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■2009/08/06 (Thu)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P016 第3章 義姉さん僕は貴族です
 


私は張り紙の前で、茫然と立ち尽くした。張り紙の文字は、達筆な毛筆で書かれていた。左横に添えられた“まとい”の文字は、ペン書きの丸文字だった。
「なんなのよこれ!」
千里が肩を震わせて怒鳴った。なかなか妥当と思える反応だった。
「先生、いるんでしょ! 出て来なさい!」
千里は玄関扉に進んで、ドンドンと叩いた。さらに開けようと格子戸を壊さんばかりに引こうとする。
「ちょっと、千里ちゃん」
私は千里の肩をつかんで宥めようとした。
千里が私を振り返って睨んだ。やばい、と私は手をのけた。
「日塔さんは庭のほうへ回って。私は反対側から見て回るから。もし少しでも気配を感じたら、きっちりと報告するのよ!」
千里は問答無用に命令すると、家の左手に飛び込んでしまった。
私は千里の後ろ姿を見送りながら、また茫然としてしまった。どうしよう。千里は一度動き出したら、止まらないところがあるからな……。
私は諦めて右手の庭に足を向けた。
敷地の右手に入っていくと、小さな庭が現れた。特に植物もなく、乾いた土に雑草がぽつぽつと生えているだけだった。ちゃんと手入れはされているようだった。
庭に面したところが廊下になっているらしい。でも雨戸が全て締め切られて、中の様子はわからなかった。
私は先生の家をしばらく眺めた。庭はちょうど日蔭になっていて、瓦の頂点に太陽の光が当たっていた。先生の家は落ち着いた趣があって、静かで、それでいては廃墟とは違う穏やかさがあるように思えた。
そこに人の気配は感じられない。私はここに先生が住んでいるんだな、と思っていた。
裏手を回っていた千里が、一周してきて庭に姿を現した。
「日塔さん、糸色先生いた?」
千里は髪についた蜘蛛の巣を払いながら、激しいテンションで私に声をかけた。
「ううん。誰もいないみたいだよ」
私は落ち着いて首を振った。ここで千里の勢いに飲まれると危険だ、という思いがあった。
「仕方がないわ。こうなったら、強行突破で……。」
千里は考えるように目線を落とす。
「駄目だよ、千里ちゃん。勝手に入るのはよくないし、それ多分、犯罪だよ?」
私は言葉を選んでうまく宥めようとした。
千里が厳しい目で私を振り返った。それから、しばらく考えるふうにして、やっと頷いた。
「そうね。」
千里は納得したように呟くと、早足で歩き始めた。玄関のほうだ。
「どうしたの?」
私は千里の後を追って、玄関扉に進んだ。千里は玄関扉に貼り付けてある張り紙を引き剥がしていた。
「警察に行くわ。失踪したんだから、これは事件よ。」
千里は“失踪します”の張り紙を手に私に説明した。
私は、「えー」と返すしかできなかった。確かに失踪したのなら事件だ。でも、なんだろう。どういうわけか張り紙には、そんな深刻なものを感じられなかった。
私と千里は、糸色先生の家を離れて、通りに出た。交番はどっちだろう、としばらくやって、左手の道を進み始めた。
そうして次の角を曲がったところに、偶然にも可符香と出くわした。可符香はチューリップの柄が細かくプリントされた、シンプルなワンピースを着ていた。
「あ、奈美ちゃんに千里ちゃん。どうしたの、二人で」
可符香はこんな炎天下だというのに、暑さを忘れさせるような涼しげな微笑で私たちに声をかけた。
「風浦さん。糸色先生を見なかった? 実はさっき先生ん家行ったんだけど、玄関にこんなものが貼られていたの。」
千里は声を動揺させて、持っていた“失踪します”の張り紙を可符香に手渡した。
「先生が失踪?」
可符香はきょとんとした顔で、張り紙の文字に目を向けた。
「これから警察に行こうと思っているの。もしものことがあったら、どうしよう。」
千里は不安で顔を青くしていた。
でも可符香は、ふわりとぬくもりのある笑顔で顔を上げた。
「やだなぁ、こんな身近に失踪者なんて出るわけないじゃないですか。これはただの里帰りだよ」
可符香は明るい声で言って、千里に張り紙を返した。
千里は張り紙を受け取って、しばらく考えるように張り紙に目を落とした。
「……それもそうね。失踪する人が自分で失踪するなんて、書かないわよね。」
「納得したの?」
感情むき出しだった千里が、急に冷静さを取り戻し始めた。
でも、確かに可符香の言うとおりだった。失踪する人が自分で「失踪する」なんて書くはずがない。この場合、「出掛けます」と捉えるべきだ。
「あ、そうだ。あの人に聞いてみようよ」
可符香の頭の上に白熱球が輝いたようだった。
「え、誰に?」
私は可符香を振り返って訊ねた。
「行けばわかるよ」
可符香は無垢な子供のような微笑を浮かべていた。

次回 P017 第3章 義姉さん僕は貴族です3 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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