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■2009/07/05 (Sun)
第1話 & 作品解説。

ひたぎクラブ 其の一

高校2年生から高校3年生の狭間である春休みに、僕は彼女に出会った。
それは、衝撃的な出会いであったし、また壊滅的な出会いでもあった。いずれにしても、僕は運が悪かったと思う。
もちろん、僕がその不運をたまたま避けられなかったのと同じような意味で、その風をたまたま避けられていたのだとしても、僕でない他の誰かが同じ目に遭っていたかといえば、多分、それはないだろう。
運が悪かったなどというのは、非常に無責任な物言いであり、僕が悪かったと素直にそういうべきなのかもしれない。結局あれは、僕が僕であるがゆえに起きた、そういう一連の事件だったと思う。
3e5b2bcd.jpg戦場ヶ原ひたぎは、クラスにおいていわゆる病弱な女の子という立ち位置に与えられている。戦場ヶ原とは、1年2年、そして今年三年生と、高校生活、ずっと同じクラスだけれど、僕はあいつが活発に動いている姿を、いまだかつて見たことがない。戦場ヶ原は、いつも教室の隅のほうで、一人、本を読んでいる。
難しそうなハードカバーのときもあれば、読むことによって知的レベルが下がってしまいそうな表紙デザインのコミック本のときもある。
頭は相当にいいようで、学年トップクラス。試験の後に張り出される順位表の最初の10人の中に、戦場ヶ原ひたぎの名前は、必ず記載されている。
友達はいないらしい。一人でも、である。もちろん、だからといってイジメにあっているということでもない。いつだって戦場ヶ原は、そこにいるのが当り前の顔をして、教室の隅で、本を読んでいるのだった。自分の周囲に、壁を作っているようだった。
そこにいるのが当り前で、ここにいいないのが当り前のような、まあ、だからと言ってどういうということもない。
例え3年間クラスが同じなんて数奇な縁があったところで、それで一言も交わさない相手もいたところで、僕はそれを寂しいとは思わない。それでいい。戦場ヶ原も、きっとそれでいいはずだ。そう思っていた。
しかし、そんなある日のことだった。
1860543c.jpgd00a5dfe.jpg例によって、遅刻気味に、僕が校舎の階段を駆け上がっていた。ちょうど踊り場に差し掛かったときに、空から女の子が降ってきた。
僕はとっさに、女の子の体を受け止めよ9e8ebcec.jpgうと、体を動かしていた。よけるより、正しい判断……だっただろう。
いや、間違っていたかもしれない。受け止めた瞬間、いや、受け止めてずっと後になって、そう思った。
なぜなら、彼女は、洒落にならないくらい、不思議なくらい、不気味なくらい、ここにいないように、軽かったからだ。僕の手の中に、彼女はふわりと、降りてきたみたいだった。
そう、彼女、戦場ヶ原には、体重と呼べるものが、まったくといって言いほどなかったのである。
戦場ヶ原の、衝撃を受けた目が、じっと僕を見詰めた。おそらく僕も、同じ目をして彼女を見ていたのだろう。

03b6eb01.jpg放課後、僕は委員長の羽川翼と教室に残っていた。文化祭の出し物について話し合うためだ。副院長の僕は、委員長の仕事につき合わされているわけだ。
僕は、委員長の仕事から逃れるように、「忍野メメさんに呼び出されているんだ」なんて言い訳を作って、席を立った。
鞄を持って教室を出る。そこに、ふらりと誰かの気配が現れた。
932686dc.jpg「羽川さんと、何を話していたの?」
振り向くと彼女、戦場ヶ原がいた。
いきなり、僕の口に鉄の味が一杯に広がった。戦場ヶ原が僕の口に、カッターナイフの刃を突っ込んだからだ。
「動かないで」
df342a5e.jpg戦場ヶ原は冷淡な声で警告した。
僕は了解して、彼女の言うまま、体の動きを止めた。カッターの刃は、僕の右の口に、強く押し当てられていた。
「ああ、違うわ。動いてもいいけど、とても危険よ、というのが正しかったわね」
戦場ヶ原は髪を掻き揚げながら、サディステック的な微笑を浮かべた。
僕は事態を把握した。冗談や脅しではない。こいつは本気だ、と。
「好奇心というのは、まったくゴキブリみたいね。人の触れられたくない秘密ばかりこぞってよってくる。うっとおしくてたまらないわ」
aa1022cf.jpgしかし戦場ヶ原は、それが迷惑というのではなく、むしろそういう場面を楽しんでいるかのような口ぶりだった。
僕は言い返したくなって、塞がれた口で「おい」と言葉を発した。
「何よ。左側が寂しいの? だったらそう言ってくれればいいのに」
右の口に、別の何かが突っ込まれた。ホッチキスだ。刃の部分を、口3a2ef9b8.jpgの内側に押し当てられていた。
「まったく、私も迂闊だったわ。まさか、あんなところに、バナナの皮が落ちているなんて、思いもしなかったわ。気付いているんでしょう。そう。私には重さがない。といっても、まったくないわけではないのよ。私の身長体格だと、平均体重は40キafd7e35d.jpgロ後半強といったところらしいけれど、実際の体重は5キロ。中学校を卒業して、高校に入る前よ。一匹の蟹に出会って、重さを根こそぎ持っていかれたわ。ああ、別に理解しなくていいのよ。これ以上、嗅ぎ回られたら凄く迷惑だから喋っただけ。阿良々木君、阿良々木君、ねえ、阿良々木暦君……」
戦場ヶ原は、ゆっくりと重ねるように僕の名前を呼んだ。
よく喋る女だ。むしろ、知ってほしかったんじゃないか、と思うくらいに。
僕の口の中に、吸い込めなかった唾液で溢れ、鉄の味が口いっぱいに広がってきた。でも、僕は動けない。ぴくりとでも動くわけにはいかなかった。
「さて、私はあなたの秘密を黙ってもらうために、何をすればいいのかしら。私は私のために、何をすべきかしら。口が裂けても喋らないと、阿良々木君に誓ってもらうためには、どうやって口を封じればいいかしら。とにかく、私が欲しいのは、沈黙と無関心。沈黙と無関心を約束してくるなら、2回頷いて頂戴、阿良々木君。それ以外の動作は、停止であれ、敵対行為と見做して、即座に攻撃に移るわ」
141c10ad.jpg僕は彼女に服従して、二度頷いた。
すると戦場ヶ原は、にこりと、信じられないくらい悪意を含んだ微笑を浮かべた。
「そう、ありがとう」
戦場ヶ原は、右の口に当てていたカッターを引き抜いた。カッターの50b14e15.jpg刃を、カチカチと収める。僕は、やっとこのいかれた事態から解放されると思って体から力が抜けた。
だが戦場ヶ原は、僕に微笑みかけて片目を閉じた。
ホッチキスの刃が、僕の口の中に食い込んだ。
僕はその場にうずくまって、右の顔を抑えた。ひどい痛みが、口から顔全体に一気に広がってきた。
「悲鳴を上げないのね。立派だわ。今回はこれで勘弁してあげる」
戦場ヶ原は膝に手を置いて、僕を見下ろした。
「お前……」
僕は恨み言をいってやりたくて、顔を上げた。でもそこで、行為を終えて恍惚とした表情を浮かべる戦場ヶ原の顔にぶつかって、言葉が堰き止められてしまった。
「それじゃ、阿良々木君。明日からはちゃんと私のこと、無視してね。よろしくさん」
戦場ヶ原はそう言い置いて、その場を去ってしまった。
僕は初めて、これまで何とも思わなかった戦場ヶ原という女に、特別な感情を抱いた。悪魔みたいな女だ、と。
やっと最初の衝撃から逃れ、ゆっくり立ち上がった。口の中から、ホッチキスの刃を引き抜く。血の味が口いっぱいに広がる。左の頬を、いたわるように撫でた。
僕は、激しい憤りを感じた。バナナを階段に捨てた、何者かに。
僕は決心した。校内でバナナを食べている人間を、決して許さないと。いや、食べてもいい。そのバナナの皮を、階段なんぞにポイ捨てするような奴がいたら。僕は本気で許さない。
そこまで決意を新たにして、僕は走り出した。廊下を一気に駆け抜け、階段を飛ぶように降りた。
ようやく一階の廊下が迫ったところで、戦場ヶ原に追いついた。
98a6ef42.jpg「あきれたわ。いえ、ここは素直に驚いたというべきね。あれだけのことをされておいて、すぐに反抗精神に立ち上がることができたなんて」
戦場ヶ原が意外そうな顔をして、それから待ってましたというような微笑を浮かべた。
「戦場ヶ原……」
593cb290.jpg僕ははっきり言ってやろう、と口を開いた。
「いいわ。わかった。わかりました。アララギ君。戦争、しましょう」
戦場ヶ原は楽しげに言葉を弾ませた。
その両手に、文房具が溢れ出した。鉛筆やカッターやペンやセロテープ。それらは、ひとつひとつは恐れる必要もない文房具だ。でも1a926f9e.jpg戦場ヶ原がそうやって文房具を手に身構える姿は、例えようもないくらい恐ろしかった。
「違う、違う。戦争しない」
僕は一歩下がった。うっかり間合いに入ったら、殺されそうだ。
「しないの? なーんだ。じゃあ、何の用よ」
5edfc1a3.jpg戦場ヶ原はおもちゃを取り上げられた子供のように残念そうにした。
「ひょっとしたらなんだけど、お前の力になれるかもしれない、と思って」
「力に? ……ふざけないで。あなたに何ができるって言うのよ。黙って気を払わないでいてくれたら、それでいいの。優しさも、敵対行為と見做すわよ」
むしろ戦場ヶ原は瞳を怒りに燃やし、僕をにらみつけて一歩、階段を上がった。
これ以上うっかりしたことを言うと、また地雷を踏みつけてしまいそうだった。
僕は、口に指を突っ込んで、左の口を裏返して見せた。
はじめて、戦場ヶ原の顔に、衝撃が浮かんだ。そこに、ホッチキスの傷跡がなかったからだ。
「傷が……ない。あなたは、それって、どういう?」
饒舌な戦場ヶ原も、さすがに言葉が見付からないようだった。
「僕は吸血鬼だったんだ。もと、吸血鬼。だからこれは、不死身だったときの名残なんだ」
彼女が秘密を明かしてくれた代わりに、僕も自分の秘密を明かした。

『化物語』のイメージは、かつてない特別な後味を残す。
幾何学的なイメージが覆う映像。トーンを重ねられた色彩。独特のコントラスト。明朝体の文字の羅列。テキストのみの画像。
なにもかもが、この作家でしかありえない、この作品でしかありえない、独創的な印象を描き出している。
aac2a381.jpgaca05df8.jpg5a0cdb78.jpg




『化物語』においては、あらゆるものがデザインの素材でしかない。あらゆるものがデザインの感性に合わせて解体され、独自の方法で再構築されていく。
アニメキャラクターもその例外ではない。
『化物語』のキャラクターたちは、徹底して動きを持たない。全ての動作は、決定的な瞬間を維持したまま静止し、指先の一本に至るまで、その瞬間の緊張で引き攣っている。
要所要所に配される動画は、むしろ静止した瞬間を強調している。
いやむしろ、動かないのはテレビアニメーションというジャンル自体である。
作業的、あるいは予算的理由により、テレビアニメーションの動きは徹底的に抑制され、動かせない故に、いかに動いた印象を与えられるか。日本のテレビアニメージョンはその黎明期以来、その演出手法の模索に腐心してきた。
テレビアニメーションの動きのほとんどが、クロースアップの目パチと口パクだけで終る。それがキャラクターを中心に置き、実在感を炙り出すための、最も簡単で、マニュアル的な手法だからだ。とりあえず止めの絵に、目パチと口パクだけ描いていればとりあえずの生命観がそこに現れて見えるからだ。
だが新房昭之監督の映像は、徹底的にキャラクターは動かない。むしろ動かさないことを、演出的な信条としている。
f8c0cbe7.jpgアニメのパロディも採用されるのが新房昭之監督の特徴だ。だが、パロディもそれ自体が目的ではなく、あくまでも断片化されて、素材として物語世界の一部として描かれる。



b160ecb9.jpgアニメキャラクターは動かさない、というルールの上で、キャラクターたちは徹底的に切り刻まれ、解体され、意識的な再構築を試みられている。
人物は断片にまで解体され、背景の幾何学模様と一体となり、あるいは色彩に埋没する。
キャラクターなどただの線の集まりでしかない、というd61fb76d.jpg新房昭之の言葉が聞こえてきそうだ。
アニメキャラクターはカットという言葉どおり、構図の中で分解され、作家のデザイン的な世界の中に埋没する。一方でコピー&ペーストされて、新たなイメージの素材にされていく。
一方で、デザイン世界がカットの全体が覆う中で、切り刻まれたアニメキャラクターは何ともいえない官能を匂わせ始める。切り刻まれたキャラクターの身体の印象は、むしろSM的なフェテッシュな感覚を増大させ、バイオレンスで溢れる『化物語』の中に鮮烈なエロティシズムを漂わせ始めている。
5dbedfed.jpgキャラクターは動かないが、カメラは動く。キャラクターを動かすのではなく、映像イメージを動かしていく感じだ。のパンモロカットは、作家の意思意図云々は別として、ここは素直においしく頂こう。あちらも勝負パンツだし。


『化物語』の映像イメージは、ディティールで埋め尽くされる昨今のアニメーションと逆行するように、むしろディティールが剥離されていく。
キャラクターは立体と実在を失ってただの線画というレベルにまで解体されるし、風景から色彩が省かれていく。リアリズムの作家が追求する全てが、映像から間引かれていく。
その代わりに代入されているのが、説明的な明朝体の文字だ。
その文字の羅列も、高密度アニメーションのようにディティールを補強する効果を与えていない。むしろ、それは意図されていない。
6c159b81.jpg冒頭の場面。赤い色が点々と広がっていくシーン。赤の点の一つ一つに、「血」の文字が当てはめられていく。ただの色彩に過ぎず、何であるかわからないそれに、それが「血」であることを解説するかのように、「血」の文字が与えられている。
映像から説明的なディティールを剥ぎ取る代わりに、明朝体の文字で直接解説を試みているのだ。
だが、羅列される文字のほとんどが、現代においては馴染みの薄い、おそらくほとんどの人が判別不明であろう旧字体である。
むしろこれは、読めないことを意図している。だが、なんとなくぼんやりと理解できる。ディティールの洪水のように作られたアニメが意図するのは、ディティールの洪水を「無意識」の領域で受け止めさせるためだ。判読不明の旧字体の羅列も、意図としては同じだ。シンプルなシルエットラインに置かれた文字の洪水を「無意識」の領域で受け止めさせようとする。そうして、ひとつの密度を持った映像として、作品が補完されている。
392be5df.jpg0eb7e23b.jpg時折挿入されるバイオレンスは、モノクロ映画におけるパートカラーようなビビッとな印象を与える。断片的だが、直裁的に見せるより、衝撃力は強い。左は実写で作られたカット。「アホ毛」に注目したい。
ほとんどのユーザーは、映像に描かれているものがなんだかわからいまま、強引な勢いで作品世界に引き込まれていく。
通常の映像体験での感覚をぼろぼろに狂わせて、まったく新たな様式美の世界が生まれようとしている。これは、新たな形式のアニメーションであり、作家個人の感性そのものが刻印されたアニメーションだ。
鑑賞後、一つのデザイン帖を見終えたかのような、贅沢な後味を残す作品だ。



作品データ
監督:新房昭之 原作:西尾維新
キャラクター原案:VOFAN キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺明夫
シリーズディレクター:尾石達也 ビジュアルディレクター:武内宣之
美術監督:飯島寿治 色彩設定:滝沢いづみ ビジュアルエフェクト:酒井 基
音楽:神前 暁 音響監督:鶴岡陽太
撮影監督:江藤慎一郎 編集:松原理恵
アニメーション制作:シャフト
出演:神谷浩史 斎藤千和 加藤英美里 沢城みゆき
   花澤香菜 堀江由衣 櫻井孝宏 喜多村英梨
   井口裕香



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■2009/04/16 (Thu)
階段を登りつめると、そこは狭い庭園になっていた。といっても、手入れが行き届いてなくて、草花は汚く荒れかけている。
だけど、そこから見下ろす風景は最高だった。庭園のすぐ向こう側は絶壁が落ちていて、その向うの風景が一望できた。なだらかに続く草原に、小川が横切り、ずっと向うの山岳が見渡せた。
「なんですか、ここ」
使用人のギルバートが感激した声を上げた。
「凄いだろ。ここ、今朝見つけたんだ」
オズは自分が作ったわけでもないのに、自慢げに答えた。
「本当、綺麗」
オズの妹のエイダも、ギルバートと並んで草原の風景を眺める。
オズは、二人が風景に見入っている隙に、箱の中のものを取り出した。
「ギル!」
オズは使用人の名前を呼んで、箱の中の物を投げ渡した。真っ白な式典用の衣装だった。
「これは、オズ坊ちゃんが着るには、小さくないですか?」
ギルバートは衣裳を広げてみて、怪訝に首を捻った。
「バカ。いいんだよ。着るのは、お前なんだから」
1111be88.jpg「はい?」
ギルバートの声のトーンが一気に上がった。
「実はな、今日の成人式の儀に、お前も参加することになっているんだ。俺の服をかしてやりたいけど、大きくて合わないだろう? 伯父さんに頼んで、仕立ててもらったんだ」
「いけません。僕はただの使用人ですよ。そのような席に参加する資格などありません」
229aae2e.jpgギルバートは慌てて反論した。だけどオズは、静かに首を振った。
「違うよ、ギル。使用人としてじゃない。俺の友人として参加してほしんだ」
それはオズがずっと抱いていて本心だった。
ギルバートは感激したふうに瞳を潤ませた。それから、オズの頭を下げる。エイダがギルバートの頭を「よしよし」と撫でていた。
そんなとき、気持ちのいい風が吹いてきた。庭園の草花が、一斉にざわざわと葉をこすり合わせる。
その風が過ぎ去りかけた時、オズはふとオルゴールの音が混じるのを聞いた。
61aa2d00.jpg何だ、この音?
オズは何となく不思議な気持ちになって、オルゴールの音色を探そうと庭園の中を進んだ。
目の前の、壁のような藪の方向へ。その向うから、オルゴールの音が聞こえてくる気がした。
と突然に、地面が崩れた。芝生の下の煉瓦が崩れたのだ。
「坊ちゃん!」
6a4c1b14.jpgギルバートがオズの後を追った。オズはギルバートに手を伸ばした。結局二人でもつれ合いながら、奈落の底へと転がり落ちていった。
「おい、生きているか、ギルバート」
オズは全身がひりひりするのを感じながら、ギルバートを確認しようとした。
ギルバートはオズを抱きつくようにしてかばっていた。きっと、ギルバートのほうがダメージは大きかったはずだ。
「何とか」
ギルバートの頼りない声が返ってきた。どうやら無事のようだ。
オズは倒れたまま周囲を見回した。さっき崩れた場所から、階段になっていたのだ。そこを、二人で転げ落ちてきたのだ。崩れた場所から光が差し込んで、エイダが心配そうに見ろしていた。
オズはゆっくり体を起こしながら、階段の反対方向に目を向けた。
09663338.jpgそこは小さな空間だった。下草が刈り込まれ、奥に墓標のような十字架が一つたたずんでいた。十字架の背後には大きな樹木が立ちはだかっている。見上げると、樹木の枝先がさっき壁のように見えた藪と重なり合っていた。枝の隙間から光が差し込んでいたが、藪と枝が重なってこの空間が見えなかったのだ、と理解した。
オズとギルバートは、十字架に興味を持って近付いた。
「もしかして、ここは墓地ですか?」
「うん。でも、これ一つないな」
ギルバートが疑問を口にした。確かにこの小さな空間には、墓標はそれ一つだけだ。
52297420.jpgギルバートは墓標の碑文を読もうと、膝をついた。オズは十字架の右翼に、黄金色の何かが絡みついているのに気付いた。懐中時計だ。
オズは、何となく懐中時計を手に取った。
途端に、イメージが流れ込んでくるのを感じた。
何だ、今の。
オズは懐中時計の蓋を開けて、慣れた手つきでねじを巻き上げる。なぜかオズは、自分の手の動きに、自分の意思を感じなかった。772c0ac3.jpgまるで別の誰かが自分の腕を掴み、操作しているみたいだった。
懐中時計に仕込まれたオルゴールがメロディを紡ぎ始めた。
……聞いた覚えのないメロディ。誰のものかわからない懐中時計。でも、なんだろう。なんとなく、どこかで……。
オズはぼんやりと自分の思考に沈んでいった。
bed65968.jpg次の瞬間、オズははっと目が覚める気がした。いつの間にか別の場所にいた。
円形の小さな部屋で、床が赤と黒の市松紋様になっていた。壁には一杯の人形が納められている。
ここ、どこだ。
ひどい動揺に、心をかき乱されるのを感じた。
ふと人形が動いたような気がした。いや、気のせいじゃなかった。人形たちが一28cee02f.jpg斉にオズを振り返った。それからかたかたと首を揺らし、笑い声を上げ始めた。笑い声に混じって、「やっと彼が帰ってきた」という言葉を聞いたような気がした。
オズは呼吸が苦しくなって、足元がふらついた。恐怖に思考が奪われ、部屋のなかのものがぐるぐる回りながら自分に迫ってくるような錯覚を感じた。
「静かにして頂戴。彼が驚いているわ」
声がした。幼い少女の声。人形たちは、さっともとの人9d8664d6.jpg形に戻った。
オズが振り向く。そこに立っていたのは、白いドレスに紫のリボンを首に巻いた少女だった。肌がひどく白く、長い黒髪をフリンジにしていた。
「君は?」
オズは、自分でも声が引き攣っているのを感じた。
「やっぱりあなたは来てくれた。嬉しい!」
少女は答えず、両手を広げてオズに飛びついてきた。
315799fe.jpgだが、少女の体はオズをすり抜けてしまった。
オズは後ろを振り向いた。当り前のように、少女の背中が見えた。オズは喉の奥が痺れてしまって悲鳴すら上げられなかった。
「みんな、私のことが嫌いなの。だから、誰も会いに来てくれないの」
少女は急に沈んだ声で、肩をすぼませた。
「ちょっと待って。訳がわからない。君は? ここは一4060933b.jpg体?」
オズは喉がからからになるのを感じならが、疑問を搾り出した。
しかし、やはり少女は答えず、側にあった人形を掴んだ。
「何を言っているの? あなたはいつもここに来てくれたじゃない。そう、私が寂しい時、あなたはいつも側にいてくれた。あなたさえいれば、私はここから出られなくてもかまわない」
少女の手から、874f1f48.jpg人形が落ちた。すると突然に人形は火を吹き始めた。火はただちに勢いをつけて渦を巻き、火柱となって立ち上がった。
凄まじい熱線が目の前に迫り、オズは逃げ出そうと背後を振り返った。だが、炎は意思を持っているように、オズを回り込んで、逃げ場を奪った。
動揺と混乱がオズの意識を奪った。炎の光がオズの視界を奪うと、今度は急激に辺りが真っ暗闇に閉ざされるのを感じた。熱線も光もd01bfd63.jpg消えうせて、あたりは冷え冷えとする真っ暗闇に包まれた。
その時、オズの両肩に誰かが手を置いた。そして耳元に、誰かがそっと顔を寄せてきた。
「殺してやる」
少女の声だった。暗い呪いの意思が混じった声だった。


697bba05.jpg6034bd28.jpg日本建築も暗いが、西洋建築もやはり暗い。特に前衛的な様式美を持った建築は、有象無象が不気味な影を湛え、ある瞬間、魂を持っているように思えてしまう。
『Pandora Hearts』の舞台は、ヨーロッパ風のブルジョア社会である。
時代は不明で、おそらくは厳密なヨーロッパを象ったものではなく、どこかしらホラー・ファンタジーの雰囲気がある。
ゴシック建築を残した古典建築風の屋敷の中を、少年が駆け回っている。どうやら、成人の式典があるらしいが、少年は儀式ばったものが煩わしくて、広い屋敷の中を逃げ回っていた。
少年を包み込むのはゴシック建築特有の美の世界であり、陰鬱な影を湛える不気味な空間である。
物語は快活な少年を中心に描いているが、その色彩はどこか暗い。
不気味な影は作品全体を包み込み、少年をゆっくりと飲み込もうとしている。
fd9fa037.jpg1c1dff85.jpgあえて言うなら、少年はそこにいるだけで罪だ。少女も罪を運んでくるが、少年は自身が罪を犯すし、周囲が罪を与えようとしてしまう。


『Pandora Hearts』に描かれるキャラクターはくっきりした線と色彩で塗り分けられている。
だが、やはりどこかしら暗い影がまとわりついている。二段影はブラックで塗りつぶされているし、瞳にも暗い影が描きこまれている。
『Pandora Hearts』は、何もかもが暗く、不吉な影を湛えながら描かれている。
これは冒険物語への予兆だろうか。それとも、もっと暗く、不吉な悲劇への予告だろうか。

作品データ
監督:加戸誉夫 原作:望月淳
キャラクターデザイン:小林千鶴 山岡信一 プロップデザイン:影原半蔵
総作画監督:小林千鶴 美術監督:わたなべけいと
脚本:関島眞頼 音楽:梶浦由記
色彩設計:関本美津子 撮影監督:工藤友紀
アニメーション制作:XEBEC
出演:皆川純子 川澄綾子 坂本梓馬 梅津秀行
   福原香織 久川綾 大川透 広橋涼 後藤沙緒里 寺谷美香



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■2009/04/15 (Wed)
風に砂埃が混じり、ごうごうと音を立てている。険しい谷の斜面は、はるかな奈落へと落ちている。
そんな場所にも、古い住居の痕跡が点々と残されていた。かつてはこんな場所でも、そこそこの文明が栄えていたのだ。
リスティはそんな住居の跡に忍び込んでいった。この辺りにはコレクターが値段を付けてくれそうなお宝がたくさん眠っているのだ。
リスティは自身では、それなりの目利きである自負があった。盗みで生活する人間にとって、必要なスキルだった。
そんなとき、ふと気配が近付くのを感じた。リスティは仕事を中断して、物陰に身を潜めた。
住居が置かれているそこより、数メートル下に細い小道があった。かつては街道だったのか、アーチ状のゲートが点々と備えられている。
そんな場所を、誰かが歩いていた。
女だ。女はフードを深くかぶって姿を隠していた。腰に細身のレイピアを差している。
18f9d631.jpgさては自分を狙った賞金稼ぎか。リルティは武器を手に警戒した。
だが違った。ゲートの上に、別の気配が現れた。フードの女も、気配に気付いて振り返った。
「旅人を襲っているのは、お前か!」
フードの女がレイピアを抜いて気配と対峙した。
ゲートの上にいたのはメローナだ。ピンクの髪にウサギの耳を備えた美しい少女だ。だが、少女は人間ではなく、この周辺を徘徊する魔物なのだ。
メローナはフードの女の挑発にも乗らず、悠然とアーチに座って足をぶらぶらとさせていた。
「だったらどうなのさ」
メローナは挑発的に微笑んで言葉を返した。
「私が倒す!」
「ふーん。君が僕を倒しちゃうんだ。面白い。相手してやるよ」
メローナが宙を舞った。二人の剣が火花を散らした。二度、三度と剣戟を重ね、二人はギリギリに接近しあった。
ac82fd26.jpg「顔を隠したって、僕にはわかるよ。くんくん。ヴァンス家の臭いがする」
メローナは挑発的にフードの女に顔を寄せて、鼻をひくひくとさせた。
フードの女がメローナを押し返した。と同時に、二人の剣が太陽を宿した。
メローナの剣が、女のフードを裂いた。フードの下から現れたのは、長い金髪の可憐な乙女だった。
c62d2e81.jpg一方金髪の少女の剣は、メローナの肩を捉え、胸元までを引き裂いた。明らかな致命傷だった。
だが、メローナは顔に苦痛を見せず、不思議そうに首を傾げて金髪の少女を見た。
「あれ? クローデットじゃない」
「私はレイナ。高貴なる戦士、レイナだ!」
レイナ。覚えがあるぞ。リスティはすぐに自分の荷物袋を調べた。
f596d1f2.jpg見つけた。ヴァンス・レイナ。クローデットの妹だ。
なるほど、これは面白いかもしれない。リスティはにやりを口元をゆがめた。
戦いはまだ続いていた。あっとリスティが注意を向けると、形勢ははっきりと変わっていた。
レイナが尻を突き、胸元を隠していた。見事なバストがはだけかけて、レイナは羞恥で頬を染めていた。
「おっかしいなぁ、クローデットの臭いがしたのに。まbb9a3319.jpgあ、ライオンの将、クローデットの実力が、この程度ってことはないよねぇ。服が破れたくらいで『キャア』だもん」
メローナは挑発を込めた笑いを浮かべた。
「あなたの目的は、何?」
「僕はね、強い闘士を叩き潰して回っているのさ。クイーンズブレイドの参加者をね。――始まるのさ。四年に一度の、新しい女王を決める戦いがね!」
3ff4be82.jpg非常に残念な話をするが、テレビ放送版は肝心な部分が見えなくなっている。せっかく書き手が巧みに裸を描き出しているのに、肝心な部分は不自然な光が当てられ、あるいは煙が被され、裸の露出を隠そうとしている。女達の裸がどうしても見たい場合は、DVD版をお勧めする。




『クイーンズブレイド』に登場する女たちは、みな奔放で異能の力を備え、そのうえとてつもなく美しい。
容姿は完璧なまでに美しく整い、抜群のプロポーションには傷一つ認められない。
そんな乙女達が、下着にしか見えないビキニ・アーマーを身に纏い、華麗に戦う。
『クイーンズブレイド』は女だけの戦いであり、女たちが集い、戯れる、秘密の花園である。
a59cd4cc.jpg美しいヒロインを描くのは日本アニメのお家芸である。一方で、日本のアニメは魅力的な“”ヒーロー”はあまり描かれてきていなかった。ほとんどが典型的なステレオタイプであり、ヒロインの方が圧倒的にバリエーションが多い。もしかしたら、苦手分野なのかもしれない。




1b1794c3.jpg『クイーンズブレイド』は過酷な戦いが中心だが、戦いの生々しさよりも女達の美しさに重点が置かれている。
剣を交えた戦いだが、女達の完璧を誇る身体は、決して傷つくことはない。
アニメーターの視点は、女達の身体がギリギリまでに跳躍し緊張し、その身体が魅力に輝く瞬間を油断なく捉えようとしている。
8c29613c.jpgそして特筆すべきは、剣の攻撃によって、女達の衣服は不自然に引き裂かれ、豊満なボディがさらされる瞬間である。
危険な凶器は女の体を決して傷付けず、その裸体を覆う布の一枚を巧みに引き裂く。
アニメの構図は、物語の解説などほとんど目的とせず、あきらかに女達の身体を魅力的にさせる方法が模索されている。
ba87bf9c.jpg美しい丸みをもった豊満なバストを、なだらかな曲線を描くヒップラインを、それから不自然にちらちらとカメラがまとわりつく股間の周囲を、描き手はそれらがいかに魅力的に見えるか、性的な感性をそそるか、その模索に全精力が注がれている。
b27fbe27.jpg『クイーンズブレイド』は、フェティシズムの形式が模索されている。左のレイナは、涙と涎を垂らしている。いずれも典型的なフェティッシュアイテムだ。
地上波放送では確認できなかったが、失禁もあったようだ。完全版では、ひと通り液体は揃っているようである。やはりDVD版をお勧めだ。注目すべきシーンが削られた作品に、どんな価値があるというのだ。
『クイーンズブレイド』には女しか登場しない。
男は会話の中にちらちらと登場するだけで、あからさまに嫌悪が示され、物語に介入するのを完全に拒否されている。
女しか登場しない世界に、女達の戯れが続く夢幻世界。
男の視点と願望だけがあからさまに刻印されたアニメーション。
そこは、美しい乙女しか存在を許されない、秘密の花園である。



作品データ
監督:よしもときんじ 原作:Hobby JAPAN 原作監修:河原正信
キャラクター原案:赤賀博隆 えぃわ F.S 金子ひらく
         かんたか 空中幼彩 黒木雅弘 ズンダレぽん
         高村和宏 平田雄三 松竜 みぶなつき
キャラクターデザイン:りんしん デザイン補佐:野口孝行
総作画監督:りんしん 美術監督:東潤一 美術設定:泉寛
色彩設計・特技効果・デザインワークス:よしもときんじ 松原貞姫
撮影監督:池上伸治 音楽:横山克
アニメーション制作:アームズ
出演:川澄綾子 甲斐田裕子 田中敦子 水橋かおり
   平野綾 釘宮理恵 明石香織 高橋研二 本田貴子



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■2009/04/14 (Tue)
18e470e3.jpg竹原アキユキは、全速力で自転車を走らせていた。あと一回の遅刻で懲罰訓練だ。
しばらくすると、坂道の向こうが開けた。そこは海を背にした広場で、バス停留場が置かれていた。バスはまだ発車せず、行列を作っていた。
間に合った!
アキユキは自転車置き場に自転車を突っ込ませた。
「小父さん、あとお願い!」
アキユキはスタンドも立てず、管理の小父さんに自転車を引き渡した。道路を横切り、バスの裏側へと回る。バスに乗ろうとする行列はまだ何人も続いていて、その半ばに西村ハルと寺岡フルイチが並んでいるのが見た。
「うぃーす!」
アキユキはハルとフルイチに近付いて朝の挨拶をした。だがハルとフルイチの反応はそれぞれ違っていた。
「遅いよ」と嬉しそうに微笑むハル。
「おめえ、来んのが早えんだよ」と毒づくフルイチ。
「なに? どっちだよ」
「そうよ、フルイチ。アイスはゲッド」
ハルがフルイチににやりと笑いかけた。
ああ、そういうこと。アキユキは二人のやり取りに経緯を察した。
「俺にも?」
アキユキはハルに便乗した。
「早く並べよ!」
フルイチがなかば八つ当たり気味に怒鳴りつけた。
「はいはい」
アキユキは冗談っぽく返事を返して退散した。そのまま、列の一番後ろに並ぶ。
f3956010.jpg列の一番後ろに、灰色のジャケットを着た女の子が並んでいた。髪の色が真っ白で、バッグを大事そうに抱きかかえていた。
アキユキは、すぐに女の子が腕章をつけていないのに気付いた。バスの入口に目を向けると、軍人が厳しく乗員の腕章をチェックしているのが見えた。
b9c33f3c.jpgこれはいけないな。
間もなく順番が回ってきた。
「そのまま行って」
アキユキは女の子の肩を掴み、耳元で囁きかけた。女の子は戸惑いながら、頷いて返した。
アキユキはすぐに列から離れて、腕章を外した。
白い髪の女の子が、バスの入口へと進んだ。
「腕章。喋れんのか、貴様!」
軍人が高慢に女の子を怒鳴りつける。
857c9eca.jpgアキユキはタイミングを見計らって、早足で列に割り込んだ。
「おはようございます」
と挨拶をしつつ、女の子の足元に腕章を落とす。
「おいおい、順番だろうが。ちゃんと並べよ」
軍人が厳しくアキユキを足止めした。
「今日は、顔なじみってことで許可してください」
アキユキは声を抑えて懇願する調子を込めた。
「腕章は?」
「学校帰りに落としちゃったみたいで。仮証明って、どこで」
「総務課に届け出を出せ。明日には用意しておけよ」
軍人は仕方がないな、という調子を込めつつ、アキユキを怒鳴りつけた。
アキユキは早足にタラップを上りながら、ちらと女の子を振り返った。女の子はアキユキが落とした腕章に気付いて、手に持っていた。
「ちゃんと左腕につけておくように!」
軍人は女の子を睨んで厳しく怒鳴りつける。女の子は申し訳なさそうに会釈して、バスに乗り込んだ。
どうやら無事に通過できたようだ。アキユキはバスの後方へ、フルイチの隣の座席に座った。
f0c721f1.jpg「下手な芝居しやがって」
フルイチが声を潜めてアキユキに囁いた。
「転校生?」
すぐ後ろの座席のハルが、身を乗りだたせてアキユキに訊ねた。
「わかんねえ。難民なんじゃねえか?」
f337bcbb.jpg白い髪の女の子は、しばらく所在なげにしていたが、やがて運転席の後ろの空席を見つけて座った。
間もなくバスが発進した。女の子は後ろを振り返って、アキユキを探した。アキユキを見つけると、腕章を手に合図を送った。アキユキは「持ってて」と合図を送り返した。女の子は感謝を込めて会釈し、姿勢を前に戻した。
88fc707e.jpgバスは、海岸沿いの道路を走っていく。いつも見ている、退屈な風景だ。フルイチは武道の本に集中している。アキユキは耳にウォークマンをつけて、退屈な時間を紛らせた。
そうしながら、フルイチはぼんやり窓の外を見詰めた。今日はやけに探査艇が多い。何かあるのだろうか。
8ec384e8.jpgと疑問を感じたが、すぐに退屈して欠伸が漏れた。
しばらくして、バスは学校の前に停車した。一緒に乗った学生たちが行列を作ってバスを降りていく。
アキユキも行列に並びながら、あの女の子を気にかけた。白い髪の女の子は、運転席の後ろの座席から動こうとしなかった。
ここで降りるんじゃないんだろうか。
アキユキはバスを降りた。バスを降りると、すぐそこに学校だ。バス停にハルが待っていた。
4367a0d6.jpg「予鈴が鳴ってる。急げ急げ!」
ハルはやや厳しい声でアキユキを急がせた。
「いちいち待つなよ。これだから幼馴染は……」
アキユキはハルの側を通り過ぎつつ、不満を漏らした。
「おばさんに言われてるのよ。だらしない息子をヨロシクって……」
47960b73.jpg突然に、青い閃光がひらめいた。爆音が轟き、ハルの言葉を飲み込んだ。
アキユキの体は数メートル吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
爆弾だ。アキユキはすぐに身を返して起き上がった。
「ハル!」
爆破の中心地はバスだった。あの側にハルは居たはずだ。
バスを振り向くと、周辺一帯が爆破で吹っ飛んでいた。バスは骨格だけを残して焼け爛れ、e92d26ac.jpgその周囲で学生たちが倒れていた。
アキユキはその中からハルを探そうとしたが、視界に青く光る何かが目についた。
何だ、と注目していると、青い光は空中で生きているみたいに踊り始めた。
青い光が四方に散った。
13a4183d.jpg光の粒は、アキユキの右腕に直撃して姿を消した。
「痛ッ!」
右腕に激痛が飛び込んできた。アキユキは右腕を押さえて、痛みを抑えようとした。だが痛みは腕全体に広がり、なにかが這い回る感触を感じた。
しばらくして、痛みがひいた。全身が消耗して、どっと汗a31b4494.jpgが噴出していた。
「アキユキ、無事か。ハルは?」
背後からフルイチが近付いてきた。フルイチは右足を負傷して引き摺っていた。
アキユキは右腕を押さえたまま立ち上がった。そうだ、ハルは?
もう一度見回すと、バスの側で、ハルが座り込んでいるのが見えた。バスの残骸を見詰めて茫然と震えていた。
すぐにフルイチがハルの名前を呼んで近付いた。だがハルは気付かず、バスを見詰めていた。フルイチがハル6f17bf62.jpgの肩に手を置くと、弾けたように体をのけぞらせた。
「なんなのよ、これ!」
ハルは悲鳴のような声を上げて、興奮して泣き始めた。相当にショック状態のようだった。アキユキは冷静にハルの腕を手に取り、診断を始めた。
「自由権反対派か?」
アキユキもハルの側に近付いて、疑問を漏らした。
「冗談言うな。んなもん、とっくに粛清されている。北政府に決まっているだろ!」
フルイチは半ば感情的になって怒鳴り返した。
アキユキは何気なくバスの周囲に目を向けた。すると、バスの中に、誰かが残っているのを見つけた。あの白い髪の女の子だ。
アキユキはとっさにバスを目指して走った。
「アキユキ、行くな!」
フルイチの制止する声が聞こえたが、アキユキは構わずバスに向かった。
アキユキはぐしゃっと潰れた運転席からのぼり、バスの中へ飛び込んだ。
バスの中は全体が焼け爛れ、床の板が泡を吹いてめくれ上がっていた。相当の高温だったらしい。
バスの一番後ろの座席に、白い髪の女の子が背中を向けてうずくまっているのが見えた。
アキユキは女の子の側へ行こうとした。だが右腕を押さえていた左掌に、奇妙な違和感があるのに気付いて、ちらと目を向けた。
「何だよ、これ」
見ると、右腕の痛みの中心に、青い石の塊のようなものができていた。と思ったら、青い石が右腕の中に潜り込んで、姿を消した。
d0c97f6b.jpgアキユキは女の子の側へと急いだ。女の子はぐったりと焼け爛れたクッションに体を預けていた。周囲に緑の液体が広がっていた。
「動けるか?」
アキユキは女の子の肩を掴み、振り向かせた。女の子は力なく首をぐったりとさせた。お腹を押さえていて、そこから緑の液体が滲み出ac505ebc.jpgていた。
「……ごめんなさい、巻き込んで」
白い髪の女の子は、目を開いて、苦しそうな声で言葉を紡いだ。
「まさか、君が?」
「……私はナズナ。あなたなら……きっと大丈夫997c7add.jpgです。……亡念の…ザムド」
女の子は震える指を持ち上げて、アキユキの額を緩く叩いた。それを最後に、女の子は意識を失って崩れた。
アキユキの額に、何か現れる感じがあった。次の瞬間、何かが顔面を覆って、視界が真っ黒になった。
アキユキはパニックになって、顔を抑えて立ち上がった。顔に張り付いた仮面をはがそうともがいた。だが、仮面は外れない。それどこか、全身に何かが駆け巡って、蠢くのを感じた。
突然に、血が沸騰するのを感じた。体が膨張し別の何かに変態する感覚があった。アキユキの意識が飲み込まれ、別の意思に支配されていくのを感じた。
b68f9c09.jpg物語中の言語は、独自のパターンがあるが、ところどころで、日本語で表記されている。伝わりやすくするための配慮だろうか。




70425ecd.jpg『亡念のザムド』で描かれる日常風景は、日本のようでありながら、どこかしら異世界の空気を孕んでいる。
おそらく、どこかの実景を参考にされているのだろうと推測されるが、場所も時代もはっきりと特定できない。
日常風景は徹底的に接写され、日常的なあらゆる小道具は、書き手の意識の中に取り込まれた上で再構0f77c760.jpg築されている。
『亡念のザムド』が描く風景は、どこかしら古い日本の風景を喚起するようであり、さらに不思議なぬくもりを持ったデザインで満たされている。
曲線と円を多用したデザインが、SFの世界観にやわらかな印象を与えている。
どこかで見たことがあるかもしれない風景。だが、それでいて、かつて見た経験のないSF的異世界を作り上げている。
33e9e04b.jpg物語の風景は日本によく似ている。背景に三輪のレトロな自動車が登場する一方、近代的な建築も登場する。時代を特定させずに、あくまでも異世界であることを表現するためであろう。



70628f66.jpg人物の描写はしっかり描かれていて、難易度の高い演技を挑戦するかのように作画されている。
自転車で走るアキユキや、爆破に直面して震えるハル。
アニメではなかなかお目にかかれない演技を、しっかりしたパースティクティブの上で描かれている。
一つ一つの描写が妥協することなく描写され、奥行きのある世界観を描き出している。
de2dcf7e.jpgザンバニ号を見たとき、「ああ、またガンダムか」と思ってしまった。ガンダムのストーリーはすでに一つの形式なのだろうか。




一つだけ懸念があるとしたら、物語の構造だ。
展開自体は、ロボットアニメの典型的なパターンを踏襲しているように思える。
平凡な少年が謎の力を得て変態し(あるいはロボットを託されてパイロットに)、兵器として駆り出され、戦場の英雄へと成長していく。
物語の中心となるのは、あのザンバニ号と呼ばれる小さな船だろう。
『機動戦士ガンダム』におけるホワイトベースや、『不思議の海のナディア』におけるノーチラス号の類型だ。
アキユキはあのザンバニ号に乗り込み、世界を漂流しつつ、半ば冒険、半ば戦いの日々を送る……といったストーリー展開なのだろうか。
SFロボットアニメの典型を、新たな作家と新たなデザインで、再構築されたシリーズ作品として捉えるべきだろうか。
今後の展開を見守って生きたい作品だ。

作品データ
監督:宮地昌幸 原作:BONES メインライター:清水恵 野村裕一
アニメディレクター:奥村正志 キャラクターデザイン:倉島亜由美
ザムド/メカニックデザイン:橋本誠一
メカニックデザイン:山根公利 ヒトガタデザイン:水畑健二
美術監督:青井孝 色彩設計:梅崎ひろこ
撮影監督:福士享 宮原洋平 音楽:大島ミチル
アニメーション制作:ボンズ
出演:阿部敦 折笠富美子 立花慎之介 藤村歩
   三瓶由布子 玉井夕海 小西克幸 浜田賢二
   桑島法子 石塚運昇 早水リサ 土師孝也
   松来未祐 金光宣明 堂坂晃三 鈴木恭輔




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■2009/04/13 (Mon)
96fe27ae.jpg創聖学院の拡張工事の途上で、古い遺跡が発掘されたらしい。
親父からその話を聞かされた僕は、さっそく創聖学院へと向かった。
場所は広い学園の脇に置かれた森の中。そこをずっと進んだところに、問題の現場はあった。
1f9eabf1.jpgその一画はすでに木々が切り崩され、くり貫かれたみたいになっていた。そんな場所の只中に、いかにも曰くありげな木の祠が聳え立っていた。
幸いにも、工事現場の人たちは工具を残したまま、その周囲を立ち去っていた。工事は中断されたままの状態らしい。
僕は立ち入り禁止の柵を潜り抜けて、祠の側に近付いた。
まるで大きな墓標のような祠だった。祠には、消えかかった古い文字で「太転依(たゆたい)」と記されてあった。
僕が近付くと、凄く強い霊力を感じた。半人前の僕でも、全身にひりひりと感じるくらいだった。これをこのまま放置していては危険だ、と直感的に理解した。
edc0ec77.jpg「こら! スライトリーの生徒だな。こんなところで何をしている!」
すると、背後から鋭い声が飛びついた。
僕はギクッとして振り向く。きっとフローレスの執行部員だ。
創聖学院には女子学部だけの「フローレス」と、男女共学の「スライトリー」とに分けられている。女の子が着ているのは、フローレスの制服だった。
f2db2f72.jpg「えっと、何でグランド拡張工事が延期になったのか、気になっちゃって……」
僕はもどかしく言い訳の言葉を捜した。
「だからって、中に入る奴があるか。さあ、行くぞ」
ちょっとおっかない。ここは大人しく退散したほうが良さそうだ。

夜が遅くなってから、創聖学院に忍び込むことに決めた。
「なんや、急に呼び出して」
「なに? お祓い?」
呼び出したのは河合アメリと要三九郎の二人だ。いろいろ大仕事になるかもしれないから、協力してもらつもりだ。
僕らは諸々の道具をバイクに詰み込んで、あの工事現場へと直行した。
工事現場の周囲には明かりはなく、月明かりだけで暗く浮かんでいた。日暮れ時より、遺跡の周囲は影を濃くして、悪霊の気配を強めていた。
44011a5f.jpg「事件になる前に片付けたほうがいい。あんなにはっきり霊の姿が見えるなんて、異常だよ」
といいながら、僕は必要な道具を準備した。神主の衣装に着替えて、御神酒と榊を用意する。
「ちょっと霊とか、やめてよ!」
「神社の息子に言うことか」
c18abef5.jpgアメリが怯えた声をあげて、三九郎が突っ込みを入れた。タイミングのよさはさすが関西人だ。
僕はすぐにでも祝詞を唱え始めた。厳粛な空気が辺りを重く張り詰め、沈黙がどこまでも深まっていくようだった。
祝詞が終わる頃には、風の音すらとまっていた。
b66ecf01.jpg「違うよこれ。時間が止まってる!」
アメリが空中を指して声をあげた。見ると、宙を漂う木の葉が、そこで動きを止めていた。
突然に、祠が強い光を放った。僕はうっと目を閉じて、光から目を背けた。やがて強い光が収まり、もう一度目を開けると、祠の上に、大きな影が現れていた。
真っ白な髪をした、女神だった。
「太転依さま?」
「私は大和の東を統べたる綺久羅美守毘売(きくらみかみのひめ)と申す」
綺久羅美守毘売は厳粛な空気を湛えながら名乗った。
綺久羅美守毘売……家の神社で祭っている神様じゃないか!
「ここには、大小様々な太転依が封じられています。千五百種。総数にして数万匹。解き放たれれば、現世は大変な騒ぎになりましょう。断じて、この繭を別の場所に移しても、破壊してもなりません」
「難儀な場所やったんやな……」
三九郎が茫然と呟いた。
僕は同意して、重く頷いた。理事長たちにはよく話して理解してもらうしかない。
その時だ。静止していた風が動き始めた。風は強く、不自然な渦を巻き始めた。
強烈な風と共に、底のほうから邪悪な気配が立ち昇ってくるのを感じた。
「アメリ! バイクでここを離れるんだ!」
これは危険かもしれない。僕はすぐにアメリに避難するように指示した。
アメリは大人しく従って、バイクに跨った。だが、キーを捻ってもバイクは動き出さない。いや、エンジンはかかっている。いくらレバーを握っても、バイクは空回りするばかりだった。
e2a04ec3.jpg突然に、バイクが暴走した。バイクはアメリを振り落として、勝手に前方に進みだした。
あっと思う間もなく、バイクは祠に激突した。祠の中央に、真っ二つに亀裂が走った。
邪悪な気配は一気に強くなった。彼らを押しとどめておくものはなくなり、一斉に夜の闇に溢れ出した。綺久羅1553627c.jpg美守毘売の姿も、闇に捉われるように姿を消してしまった。
「綺久羅美様!」
僕は綺久羅美守毘売を失ってはいけない、と強く叫んだ。
すると、
e65be7a2.jpg「はーい」
この場にふさわしくないくらい、軽い返事が返ってきた。
振り向くと、そこに小さな女の子がいた。長い銀髪に和装姿で、狐の耳と尻尾を持っていた。それから、自分よりも大きなハンマーを持っていた。
3a9cc44d.jpg「だ、誰?」
僕は困惑して、少女に尋ねた。
「みんな、お仕置き!」
少女は僕の疑問には答えず、強い眼差しであたりを漂う悪霊を睨みつけた。



8638b8cd.jpg男性キャラクターより、女性キャラクターのほうが圧倒的な印象をもたらす。いわゆる、ハーレム・アニメだが、主人公の少年がやたら持てる理由は、例によって不明である(そこはただの願望の実現なので、論じる意味は不要であるが)。
ところで、泉戸祐理はどうして河合アメリと要三九郎を連れてきたのだろう。役に立っていないどころか、問題しか起こしていないのだが?

深い森の中に封印された、太古の悪霊。
それが解かれしとき、災いもたらす悪霊が世にはびこり、戦いのドラマが始まる。
『タユタマ』の物語には妖怪奇譚ものの背景があるが、中心となるのはコミカルなキャラクター達だ。
作品に厳粛な雰囲気が漂う瞬間もあるが、可愛らしいキャラクターが瞬時に作品の色調をリセットし、独特の空気感を作り出してしまう。
67f89133.jpgこの種の様式化されたキャラクターは横顔ほど特徴が出る。シルエットは横を向いているが、瞳が正面に向けらているのがわかるだろう。常に見る側の視線を意識したデザインだ。『らき☆すた』と較べてみると面白いかもしれない。


キャラクターたちは極端に潰しと伸ばしを繰り返し、独特な感性で構築されている。
小さな顔に、大きな瞳。キャラクターに付属された装飾は大袈裟なくらい過剰で、アクションは重力から解き放たれて、自由に飛び交う。
それでいながら、キャラクターたちには独特の様式美が貫かれている。
アニメーションヒロインの形式としては、普遍的な勢力を持ったジャンルである。
384b72a5.jpgこの種のヒロインの特徴は、過剰に性的であることだ。キャラクターデザインは性的な部分を過剰に大きく描き、キャラクター同士のやり取りの中でも、セクリャシティを喚起する言葉が連発する。大きなお友達用アニメの特徴だ。


3efd01cd.jpgだが、この種のデザインは過剰な様式化のために、演技空間に一定の制限が加えられている。
静止画のイラストレーションにおいては躍動感を持ったキャラクターたちも、パースティクティブを持った動画作品になると、むしろ奔放な魂を失ってしまう。
キャラクター同士の演技も立体的な感覚が乏しく、どの構図も平面的になってしまっている。
それが映像作品として、ひどく平凡な印象を与えてしまっている。
0e5e4d0e.jpg第1話後半からして、妖怪奇譚ものの色彩は完全に消滅する(というか、もののけデザインが可愛すぎるので、妨害者としての印象が弱い)。街に散った妖怪ほったらかしで、泉戸祐理の取り合いを始める。



0828ffb1.jpg作家の狙いは、厳密な演技空間を持ったドラマではなく、可愛らしいヒロイン達の戯れだろう。
美しいヒロインが華麗に宙を飛び交い、一人の青年を巡って奪い合いを繰り広げる。
作品の独特の色調は、作家の意図によって自由に操作されている。
コミカルな美少女が飛び交うヒロイック・ファンタジー。
だが、できれば夜中に一人でこっそり見たいアニメだ。

作品データ
監督:元永慶太郎 原作:Lump of Sugar
キャラクター原案:萌木原ふみたけ キャラクターデザイン:大河原晴男
クリーチャーデザイン:門智昭 秋山由樹子
プロップデザイン:野田めぐみ 大梶博之 総作画監督:大河原晴男
色彩設計:末長康子 美術監督:下山和人
撮影監督:笠井亮平 音楽:大川茂仲 蓑部雄祟
アニメーション制作:SILVER LINK
出演:日野聡 力丸乃りこ 下田麻美 置鮎龍太郎
伊藤静 若本規夫 丹沢晃之
水見はるか 岸尾だいすけ 中川理江



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