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■2015/12/31 (Thu)
創作小説■
第7章 王国炎上
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14
目を覚ますと、セシルは辺りがあまりにも暗いのに動揺した。――おお、ついに世は闇に落ちたか。
一瞬胸に恐れが包んだ。気を失った間に何もかもが終わったのだと思った。
そうではなかった。そこは城の中で、医務室であった。蝋燭の明かりを立てて、医師達が薬を調合していた。
意識はまだぼやけていたが、遠くで戦の物音が聞こえた。戦いはまだ終わっていないのだ。
すべてを悟ったセシルは、ベッドから跳ね起きた。医者達がセシルを止めようとしたが、セシルは問答無用に振り払ってそこを飛び出した。しかし城の外ではなく、地下宝物庫へと走っていった。
◇
バン・シーは坂道を馬で登っていた。道に従って東の端まで走り、そこで折り返して西の端まで走る。
しかし悪魔は同じ道を真っ直ぐよじ登って進んでいる。要所要所で駐在する兵士らが、悪魔を足止めしようと攻撃する。だがそれはほとんど防備として効果をなさず、悪魔の一撃のもとに倒されていった。
バン・シーは焦りを覚えつつ、馬を走らせた。ようやく悪魔の背後に回った。悪魔はすでに次の層によじ登ろうと脚を持ち上げていたところだった。
バン・シーは忌々しい悪魔の尻に向かって、容赦のない魔法の矢を炸裂させた。
悪魔は突然の痛みに手を離してしまい、坂道を転げ落ちた。
バン・シーは剣を抜き払い、刃に魔法の力を宿らせた。刃が青く輝いて、切っ先が3倍も伸びる。
悪魔も魔法をぶつけられた衝撃から立ち直り、体を起こそうとしていた。悪魔はゆるゆると頭を振って、バン・シーの姿を探す。
バン・シーは馬の腹を蹴った。悪魔もバン・シーに拳の一撃を放った。バン・シーは拳をかわす。しかし拳が動きを変えた。裏拳がバン・シーの背中から襲う。バン・シーはかわしきれず、馬ごと吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
バン・シーはすぐに身を起こそうとした。が、不覚にも気を失いかけた。体から力が抜けて、崩れそうになる。
悪魔はその様子を死んだと判定したらしく、再び登り始めた。
バン・シーはふらふらと身を起こしつつ、拳に魔法の力を込めた。だが、悪魔はすでに上の層に移りつつある。ここからでは届かない。バン・シーは舌打ちして魔法を引っ込めた。
先の一撃で馬は死んでいた。バン・シーは走って坂道を登り始めた。
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