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■2015/09/22 (Tue)
※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

第3章 贋作工房

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 宮川は指をパチンと鳴らした。
 すると、闇の中で気配が蠢いた。誰かがいる。気配は初めて存在を示し、ちょっと向うの闇を明かりで照らした。
 浮かび上がったのは2つのイーゼルと、それに掛けられた絵画だった。絵が置かれた空間だけが、ぽつんと暗闇に浮かび上がった。
 ツグミは宮川に目を向けた。宮川は笑みを浮かべて、絵のほうに指をさした。
 コルリが絵の前に進んだ。ツグミもコルリの背中に隠れながら一緒に前に進む。
 スポットライトで浮かび上がった瞬間から、まさかと思ったけど、近付けば近付くほどに、その思いが強烈になった。
 そこに置かれていたのはレンブラント(※1)の油絵だった。
 描かれているのは、羽根つきターバンを頭に巻き、黒いマントを身にまとった男だ。男は堂々たる佇まいで、“レンブラント・ライト(※2)”と呼ばれる仄暗い明かりの中に立っていた。
 2枚とも同じ絵だった。唯一の違いは、左の絵の足元に描かれたプードルだった。
 2枚は全く同じに見えたが、実はそれぞれ呼び名が違った。右の絵は『東洋衣裳の男』と呼ばれ、左の絵は『足元にプードルを伴う東洋衣裳の画家』と呼ばれていた。
「さあ、本物はどっちかね?」
 宮川はさっきの位置から動かず、2人の背中に声を掛けた。
 コルリは絵の前で腕組をして、フンと鼻を鳴らした。
「簡単やん。舐められたもんやわ。右のプードルのいないほうは、レンブラント工房作品。左のプードル付きがレンブラント本人の作品。だから、贋物は右や」
 レンブラントは工房を構え、多くの弟子に自分の絵を模写させていた。
 17世紀当時では珍しい事例ではなかった。現在のような印刷技術がなかった当時、「同じ絵柄が欲しい」という客の希望に対して、唯一可能な量産手段が弟子による模写だった。
 しかもレンブラントは、当時、随一の人気作家だ。注文数があまりにも多く、1人で捌きることができず、そのために多くの弟子を動員して仕事に当たっていた。
 レンブラント工房の制作プロセスでは、まず弟子が描き、最後にレンブラントが仕上げを施す。こうして作品は「工房作品」と発表された。
 これが、現代の鑑定家が「レンブラント作品か工房作品か」と悩ます大きな原因となっている。

※1 レンブラント・ファン・レイン 1606~1669年。17世紀のオランダを代表する画家。集合肖像画、宗教画、自画像で優れた傑作を多く残す。強烈なコントラストを用いたために、「光の魔術師」と称される。
※2 レンブラントが多用した光表現。現在でも斜め45度から強い光を当てる技法をレンブラントライトと呼んでいる。

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目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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