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■2015/12/28 (Mon)
第5章 Art Crime

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16
 ツグミとコルリは、「ただいま」と画廊に戻ってきた。もう暗くなりかけていたから、画廊に明かりを点ける。
 ツグミは久し振りの遠出で、しかもコルリの撮影に付き合わされてすっかり疲れてしまった。コルリはコルリで、重い荷物を持って撮り回ったので、やっぱりクタクタになっていた。
 休む前にイーゼルを用意してきて、風呂敷を解いて画板をイーゼルに掛けた。
 それから、やっと2人は椅子に深く座って、「ふう~」と息を吐いた。
「これは、ミレー……?」
 コルリは椅子から身を乗り出しつつ、目を神妙に細めていた。ミレーと断定しようとしたけど、語尾に妙な疑問符をくっつける。
 絵は額なし。剥き出しのキャンバスに、農夫の姿が描かれている。バルビゾンの農地に、農夫が1人きりで鋤を入れていた。
 遠くに森が置かれ、その上に夕日の光が水平線に飲み込まれつつ輝いていた。ここでは、最も美しい時間が、永遠に留まっているのだ。
 一見すると、いや、どう見てもミレーだ。しかし左下隅のサインには『ポール・カゾー』と記されていた。もちろんフランス語で。
 誰が見ても、語尾に「?」を付けたくなるような絵だった。
「ポール・カゾーはミレーの孫の、ジャン・シャルル・ミレーと手を組んで、贋作を作っとった人や。ポール・カゾーが贋物を描いて、シャルル・ミレーが売る。ミレーの孫がミレーの贋物を売ってたわけやから、誰も贋物とは思わんかったんやね」
 ツグミは絵をじっと見ながら説明した。ただし、ポール・カゾーの『本物』にはポール・カゾーなどとは書いていない。
「じゃあ、贋物の贋物、というわけだ」
 コルリが「呆れた」と溜め息をついて、眼鏡のブリッジを持ち上げた。
 普通に、巨匠の贋物を作るだけでも大変な仕事だ。なのに贋作師は、本物と贋物の違いを分析し、わざわざ贋物そっくりのレプリカを作ってみせたのだ。しかも、多分オリジナルが存在しないパスティーシュ(※)だ。
 器用といえば、呆れるほど器用すぎだ。
「でも、これ、川村さんが描いたんやろ?」
 コルリはテーブルに肘をついて、ツグミを振り返った。
 ツグミは膝に両肘をついて、頬杖をした。
「うん、間違いないと思う。持ち込んだのも、川村さんやし。でも、何なんやろう?」
 ツグミは頭を抱えたい気分で、唸った。
 この絵は、特に「ツグミのために」と、わざわざ紀明に預けていたのだ。自分の技量を伝えたかった、なんてそんな理由ではないだろう。
 川村は、この絵で何を伝えたかったのだろう。

※ パスティーシュ 実際にはその作家は描いていないが、おそらく描いたであろうと思われる画を作ること。贋作作りの中でも技術難易度が極めて高く、また創作能力も必要となる。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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