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■2009/09/24 (Thu)
映画:外国映画■
1811年。フランス支配下のドイツ。
カールシュタットの町は、夜毎に姿を現す悪霊に怯えていた。町の人たちは怯え、悪霊の正体は百年前に魔女焚刑に処された女性の霊に違いないと囁きあっていた。
そんな最中に、市長の召喚でグリム兄弟がカールシュタットの町へとやってきた。グリム兄弟は悪霊退治のベテランで知られ、今回の件もたちどころに解決しよう、と宣言した。
そうして、夜が訪れる。グリム兄弟は悪霊が現れる水車小屋に臨み、見事、悪霊を撃退してみせる。
グリム兄弟の人物像も、当然、実際のグリム兄弟と違う。物語の中のグリム兄弟は、ペテン師である。兄のウィルは心霊現象を一切信じていないが、弟は神秘の力をどこかで信じている。
が、すべてペテンだった。
悪霊の存在も、悪霊退治も、すべてグリム兄弟による自作自演だった。
そんなペテンも間もなく見破られて、グリム兄弟は、フランスの将軍ドゥラトンプに逮捕されてしまう。
グリム兄弟はただちに死刑が宣告されるが、代わりにある事件を解決できれば、恩赦を与えようと約束される。
ある事件とは、マルバデンの森で、9人の子供が失踪した事件だ。ドゥラトンプは、事件の正体はグリム兄弟と同じペテンと考え、その筋のプロであるグリム兄弟に事件を解決させようと考えていた。
赤頭巾のランプツェル。ランプツェルは白雪姫の魔法使いと合体している。魔法使いを演じたモニカ・ベルッチは撮影当時、すでに40歳を越えていた。白雪姫の魔法使いを演じるには、あまりにもぴったりな配役だ。
『ブラザーズ・グリム』はグリム兄弟を題材にしているが、本当のグリム兄弟はもちろん詐欺師ではないし、映画に描かれるような冒険の旅もしていない。
実際のグリム兄弟は、6人兄弟で、いわゆる“グリム兄弟”と呼ばれる長男と次男は、ともに言語学者である。
現在では童話作家として認識されているが、もともともは研究の一環として、地方に眠る民間伝承を集めていたのである。
グリム兄弟が採話した童話集を、『グリム童話』と命名し出版したのも、グリム兄弟ではなく、出版社の人間である。
グリム兄弟は、採話した話に相当な脚色を加えたらしい記録がある。柳田國男の『遠野物語』も書き手の感性に合わせて改竄されていたから、当時、オリジナル保護の考えは弱かったらしい。グリム兄弟は自分達の感性に合わせて、物語をよりドラマチックに、あるいは残酷すぎる物語などは表現を弱く描きなおした。我々は本当の童話を知ることはできない。
『ブラザーズ・グリム』は、グリム兄弟が採話された物語からヒントを得ている。
白雪姫やシンデレラ、蛙の王子様にランプツェル……。
様々な童話の原型が次から次へと現れて、寄り合わされていく。
『ブラザーズ・グリム』で描かれるグリム兄弟はフィクションだが、もしも童話採取の背景に、驚くような冒険があったとしたら?
映画『ブラザーズ・グリム』はそんな“もしも”を追いかけて描かれていく。
物語の構築はやや強引だし、次々に登場する異界のモンスターたちは真実味以上に、あまりにもいかがわしさたっぷりに描かれている。
童話が本来持っている奇怪のエネルギーを、テリー・ギリアムの感性がよりいかがわしさを増幅させて、命を与えている。
『ブラザーズ・グリム』はテリー・ギリアム自信の脚本作品ではない珍しい作品だ。あまりにもいかがわしい雰囲気満載の『ブラザーズ・グリム』は商業映画的な性質を持っているが、むしろテリー・ギリアムの感性を優先されている。
グリム童話が描かれた時代は、まだ自然の世界に多くの神秘や霊魂が眠っていた時代だった。
森の暗い影の向うに、平凡な人間が感知できない神秘の世界が眠っている。森の中は現在よりもっと暗く、恐ろしい気配に満ちた場所だった。
同時に信仰の舞台であり、ドルイドたちが祭儀を行う場所であった。
だが『ブラザーズ・グリム』で描かれる森は明るく、童話の語り手であるグリム兄弟はペテン師の扱いだ。
人々が恐れ、子供達の冒険の舞台であった森の物語は、現代人の感性ではもはやただのペテンでしかないのだ。
古い時代の物語が持っていた神秘や恐ろしさは、どこへ行ってしまったのだろう。
映画『ブラザーズ・グリム』での森は焼き払われ、愉快な祝祭の場面で、賑やかに幕を閉じてしまう。
映画記事一覧
作品データ
監督:テリー・ギリアム 原作:グリム兄弟(?)
音楽:ダリオ・マリアネッリ 脚本:アーレン・クルーガー
出演:マット・デイモン ヒース・レジャー
〇〇〇モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス
〇〇〇レナ・ヘディ ピーター・ストーメア
〇〇〇リチャード・ライディングス マッケンジー・クルック
カールシュタットの町は、夜毎に姿を現す悪霊に怯えていた。町の人たちは怯え、悪霊の正体は百年前に魔女焚刑に処された女性の霊に違いないと囁きあっていた。
そんな最中に、市長の召喚でグリム兄弟がカールシュタットの町へとやってきた。グリム兄弟は悪霊退治のベテランで知られ、今回の件もたちどころに解決しよう、と宣言した。
そうして、夜が訪れる。グリム兄弟は悪霊が現れる水車小屋に臨み、見事、悪霊を撃退してみせる。
グリム兄弟の人物像も、当然、実際のグリム兄弟と違う。物語の中のグリム兄弟は、ペテン師である。兄のウィルは心霊現象を一切信じていないが、弟は神秘の力をどこかで信じている。
が、すべてペテンだった。
悪霊の存在も、悪霊退治も、すべてグリム兄弟による自作自演だった。
そんなペテンも間もなく見破られて、グリム兄弟は、フランスの将軍ドゥラトンプに逮捕されてしまう。
グリム兄弟はただちに死刑が宣告されるが、代わりにある事件を解決できれば、恩赦を与えようと約束される。
ある事件とは、マルバデンの森で、9人の子供が失踪した事件だ。ドゥラトンプは、事件の正体はグリム兄弟と同じペテンと考え、その筋のプロであるグリム兄弟に事件を解決させようと考えていた。
赤頭巾のランプツェル。ランプツェルは白雪姫の魔法使いと合体している。魔法使いを演じたモニカ・ベルッチは撮影当時、すでに40歳を越えていた。白雪姫の魔法使いを演じるには、あまりにもぴったりな配役だ。
『ブラザーズ・グリム』はグリム兄弟を題材にしているが、本当のグリム兄弟はもちろん詐欺師ではないし、映画に描かれるような冒険の旅もしていない。
実際のグリム兄弟は、6人兄弟で、いわゆる“グリム兄弟”と呼ばれる長男と次男は、ともに言語学者である。
現在では童話作家として認識されているが、もともともは研究の一環として、地方に眠る民間伝承を集めていたのである。
グリム兄弟が採話した童話集を、『グリム童話』と命名し出版したのも、グリム兄弟ではなく、出版社の人間である。
グリム兄弟は、採話した話に相当な脚色を加えたらしい記録がある。柳田國男の『遠野物語』も書き手の感性に合わせて改竄されていたから、当時、オリジナル保護の考えは弱かったらしい。グリム兄弟は自分達の感性に合わせて、物語をよりドラマチックに、あるいは残酷すぎる物語などは表現を弱く描きなおした。我々は本当の童話を知ることはできない。
『ブラザーズ・グリム』は、グリム兄弟が採話された物語からヒントを得ている。
白雪姫やシンデレラ、蛙の王子様にランプツェル……。
様々な童話の原型が次から次へと現れて、寄り合わされていく。
『ブラザーズ・グリム』で描かれるグリム兄弟はフィクションだが、もしも童話採取の背景に、驚くような冒険があったとしたら?
映画『ブラザーズ・グリム』はそんな“もしも”を追いかけて描かれていく。
物語の構築はやや強引だし、次々に登場する異界のモンスターたちは真実味以上に、あまりにもいかがわしさたっぷりに描かれている。
童話が本来持っている奇怪のエネルギーを、テリー・ギリアムの感性がよりいかがわしさを増幅させて、命を与えている。
『ブラザーズ・グリム』はテリー・ギリアム自信の脚本作品ではない珍しい作品だ。あまりにもいかがわしい雰囲気満載の『ブラザーズ・グリム』は商業映画的な性質を持っているが、むしろテリー・ギリアムの感性を優先されている。
グリム童話が描かれた時代は、まだ自然の世界に多くの神秘や霊魂が眠っていた時代だった。
森の暗い影の向うに、平凡な人間が感知できない神秘の世界が眠っている。森の中は現在よりもっと暗く、恐ろしい気配に満ちた場所だった。
同時に信仰の舞台であり、ドルイドたちが祭儀を行う場所であった。
だが『ブラザーズ・グリム』で描かれる森は明るく、童話の語り手であるグリム兄弟はペテン師の扱いだ。
人々が恐れ、子供達の冒険の舞台であった森の物語は、現代人の感性ではもはやただのペテンでしかないのだ。
古い時代の物語が持っていた神秘や恐ろしさは、どこへ行ってしまったのだろう。
映画『ブラザーズ・グリム』での森は焼き払われ、愉快な祝祭の場面で、賑やかに幕を閉じてしまう。
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作品データ
監督:テリー・ギリアム 原作:グリム兄弟(?)
音楽:ダリオ・マリアネッリ 脚本:アーレン・クルーガー
出演:マット・デイモン ヒース・レジャー
〇〇〇モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス
〇〇〇レナ・ヘディ ピーター・ストーメア
〇〇〇リチャード・ライディングス マッケンジー・クルック
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