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■2009/08/16 (Sun)
映画:外国映画■
人類は多くの勘違いをしている。例えば人類は、自分たちが地球上でもっとも賢い生き物だと思っている。
だが、実際には3番目だ。
2番目に賢い生き物は、もちろんイルカだ。
イルカは、地球の滅亡を何年も前から知っていて、何度も人間に警告を送ってきた。
だが人類は、イルカたちのメッセージを誤解し続けた。イルカが水中を走り、飛び上がってボールを叩くのは、餌のためだ、と。
とうとうイルカは人類を見限り、地球を去る決断をした。
イルカたちは2階連続の宙返りと輪くぐりを決めてみせた。
だけど、このメッセージも誤解されてしまった。
本当の意味は、
“さよなら。魚をありがとう”
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の物語は、一人の人間から始まる。正しくは地球人。名前はアーサー・フィリップ・デント。
アーサーはある朝、自分の家の前にブルドーザーの振動が迫るのに気付いた。ブルドーザーが自分の家を破壊するつもりなのだ。アーサーは慌てて家の前に飛び出し、ブルドーザーの前に立ち塞がった。
「デントさん、抗議するならもっと早くしないと。建設計画は1年前から役所に提示されていたんですよ」
工事主任は、アーサーに呆れつつも事務的に伝えた。
アーサーは何も知らなかった。いつの間にかご近所がいなくなっていた事実に。それから、バイパス工事の事実に。
そんなアーサーの前に、親友のフォードが大慌てで走ってくる。
「僕の出身はギルフォードではなく、ベテルギウス星周辺の星なんだ」
フォードはアーサーを近所のパブに連れて行きながらそう教えた。
アーサーはやはり知らなかった。親友のフォードが、実は地球人ではなかった事実に。
だが、無知なアーサーが知らなかったのは、親友のフォードが宇宙人だったという事実だけではなかった。
「実は、あと12分後で地球は消滅するんだ。君は命の恩人だ。だから今度は、僕が君を助ける」
地球はもうすぐ滅亡する。
実は宇宙バイパス工事のために、地球取り壊しが決まっていたのだ。この事実は、ケンタウルス座アルファ星の事務所に50年も掲示されていた。何も知らなかったのは、地球人だけだった。
フォードはまさに地球が木っ端微塵に破壊される寸前、アーサーをつれて宇宙空間へと飛び出していく。
本作は、イギリスで最初に放送されたラジオ番組である。それが好評を得て、小説版、舞台版、映画版が製作された。小説の出版は1600万部を越えている。ちなみに、冒頭のパブのシーンに出てくる女性は、舞台版のヒロインだ。
あまりにも唐突で意外なプロローグで始まる映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』。
地球は映画開始十数分であっけなく消滅し、宇宙空間を漂流する物語へと移っていく。
そこから展開されるストーリーは、どの瞬間を区切りとっても奇想天外であり、秀逸だ。
あまりにもユニークなキャラクターたち。決してユーモアを失わない物語展開。
コメディ作品だが、安易に作っていない。コメディといえば、パロディと考えられがちだが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』は過去のどのSF映画に似ていないし、誰も考え付かなかったような独創性に満ちている。
純粋なるオリジナル作品である。
『2001年宇宙の旅』がそうだったように、本作もコンピュータ技術、概念に多大な影響をもたらしている…らしい。グーグル計算機に「人生、宇宙、全ての答え」を入力すると、「42」と答えが出るのも、この作品の影響。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の物語は、不条理と不合理に満ちている。
冒頭の主人公アーサーの家が取り壊される場面からして不条理だが、不条理はそれだけでは終らない。親友が宇宙人だったこと、さらにあっけなく地球が破壊されてしまうこと。
それから冒険の物語が始まるが、正統派SFにありがちなエイリアンの戦いは一切描かれない。詩の朗読を拷問と考える宇宙人の常識や、高性能すぎて欝機能を搭載したロボット。道理を飛躍した不条理が延々と繰り広げられていく。
だが、不条理を突き抜けて、いつのまにか道理に合った物語を発見していく。
世界はなんなのか。どうして構築されているのか。その秘密は。
一見、不可解に思える現象の数々にも、追求すればどこかに理由が見付かる。まるで哲学の問いを解くように。不条理と不合理に規則性を与え、一つ一つに理由を見出せば、意外な宇宙の秘密が発見されるかもしれない。
不合理に答えが与えられた時、映画は意外なくらい感動的ですっきりと収まったエンディングへと向かっていく。
SFのお約束から外れて、新しい映画を構築した作品。意表を突いた設定、シーンが連続する。派手なアクション満載のSF大作に慣れた人が見ると、がっかりするかもしれない。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』にはいわゆるSF映画にありがちなシチュエーションは何もない。凶暴なモンスターなど登場しないし、無理矢理こじつけたような危機の連続などもない。
全体が独特のユーモアに包まれていながら、それでいながら驚くようなオリジナル作品である。
コメディ映画と思って油断してはならない。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』はコメディ映画だからといって小さくは収まらないし、通俗的な道徳につづまって終るような映画ではない。想像を越えた奇想天外な作品であり、超大作SF映画を軽く越えるスケール感を持った傑作であり、それでいて、まったく無意味な作品だ。
新しい種類の映像体験を提供する作品である。
物語中に登場する謎のメッセージ『42』。ウィキペディアの記述があまりにも面白いので、ぜひどうぞ。
ついでに、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のウィキペディア記事も。
映画記事一覧
監督:ガース・ジェニングス 原作・脚本:ダグラス・アダムス
脚本:キャリー・カークパトリック 撮影:イゴール・ジャデュー=リロ
出演:サム・ロックウェル モス・デフ ズーイー・デシャネル
マーティン・フリーマン ビル・ナイ ジョン・マルコヴィッチ
ワーウィック・デイヴィス アラン・リックマン スティーヴン・フライ
イアン・マクニース ヘレン・ミレン アンナ・チャンセラー
だが、実際には3番目だ。
2番目に賢い生き物は、もちろんイルカだ。
イルカは、地球の滅亡を何年も前から知っていて、何度も人間に警告を送ってきた。
だが人類は、イルカたちのメッセージを誤解し続けた。イルカが水中を走り、飛び上がってボールを叩くのは、餌のためだ、と。
とうとうイルカは人類を見限り、地球を去る決断をした。
イルカたちは2階連続の宙返りと輪くぐりを決めてみせた。
だけど、このメッセージも誤解されてしまった。
本当の意味は、
“さよなら。魚をありがとう”
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の物語は、一人の人間から始まる。正しくは地球人。名前はアーサー・フィリップ・デント。
アーサーはある朝、自分の家の前にブルドーザーの振動が迫るのに気付いた。ブルドーザーが自分の家を破壊するつもりなのだ。アーサーは慌てて家の前に飛び出し、ブルドーザーの前に立ち塞がった。
「デントさん、抗議するならもっと早くしないと。建設計画は1年前から役所に提示されていたんですよ」
工事主任は、アーサーに呆れつつも事務的に伝えた。
アーサーは何も知らなかった。いつの間にかご近所がいなくなっていた事実に。それから、バイパス工事の事実に。
そんなアーサーの前に、親友のフォードが大慌てで走ってくる。
「僕の出身はギルフォードではなく、ベテルギウス星周辺の星なんだ」
フォードはアーサーを近所のパブに連れて行きながらそう教えた。
アーサーはやはり知らなかった。親友のフォードが、実は地球人ではなかった事実に。
だが、無知なアーサーが知らなかったのは、親友のフォードが宇宙人だったという事実だけではなかった。
「実は、あと12分後で地球は消滅するんだ。君は命の恩人だ。だから今度は、僕が君を助ける」
地球はもうすぐ滅亡する。
実は宇宙バイパス工事のために、地球取り壊しが決まっていたのだ。この事実は、ケンタウルス座アルファ星の事務所に50年も掲示されていた。何も知らなかったのは、地球人だけだった。
フォードはまさに地球が木っ端微塵に破壊される寸前、アーサーをつれて宇宙空間へと飛び出していく。
本作は、イギリスで最初に放送されたラジオ番組である。それが好評を得て、小説版、舞台版、映画版が製作された。小説の出版は1600万部を越えている。ちなみに、冒頭のパブのシーンに出てくる女性は、舞台版のヒロインだ。
あまりにも唐突で意外なプロローグで始まる映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』。
地球は映画開始十数分であっけなく消滅し、宇宙空間を漂流する物語へと移っていく。
そこから展開されるストーリーは、どの瞬間を区切りとっても奇想天外であり、秀逸だ。
あまりにもユニークなキャラクターたち。決してユーモアを失わない物語展開。
コメディ作品だが、安易に作っていない。コメディといえば、パロディと考えられがちだが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』は過去のどのSF映画に似ていないし、誰も考え付かなかったような独創性に満ちている。
純粋なるオリジナル作品である。
『2001年宇宙の旅』がそうだったように、本作もコンピュータ技術、概念に多大な影響をもたらしている…らしい。グーグル計算機に「人生、宇宙、全ての答え」を入力すると、「42」と答えが出るのも、この作品の影響。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』の物語は、不条理と不合理に満ちている。
冒頭の主人公アーサーの家が取り壊される場面からして不条理だが、不条理はそれだけでは終らない。親友が宇宙人だったこと、さらにあっけなく地球が破壊されてしまうこと。
それから冒険の物語が始まるが、正統派SFにありがちなエイリアンの戦いは一切描かれない。詩の朗読を拷問と考える宇宙人の常識や、高性能すぎて欝機能を搭載したロボット。道理を飛躍した不条理が延々と繰り広げられていく。
だが、不条理を突き抜けて、いつのまにか道理に合った物語を発見していく。
世界はなんなのか。どうして構築されているのか。その秘密は。
一見、不可解に思える現象の数々にも、追求すればどこかに理由が見付かる。まるで哲学の問いを解くように。不条理と不合理に規則性を与え、一つ一つに理由を見出せば、意外な宇宙の秘密が発見されるかもしれない。
不合理に答えが与えられた時、映画は意外なくらい感動的ですっきりと収まったエンディングへと向かっていく。
SFのお約束から外れて、新しい映画を構築した作品。意表を突いた設定、シーンが連続する。派手なアクション満載のSF大作に慣れた人が見ると、がっかりするかもしれない。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』にはいわゆるSF映画にありがちなシチュエーションは何もない。凶暴なモンスターなど登場しないし、無理矢理こじつけたような危機の連続などもない。
全体が独特のユーモアに包まれていながら、それでいながら驚くようなオリジナル作品である。
コメディ映画と思って油断してはならない。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』はコメディ映画だからといって小さくは収まらないし、通俗的な道徳につづまって終るような映画ではない。想像を越えた奇想天外な作品であり、超大作SF映画を軽く越えるスケール感を持った傑作であり、それでいて、まったく無意味な作品だ。
新しい種類の映像体験を提供する作品である。
物語中に登場する謎のメッセージ『42』。ウィキペディアの記述があまりにも面白いので、ぜひどうぞ。
ついでに、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のウィキペディア記事も。
映画記事一覧
監督:ガース・ジェニングス 原作・脚本:ダグラス・アダムス
脚本:キャリー・カークパトリック 撮影:イゴール・ジャデュー=リロ
出演:サム・ロックウェル モス・デフ ズーイー・デシャネル
マーティン・フリーマン ビル・ナイ ジョン・マルコヴィッチ
ワーウィック・デイヴィス アラン・リックマン スティーヴン・フライ
イアン・マクニース ヘレン・ミレン アンナ・チャンセラー
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