り始める。
すると、背後に何者かが現れた。判別不能の異国の言葉で、デッカードに話しかけてくる。
「逮捕するといってます。あなたはブレードランナー?」
「レプリが4匹、潜り込んだ。スペースシャトルを奪って、乗員を皆殺しにしおった。お前が処分しろ」
「俺は辞めた。ホールデンを使え」
「使ったさ。生きているうちはよかった。だが、お前には劣る。力を貸せ。命令だ」
こうしてデッカードは、ブレードランナーとして脱走レプリカントを追うことになった。
『ブレードランナー』の名を知らぬ者など、いるだろうか。
当時公開されたどの映画よりも刺激的で、今において最大の影響力を持つ作品だ。
誰もがSFといえば、この作品で見た光景を思い浮かべる。
クリエイターに「未来都市を描け」と指示したら、間違いなく『ブレードランナー』そっくりの画像を作り始めるだろう。
『ブレードランナー』が描いたイマジナリィは途方もなく強烈で、その映像体験を超える作品は、いまだに存在しない。
物語は典型的な探偵ものの構造を踏襲している。
淡々と事件を追う刑事と、逃亡する犯人。
刑事の側には、常にいわくつきの女の影がある。
『ブレードランナー』は通俗的な探偵ものよりも、さらに静かで、感情が抑制されている。
時々、点描のように挿入されるカットや、叙情的な音楽は、物語の解説役ではなく、シーンが持っている力を引き出すためだけに使われている。
“天使は焼け落ちた
〇 雷鳴とどろく岸辺
〇 燃え盛る地獄の火”
そのレプリカントは、詩を解する。
姿は人間そのもの。
あまりにも高性能すぎるロボットは、やがて感情を持つ。タイレル社は、安全措置として、レプリカントの寿命を4年に設定した。
感情に目覚めたロボットは、人間の都市を、どのように見詰めるだろう。
ロイ・バディーは自身を疑い、愛を交わし、間もなく迫る死に怯える。
人間とロボットの違いは?
ロボットでも、死に際には悲鳴を上げ、血を流す。
デッカードは、そんな様を目にして、間もなく自身を疑い始める。
“俺は、人間なのか? レプリなのか?”
だが、現代の目線で見ると、『ブレードランナー』は継ぎ接ぎだらけの映画と言わねばならない。
チープで簡単に壊れるセットや、あからさまなデジタル合成。
リドリー・スコットは、そんなガラクタの山すら、見事なほど美しい都市として描き出している。
粒子の荒い映像も、ガスで覆いつくされた都市も、何もかもリドリー・スコット特有の美意識を作り出す手助けをしている。
それも今やありきたりの映像でしかない。
当時の人々を驚愕させた描写の数々は、現代の技術の前では何の感動も呼び起こさない。
かつて“SFのオリジナル”と呼ばれた『ブレードランナー』。未だに、世界の芸術家が越えられない壁。
だが、時代は『ブレードランナー』を追い越してしまった。
この映像が、今の若い人達にどの程度の感動を与えるというのだろう。
『ブレードランナー ファイナルカット』の記事へ
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作品データ
監督:リドリー・スコット
原作:フィリップ・K・ディック 音楽:ヴァンゲリス
脚本:ハンプトン・ファンチャー デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
出演:ハリソン・フォード ルトガー・ハウアー
〇 ショーン・ヤング エドワード・ジェームズ・オルモス
〇 ダリル・ハンナ ブライオン・ジェームズ
〇 ジョアンナ・キャシディ M・エメット・ウォルシュ
〇 ウィリアム・サンダーソン ジョセフ・ターケル
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