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■2009/09/24 (Thu)
映画:外国映画■
西暦859年、唐の大中13年。
奉天県の捕吏詰所で、劉隊長と金隊長が机を挟んで向き合っていた。
皇帝の反対勢力『飛刀門』が領域が拡大しつつある。劉と金の元に『飛刀門』の10日以内の撲滅命令が下されていた。
本拠地不明で、頭目すら明らかではない『飛刀門』。
だが劉は、牡丹坊という遊郭に『飛刀門』の刺客が潜伏している情報を得ていた。
劉は金に、牡丹坊に潜入し、調査するよう指示する。
盲目の刺客を演じたチャン・ツィイー。激しいアクションだが、相手の俳優を見ていない。相当な練習を積んだのだろうと想像されるが、それにしても超人的身体能力だ。
かくして芸妓の小妹は『飛刀門』の刺客だった。金と劉の共同作戦によって、小妹の逮捕に成功する。
それで任務は終了だったが、劉はあえて小妹を逃がそうと提案する。小妹を囮にして頭目を捕らえようという作戦だった。
劉の作戦に賛同した金は、その夜、捕吏詰所を襲撃して小妹を牢獄から救出する。
場面ごとに印象的な色彩が設定されている。冒頭の遊郭の場面ではパステルトーン。森の場面では紅葉のパッチワーク。後半の竹林シーンはグリーンのトーンだけで描かれる。
物語は複雑に絡み合い、次々と意外な真実が暴き出されていく。
誰もが計画を胸に秘め、謀に謀を重ねていく。
そんな中で、主人公の金だけが何も知らされずにいる。
金は鑑賞者に最も近い立場で、見えざる存在の勢力に対抗し、物語が持っている運命に翻弄される。鑑賞者は金とともに、次に迫る非情の運命を目撃する。
計画的に進行する謀も、愛によって狂い、奈落へと突き落とされていく。
『LOVERS』は愛と美の物語だ。
確かだった謀は、愛と美が絡みあい、思いがけない運命へと流されていく。
宣伝は人集めの手段だが、観客に対して「その映画をどう見るべきか」の最初のガイドラインになる。それがもし宣伝どおりの映画ではなかったら、当然、期待外れに感じる。宣伝は予め観客にどのような印象を与えるか操作する場所だ。だから宣伝は慎重でなくてはならない。あからさまに宣伝と本体が一致していなければ「期待を裏切る」結果となる。
だが、映画『LOVERS』はあまりにも情緒を深く描きすぎている。転調までの間がどれも長く、全体として冗長な印象を与える。だから結果として、次のシーンに用意されている衝撃のインパクトを弱くしてしまっている。
宣伝では、映画『LOVERS』は、流麗なアクションと頭脳戦が中心であると紹介された作品だ。だが映画が持っている本質は、圧倒的な美と情緒の映画だ。宣伝どおりにものを期待しようとすると、その落差に戸惑うかもしれない。
アクションは肉体的なぶつかりあいよりも、様式美が重視される。破壊や重量感といった感触を求めると物足りなくなるが、あくまでも夢想的な美意識のみを追った作品と見るべきだ。
映画『LOVERS』は美しい映画である。それも、中国文化が持つ美意識と様式美が凝縮された映画だ。場面を支配するセットは絢爛で、衣装は美しく、自然の色彩と見事に調和している。
全体に様式的な美で満たされ、どの場面も絵画を鑑賞するかのような印象を与えている。俳優達のアクションはもはや超人的であり、時間を間延びさせるスローモーションが、動きの美しさを強調させる。
何もかもが美しい芸術映画。それでいて、圧倒的な身体能力が繰り出すエンターティメント映画だ。
映画記事一覧
作品データ
監督:チャン・イーモウ 音楽:梅林茂
脚本:チャン・イーモウ リー・フェン ワン・ビン
出演:金城武 チャン・ツィイー
〇〇〇アンディ・ラウ ソン・タンタン
奉天県の捕吏詰所で、劉隊長と金隊長が机を挟んで向き合っていた。
皇帝の反対勢力『飛刀門』が領域が拡大しつつある。劉と金の元に『飛刀門』の10日以内の撲滅命令が下されていた。
本拠地不明で、頭目すら明らかではない『飛刀門』。
だが劉は、牡丹坊という遊郭に『飛刀門』の刺客が潜伏している情報を得ていた。
劉は金に、牡丹坊に潜入し、調査するよう指示する。
盲目の刺客を演じたチャン・ツィイー。激しいアクションだが、相手の俳優を見ていない。相当な練習を積んだのだろうと想像されるが、それにしても超人的身体能力だ。
かくして芸妓の小妹は『飛刀門』の刺客だった。金と劉の共同作戦によって、小妹の逮捕に成功する。
それで任務は終了だったが、劉はあえて小妹を逃がそうと提案する。小妹を囮にして頭目を捕らえようという作戦だった。
劉の作戦に賛同した金は、その夜、捕吏詰所を襲撃して小妹を牢獄から救出する。
場面ごとに印象的な色彩が設定されている。冒頭の遊郭の場面ではパステルトーン。森の場面では紅葉のパッチワーク。後半の竹林シーンはグリーンのトーンだけで描かれる。
物語は複雑に絡み合い、次々と意外な真実が暴き出されていく。
誰もが計画を胸に秘め、謀に謀を重ねていく。
そんな中で、主人公の金だけが何も知らされずにいる。
金は鑑賞者に最も近い立場で、見えざる存在の勢力に対抗し、物語が持っている運命に翻弄される。鑑賞者は金とともに、次に迫る非情の運命を目撃する。
計画的に進行する謀も、愛によって狂い、奈落へと突き落とされていく。
『LOVERS』は愛と美の物語だ。
確かだった謀は、愛と美が絡みあい、思いがけない運命へと流されていく。
宣伝は人集めの手段だが、観客に対して「その映画をどう見るべきか」の最初のガイドラインになる。それがもし宣伝どおりの映画ではなかったら、当然、期待外れに感じる。宣伝は予め観客にどのような印象を与えるか操作する場所だ。だから宣伝は慎重でなくてはならない。あからさまに宣伝と本体が一致していなければ「期待を裏切る」結果となる。
だが、映画『LOVERS』はあまりにも情緒を深く描きすぎている。転調までの間がどれも長く、全体として冗長な印象を与える。だから結果として、次のシーンに用意されている衝撃のインパクトを弱くしてしまっている。
宣伝では、映画『LOVERS』は、流麗なアクションと頭脳戦が中心であると紹介された作品だ。だが映画が持っている本質は、圧倒的な美と情緒の映画だ。宣伝どおりにものを期待しようとすると、その落差に戸惑うかもしれない。
アクションは肉体的なぶつかりあいよりも、様式美が重視される。破壊や重量感といった感触を求めると物足りなくなるが、あくまでも夢想的な美意識のみを追った作品と見るべきだ。
映画『LOVERS』は美しい映画である。それも、中国文化が持つ美意識と様式美が凝縮された映画だ。場面を支配するセットは絢爛で、衣装は美しく、自然の色彩と見事に調和している。
全体に様式的な美で満たされ、どの場面も絵画を鑑賞するかのような印象を与えている。俳優達のアクションはもはや超人的であり、時間を間延びさせるスローモーションが、動きの美しさを強調させる。
何もかもが美しい芸術映画。それでいて、圧倒的な身体能力が繰り出すエンターティメント映画だ。
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作品データ
監督:チャン・イーモウ 音楽:梅林茂
脚本:チャン・イーモウ リー・フェン ワン・ビン
出演:金城武 チャン・ツィイー
〇〇〇アンディ・ラウ ソン・タンタン
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