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■2015/12/15 (Tue)
第5章 Art Crime

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10
 大原紀明は、品の良さそうな男だった。角ばった顔のつくりだが、端整で、若い頃はもてただろう、と何となく想像できた。格好はワイシャツに紺のスラックスと普通の格好だが、それだけに姿勢のよさが際立った。
 何か軽めのスポーツをしているタイプの、細身だがひきしまった体格をしていた。50過ぎの年齢を感じさせない若々しさがあった。
 紀明は軽い調子で切り出してきた。
「それでは、さっそくだけど『ガリラヤの海の嵐』の鑑定結果を聞かせてもらえるかな。君が鑑定したそうだけど」
「そのぅ、……鑑定の結果は、贋作でした」
 ツグミは座椅子の上で少し屈み込んで相手を上目遣いにするようにした。座面が高いから、そのままだと相手を見下しているようで、失礼な気がした。
「本当かね」
 朗らかな紀明の顔が、驚きと戸惑いに歪む。
 ツグミはちょっと緊張して、軽く息を吸った。
「簡単な科学鑑定を行いました。その結果、当時の絵具ではありえない成分が検出されました。だから、あの『ガリラヤの海の嵐』は、最近になって描かれたものと断定されました」
 ツグミは理路整然と順序立てて話した。
 すでに所有権を離れているとはいえ、お宝が贋物であると人に告げるとき、説明ではいけない。説得する必要がある。美術品の持ち主というのは、単なる愛着とは別の、強烈な思い入れを美術品に投影している。美術品が贋物と指摘されると、自分が否定されたような気分にすらなるのだ。
 まさか「勘で判じた」などとは口が滑っても絶対に言ってはいけない。贋物であるという現実を受け入れるように差し向けないといけないのだ。
 紀明は納得したように頷いて、うつむいた。
「そうか。贋物だったのか。君は腕がいいという評判を聞いたから、きっと本当なのだろうね。残念だな」
 紀明は軽い失敗したみたいに、頭の後ろを掻いてみせた。
 ツグミはほっとした。想像以上に人が良さそうだ。中途半端な金持ちが相手だと、こんなときは強情な態度に直面するものだ。「いいや、あれは本物なんだ」と。
「それで、その『ガリラヤの海の嵐』について聞きたい話があって、こうして来たわけですけど。あの絵は、この家の蔵から出てきたものですか?」
「いや、実はそうじゃないんだ。父が亡くなった後、しばらくして、ある人が訪ねてきてね。その人が『ガリラヤの海の嵐』を置いていったんだ」
 紀明は、元の堅実そうな顔に戻って、話を始めた。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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