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■2015/12/12 (Sat)
第7章 王国炎上

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 平原はネフィリムの大群に黒く塗りつぶされていた。銃眼についた弓兵が黒山の群れに矢を次々と放つが、あまりの数に効果の確認すらできない。屈強の騎士達が果敢にネフィリムたちに向かい、その勢力を大門の一歩手前で足止めさせた。
 しかしネフィリムの数は圧倒的であり、勝利どころか防衛すら途方もない戦いに思えた。
 大門の内側においても、いまだ敵は侵入はないものの、慌ただしい様子だった。武器は途切れないように補充され、医師は負傷者の手当に奔走し、長期戦に備えて倉庫から兵糧の持ち出しが始まっていた。
 そんな騒然とした中を馬が2騎、悠然とした様子で通り過ぎていった。その背にあるのは2人の美女だ。バン・シーとソフィーの2人である。戦いに明け暮れる兵士達は、あまりにも場違いでしかし美貌ゆえに漂う神秘的な気風に、足を止めて注目せずにはいられなかった。
 オークもソフィーの存在に気付くと、戦線を抜けて慌てて駆け寄った。

オーク
「ソフィー、何をしているのです! 早く戻ってください!」
ソフィー
「……オーク様。戻った時は私を認めてください。男とか女とかではなく、愛する人として――」
オーク
「…………」

 ソフィーのあまりの毅然とした態度に、オークは圧倒されて口をつぐんでしまった。

バン・シー
「行くぞ!」

 バン・シーの命令で、大門が馬1つ分ほど開いた。ソフィーとバン・シーの2人の馬が門の外に飛び出していった。
 オークはその後を追った。引き留めねばならぬ。しかしネフィリムの大群がオークを遮った。バン・シーとソフィーの姿はすぐに見えなくなってしまった。

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