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■2015/09/01 (Tue)
創作小説■
第3章 秘密の里
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4
村の改造が始まった。村の男達を動員して、周辺の森から木を伐り、これで高い柵を作る。同時に、堀を作る作業も始めた。女達には盾と矢を作らせる。オークは手の空いた若い者に、剣や弓矢の扱い方を教える。若者達には活気があり、戦いの経験はなかったものの勘の良さがあり、ほんの数回の鍛錬で実力を身につけていった。
村の人達は森の素材を加工する技術に長けている。小さな村で人員も少なかったが、高い組織力と運動能力を見せつけた。
オークの村改造計画が始まってわずか3日。村は瞬く間に要塞のごとく形を変えていく。村は様相を変えながら、にわかに活気づきはじめていた。
ステラ
「順調のようだな」
オーク
「ええ。働き者ばかりです。鍬や鋤を振るっていただけとは思えない速力です。弓矢の達人も多いようですね」
ステラ
「弓術は子供の頃から習っておる者が多い。もちろん、獣を狩るだけが目的ではないぞ」
オーク
「秘密がありそうな村ですね。……戦いが始まるまでは美しい村だった。戦のたびに、美しい風景が崩される」
ステラ
「戦の爪跡は長く残る。災禍が去った後も、人の心が忘れまいと痕跡を残そうとする」
オーク
「山賊達はこの村を狙っています。こちらの動きにはすぐに気付かれるでしょう。村の備蓄は?」
ステラ
「何度も計算した。短めに見積もって2ヶ月だ」
オーク
「守る戦いは長期戦になりやすい。戦が始まれば生産は止まります。矢の数も充分ではありません。近隣の村や集落に呼びかけて、協力を要請しましょう。こういう時は連帯が大切です。山賊の被害に遭っているのはこの村だけではないはずです。呼びかければ、応じるでしょう」
ステラ
「それはならん」
オーク
「なぜ?」
ステラ
「我らがこんな辺境に潜んでおるのは、それなりの理由がある。目立つような振る舞いはできる限り抑えたい。私が所有している財産は、できるかぎり解放しよう。だが、外部の者を招き入れるのはまかりならん。お前のような自分の居場所もわかっていないような迷い人でない限りな」
ステラが屋敷のほうへ去って行く。
オークはステラの冷酷さに引っ掛かるものを感じて、その後ろ姿を見送る。
オークは疑念を打ち捨てて、村の見回りを始める。村は改造計画に活気づいている。みんな休みなく働いている。オークは屋敷が置かれている斜面を登っていき、その向こうの西側を見下ろす。
すると、墓地を囲むように柵を作っているのが見えた。
オーク
「何をやっている……」
次回を読む
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