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■2009/09/23 (Wed)
映画:外国映画■
建安13年(西暦208年)
時代の中心は曹操にあった。曹操は献帝を擁立し、圧倒的軍勢を率いて天下統一を目指していた。
曹操の軍勢はどこまでも勢力を伸ばしていき、間もなく南へと進軍する。
曹操の目的は、南方に陣を敷く劉備、孫権の二人の抹殺だった。
登場人物が多いためだと思うが、顔へのクローズアップが多い。りりしい顔立ちの俳優が、次々とクローズアップされ、映画を彩っていく。
金城武が演じる孔明は非常に若々しい。何となく孔明には仙人的イメージ(あるいはマーリーン)があるが、実際この頃の孔明は30代始め頃だったそうだ。『レッドクリフ』での孔明は若く描きすぎていると思うが、金城武の実年齢とほぼ同じくらいである。
曹操の80万人に及ぶ軍勢に攻め入られ、劉備軍はあえなく敗走。城を捨ててさらに南へと逃れるところであった。
だが民を守りつつ逃亡する劉備軍は、思うように進みない。行く先を険しい山岳に阻まれ、民の行進は滞りがちだった。
曹操の軍勢は、情け容赦なく迫ってくる。
劉備の忠実な家臣である張飛は、わずかな手勢を率いて平原に陣を敷く。背後にはまだ漢の民が残っている。曹操軍に対して多勢に無勢なのは明らかだが、退くわけにはいかなかった。
だが諸葛亮孔明は、奇策を練り曹操軍に足止めをさせ、関羽を中心とする千人に及ぶ援軍を投入させる。
まもなく民の安全を確信した孔明は、趙飛、関羽の軍勢を撤退させる。
中国の歴史は知らなくとも、三国志は日本でも漫画、アニメ、ゲームなどで高い知名度を誇る。もしそれらに接していなくとも、劉備や孔明、関羽といった名前は聞いたことあるはずだし、ここから生まれた名言などが、日本のことわざとして定着している。
劉備たちは民と共に逃亡を続け、ようやく夏口の街に落ち着く。
だが曹操の脅威は去ったわけではない。すぐにでも次の一手を考えねばならない事態だった。
そこで孔明は劉備に、孫権に援助を求めようと提案。
孫権も曹操と敵対する武将。同盟を申し出れば、必ず応じるはずだ、と。
劉備はこの提案に納得し、孔明を単身、孫権の元へ向かわせる。
レッドクリフは前後編合わせて5時間に及ぶ。それでも、三国志という長いドラマのほんの一幕に過ぎない。あらためて、三国志の壮大さに圧倒される。現代のような作られた大作主義の中国ではなく、当時の中国は本当に壮大だった。
『レッドクリフ Part1』は三国志の物語の中でも、最も苛烈な赤壁の戦いを中心に描いた壮大な歴史絵巻である。
映画の冒頭から、三国志の英雄はすでに集結している。
そこに至る余計な解説は思い切って省略され、物語は大きなクライマックスへ向かおうと進んでいる。
映画の舞台は赤壁を中心に組み立てられ、呆れるほど雄大で豪壮なセットが建築された。
戦場に集る群衆はかつてない規模で、見る者を圧倒させる。
何もかもが恐るべき雄大さで描かれた映画だ。
かつての英雄叙事詩を、最新の映画技術が壮大なドラマとしてスクリーン上に再現する。
実写撮影はくすんだ色彩で、重量感を持って描かれるが、それに対してデジタルシーンはあまりにも色彩豊か。実景とかみあわず違和感が生じている。アクションも超現実的な跳躍が多く、やや飛躍しすぎた印象だ。
三国志は実際の歴史物語だが、人間の描写にはひどく伝説めいた部分がある。
映画に描かれる英雄たちも、あまりにも超人的に描かれすぎて、現実的なものを失っている。
剣や槍の動きはあまりにも美しく描かれすぎているし、剛腕の関羽、張飛などの活躍はもはやファンタジーである。
アクションには京劇やカンフーの動きが取り入れられているが、それがかえって、自然主義的な力の流れを妨げてしまっている。
セットや風景は現実感あふれるディティールで描かれるが、活劇の部分はあまりにも跳躍しすぎで、少し違和感が残る。
圧倒的スケールで描かれた作品。ジョン・ウー監督がハリウッドで儲けたお金で作られた。戦闘シーンはどれも奇抜だが、迫力充分。セットはあまりにも壮大すぎて、本当の歴史建築だと誤解した出演者もいたようだ。
『レッドクリフ Part1』は戦場に集う戦士達の物語である。
どの武将も、潔いまでに高潔な人間として描かれている。
戦士としての友情、仁義、忠義を強く描き、敵である曹操との対比を克明にしている。
一方で、戦士としての成長のドラマでもある。
赤壁の戦いに備え、戦士たちが集結し、絆を確かめあう。やがて迫り来る、最も苛烈な戦いを前にして、決意を固めるために。
壮大な歴史絵巻も、まだ途上である。
映画記事一覧
作品データ
監督・脚本:ジョン・ウー 音楽:岩代太郎
脚本:チャン・カン コー・ジェン シン・ハーユ
出演:トニー・レオン 金城武 チャン・フォンイー
〇〇〇チャン・チェン ヴィッキー・チャオ フー・ジュン
〇〇〇中村獅童 リン・チーリン ユウ・ヨン
〇〇〇バーサンジャプ ザン・ジンシェン ソン・ジア
時代の中心は曹操にあった。曹操は献帝を擁立し、圧倒的軍勢を率いて天下統一を目指していた。
曹操の軍勢はどこまでも勢力を伸ばしていき、間もなく南へと進軍する。
曹操の目的は、南方に陣を敷く劉備、孫権の二人の抹殺だった。
登場人物が多いためだと思うが、顔へのクローズアップが多い。りりしい顔立ちの俳優が、次々とクローズアップされ、映画を彩っていく。
金城武が演じる孔明は非常に若々しい。何となく孔明には仙人的イメージ(あるいはマーリーン)があるが、実際この頃の孔明は30代始め頃だったそうだ。『レッドクリフ』での孔明は若く描きすぎていると思うが、金城武の実年齢とほぼ同じくらいである。
曹操の80万人に及ぶ軍勢に攻め入られ、劉備軍はあえなく敗走。城を捨ててさらに南へと逃れるところであった。
だが民を守りつつ逃亡する劉備軍は、思うように進みない。行く先を険しい山岳に阻まれ、民の行進は滞りがちだった。
曹操の軍勢は、情け容赦なく迫ってくる。
劉備の忠実な家臣である張飛は、わずかな手勢を率いて平原に陣を敷く。背後にはまだ漢の民が残っている。曹操軍に対して多勢に無勢なのは明らかだが、退くわけにはいかなかった。
だが諸葛亮孔明は、奇策を練り曹操軍に足止めをさせ、関羽を中心とする千人に及ぶ援軍を投入させる。
まもなく民の安全を確信した孔明は、趙飛、関羽の軍勢を撤退させる。
中国の歴史は知らなくとも、三国志は日本でも漫画、アニメ、ゲームなどで高い知名度を誇る。もしそれらに接していなくとも、劉備や孔明、関羽といった名前は聞いたことあるはずだし、ここから生まれた名言などが、日本のことわざとして定着している。
劉備たちは民と共に逃亡を続け、ようやく夏口の街に落ち着く。
だが曹操の脅威は去ったわけではない。すぐにでも次の一手を考えねばならない事態だった。
そこで孔明は劉備に、孫権に援助を求めようと提案。
孫権も曹操と敵対する武将。同盟を申し出れば、必ず応じるはずだ、と。
劉備はこの提案に納得し、孔明を単身、孫権の元へ向かわせる。
レッドクリフは前後編合わせて5時間に及ぶ。それでも、三国志という長いドラマのほんの一幕に過ぎない。あらためて、三国志の壮大さに圧倒される。現代のような作られた大作主義の中国ではなく、当時の中国は本当に壮大だった。
『レッドクリフ Part1』は三国志の物語の中でも、最も苛烈な赤壁の戦いを中心に描いた壮大な歴史絵巻である。
映画の冒頭から、三国志の英雄はすでに集結している。
そこに至る余計な解説は思い切って省略され、物語は大きなクライマックスへ向かおうと進んでいる。
映画の舞台は赤壁を中心に組み立てられ、呆れるほど雄大で豪壮なセットが建築された。
戦場に集る群衆はかつてない規模で、見る者を圧倒させる。
何もかもが恐るべき雄大さで描かれた映画だ。
かつての英雄叙事詩を、最新の映画技術が壮大なドラマとしてスクリーン上に再現する。
実写撮影はくすんだ色彩で、重量感を持って描かれるが、それに対してデジタルシーンはあまりにも色彩豊か。実景とかみあわず違和感が生じている。アクションも超現実的な跳躍が多く、やや飛躍しすぎた印象だ。
三国志は実際の歴史物語だが、人間の描写にはひどく伝説めいた部分がある。
映画に描かれる英雄たちも、あまりにも超人的に描かれすぎて、現実的なものを失っている。
剣や槍の動きはあまりにも美しく描かれすぎているし、剛腕の関羽、張飛などの活躍はもはやファンタジーである。
アクションには京劇やカンフーの動きが取り入れられているが、それがかえって、自然主義的な力の流れを妨げてしまっている。
セットや風景は現実感あふれるディティールで描かれるが、活劇の部分はあまりにも跳躍しすぎで、少し違和感が残る。
圧倒的スケールで描かれた作品。ジョン・ウー監督がハリウッドで儲けたお金で作られた。戦闘シーンはどれも奇抜だが、迫力充分。セットはあまりにも壮大すぎて、本当の歴史建築だと誤解した出演者もいたようだ。
『レッドクリフ Part1』は戦場に集う戦士達の物語である。
どの武将も、潔いまでに高潔な人間として描かれている。
戦士としての友情、仁義、忠義を強く描き、敵である曹操との対比を克明にしている。
一方で、戦士としての成長のドラマでもある。
赤壁の戦いに備え、戦士たちが集結し、絆を確かめあう。やがて迫り来る、最も苛烈な戦いを前にして、決意を固めるために。
壮大な歴史絵巻も、まだ途上である。
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作品データ
監督・脚本:ジョン・ウー 音楽:岩代太郎
脚本:チャン・カン コー・ジェン シン・ハーユ
出演:トニー・レオン 金城武 チャン・フォンイー
〇〇〇チャン・チェン ヴィッキー・チャオ フー・ジュン
〇〇〇中村獅童 リン・チーリン ユウ・ヨン
〇〇〇バーサンジャプ ザン・ジンシェン ソン・ジア
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