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■2009/04/14 (Tue)
18e470e3.jpg竹原アキユキは、全速力で自転車を走らせていた。あと一回の遅刻で懲罰訓練だ。
しばらくすると、坂道の向こうが開けた。そこは海を背にした広場で、バス停留場が置かれていた。バスはまだ発車せず、行列を作っていた。
間に合った!
アキユキは自転車置き場に自転車を突っ込ませた。
「小父さん、あとお願い!」
アキユキはスタンドも立てず、管理の小父さんに自転車を引き渡した。道路を横切り、バスの裏側へと回る。バスに乗ろうとする行列はまだ何人も続いていて、その半ばに西村ハルと寺岡フルイチが並んでいるのが見た。
「うぃーす!」
アキユキはハルとフルイチに近付いて朝の挨拶をした。だがハルとフルイチの反応はそれぞれ違っていた。
「遅いよ」と嬉しそうに微笑むハル。
「おめえ、来んのが早えんだよ」と毒づくフルイチ。
「なに? どっちだよ」
「そうよ、フルイチ。アイスはゲッド」
ハルがフルイチににやりと笑いかけた。
ああ、そういうこと。アキユキは二人のやり取りに経緯を察した。
「俺にも?」
アキユキはハルに便乗した。
「早く並べよ!」
フルイチがなかば八つ当たり気味に怒鳴りつけた。
「はいはい」
アキユキは冗談っぽく返事を返して退散した。そのまま、列の一番後ろに並ぶ。
f3956010.jpg列の一番後ろに、灰色のジャケットを着た女の子が並んでいた。髪の色が真っ白で、バッグを大事そうに抱きかかえていた。
アキユキは、すぐに女の子が腕章をつけていないのに気付いた。バスの入口に目を向けると、軍人が厳しく乗員の腕章をチェックしているのが見えた。
b9c33f3c.jpgこれはいけないな。
間もなく順番が回ってきた。
「そのまま行って」
アキユキは女の子の肩を掴み、耳元で囁きかけた。女の子は戸惑いながら、頷いて返した。
アキユキはすぐに列から離れて、腕章を外した。
白い髪の女の子が、バスの入口へと進んだ。
「腕章。喋れんのか、貴様!」
軍人が高慢に女の子を怒鳴りつける。
857c9eca.jpgアキユキはタイミングを見計らって、早足で列に割り込んだ。
「おはようございます」
と挨拶をしつつ、女の子の足元に腕章を落とす。
「おいおい、順番だろうが。ちゃんと並べよ」
軍人が厳しくアキユキを足止めした。
「今日は、顔なじみってことで許可してください」
アキユキは声を抑えて懇願する調子を込めた。
「腕章は?」
「学校帰りに落としちゃったみたいで。仮証明って、どこで」
「総務課に届け出を出せ。明日には用意しておけよ」
軍人は仕方がないな、という調子を込めつつ、アキユキを怒鳴りつけた。
アキユキは早足にタラップを上りながら、ちらと女の子を振り返った。女の子はアキユキが落とした腕章に気付いて、手に持っていた。
「ちゃんと左腕につけておくように!」
軍人は女の子を睨んで厳しく怒鳴りつける。女の子は申し訳なさそうに会釈して、バスに乗り込んだ。
どうやら無事に通過できたようだ。アキユキはバスの後方へ、フルイチの隣の座席に座った。
f0c721f1.jpg「下手な芝居しやがって」
フルイチが声を潜めてアキユキに囁いた。
「転校生?」
すぐ後ろの座席のハルが、身を乗りだたせてアキユキに訊ねた。
「わかんねえ。難民なんじゃねえか?」
f337bcbb.jpg白い髪の女の子は、しばらく所在なげにしていたが、やがて運転席の後ろの空席を見つけて座った。
間もなくバスが発進した。女の子は後ろを振り返って、アキユキを探した。アキユキを見つけると、腕章を手に合図を送った。アキユキは「持ってて」と合図を送り返した。女の子は感謝を込めて会釈し、姿勢を前に戻した。
88fc707e.jpgバスは、海岸沿いの道路を走っていく。いつも見ている、退屈な風景だ。フルイチは武道の本に集中している。アキユキは耳にウォークマンをつけて、退屈な時間を紛らせた。
そうしながら、フルイチはぼんやり窓の外を見詰めた。今日はやけに探査艇が多い。何かあるのだろうか。
8ec384e8.jpgと疑問を感じたが、すぐに退屈して欠伸が漏れた。
しばらくして、バスは学校の前に停車した。一緒に乗った学生たちが行列を作ってバスを降りていく。
アキユキも行列に並びながら、あの女の子を気にかけた。白い髪の女の子は、運転席の後ろの座席から動こうとしなかった。
ここで降りるんじゃないんだろうか。
アキユキはバスを降りた。バスを降りると、すぐそこに学校だ。バス停にハルが待っていた。
4367a0d6.jpg「予鈴が鳴ってる。急げ急げ!」
ハルはやや厳しい声でアキユキを急がせた。
「いちいち待つなよ。これだから幼馴染は……」
アキユキはハルの側を通り過ぎつつ、不満を漏らした。
「おばさんに言われてるのよ。だらしない息子をヨロシクって……」
47960b73.jpg突然に、青い閃光がひらめいた。爆音が轟き、ハルの言葉を飲み込んだ。
アキユキの体は数メートル吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
爆弾だ。アキユキはすぐに身を返して起き上がった。
「ハル!」
爆破の中心地はバスだった。あの側にハルは居たはずだ。
バスを振り向くと、周辺一帯が爆破で吹っ飛んでいた。バスは骨格だけを残して焼け爛れ、e92d26ac.jpgその周囲で学生たちが倒れていた。
アキユキはその中からハルを探そうとしたが、視界に青く光る何かが目についた。
何だ、と注目していると、青い光は空中で生きているみたいに踊り始めた。
青い光が四方に散った。
13a4183d.jpg光の粒は、アキユキの右腕に直撃して姿を消した。
「痛ッ!」
右腕に激痛が飛び込んできた。アキユキは右腕を押さえて、痛みを抑えようとした。だが痛みは腕全体に広がり、なにかが這い回る感触を感じた。
しばらくして、痛みがひいた。全身が消耗して、どっと汗a31b4494.jpgが噴出していた。
「アキユキ、無事か。ハルは?」
背後からフルイチが近付いてきた。フルイチは右足を負傷して引き摺っていた。
アキユキは右腕を押さえたまま立ち上がった。そうだ、ハルは?
もう一度見回すと、バスの側で、ハルが座り込んでいるのが見えた。バスの残骸を見詰めて茫然と震えていた。
すぐにフルイチがハルの名前を呼んで近付いた。だがハルは気付かず、バスを見詰めていた。フルイチがハル6f17bf62.jpgの肩に手を置くと、弾けたように体をのけぞらせた。
「なんなのよ、これ!」
ハルは悲鳴のような声を上げて、興奮して泣き始めた。相当にショック状態のようだった。アキユキは冷静にハルの腕を手に取り、診断を始めた。
「自由権反対派か?」
アキユキもハルの側に近付いて、疑問を漏らした。
「冗談言うな。んなもん、とっくに粛清されている。北政府に決まっているだろ!」
フルイチは半ば感情的になって怒鳴り返した。
アキユキは何気なくバスの周囲に目を向けた。すると、バスの中に、誰かが残っているのを見つけた。あの白い髪の女の子だ。
アキユキはとっさにバスを目指して走った。
「アキユキ、行くな!」
フルイチの制止する声が聞こえたが、アキユキは構わずバスに向かった。
アキユキはぐしゃっと潰れた運転席からのぼり、バスの中へ飛び込んだ。
バスの中は全体が焼け爛れ、床の板が泡を吹いてめくれ上がっていた。相当の高温だったらしい。
バスの一番後ろの座席に、白い髪の女の子が背中を向けてうずくまっているのが見えた。
アキユキは女の子の側へ行こうとした。だが右腕を押さえていた左掌に、奇妙な違和感があるのに気付いて、ちらと目を向けた。
「何だよ、これ」
見ると、右腕の痛みの中心に、青い石の塊のようなものができていた。と思ったら、青い石が右腕の中に潜り込んで、姿を消した。
d0c97f6b.jpgアキユキは女の子の側へと急いだ。女の子はぐったりと焼け爛れたクッションに体を預けていた。周囲に緑の液体が広がっていた。
「動けるか?」
アキユキは女の子の肩を掴み、振り向かせた。女の子は力なく首をぐったりとさせた。お腹を押さえていて、そこから緑の液体が滲み出ac505ebc.jpgていた。
「……ごめんなさい、巻き込んで」
白い髪の女の子は、目を開いて、苦しそうな声で言葉を紡いだ。
「まさか、君が?」
「……私はナズナ。あなたなら……きっと大丈夫997c7add.jpgです。……亡念の…ザムド」
女の子は震える指を持ち上げて、アキユキの額を緩く叩いた。それを最後に、女の子は意識を失って崩れた。
アキユキの額に、何か現れる感じがあった。次の瞬間、何かが顔面を覆って、視界が真っ黒になった。
アキユキはパニックになって、顔を抑えて立ち上がった。顔に張り付いた仮面をはがそうともがいた。だが、仮面は外れない。それどこか、全身に何かが駆け巡って、蠢くのを感じた。
突然に、血が沸騰するのを感じた。体が膨張し別の何かに変態する感覚があった。アキユキの意識が飲み込まれ、別の意思に支配されていくのを感じた。
b68f9c09.jpg物語中の言語は、独自のパターンがあるが、ところどころで、日本語で表記されている。伝わりやすくするための配慮だろうか。




70425ecd.jpg『亡念のザムド』で描かれる日常風景は、日本のようでありながら、どこかしら異世界の空気を孕んでいる。
おそらく、どこかの実景を参考にされているのだろうと推測されるが、場所も時代もはっきりと特定できない。
日常風景は徹底的に接写され、日常的なあらゆる小道具は、書き手の意識の中に取り込まれた上で再構0f77c760.jpg築されている。
『亡念のザムド』が描く風景は、どこかしら古い日本の風景を喚起するようであり、さらに不思議なぬくもりを持ったデザインで満たされている。
曲線と円を多用したデザインが、SFの世界観にやわらかな印象を与えている。
どこかで見たことがあるかもしれない風景。だが、それでいて、かつて見た経験のないSF的異世界を作り上げている。
33e9e04b.jpg物語の風景は日本によく似ている。背景に三輪のレトロな自動車が登場する一方、近代的な建築も登場する。時代を特定させずに、あくまでも異世界であることを表現するためであろう。



70628f66.jpg人物の描写はしっかり描かれていて、難易度の高い演技を挑戦するかのように作画されている。
自転車で走るアキユキや、爆破に直面して震えるハル。
アニメではなかなかお目にかかれない演技を、しっかりしたパースティクティブの上で描かれている。
一つ一つの描写が妥協することなく描写され、奥行きのある世界観を描き出している。
de2dcf7e.jpgザンバニ号を見たとき、「ああ、またガンダムか」と思ってしまった。ガンダムのストーリーはすでに一つの形式なのだろうか。




一つだけ懸念があるとしたら、物語の構造だ。
展開自体は、ロボットアニメの典型的なパターンを踏襲しているように思える。
平凡な少年が謎の力を得て変態し(あるいはロボットを託されてパイロットに)、兵器として駆り出され、戦場の英雄へと成長していく。
物語の中心となるのは、あのザンバニ号と呼ばれる小さな船だろう。
『機動戦士ガンダム』におけるホワイトベースや、『不思議の海のナディア』におけるノーチラス号の類型だ。
アキユキはあのザンバニ号に乗り込み、世界を漂流しつつ、半ば冒険、半ば戦いの日々を送る……といったストーリー展開なのだろうか。
SFロボットアニメの典型を、新たな作家と新たなデザインで、再構築されたシリーズ作品として捉えるべきだろうか。
今後の展開を見守って生きたい作品だ。

作品データ
監督:宮地昌幸 原作:BONES メインライター:清水恵 野村裕一
アニメディレクター:奥村正志 キャラクターデザイン:倉島亜由美
ザムド/メカニックデザイン:橋本誠一
メカニックデザイン:山根公利 ヒトガタデザイン:水畑健二
美術監督:青井孝 色彩設計:梅崎ひろこ
撮影監督:福士享 宮原洋平 音楽:大島ミチル
アニメーション制作:ボンズ
出演:阿部敦 折笠富美子 立花慎之介 藤村歩
   三瓶由布子 玉井夕海 小西克幸 浜田賢二
   桑島法子 石塚運昇 早水リサ 土師孝也
   松来未祐 金光宣明 堂坂晃三 鈴木恭輔




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