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■2015/10/14 (Wed)
※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

第3章 贋作工房

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19
 ツグミは改めて、2枚の絵をじっと見比べた。
「……まったく一緒やわ」
 2枚の絵に差異は認められなかった。どちらかが本物だとしても、コピーとして完璧だった。
 筆のほんの一刷り、おそらくはひび割れも、コンピューターで重ねてみても差異は見つからないだろう。
「これまで君は、論理でもって答えを見つけてきた。いわゆる、『モレリ式鑑定法』だ。しかし、それは誰にでもできる鑑定法だ。我々が求めているのはそんなものではない。君の本当の力が知りたいんだ。最後に用意したのは、完璧なコピーだ。全ての科学鑑定をクリアし、学者の目利きすらも欺いた。君の本当の力で見破ってみせよ」
 宮川は演説っぽく語りながらツグミとコルリの背後に近付いてきた。声がこれまでになく自信に溢れていた。
 ツグミは背後にプレッシャーが迫るのを感じて、集中力が乱されてしまった。絵を前にして、初めて動揺していた。
 振り返って、宮川の姿にぞっとした。そこに立っているのは、優男の姿をした悪魔だ、と思った。
 コルリが宮川を振り向き、大声を張り上げた。
「そんな卑怯や! ツグミはもう体力の限界なんやで。なのに、こんなの解けなんて、無理や!」
「なら尚良い。私はツグミの本当の力が見たいのだ。頭が働かない今こそ、本当の力が現れる。人間、限界に近付いた瞬間にこそ、真価を発揮する。画家が真の傑作を生み出すのは、いつも死を間際にしたときだ」
 宮川は冷徹な様子だったが、どこか恍惚とした側面を浮かび上がらせるようだった。悪魔に思えた暗さが、どんどん増大して別の凶悪な何かに変化するように思えた。
 コルリはさらに何か言おうとしたけど、全身ぶるぶる震わせて睨み付けるだけで、次の言葉が出ないみたいだった。
 ツグミも強烈に不安と恐怖を感じたけど、不思議と胸の奥に勇気を感じた。1人で立てる、という気がして、コルリから離れて、1歩、絵の前に進んだ。
「……ツグミ、無理せんでええよ」
 コルリがツグミの側に近づき、その体を支えようとした。
「大丈夫、やれる」
 つらかったけど、自然と笑顔が出た。
 コルリはツグミの顔に少し動揺していたけど、すぐに信頼を浮かべて頷き、身を引いた。
 ツグミは絵に向き合った。誰がどう見ても、両方ともミレーだった。
 完璧に思えた。どちらが贋物なんて、言われても信じられないくらい、完璧だと思った。絵具もキャンバスも風格も、紛れもない本物のミレーだった。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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