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■2015/09/07 (Mon)
第3章 秘密の里

前回を読む
 同じ日の昼頃。
 オークは村の防備を充分確認し、村人達をそれぞれの配置に就かせた上で、山賊達を待ち受けた。
 村人達が殺気を漲らせている。それぞれの武器を手に、じっと村を囲む柵を睨み付けていた。重い沈黙が村全体を覆っていた。

ステラ
「本当に来るのだろうな」
オーク
「山のならず者は短気ですから。挑発すれば飛んできます」
ステラ
「緊張しすぎているな」
オーク
「そうですね。領主様、ここは何か1つ」
ステラ
「な、なんで私が……」
オーク
「人望厚き領主の務めですよ」
ステラ
「……う、うむ。わかったぞ。む、村の者たちよ! うぅ……」

 村の人達がステラを注目する。しかし緊張して言葉が出ないステラ。

オーク
「踊ってみせて!」

 ステラは言われるままに、台に飛び乗り、くるっと簡単な舞いを始め……台から転げ落ちる。
 村人らがどっと笑う。
 ステラは、すぐに身を起こし、厳しい顔でオークの側に進む。

ステラ
「覚えてろ!」
オーク
「見事でした。忘れませんよ。下がっていてください」

 ステラが屋敷の中に引っ込んでいく。
 と同時に、村の外に気配が現れた。森がざわざわと騒ぎ始める。風ではない。村にも緊張が走った。

村人
「オーク様!」

 入口で見張っていた村人が声を上げる。
 オークが立ち上がった。村人達も武器を手に立ち上がる。
 村の入口に、山賊が1人現れた。たった1人だが、存在感は強烈だった。人並み外れた巨漢に、真っ黒な髪を無造作に後ろに垂らしている姿は、人というより獣のような印象だった。姿を見せたのは1人だが、周囲の森にも気配を感じた。

山賊ボス
「パンテオンの使者はどこだ! 姿を見せろ!」
オーク
「私はここだ!」
山賊ボス
「俺はこの森の主のズィーマだ! ここは俺の森だ。俺達が預かるべき森だ! いったいどんな了見で横から出てきて口出ししやがる! この森では俺達が法律だ! 俺達の法に従え!」
オーク
「お前達の一方的な法なぞ知らぬ! 対等な立場でありたいのなら村の権利を認め、交易をせよ! 略奪をする者に法は無効だ!」
山賊ボス
「ここで商売をしたいのなら、宝をよこせ! 対等に交易したいのであれば、相応の支払いをしてから言いな!」

 オークは「宝」という語に妙に引っ掛かるものを感じながら、

オーク
「宝というなら、この村が宝だ。村の住人が宝だ! それは決して譲り渡すわけにはいかん! それを奪うというのであれば、戦うまでだ!」
山賊ボス
「…………」

 山賊のボスは何も言い返さずに森に引っ込んだ。
 引き返したのか? 森に沈黙が横切る。村人らが緊張して森を見守った。
 突然に、矢の応酬が始まった。森の狭間から、矢が次々と飛び出してくる。

オーク
「盾を! 盾を構えろ!」

 村人達が盾を掲げる。盾は大型のもので、充分な厚みがあった。盾の中に、村人が2、3人単位で隠れる。オークも盾の中に隠れた。
 矢が雹のごとく降り注いだ。盾が矢を防ぐ。しかし矢の威力は凄まじく、数センチの厚みを貫通して矢尻が飛び出してきた。何人か矢の直撃を受けて、倒れた。
 やがて最初の1陣が去った。

オーク
「放て! 放て!」

 オークが盾から飛び出す。
 村人達も盾から飛び出して、矢を放つ。矢が空中で弧を描く。しかし狙い定めぬ矢は森の葉を散らせ、幹に突き刺さるばかりだった。
 矢の応酬がしばらく続いた。村の矢は消費するばかりでだった。一方、山賊の矢は少しずつ村人らの戦力を削いでいった。
 隙を突いて、山賊達の一団が森を飛び出した。丸太を3つ重ねて乱暴に縄でまとめただけの大きな鎚を抱えて、門に突撃する。オークは鎚を止めようと矢での攻撃を指示した。しかし、山賊も即席で作った盾を手に防御した。
 山賊たちが鎚で、村の門を叩く。振動が村を囲む柵全体に響く。柵がぐらぐらと揺れた。村人達は焦りを覚えて次々と矢を放った。門に近い村人達が槍を手に、柵の隙間から山賊達を攻撃する。山賊達も村の中に矢を向けて、次々と撃った。
 ついに門が崩れた。それに釣られて、周囲の柵も大きく傾いだ。
 山賊達が村の中に流れ込んでくる。村人達が槍を構えて反撃する。槍の攻撃は苛烈で、山賊達を押し返した。村人らの矢は勢いを増して、山賊達を攻撃する。門を崩した山賊達だが、それ以上は進めず、劣勢に陥った。

 山賊のボスは状況を冷静に見極めていた。戦場は混沌が深まっていく。山賊と村人らが入り乱れている。間もなく、夕暮れの光が射しかけた。森に囲まれた秘密の里は、日が暮れると急速に闇を深めていく。

山賊ボス
「よし、行け!」

 山賊ボスは、小柄の男に指示を出した。クワンという名前の、赤毛の男だ。赤毛のクワンは混沌とする村の中へするすると紛れ込んでいく。
 山賊ボスはここぞと強靱に突撃を命じた。盾を背負った山賊達が村の中へと入っていく。あちこちで白兵戦が始まった。

 オークは指揮する山賊のボスを見付けた。オークは剣を手に、山賊ボスに戦いを挑む。
 刃が煌めく。2度3度、剣を重ねた。

山賊ボス
「ハハハ! 貴様、パンテオンの者ではないな。騙りめ!」
オーク
「だが村を守る役目を引き受けた!」
山賊ボス
「貴様に何が果たせる! 何も知らない流れ者が! 貴様は操られるだけの傀儡さ!」
オーク
「お前達は劣勢だ! ここで引かぬなら絶えるぞ!」

 山賊ボスがオークから離れた。それから周囲を見回す。

山賊ボス
「撤退だ! 引け! 引け!」

 山賊のボスが指示を出す。大声が村全体に響き渡る。山賊達はただちに戦いの手を止めて、撤退に転じた。
 山賊達が一斉に村から出て行く。村人らが矢で追撃する。
 山賊達が森へと消え、村にしばしの静寂が戻ると、誰となく歓喜の声を上げた。勝利の喜びで持っている武器を振り上げた。
 オークは油断なく村人に指示を出す。
 堀の泥の中に隠れていた村人がそっと姿を現す。森の中へ去って行く山賊の後を、密かに追跡していく……。

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