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■2009/09/23 (Wed)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P063 第6章 異端の少女


話がそこで、一段落ついた感じがした。夜の虫の囁く声がひっそりと私たちの沈黙を埋めた。時刻はそろそろ夜の10時を回ろうとしている。いつもだったら、夕食もお風呂も済ませて、さて寝ようか、と考える時間だ。
男爵の目論見が明らかになった。どうやって糸色先生を殺すつもりなのかも。そうすると、私は次の疑問に行き当たる気がした。
「ところで、疑問だったんですけど、男爵はどうやって刑務所から出て来たんですか? 子供を50人も殺したなんて、それじゃどう考えても無期懲役か死刑でしょう? そんな人が仮釈放されるなんて、ありえるんですか?」
私は少し首をかしげるふうにして糸色先生に尋ねた。
みんな糸色先生に注目していた。誰もが同じ疑問を持っていたのだ。でも糸色先生は答えが見付からないというふうにうつむいた。
すると、命先生がちょっと手を上げてみんなの注目を集めた。
「思うんだが、いいか? 望、お前あの事件で警察関係や司法関係から相当、恨まれているはずだぞ。だから僕の考えだが、男爵はお前に恨みを持つ人間の代表なんじゃないかって。本当は刑務所を出ようと思ったら、いつでも出られたんだよ。でも出てこなかったのは、事件が世間で風化するのを待っていたんだ。男爵も世間には勝てないだろうし、利口な奴は計画に気付くかもしれない。だから10年経った今、男爵は刑務所から出てきて計画をスタートさせたんだ」
命先生は糸色先生を振り向いて、警告する調子で話した。
「私、なにやら危険な蜂の巣を叩いてしまったんですか?」
糸色先生がはっきりとわかるくらい顔を青ざめさせた。
「それじゃ、先生。男爵を警察に逮捕させることは不可能なのですか?」
千里が二人の先生を交互に見ながら訪ねた。
「なくはありません。例えば男爵を渋谷の界隈に連れ出し、白昼の下、殺人を犯させるのです。そういう誰にも言い逃れができず、世間の制裁からも逃げられない立場に追い込まないかぎり、警察は絶対に動きませんし、男爵は逮捕されません」
「そんなの、不可能です!」
糸色先生の説明に、千里が否定的な声をあげた。
「ええ、不可能です。男爵は権力を味方につけていますから。だから10年前、私は窮地に立たされてしまったのです。あの時は、父が国会で暴露してくれたおかげで助かったんです。私が収集した情報は、証拠として充分な威力を持っていましたし。だから申し訳ありませんが、あなたがたへの監禁と暴行について、私は告発できないんです。もし、今の段階で男爵を告発しようとしたら、逮捕されるのはただ一人、日塔さん、あなたです」
糸色先生がみんなに頭を下げ、それから私に目を向けた。
「なんで私なんですか?」
私はぞっとするものを感じながら、尋ね返した。
日塔さん、あなた、男爵を刺したでしょう
糸色先生の言葉が、私には宣告に聞こえた。私は急に体の奥に冷たいものを感じて、視線を落とした。膝が苛立ったように震えていた。
すると、右隣に座っていた千里が、膝の上に置かれていた私の手を握った。顔を上げると、千里の気遣わしげな顔があった。私は少し安らぐ気がして「大丈夫だから」と頷いて返した。
「じゃあ、みんなでいきなり男爵に襲い掛かって、袋叩きにするってどうですか?」
藤吉が身を乗り出して、強い調子で私たち一同を見回した。
「駄目ですね。男爵は油断ならない男ですし、不用意に近付かないほうが身のためです。男爵は考えられるあらゆる罠を常に用意しています。10歩以内の半径に近付くべきではありません。日塔さんなら、おわかりでしょ」
糸色先生は全員に忠告して、確認するように私を振り向いた。私は大きく三度頷いた。
あれは忘れもしない。男爵に近付いた途端、突然全身にロープが絡みつき、自由を奪われてしまった。あの恐怖は忘れようがない。
「でも、まだ疑問があります。男爵は先生を殺したいんでしょ? だったら人を雇って糸色先生を拉致して、どこかでこっそり殺せばいいじゃないですか。」
千里は納得いかない顔で疑問を口にした。物騒だったけど、確かに正論だった。
「男爵は言いました。これは復讐ではない。挑戦だ、と。男爵は簡単に私を殺すつもりはないんでしょう。男爵は自分で決めたやり方とルールで私を殺したいんです。だから男爵は人を雇わず、あの屋敷に一人でいるように見せかけているのです。その一方で男爵は自分が設定したルールには頑なに守ろうとするでしょう。そういう男です。こちらがルール違反、例えば警察に通報などをすると、男爵は日塔さんによる傷害というカードを切るでしょう。飽くまでも、これはゲームですから。男爵は私を殺す過程を楽しむつもりですよ。でも、ゲームだからこそ、こちらにも反撃の余地はあると思うのです。どんなに難易度が高くても、クリア不能のゲームは存在しませんから」
糸色先生の言葉は宣言するようだった。まるで、男爵が乗り移って、ゲームのルールを説明しているように思えた。

次回 P064 第6章 異端の少女5 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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