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■2016/06/02 (Thu)
創作小説■
第13章 王の末裔
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6
家から飛び出すと、森の向こうに長い長い列ができているのが見えた。列は地平の果てるところまで続き、長くうねうねと連なっていた。歩いている人々は、顔をひどく暗くして、疲れ切っている様子だった。オーク
「すぐにテントの用意を。食べ物をあるだけ出してください」
オークは指示を出すと、自身も森へと走った。
その最中に、ルテニーと再会した。
オーク
「ルテニー。いったい何が……」
ルテニー
「オーク! 会えてよかった。あちこち滅茶苦茶だ。クロースの連中が村を片っ端から潰して、住民を火あぶりにしていやがった。できる限り集めてここに連れて来た」
オーク
「ご苦労です。みんなを受け入れる準備に加わってください」
ルテニー
「わかった」
人々の列は長く、1日かかってようやく途切れた。列が終わる頃には、隠里には立錐の余地のない人で溢れ返ってしまった。
兵士達は協力して木を伐り、避難民達のためにテントを作った。食事の用意をして、寒さに震える者に毛布を与えた。オークもテントを作る仕事に加わったし、避難民も協力した。そのお陰で、作業は迅速に進んだ。
またオーク達は、彼らの管理に時間を費やした。仕事の分配を決めて、病人の面倒を見て、周辺の村々で何が起きたかの事情聴取もした。その過程で人々の全体数を把握し、食糧の計算もした。
仕事に猶予ができると、オークは休まず人々の前に出た。みんなオークを頼って集まってきた、ということをオーク自身自覚していた。オークが顔を出すと、みんな希望を浮かべてオークの名を呼び、握手を求めた。オークはその一つ一つに応じた。
そんな慌ただしい仕事が続いた3日目の夕方、オークは人々の中から思いがけない人物に巡り会った。
オーク
「母上!」
それはかつて、ドル族の里で分かれた、ミルディの母であった。
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