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■2015/10/08 (Thu)
※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

第3章 贋作工房

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16
 ツグミは2枚の絵の中間に立って、交互に絵を見始めた。コルリがすっと身を引いた。ツグミに判断を委ねるつもりだろう。
 じっくり眺めてみても、2枚の絵は同じに見えた。どこかに違いが見付からないか、ツグミは慎重に見比べる。
「ストロークを見ているのかね。だったら無駄なことだよ」
 突然に宮川が口を開いた。
 ツグミはドキッとして振り返った。図星だった。
「ゴッホの贋作で一番嘘が出やすいのがストロークだ。ゴッホは一見、勢いで線を引いているように見えて、実は違う。綿密に計算し、1本1本、驚くべき慎重さで線を引いている。1回1回、息を止めながら、自分のイメージ通りの線になるよう、神経を込めてね。もし模写を作ろうとしても、ストロークに違いが出るのは、ゴッホがその線を描いた瞬間の呼吸に違いが出るからだ」
 宮川が饒舌に解説を始めた。
「意外やね。ちゃんと絵の勉強もしてるんやね、あんた」
 コルリが腕組をして、宮川を冷たく嘲るように言った。
 宮川は口の端を吊り上げて、軽く笑った。
「ゴッホは売れるんでね。日本人はゴッホの名前を聞くだけで、絵も見ずに買ってくれる。間抜けな民族だよ、日本人は。絵そのものの価値や完成度を推し量る審美眼が全くない。なぜその絵に価値があるかすら考えない。ただ名前だけで、その絵がどんなものか考えずに買ってくれるんだ。勤勉であるが、考える力が弱いのが日本人さ。お陰で、儲けさせてもらっているがね」
 宮川は手を広げて、おどけるような調子で嘲りを浮かべた。
 それに対して、コルリがフンと鼻を鳴らした。
「あんた、日本人ちゃうな。どこの国のもんや」
 しかし、宮川はにたにたと微笑みを浮かべるだけで何も答えなかった。
 ツグミは改めて2枚の絵を確かめた。差異はあっても、どちらも本物に見える理由は、確かにそれだ。ストロークの流れに嘘が感じられないからだ。
 それに、贋作特有の、技術のなさをごまかす付け足しもない。贋作師は、正面からゴッホに取り組み、見事な精度で再現していた。
「つまり、ゴッホの呼吸感を完璧に再現できる人間がこれを描いた……」
 ツグミは宮川の続きを継ぐみたいに呟き、振り返った。宮川は満足気に頷いた。
「それに、まだある。ちょっと面白いものを見せよう」
 宮川は闇に向かって、「おい」と命じた。
 すると、暗闇から2人の大男が現れた。男の手には、それぞれインクジェットで印刷された、ゴッホの絵と同じサイズの写真用紙があった。一見すると、モノクロのデッサンが描かれているように見えた。
 ツグミは瞬時に、それが何であるか理解した。エックス線撮影された写真だ。
「おわかりかね。この絵は下書き段階から、そっくり同じに描かれた。ゴッホが描いた全ての工程を研究し、その通りに再現した。完璧な贋作だ。実に天才的ではないか。それを描いた贋作師は、ゴッホ以上の天才だった。これ以上の贋作があるかね」
 宮川の顔には満足どころか、恍惚さえも浮かんでいた。犯罪者が自分の罪を自惚れるように話す、そういうときの顔に見えた。
「贋作を売るのは犯罪やで。警察に突き出したるわ!」
 コルリがビシッと宮川を指でさした。
 しかし、宮川は不敵に冷笑した。
「売った憶えはない。贋作を作らせて、所有しただけだ。売らなければ犯罪にはならない。時々、欲しいという人がいるので譲っただけだ。どちらにしても、君達には私を警察に突き出すことはできないがね」
 端整な顔に、徐々にテレビで見るような「凶悪な容疑者」の顔が浮かび始める。
「これも、切り刻めって言うん?」
 ツグミが宮川を振り向く。胸の中で、心臓が痛いくらいに鼓動を打っていた。今は気分がハイになっているが、少しでも気を抜くと、挫けると思った。
「無論だ。それがルールだ」
 宮川はさも当り前だ、と言わんばかりだった。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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