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■2016/06/18 (Sat)
創作小説■
第14章 最後の戦い
前回を読む
1
聖堂は業火に包まれていた。その手前の繁華街はすでに壊滅している。参道に至るまでに置かれたあらゆる宗教的建築とモニュメントは破壊され、クロースの軍勢は今や総本山へ攻撃しようとしている。そんな戦場の後方の丘に、オーク達の一行がやってきた。その数はわずかに30騎。あまりに小さな勢力だったために、クロース軍は誰も気付かず、振り向きもしなかった。
ソフィー
「ひどい……」
戦場にやってくると、異臭が立ち上ってきた。森だけではなく、鉄や油が焼ける臭いが混じっている。あちこちに放置された死体が、得も知れぬ悪臭を放っていた。
オーク
「行きましょう。まだ戦いは終わっていません。ソフィー、お願いします」
ソフィー
「はい!」
オークが突撃した。騎士達が1歩遅れてオークに続いた。ソフィーがしんがりを務め、走りながら呪文を唱えた。騎士達の前に、光の盾が現れた。
思いがけない後方からの突撃に、クロース軍が慌てふためいた。強烈な突撃に加え、光の盾がクロース軍を次々に跳ね飛ばした。クロース兵士が槍でオークを止めようとする。光の盾は槍の攻撃を弾き返した。去り際に、オーク達は剣の一撃で逆襲した。
オーク達の勢いは凄まじく、クロースの軍勢を真っ二つに引き裂いて突撃した。誰もオーク達を止められなかった。
リーフ
「奴らを止めろ! 攻撃しろ!」
リーフが命じた。流浪騎士団のアレスが応じた。
オークは構わず突撃した。アレス達流浪騎士団が正面から立ち向かった。
両者がぶつかり合う。瞬間、剣が交叉した。
兵達が歓声ともどよめきともつかない声を上げた。馬から転げ落ちたのは、先頭に立った2人の英雄だけであった。オークとアレスである。
オークとアレスはすぐに飛び起きて、剣を手に取り、2人同時に剣を振り上げ、同じ力で刃を重ねた。
アレス
「剣を収めよ!」
アレスは密かにオークに言った。
クロース軍がオークを取り囲んだ。騎士団はすでに去っていて、気付けばオーク一人きりだった。兵士達は獣じみた声を上げて、一気にオークを追い詰めようとした。
アレス
「よせ! やめろ! 手を出すな!」
アレスが押し留めた。
だがクロース軍は異様な熱気を持ってオークに迫った。
その時、一迅の風が走った。粉塵が巻き上がり、兵士達を吹き飛ばした。そのつむじ風の中を、麗しき騎士が疾風の如く駆け抜けた。
ソフィー
「オーク様、早く!」
ソフィーが手を伸ばした。オークはソフィーの馬に乗り込んだ。
クロース兵が追撃しようとした。だがアレスが、そのクロース兵を斬った。
ソフィーは一瞬も止まらず、現れた時と同じように風の魔術をまとってそこから去っていた。
クロース兵が矢でソフィーを射止めようとしたが、風の魔術が盾となって弾いた。
アレス
「オーク殿……無事であったか……」
オークが無事に去ったのを見届けて、アレスが安堵の息を漏らした。
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