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■2015/10/09 (Fri)
創作小説■
第5章 蛮族の軍団
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2
オークは王の書斎へと入っていった。王はごく僅かな臣下を従えるのみだった。王は老いと病気で衰弱が始まっていたが、それでもその姿に威風を漂わせていた。王
「そなたがオークか」
オーク
「はい」
王
「もっと側へ。よく顔を見せろ」
オーク
「はい」
オークは王の側へ進み、目線を下にしつつ、顔を上げた。
王
「そなたの名前は旅の僧侶から授かったと聞く。違いないか」
オーク
「はい。その通りです。かつての名前は邪な者に奪われました」
王
「その名はなんと?」
オーク
「……恐れながら、その名前はすでに失われています。申し上げたところで、何の意味もございません」
王
「構わん。言え」
オーク
「ミルディ。――ドル族のミルディです」
口にしてみると、やはり違和感があった。もはや自分の名前ではなかった。
王
「それが生来の名か」
オーク
「はい」
王
「……そうか。我が国を混乱に陥れているゼーラ一族のことは知っておるな。南部に偵察を放ったところ、ゼーラ一族の軍団を見たという報告が入った。敵はケール・イズ街道を通って、この城を目指しておる。そこでお前に使命を与える。この城の南に、建設中の城壁がある。これを完成させ、この国の盾にせよ」
オーク
「御意」
オークは深く頭を下げて、部屋を後にした。
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