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■2015/10/18 (Sun)
※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

第3章 贋作工房

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21
 来た時と同じ格好で、大男がツグミとコルリを挟み、出口を目指した。
 振り返ると、ミレーを照らしていたスポットライトから、エレベーターまでさほど遠くなかった。わずかに十数歩。その程度の距離のやり取りだったのだ。
 ツグミとコルリは、その僅か十数歩の距離を歩いた。
 出口に近付いたその時、ツグミは何かに気付いた。左手の闇の奥。有象無象の一部に光が当たり、ぼんやりと形を浮かび上がらせていた。
 光に浮かび上がっているのは、1枚の絵だった。闇の中に、キャンバスに描かれている何人かが浮かび上っていた。暗くて色はわからなかった。
 ツグミはその絵があまりにも信じがたく、思わず立ち止まってしまった。
 ヨハネス・フェルメールの『合奏』だった。
 まさか、本物?
 ツグミは男から離れて、絵に近付こうとした。夢中で、今の立場を忘れてしまっていた。
 男が、ツグミの肩を乱暴に掴んだ。
「勝手なことをするな!」
 ぐいっと男がツグミを引き寄せる。
 あまりにも突然で、強い力だった。ツグミは体を支えられず、その場に倒れてしまった。
「何すんのや!」
 コルリが大声を張り上げて、ツグミに飛びついた。
 ツグミはコルリに支えられながら、ゆっくり立ち上がった。少し右の足首を捻ったが、歩けないほどではなかった。
 ツグミはちらと、闇の奥のフェルメールを振り返った。遠かったし、あの暗さでは真贋の判断は下せなかった。ただ、とにかくあれは、フェルメールの『合奏』で間違いなかった。あれが、もし本物ならば……。
 エレベーターは安っぽい「チン」の音とともに開いた。大男に挟まれて、ツグミとコルリは手を握り合って、エレベーターの中に入った。
 駐車場まで降りてきて、車に乗ると、再びアイマスクを差し出された。アイマスクを付けると、車がスタートした。
 車が動き出すと、ツグミはすーっと体から力が抜けて行く気がした。あまりにも強い緊張から解放されて、睡魔に囚われた。
 睡魔に逆らうが、緊張を維持できなかった。もどかしく頬に掌を当てたり、首をよじらしたりした。
 すると、コルリがツグミの体に手を回し、支えてくれた。コルリの体があまりにも温かくて、ツグミは睡魔に逆らうのをやめてしまった。
 どれくらい経ったのか、コルリがツグミの体を揺すった。アイマスクも外してくれた。アイマスクを外すと、すぐ側にコルリの顔があった。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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