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■2015/09/24 (Thu)
※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

第3章 贋作工房

前回を読む

 宮川がもう一度、指をパチンと鳴らした。
 すると、闇の中からダークスーツを着た男が現れた。トヨタ・クラウンの運転手に雰囲気が似ていたが、別人だ。
 突然ぬっと現れる男に、さすがのコルリも、悲鳴を上げそうになりながら一歩下がった。
 男の手許には、紫のビロードに包まれた、一振りのナイフがあった。大男の掌の中で、ナイフは小さく見えたが、少なくとも刃の長さは20センチくらいあった。
「な、何?」
 コルリの声が怯えで引き攣っていた。
「贋物だと思う方を切り刻め。それがルールだ」
 宮川はさらっと簡単に答えた。
「……もし、間違えたら?」
 コルリは宮川を振り返りながら、ごくりと息を飲み込む。コルリの背中で、ツグミも緊張しながら状況を見守っていた。
「弁償してもらう」
 宮川はさも当り前というみたいだった。
「そんな! レンブラント作品は葉書サイズでも1億円するんやで。払えるわけないやん。こんなの、できへんわ!」
 コルリは動揺した声で抗議した。
「なら、ミレーは返ってこない。安心しろ。ゲームを最後までやり終えたら、正解でも不正解でもミレーは返してやる。ただし間違えた分、金は払ってもらうがな。簡単なルールだろ? 間違えさえしなければ、タダでミレーが返ってくる。こんな都合のいい話、そうそう転がっているものじゃないと思うが?」
 宮川の調子は軽やかだったが、どこかで脅しめいたものがあった。それが本業とする者の、肌に染み付いた「脅迫」だ。
「正気ちゃうわ! レンブラントは世界の文化遺産やで。どんな理由があっても、こんな危険なゲームには乗られへん」
 コルリは一歩前に踏み出して、さらに抗議した。ツグミはコルリ引っ張られて、その背中に倒れ掛かってしまった。
「私の言葉を理解しなかったのかね? もしゲームに参加しないのなら、ミレーの真画は返ってこない。そうすればどうなる? 明日には美術館に飾られている贋物が科学鑑定に掛けられる。恥を掻くだけじゃ済まないだろうなぁ。これだけメディアを利用した大きな企画展だ。日本中が目を向けている。贋物であると判明したら、今以上の集中攻撃を喰らうだろう。確実に職を失うだろうし、精神的打撃はもっと大きいだろう。そうなるといつまで正気を保っていられるかな。メディアに攻撃された人間が、事件の後ひっそりと自殺して消えていく事例を、私はいくつも知っている」
 宮川は嘲るような調子だったけど、しかしはっきりと「脅迫」の色が強くさせていた。
 コルリは宮川を真直ぐに睨みつけて、全身を震わせていた。奥歯を噛んで、全身に浮かび上がった怒りが今にもその体から飛び出しそうだった。
 だけどコルリは、舌打ちしただけで振り返り、ナイフの前に進んだ。
「わかった。引き受けるわ」
 コルリはナイフを手にした。
『贋物には価値はない』
 これが美術界における、絶対的なルールだった。
 その以前に、どれだけ「素晴らしい」「傑作だ」と称賛されていても、贋物とわかった途端、専門家も一般人も、ころりと態度を変えてしまう。贋物と判定された時点で、どんな美術品も価値はゼロになるのだ。
 高名な贋作師メーヘレン(※)も、作品が贋作と判明した途端、それまでの評価が一転してこう弾圧されるようになった。
『贋物だから醜い』
 どんな社会においても、一円の価値がない贋物がどう扱われようと、誰も問題にしない。
 しかし今は状況が違う。
 片方は紛れもない『本物』だ。それも、少なくとも1億円相当の代物だった。

※ ハン・ファン・メーヘレン 1889~1947年。画家を志し、アカデミックな教育を受けたが、時代はすでにキュビスムやフォービズムへ突入していたために、作品はまったく注目されなかった。そこで美術評論家やキュレーターを見返してやろうとフェルメールの贋作を作った。発覚時は「フェルメールの偽物」として徹底的に非難されたが、現在は「メーヘレンの本物」として再評価しようという動きがある。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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