■ 最新記事
(08/15)
(08/14)
(08/13)
(08/12)
(08/11)
(08/10)
(08/09)
(08/08)
(08/07)
(08/06)
■ カテゴリー
お探し記事は【記事一覧 索引】が便利です。
■2016/08/03 (Wed)
創作小説■
第14章 最後の戦い
前回を読む
24
王城の背後。崖の下の渦の中を、小舟がひっそりと進んでいた。小舟の上で、ソフィーがあっと声を上げて振り返った。仄暗く浮かぶ王城の影が、そこにあった。
管理人
「どうかしましたか?」
ソフィー
「イーヴォール様が……逝かれました」
ソフィーは目を伏せて、祈りの言葉を呟いた。
管理人
「そうですか。あの人が……」
管理人は一度舟を漕ぐ手を止めて、長寿を渡り歩いた者のために、冥福を祈った。
小舟は海を進んでいき、やがて人気のない河岸までやってくると、砂浜に舟を押し上げた。
ソフィー
「ありがとうございました」
管理人
「キール・ブリシュトへ行かれるのですか」
ソフィー
「はい」
管理人
「……しかしあそこは魔の巣窟。いくらあなた様が魔術に長けているとはいえ、1人で立ち入っていけるような場所ではございません。エクスカリバーを使用者に元に届け、大魔法を唱えるには、魔物を引きつけておくための軍隊が必要です。いったいどうなさるおつもりですか」
ソフィー
「1つだけ、考えがあります。うまくいくかわからないけど……。……ううん、選択肢がないから、必ず成功させねばなりません」
管理人
「そこまでしてでも、行かねばならぬ場所なのですか」
ソフィー
「あの人は1人で行きました。だから私も。愛する人を救うのに、どんな迷いや恐れがあると言うの?」
管理人
「ならば私の導きはここまで。美しきドルイドよ、どうかご無事で」
管理人は頭を下げた。
ソフィーも管理人に別れを告げて、浜辺を離れた。
気付けば夕暮れに近い時間になっていた。雨は一向に止む気配はない。さらに勢いを強めようとしていた。風も強く、翌日には大降りになりそうな気配だった。
ソフィーに不安がよぎる。あの人は今どこにいるだろう。まだキール・ブリシュトへ向かう途上のはずだ。今なら間に合う……。今なら間に合うはず……。
ソフィーは不安を払いのけるように、南へ向かって走った。
次回を読む
目次
PR