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■2009/09/24 (Thu)
映画:外国映画■
1957年 ネバダ州
エリア51の軍事基地を何者かが襲った。アメリカ軍に変装したソ連兵士たちだ。
ソ連兵士たちは、トランクの中に二人の男を隠していた。インディ・ジョーンズ博士と、その相棒のジョージ・マクヘイルだった。
ソ連兵士の筆頭イリーナ・スパルコは、軍事基地内に隠されたあるものを所望していた。かつてインディ自身が調査したミイラを収めた謎の箱である。インディはソ連兵士たちに脅され、仕方なく箱を捜すのに協力する。
ミイラを収めた箱は、なぜか強烈な磁力を帯びていた。インディは磁力の方向をたどり、すぐにミイラを収めた箱を発見する。
そうして全員がミイラに視線が集ったそのとき、インディは機転を利かして、危難から脱出する。
東西冷戦、赤狩り、アトミック・ソルジャー……。当時の社会現象を目一杯盛り込んでいる。前作からの作風だが、やはりファンタジーとして描くには早すぎる。超能力や宇宙人といった妙なものが登場するが、オカルト全盛、オカルトが科学的なものと信じられていた時代だった。時代の空気を取り入れて描けば、この作品のようになるわけだ。
あの箱のミイラは、いったい何だったのか?
なにひとつ明かされないまま、インディはFBIに監視されるようになる。
インディの父親はすでに亡くなっている設定。インディの年齢を考えると自然な流れだ。ハリソン・フォードもすでに60代。ところで、ジブリのプロデューサー鈴木敏夫は、『ポニョ』『スカイクロラ』『インディ4』と並べて共通するのは「父と子」「異界(霊界)」と説明した。かつて一世代を築いた作家達も、もはや子や死を意識する年齢なのだ。
間もなくしてインディは大学に戻り、教壇に立った。
だが学部長が教室に入ってきて、インディのオフィスにFBIが調査に入ったと告げた。さらにインディに無期限の休職処分が告げられる。
大学を追われたインディは、別の大学に職を求めて列車に乗った。
とそこに、プラットホームにバイクに乗った青年が現れる。
「おい、おっさん! ジョーンズ博士だろ。オックスリー博士を知ってるだろう」
駅のプラットホームにバイクで乗り込むマット。マーロン・ブランドのつもりらしい。マットにはなにかインディと関わる秘密がありそうだ。
ちなみに、冒頭のパラマウントのロゴタイトルが多分19年前のものだ。こういう気遣いがスピルバーグ&ルーカスらしい。
青年はマットと名乗り、オックスリー博士の危機をジョーンズに伝える。マットは、オックスリーから謎めいた手紙を受け取っていた。
古代コイホマ語で書かれた、暗号だらけの手紙だった。
インディは手紙の暗号を解明し、オックスリーを探してメキシコへ飛ぶ。
こうして、インディ・ジョーンズの新たな冒険が始まった……。
ハリウッドお得意のコミック調アクション。しばらく見ていなかったが、やはり楽しい。リアリテイィや考証云々より、映画には弾けた楽しさが欲しいものだ。
19年間沈黙し続けたインディ・ジョーンズ・シリーズの第4作目だ。
当時の気風や軽快さは少しも変わっていない。インディ・ジョーンズはすっかり年をとって、初老の男となってしまったが、運動能力に少しも衰えがない。
当時のスタイルを変えず、軽やかにアクションをこなし、コミカルに振る舞いつつもどんな危機も必ず乗り越える。
冒頭十数分で、我々の気分は19年間の時間を、インディと共に軽く飛び越えてしまうのだ。
宝の地図、地下洞窟。いつの時代でも少年のロマンをかきたてるアイテムだ。大抵の男性は、この二つだけで少年の気持ちに戻れる。
時代はすでに第2次世界大戦を終えて、東西冷戦に突入している。アメリカにとっては、世界大戦の時代よりもはるかに暗い時代だ。
人々はヒステリックに共産主義の影に怯え、アメリカ全土に赤狩りが横行し、黄金時代と呼ばれた華々しさに翳りが見え始める。
そんな時代を舞台にしたインディ・ジョーンズにも、どこかに暗い影が漂い始めている。東西冷戦はファンタジーとして描くには、あまりにも現代に接近しすぎているのだ。
それに、ミステリーの中心は宇宙人や超能力といった疑似科学だ。そんな忘れられかけたものを引っ張り出して、別の視点から光を当てようとするのが、いかにもインディ・ジョーンズらしい。
だが疑似科学もファンタジーとして描くには、やはり現代に接近しすぎている。
東西冷戦も、疑似科学を題材にしたSFミステリーも、インディ・ジョーンズ・ファンタジーとして描くには、あまりにもまだ早すぎだった。
『インディ・ジョーンズ4』に感じるのは、新鮮味や驚きよりも、どちらかといえば“古臭さ”だったように思える。
もしインディ・ジョーンズが“古典”ならば、その表現はスタイルとして受け入れられただろう。だが古典とするのは早すぎだった。古い様式を、最新の様式と自身の感性で刷新できるほど、スピルバーグの感性は若くない。当時のままである一方、確かに“古臭さ”が全体に漂う映画であった。
映画の多くの技法や文法は、当時のままだ。
もちろん撮影用のカメラは最新のものだし、デジタル撮影もある。高詳細に描かれるディティールなど、現代の〔過剰装飾時代映画〕の特徴だ。
それでもフィルムに投影されるほとんどのものは、当時のまま描かれている。言葉のやり取りも、アクションの描き方も、俳優を取り巻くビビッドな色彩も、なにもかもが当時を回想させる小道具だ。
『インディ・ジョーンズ』は、古典映画とするには、まだ最近過ぎる映画だ。だが映画の制作者達は、当時の表現手法を、スタイルとして頑固に守り続けている。そうした頑固さが、我々をどこか懐かしい気持ちにさせる。
映画記事一覧
作品データ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス キャスリーン・ケネディ
音楽:ジョン・ウィリアムズ 脚本:デヴィッド・コープ
出演:ハリソン・フォード シャイア・ラブーフ
〇〇〇レイ・ウィンストン カレン・アレン
〇〇〇ケイト・ブランシェット ジョン・ハート
〇〇〇ジム・ブロードベント イゴール・ジジキン
エリア51の軍事基地を何者かが襲った。アメリカ軍に変装したソ連兵士たちだ。
ソ連兵士たちは、トランクの中に二人の男を隠していた。インディ・ジョーンズ博士と、その相棒のジョージ・マクヘイルだった。
ソ連兵士の筆頭イリーナ・スパルコは、軍事基地内に隠されたあるものを所望していた。かつてインディ自身が調査したミイラを収めた謎の箱である。インディはソ連兵士たちに脅され、仕方なく箱を捜すのに協力する。
ミイラを収めた箱は、なぜか強烈な磁力を帯びていた。インディは磁力の方向をたどり、すぐにミイラを収めた箱を発見する。
そうして全員がミイラに視線が集ったそのとき、インディは機転を利かして、危難から脱出する。
東西冷戦、赤狩り、アトミック・ソルジャー……。当時の社会現象を目一杯盛り込んでいる。前作からの作風だが、やはりファンタジーとして描くには早すぎる。超能力や宇宙人といった妙なものが登場するが、オカルト全盛、オカルトが科学的なものと信じられていた時代だった。時代の空気を取り入れて描けば、この作品のようになるわけだ。
あの箱のミイラは、いったい何だったのか?
なにひとつ明かされないまま、インディはFBIに監視されるようになる。
インディの父親はすでに亡くなっている設定。インディの年齢を考えると自然な流れだ。ハリソン・フォードもすでに60代。ところで、ジブリのプロデューサー鈴木敏夫は、『ポニョ』『スカイクロラ』『インディ4』と並べて共通するのは「父と子」「異界(霊界)」と説明した。かつて一世代を築いた作家達も、もはや子や死を意識する年齢なのだ。
間もなくしてインディは大学に戻り、教壇に立った。
だが学部長が教室に入ってきて、インディのオフィスにFBIが調査に入ったと告げた。さらにインディに無期限の休職処分が告げられる。
大学を追われたインディは、別の大学に職を求めて列車に乗った。
とそこに、プラットホームにバイクに乗った青年が現れる。
「おい、おっさん! ジョーンズ博士だろ。オックスリー博士を知ってるだろう」
駅のプラットホームにバイクで乗り込むマット。マーロン・ブランドのつもりらしい。マットにはなにかインディと関わる秘密がありそうだ。
ちなみに、冒頭のパラマウントのロゴタイトルが多分19年前のものだ。こういう気遣いがスピルバーグ&ルーカスらしい。
青年はマットと名乗り、オックスリー博士の危機をジョーンズに伝える。マットは、オックスリーから謎めいた手紙を受け取っていた。
古代コイホマ語で書かれた、暗号だらけの手紙だった。
インディは手紙の暗号を解明し、オックスリーを探してメキシコへ飛ぶ。
こうして、インディ・ジョーンズの新たな冒険が始まった……。
ハリウッドお得意のコミック調アクション。しばらく見ていなかったが、やはり楽しい。リアリテイィや考証云々より、映画には弾けた楽しさが欲しいものだ。
19年間沈黙し続けたインディ・ジョーンズ・シリーズの第4作目だ。
当時の気風や軽快さは少しも変わっていない。インディ・ジョーンズはすっかり年をとって、初老の男となってしまったが、運動能力に少しも衰えがない。
当時のスタイルを変えず、軽やかにアクションをこなし、コミカルに振る舞いつつもどんな危機も必ず乗り越える。
冒頭十数分で、我々の気分は19年間の時間を、インディと共に軽く飛び越えてしまうのだ。
宝の地図、地下洞窟。いつの時代でも少年のロマンをかきたてるアイテムだ。大抵の男性は、この二つだけで少年の気持ちに戻れる。
時代はすでに第2次世界大戦を終えて、東西冷戦に突入している。アメリカにとっては、世界大戦の時代よりもはるかに暗い時代だ。
人々はヒステリックに共産主義の影に怯え、アメリカ全土に赤狩りが横行し、黄金時代と呼ばれた華々しさに翳りが見え始める。
そんな時代を舞台にしたインディ・ジョーンズにも、どこかに暗い影が漂い始めている。東西冷戦はファンタジーとして描くには、あまりにも現代に接近しすぎているのだ。
それに、ミステリーの中心は宇宙人や超能力といった疑似科学だ。そんな忘れられかけたものを引っ張り出して、別の視点から光を当てようとするのが、いかにもインディ・ジョーンズらしい。
だが疑似科学もファンタジーとして描くには、やはり現代に接近しすぎている。
東西冷戦も、疑似科学を題材にしたSFミステリーも、インディ・ジョーンズ・ファンタジーとして描くには、あまりにもまだ早すぎだった。
『インディ・ジョーンズ4』に感じるのは、新鮮味や驚きよりも、どちらかといえば“古臭さ”だったように思える。
もしインディ・ジョーンズが“古典”ならば、その表現はスタイルとして受け入れられただろう。だが古典とするのは早すぎだった。古い様式を、最新の様式と自身の感性で刷新できるほど、スピルバーグの感性は若くない。当時のままである一方、確かに“古臭さ”が全体に漂う映画であった。
映画の多くの技法や文法は、当時のままだ。
もちろん撮影用のカメラは最新のものだし、デジタル撮影もある。高詳細に描かれるディティールなど、現代の〔過剰装飾時代映画〕の特徴だ。
それでもフィルムに投影されるほとんどのものは、当時のまま描かれている。言葉のやり取りも、アクションの描き方も、俳優を取り巻くビビッドな色彩も、なにもかもが当時を回想させる小道具だ。
『インディ・ジョーンズ』は、古典映画とするには、まだ最近過ぎる映画だ。だが映画の制作者達は、当時の表現手法を、スタイルとして頑固に守り続けている。そうした頑固さが、我々をどこか懐かしい気持ちにさせる。
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作品データ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス キャスリーン・ケネディ
音楽:ジョン・ウィリアムズ 脚本:デヴィッド・コープ
出演:ハリソン・フォード シャイア・ラブーフ
〇〇〇レイ・ウィンストン カレン・アレン
〇〇〇ケイト・ブランシェット ジョン・ハート
〇〇〇ジム・ブロードベント イゴール・ジジキン
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